著者
白坂 成功 石橋 金徳 中須賀 真一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集 : Space Engineering Conference (ISSN:09189238)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.19, pp."F4-1"-"F4-4", 2011-01-27

Under the current development of mid-to-large size satellites, the high reliability is mandatory to avoid failures and their development cost increases enormously to achieve the high reliability. On the other hand, several universities develop and launch nano-satellites with low cost for the purpose of education from around 2000. To generate new market for satellite utilization, low cost and fast development are key points. The balance of cost and reliability is one of the very important points to realize the markets. The theoretical research toward the balance of cost and reliability is being conducted through the governmental first program "New Space Development and Utilization Paradigm by Nano-satellites Introducing Japan-oriented Reasonable Reliable Systems Engineering". This paper presents the concept of the way to realize the reasonably reliable systems engineering. Current reliability is based on the assumption that there is no miss-design and it only depends on the random failure of parts. However, many of real on-orbit failures were caused by design errors. We propose the new reliability which includes design error and the definition of the reasonably reliable Systems Engineering. The realization concept consists of re-use of design, reduction of complexity, functional redundancy and simple organization to develop nano-satellites.
著者
石橋 功至 落合 秀樹 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.305, pp.91-94, 2006-10-12
被引用文献数
1

近年,遅延ダイバーシティ(Delay Diversity)技術が再び注目を集めている.遅延ダイバーシティは送信信号を複数のアンテナから時間遅延させて送信することでダイバーシティ利得を得ることのできる非常にシンプルな送信ダイバーシティ技術である.一方,周波数分割多重(OFDM)と差動符号化振幅位相変調(DAPSK)の組み合わせは,高い周波数利用効率とシンプルな送受信回路系が実現できる技術として知られている.OFDMに遅延ダイバーシティ技術を用いた場合,各アンテナで与えられる時間遅延がガードインターバル長を超える必要性があり,周波数利用効率を著しく低下させてしまう.この問題を解決する手法としてOFDM変調信号を巡回させながら遅延させる巡回遅延ダイバーシティ(CDD)という技術が提案されている.本稿では,巡回遅延ダイバーシティを用いた符号化DAPSK変調方式を提案し,計算機シミュレーションを用いて,提案方式が任意の送信アンテナ本数分のダイバーシティ利得が得られることを示す。また,提案方式のパラメーターの最適化についても議論する.
著者
浦辺 徹郎 沖野 郷子 砂村 倫成 石橋 純一郎 高井 研 鈴木 勝彦
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

地下・海底下に存在する大量の水は、流域の岩石との反応により、海洋を含む地球表層環境や生命活動に大きな影響を与えると考えられてきた。本研究では、海底下の水の流れを地質学的背景から4種類に分類し(4つの大河仮説)、鉱床形成を含めた物質循環システムと微生物生態系システムが4つの大河に対応して制御されていることを、期間中に実施した33の研究航海と物理・化学・生物・地質の分野横断的手法を通じて明らかにした。
著者
大西 尚樹 玉手 英利 岡 輝樹 石橋 靖幸 鵜野 レイナ
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本のツキノワグマはアジア大陸から日本に渡来してきた後に、3つの遺伝グループに分岐し、各地域で遺伝的な分化が進んでいることが示唆された。こうした遺伝構造は、近年の大量出没においては一時的に崩れるものの、すぐに回復し維持されることが明らかになり、各地域の遺伝的なまとまりを保護管理ユニットとして適応出来ると考えられた。九州では1987年に捕獲された個体が本州由来であることが明らかになり、1957年以降捕獲がないことから絶滅の可能性が強くなった。
著者
小倉 剛 佐々木 健志 当山 昌直 嵩原 建二 仲地 学 石橋 治 川島 由次 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.53-62, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
4

沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
著者
嘉数 朝子 池田 尚子 友利 久子 識名 真紀子 島袋 恒男 石橋 由美
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学教育学部障害児教育実践センター紀要 (ISSN:13450476)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.87-97, 2004-05-31

本研究では, 幼稚園児と親を対象として, 幼児期の家庭における読書環境と心の理論の発達との関連を検討した。結果は, 対象児が5歳台後半であり心の理論課題は天上効果を示していため, 両者の関連は明確ではなかった。部分的に明らかになった点は, 読み聞かせの頻度や家庭の蔵書数は誤信念の理解と関連していることであった。
著者
石橋 賢一 城 謙輔 作部 保次 影山 幸雄 鶴岡 秀一
出版者
独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

アクアポリン11(AQP11)ノックアウトマウスの解析と、線虫のアクアポリン(AQP-CE1~AQP-CE11)の解析を中心におこなった。AQP11がないと嚢胞腎になって腎不全で生後1ヶ月で死ぬ。嚢胞ができる前に近位尿細管に空胞ができるがこれが小胞体を中心とした拡張であることが電顕でわかっていたが、その原因として細胞内オルアネラのpH異常が関与している可能性があきらかになった。これは近位尿細管細胞の初代培養でノックアウトマウス由来のはエンドソームのpHの低下がよわくなっていたことからの類推である。また、ノックアウトマウスの異常がAQP11の直接作用によることが、抗体による組織染色で近位尿細管細胞のみが染まり、また細胞膜ではなく細胞内が染色されることから類推される。まだ空胞変性から嚢胞形成に至る過程が不明である。また培養株細胞(HEK細胞))にGFPでラベルしたAQP11を一過性に発現させると、やはり細胞膜には発現せず、細胞内にとどまっているが、小胞体マーカーと一致して発現しており、in vivoの発現様式に類似していた。空胞ができる1週令の腎臓のRNAのマイクロアレイを行い2倍以上変化する遺伝子を10同定し解析中である。腎臓皮質に限局した嚢胞腎の症例はみあたらなかった。生き延びた稀なノックアウトマスは子孫をつくれるが、精巣の萎縮、とくに精細管上皮の細胞数の減少がみられた。線虫のアクアポリンすべてについてプロモーターの下流にGFPをつけて発現細胞の同定をおこなった。オーバーラップした発現が観察された。また11個のアクアポリンすべてについてRNAiによる遺伝子破壊をおこなったところフェノタイプの異常は認められなかった。オーバーラップしたアクアポリンによる代償で異常が認められなかった可能性もあるので2重。3重の遺伝子破壊を計画している。
著者
杉山 芳樹 石橋 修 世良 耕一郎
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.われわれは、17名の口腔扁平苔癬患者(疾患粘膜群)および86名の健常者(健常粘膜群)の頬粘膜の頬粘膜を採取し、PIXE法による微量元素分析を行い比較検討した。2.疾患粘膜群、健常粘膜群から24種の必須元素および11種の汚染元素を検出した。3.このうちカルシウム、セレン、ルビジウムは、疾患粘膜群では健常粘膜群に比較して有意に低値を示した。4.口腔扁平苔癬は30歳以上の女性に好発する。そこで、30歳以上の女性について疾患粘膜群14検体、健常粘膜群15検体を比較した。30歳以上の女性では、リン、鉄、亜鉛、ストロンチウムが疾患粘膜群で有意に高い値を示した。5.われわれの研究により、口腔扁平苔癬患者の口腔粘膜には金属アレルギーの原因といわれるd-遷移元素が高い値を示すことが証明された。
著者
金山 紀久 永木 正和 石橋 憲一 伊藤 繁
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、(1)フードシステム(以下FSと略)に援用可能な複雑系経済理論の検討、(2)複雑系経済理論を援用したFSの時間的構造変化の過程の解明、(3)複雑系経済理論を援用したシステム環境の変化と空間的構造変化の過程の解明、の三つの課題を設定して研究を行った。第1の課題に対する研究では、複雑系の考え方に基づく経済理論を背景にFSを捉えることの必要性を明らかにした。具体的には、「ゆらぎ」と「創発」の考え方をFSの研究に援用することの意義を明らかにした。第2の課題に対しては、牛乳・乳製品のFSと小麦のFSを分析対象として取り上げた。牛乳・乳製品のFSでは、雪印食品の食中毒問題が、経営状況の悪化の過程で停電を引き金にして起こっているが、発生要因を確定できるような単純系ではなく、従業員のメンタルな側面など複雑系のもとで起こっており、このような複雑系下においても食品の安全性を確保するシステムの必要性を明らかにした。また、北海道の加工原料乳の製造は牛乳のFSの「ゆらぎ」をシステム内に緩和する働きを持っており、加工原料乳制度は、その働きをサポートする制度であることを明らかにした。小麦のFSでは、これまでの食糧管理制度が、原料生産者と実需者の関係を断ち切るよう形で生産者を保護しており、需給のミスマッチを発生させていた。FSは原料生産者、加工業者、流通業者、消費者の各主体によって形成され、一つの主体だけではシステムを形成できず、一つの主体だけ単独に存続できるような制度はシステム上問題である。しかし、つい最近まで制度設計者にその認識が希薄であったことを明らかにした。第3の課題に対しては、食品工業の立地変動を分析対象とし、食品工業の立地変動に内生的な集積力があることを確認した。また、FS内での創発によって生まれ、ゆらぎをもたらす技術について、化工澱粉を取り上げ、その特性と冷凍食品への利用について整理した。
著者
石橋 尚平
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2014年度中には、論文を英文ならびに和文、両者の時間的な修正バージョンを複数作成し、内外の学会発表を行い、日本語での論文発表を行った。また翌年度の研究につなげるために、データの収拾作業に取組始めた。今回のテーマはわが国の非伝統的な金融政策であるが、これはマクロ経済学的な観点から、非伝統的な金融政策による貸出金利への影響を分析したかったからである。手法は共和分検定など、時系列データの実証分析手法を用いた。
著者
東条 衛 岡村 太成 石橋 憲一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.357-364, 1975-06-10

生あんを球状に成形して寒冷外気により凍結させ,次の実験結果を得た。1)直径30mmと45mmの球状生あんを,風温-6.0〜-25.0℃,風速0〜13.0m/sの条件下で凍結させた結果,-1℃から-5℃までの凍結所要時間は10〜60minであった。2)凍結所要時間から求めた平均熱伝達率h_mは近似計算により次の式で示される。(h_mD)/λ=2+0.89R_e^<1/2>P_r^<1/3>但し1.4×10^3<R_e<4.4×10^4
著者
安河内 朗 前田 享史 石橋 圭太 樋口 重和 樋口 重和
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では光、温度、重力の各ストレスが及ぼす生理反応への影響から現代生活における適応性を評価した。その結果以下のことがわかった;1)朝の十分な光曝露と夜の電球色照明の選択は、概日リズムを調整し夜型化を抑制する。2)身体の運動不足や冬季暖房の慢性的利用は基礎代謝量を低下させ、耐寒性、耐暑性を低下させる。身体的運動はこれらの低下を向上させる。3)立ちくらみ頻度は夜型に多く、夜型は重力負荷に対する心拍応答が大きく直立耐性を低下させる。
著者
上村 博司 里見 佳昭 菅原 敏道 山口 豊明 岸田 健 石橋 克夫 原田 昌興
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.260-267, 1991-02-20

10年以上経過をみた前立腺癌症例70例を対象として, その予後調査を行った. 治療は内分泌療法を施行した. また, 除睾術を70例中54例 (77%) に施行した. 生存10例, 死亡60例で, 癌死は31例と半数を占めた. stageA, Bでは, 癌死は少なく, stageC, Dは癌死が10例と18例で高率にみられた. 一方, 長期生存例は, stageA_1 1例, A_2例, B1例, C4例, D2例とどのstageにおいても存在した. 病理組織別では, 高分化型群に癌死がみられず, またstageA, Bでは高分化・中分化型群に同様に癌死がなかった. ホルモン剤中断例では, 高分化型群で癌死は存在せず, 中分化型群でstageC, Dに癌死がみられた. 低分化型群は予後が悪く, とくに中断後は短期間内に癌死した. 高分化型群では癌死がいないと, stageA, Bでは高分化・中分化型群で癌死はなく, またホルモン剤中断後も癌死がないことより, 除睾術施行後の高分化型腺癌でstageA, Bの症例では, ある一定期間の継続的内分泌療法を施行後に, ホルモン剤の中断・中止の可能性が推察され, 一定の条件下でホルモン剤の中止ができるのではないかということを提唱した.
著者
石橋 孝昭 金田 圭市 古屋 武志 五反田 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.146, pp.7-12, 2003-06-19
参考文献数
12
被引用文献数
2

本論文では,周波数領域ICAの成分置換問題について分割スペクトルのパワーと位相に基づく解決法を提案する.具体的には,2音源2マイクの場合を考え,音源の一つは第1マイク側に,もう一つは第2マイク側にあるという仮定の下で,分割スペクトルのパワー差と位相差を用いた成分置換の判定則を導出する.そして,この判定則に基づいて成分置換を修正する方法を提案する.この修正則は,通常のように音源が話者音声と雑音の組み合わせのときだけでなく,雨音源とも話者音声のときでも成分置換を高精度で解決し,しかも音源を順序通り正しく推定する特徴を持っている.そのため,目的音声のみを簡単に抽出することができる.提案法の有効性は実環境下での分離抽出実験によって確認した.この実験から,同時に,マイク間隔が広い場合にはパワーに基づく成分置換の解決法が有効であり,マイク間隔が狭い場合には位相に基づく成分置換の解決法が有効であることが分かった.
著者
石橋 寛二
出版者
岩手医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

口腔インプラント治療は、急速に適応が高まってきており、長寿社会へ貢献しつつある。近年、インプラント治療は中高齢者のQOLの向上とともにアンチエイジングにも貢献している。このようにインプラント適用患者が急速に高まっている現在においては、インプラント周囲に悪性腫瘍が発生して放射線療法が適用される場合が予測される。しかし、インプラント治療後の口腔領域に悪性腫瘍が生じ、腫瘍切除術に際して放射線療法が適用された場合におけるインプラント/骨界面に関する報告はなされていない。本研究では、インプラント埋入後に放射線療法が行われた場合における骨組織反応を明らかにすることを目的として、インプラント周囲骨組織の創傷治癒過程を想定した培養モデルを作成して解析した。平成21、22年度において、純チタン、表面処理チタン上で培養した骨芽細胞へ放射線照射を行い、細胞付着率、骨芽細胞分化マーカーを指標とした遺伝子発現について分析した結果、40,400mGy放射線量に比較して4000mGy放射線照射された骨芽細胞は、純チタン上と表面処理チタン上では共に細胞増殖速度の低下と細胞外基質生成、初期石灰化形成における細胞分化パターンの著しい低下を認めた。一方、40,400mGy放射線照射された骨芽細胞の分化は影響を受けず、純チタン上に比較して表面処理チタン上での骨芽細胞の分化は促進されることが認められた。本研究は、in vitro環境での一定条件下で骨芽細胞へ放射線照射を施したものではある。しかし、骨組織へ表面処理を施し骨伝導能を備えた純チタンインプラントを埋入後に放射線治療を余儀なくされた場合においては、表面処理を施さない純チタンインプラントに比較して骨のリモデリング時における骨基質生成と石灰化能の低下をある程度防ぎ、オッセオインテグレーションを恒常的に維持していくことができる可能性が細胞レベルで明かとなった。
著者
石橋 功 真鍋 和明 萩原 捷夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.75-81, 1965-12-31

White Leghorn種雌にNew Hampshire種雄を配して得た種卵を,室温に1-8日間保存して,孵化率に及ぼす保存の影響を検討した.実験期間I (4月19-26日に産卵したもの),II (5月10-17日),III (5月31-6月7日),IV (6月21-28日),V (7月12-19日),VI (8月2-9日),VII (8月23-30日),VI (9月13-20日)の計8回,6274卵についての結果は次の通りであつた.1.産卵率は平均67.33% (60.91-74%),産卵数に対する種卵合格率は平均82.35%(79.09-87.01)であつた.2.実験期間I-VIIIにおける,種卵の受精率は92.63, 90.26, 87.38, 86.90, 85.81, 86.71, 83.75, 75.99%であり,受精卵に対する孵化率は92.16, 91.65, 89.30, 88.90, 82.85, 83.31, 80.24, 84.65%で,これらの平均は87.36%であつた.3.室温に1-8日間保存した場合の孵化率は,受精卵に対し92.43, 89.42, 89.85, 88.49, 87.16, 86.43, 85.94, 79.14%で,僅かながら漸次低下する傾向がみられた.また,入卵後22日で孵化した雛は,保存1日の2.07%から保存8日の5.80%へ増大し,保存日数が長くなるにつれて孵化日数も遅延する傾向が認められた.4.さらに保存日数と孵化率の関係を,実験期間別にみると,I-IVにおいては,7-8日保存を行なつても殆んど孵化率の低下はみられないが,V-VIIIにおいては,5日間以上の保存の場合に,急激な孵化率の低下がみられる.その原因は,概略27℃以上の高温の持続によつて,胚が不完全な発生を開始するためであろうと推察されるが,正確なことはさらに検討を要する.