著者
古川 曜子 田路 千尋 中村 芳子 福井 充 伊達 ちぐさ
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.59-65, 2005
被引用文献数
2

IT技術を活用した食事調査法が,新しい食事調査法として疫学研究に利用可能かどうかその妥当性と実用性を検討した.妥当性については,本学教員及び学生(女性25名,24.9±7.6歳)を対象として2003年4月下旬から8月下旬に実施した.不連続の2日間を調査日とし,ゴールドスタンダードとして秤量食事記録法(DR)を採用し,デジタルカメラ付携帯情報端末機器法(DC)と同時に実施した.DR法によって全ての飲食物を原則として生状態で秤量し記録した後,飲食物を調理後盛り付けた状態でDCによって撮影し,画像を送信した.両方法の平均値を比較した結果,炭水化物と食物繊維に有意差が認められたが,相関係数は,ナトリウム以外はすべての栄養素等で有意な正相関が示された.DR法は対象者の負担が非常に大きいが,摂取食品を計量する必要がないDC法は,ナトリウム以外は妥当性の高いことが示された.実用性については,都市の男性勤務者(36名,43.2±7.5歳)を対象とした.2003年8月下旬から11月下旬にかけて,1週間のうちに平日を3日間,休日を1日間の合計4日間の食事について,DCを用いて栄養素等摂取量を評価した.対象者36名のうち,1度の調査で4日間の食事を漏れなく撮影できた者は4名しかなかった.残り32名に再調査を行い,最終的に4日間の食事を撮影できたものは22名であった.再調査を行わなければならなくなった原因は,撮影漏れ,撮影ミス,残食撮影漏れ,食品摂取量を推定するための目安である専用ペンを置忘れた状態での撮影,端末不良であった.画像を送信出来なかった原因としては,DC機器の携帯を忘れた,PHSの電波が入らなかった,面倒だった,時間がなかった,人目が気になった,などが挙げられた.DC使用後に実施した質問票では,日常生活上の問題点として,付き合いがしにくい,外食しにくい,旅行しにくい,が挙げられた.本研究の結果より,食事調査法として簡便な方法であると思われたDCが,対象者にとって負担が大きかったと考えられる.個人レベルで平均的な1日の栄養素等摂取量を求めたい場合,DCの複数日の調査は困難であると考えられる.集団の平均値の把握や集団レベルでの比較に利用できる可能性が高いことが示された.
著者
福井 昌夫
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.87-92, 2006-10-14
参考文献数
14

性的成熟したハイイロゴキブリ雄が,性的成熟しているが雄を受け入れる状態にない雌に求愛発音を示すことがHartmanとRoth(1967)によって報告された.著者は上の報告,すなわち,雄が雌に求愛行動を示した後,上翅前縁部を前胸背板と摺り合わせて摩擦音を出すことを,確認した.性成熟した雄は,十分に成熟していない成虫雄と雌雄の終齢若虫に求愛後求愛発音を示した.これらの求愛発音の対象になったステージの個体に対して雄が示した求愛発音を録音し,その周波数分析を行った.音の特性は凡よそ60dBの強さを持った約15kHzの周波数を示し,HartmanとRothのデータに一致した.従って,性成熟した雄は十分に成熟していない成虫と終齢若虫の雌雄を,実際には配偶相手と誤認しているのだが,成熟した雌と認識しているように思われた.しかしながら,成熟した成虫の雌雄と終齢若虫の識別が出来ることが議論されている.
著者
福井 勝則 大久保 誠介 寺嶋 卓文
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.117, no.9, pp.703-710, 2001 (Released:2006-01-08)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

A number of studies on electromagnetic wave emission from fractured rocks have been heretofore carried out. By many authors it was pointed out that rock fracturing or acoustic emission could be concerned with electromagnetic wave emission. However, the origin of electromagnetic wave emission is still not well understood.In this study electromagnetic wave from rocks was measured with a radio interference measuring apparatus during uniaxial compression testing under several kinds of loading conditions.Firstly, the uniaxial compression testing under constant strain rate of 10-4 s-1 was conducted for seven rocks. It was found that Inada granite, Honkomatsu andesite and Kuzuu dolomite emit electromagnetic wave. However electromagnetic wave cannot be detected for Sanjome andesite, Akiyoshi marble, Kimachi sandstone and mortar.Secondly, electromagnetic wave emission was investigated under several experimental conditions. It was found that Inada granite emits electromagnetic wave during uniaxial compression testing under a constant strain rate of 10-5 s-1 and under a constant rate of (stress-strain / Young's modulus).In most cases, electromagnetic wave emission was accompanied with sudden decrease of stress. By analysis on results of the uniaxial compression testing under constant strain rate, it was found that electromagnetic wave emission is closely related to cracking or crack extension.The main results in this study can be summarized as follows;1) Amplitude of electromagnetic wave is relatively large for strong rock.2) For Inada granite, the larger the stress drop occurred in uniaxial compression test is, the larger the amplitude of electromagnetic wave.
著者
山田 裕貴 金森 由博 福井 幸男 三谷 純
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.47-50, 2012
参考文献数
11

撮影時とは異なる照明下での照明効果を計算するリライティングは,これまで映像制作において用いられてきた.しかし,従来はリライティングに必要な物体の形状・反射率といった情報を得るために複雑なユーザ入力や特殊な撮影装置が必要であり利用できる場面が限られていた.そこで,本研究ではデプス情報を取得できる撮影装置の中でも比較的安価なKinectを使用したリライティングのシステムを提案する,Kinectで対象の物体を撮影することで物体の形状を計算し,さらに同じ場所で撮影した環境マップから計算される照明効果の情報を使って物体の反射率を推定する.物体の形状と反射率の情報を用いて撮影時と異なる照明でリライティングを行い,さらに照明の方向や強さをユーザ入力によって調整し任意のリライティング結果を得ることができる.このシステムによって,高いコストのかかる撮影装置も,複雑なユーザ入力も必要としないリライティングが可能になる.
著者
福井 航 三浦 久典
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2017年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.171-172, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)

今後、ロボットと人間が協調作業を行うためにソフトアクチュエータ、特に高分子アクチュエータが期待されている。2014年にナイロンモノフィラメントをコイル状に加工し、ヒートガンなどで加熱することで収縮する現象が報告された。本研究では、ソフトアクチュエータの特性を失わない加熱方法として、ニクロム線の電気抵抗熱とガラススリーブを利用する方法を提案する。また、アクチュエータの基本的特性についても明らかにする。
著者
土光 智子 福井 弘道 大澤 啓志 一ノ瀬 友博
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2009 (Released:2011-02-15)

害獣でありアンブレラ種でもあるツキノワグマは,有効な生息地管理が期待されており,本種の生息地推定には意義があると思われる。本研究では,環境指標によるツキノワグマ生息確率予測モデルを開発した。ロジスティック回帰モデルは,log(p/(1-p))=(-1.486e+01)+(7.335e-04)*x1+(9.470e-03)*x2であった。ここでx1 は徒歩道・庭園路等への距離(m),x2 は標高(m),p は本種の生息確率を示している。本モデルは,生息地管理に応用が可能であり,今後は他の地域個体群生息確率予測への適用可能性の検証が望まれる。
著者
寒河江 喜紀 福井 了三 吉岡 克己 近藤 克幸 松本 喜良 鈴木 敏夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.159-166, 2001-04-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
5

The ordering system for injections in the total medical informational system in the Akita University Hospital was established after modifying the old system in 1999. The Auto Ample dispense (AAD) system was combined with this ordering system by TCP/IP protocol and was also introduced in our department. The stable use of this total system has been underway for the dispensation of injections since November 1999. The usefulness and efficacy of this system was evaluated in our department based on the findings of working charts, time courses, and appropriate prescriptions of the injections.The smooth and stable dispensation of all injections using this AAD system was carried out not only for regular orders, but also for temporary orders. All nurses gave this system a favorable evaluation. The statistical data indicated that more prescription sheets were issued with this system than with the previous system, and it required much time for the packaging of injections in this system compared with the manual way. However, the efficient transport of the drugs was maintained in all wards using this system. A minor revision in this system was introduced in order to promote the appropriate dosage for every injection. The incidence of injection mistakes was thus reduced to less than 10 per month.
著者
福井 典代
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

【目的】<br>東日本大震災による原子力発電所の事故の影響から,昨年度の夏期には厳しい節電要請があった。企業とともに各家庭での協力が不可欠であり、節電に関する個人の意識を高めるきっかけとなった。学校現場においても環境問題の観点から、節電の必要性が高まっている。そこで本研究では、環境教育を取り入れることが可能な小学校家庭科において、節電に対する意識を高め、実践する能力の育成をめざした教材の開発を行った。<br>【方法】<br>1.大学生が考える環境問題について実態調査を行い(2012年12月)、類似した内容に分類して環境問題の大枠を捉えた。<br>2.小学校学習指導要領解説および小学校家庭科の教科書で取り扱われている環境教育に関する記述内容を分析した。<br>3.「環境教育指導資料(小学校編)」(国立教育政策研究所教育課程研究センター)の中から実践事例を教科別に調査して、小学校における環境教育の取り組みを把握した。<br>4.節電に関する教材を作成するために、一般家庭で用いられる電気製品の待機電力量(電子レンジ、パソコン、エアコン、テレビ、炊飯器)と消費電力量(冷蔵庫、エアコン、電気ポット、電気ケトル)を測定した。用いた測定器は、ワットメーター(SANWA SUPPLY TAP-TST9)である。<br>5.4で得られた測定結果を活用して、節電に関する小学校家庭科の授業案を作成した。 <br>【結果および考察】<br>1.大学生を対象として、環境問題として考えられることについて質問調査を行った。その結果、環境問題は「地球温暖化」、「ごみ問題」、「エネルギー問題」、「大気汚染」、「森林破壊」、「海洋汚染」、「生態系の攪乱」の7つに分類された。「エネルギー問題」では、「電力不足」、「原子力問題」、「自然エネルギー」、「資源の枯渇問題」の4つにまとめられた。<br>2.小学校では、家庭科、生活科、社会科、理科、道徳、総合的な学習の時間において環境教育に関する内容が取り上げられていた。家庭科では「D身近な消費生活と環境」を軸として、A~Dのすべての項目において環境教育が関連づけられていた。小学校家庭科教科書の比較では、K社の教科書が環境教育に関して充実した内容を記述していた。<br>3.「環境教育指導資料(小学校編)」の実践事例では、すべての学年において取り組まれており,調べ学習を行ったものが多い。家庭科では「ごみ」や「生活排水」を題材とした実践事例が多く,「節電」を題材とした実践事例は少なかった。<br>4.一般家庭で用いられる電気製品の待機電力量を測定した結果、テレビ、パソコン、電子レンジの待機電力量が、炊飯器、エアコンの待機電力量より7~9倍多い結果となった。電気製品の消費電力量では、冷蔵庫の強弱設定を強くすると消費電力量も増加し,冬場よりも夏場の方が消費電力量は多い。エアコンでは、暖房の設定温度を高くすると消費電力量も多くなった。電気ポットでは,水量1.0リットルの場合、電気ケトルで11回沸騰させる消費電力量と電気ポットを24時間保温しておく消費電力量がほぼ同じであった。<br>5.本研究で提案する小学校家庭科の授業案は、「C(2)快適な住まい方」と「D(2)環境に配慮した生活の工夫」との関連を図り題材を設定した。<br>本研究にご協力いただきました平成24年度卒業生の矢野由姫さんに感謝いたします。
著者
福井 康貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.309-324, 2014

本研究の目的は,自己に対する希望,社会に対する希望,それぞれの規定要因の関係を,日本に居住する中高年者を対象として明らかにすることである.先行研究では,自己に対する希望の規定要因は検討されてきたが,それが社会に対する希望の形成につながるメカニズムは明らかになっていなかった.そこで,2010年に実施された「中高年の生活実態に関する全国調査」のデータを用いて,自己に対する希望と社会に対する希望の関連を,階層や社会関係などの要因に着目して検討した.分析の結果,(1) 自己に対する希望が階層や社会関係などの直接的な影響を受けていること,(2) これらの要因は自己に対する希望を通じて社会に対する希望に間接的な影響を与えていること,(3) 自己に対する希望と社会に対する希望の間には,他の変数を統制したうえでも,相互に高め合う関係があることが示された.以上の結果から,自己に対する希望を規定する社会的な次元の不平等を取り除くことにより,自己および社会に対する希望の格差を解消するという道筋が示唆された.
著者
池原 森男 林 元吉 福井 寿一
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.2702-2707, 1977-10-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
10 9

8-Methyladenosine (X) was synthesized by two ways starting from 2', 3'-O-isopropylidene-2-methylthioinosine (I). The compound (I) was methylated with t-butyl hydroperoxide in acidic media in the presence of ferrous ion to give 8-methyl compound (II) in a yield of 46%. Raney nickel dethiolation of II and acetylation at 5'-OH followed by chlorination using SOCl2/DMF gave 6-chloro-8-methylpurine derivative (V). The compound (V) was treated with liq. NH3 and deprotected with trifluoroacetic acid to give 8-methyladenosine (X). Alternatively II was acetylated at 5'-OH, chlorinated with Vilsmeyer-Haack reagent and treated with liq. NH3 to give 2', 3'-O-isopropylidene-2-methylthio-8-methyladenosine (IX). The compound (IX) was deacetonized and dethiolated with Raney nickel to give X. The physical properties of X was elucidated by ultraviolet, circular dichroism and nuclear magnetic resonance spectra. A syn type conformation was assigned to 8-methyladenosine.
著者
福井 典代 武本 歩未 大塚 美智子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.59, 2018

<b>目的 </b>服装評価についてはSD尺度やリッカート尺度を用いて一般的に測定されているが,官能量と布の物性値との関係を明らかにした研究は見られない。本研究では,一対比較法を用いて上衣のゆるみの見え方を測定して,布の力学特性との比較を行い,それらの関係性を明らかにすることを目的とした。<br><b>方法 </b>(1)ジョーゼット,デシン,トロピカル2種類,タフタの計5種類のポリエステル平織白布を使用した。ドレープ法による剛軟度の測定を行うとともに,KESを用いて引張り剛性,せん断剛性を測定した。(2)実験衣はハイウエスト切り替えのギャザーチュニックとし,5種類の布を用いて同一デザイン・サイズのチュニックを製作して人台に着用させた。衣服の大きさ,美しさ,好みの評価について,5段階尺度により女子大生20名を対象として調査した。分析はシェッフェの一対比較法中屋変法を用いて算出した。(3)剛軟度に着目し,衣服の見え方と布の剛軟度との関係性を求めた。<br><b>結果</b> (1)衣服の大きさについて一対比較により分析した結果,タフタ,トロピカル,デシン,ジョーゼットの順に小さく見えた。美しさと好みは大きさと反対の結果になった。(2)衣服の大きさに関する官能評価と布の剛軟度との間に正の相関関係が得られた。美しさと好みに関しては,負の相関関係となった。以上の結果から,ギャザーのある本実験衣では布が柔らかいほど体型が小さく,美しく見えるということが実証された。
著者
福井 真理子 阪口 紗季 松下 光範
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2016-EC-39, no.1, pp.1-8, 2016-03-09

本研究では,実物体に映像を足し合わせることによって,秘匿された情報を視覚化する手法を提案する.提案手法では,錯覚を応用したエンタテインメントであるスキャニメーションの技法をプロジェクションマッピングに応用する.それによって,実物体の外観に付与されたパタンに対し,プロジェクタからの投影映像のパタンを重畳することによって,情報を視覚化することを可能とする.これにより,それぞれ単体では意味をなさない物体の外観と投影映像が重なり合ったときにのみ,意味のある情報として視覚化できるといったインタラクションが実現できる.
著者
三木 かなめ 福井 誠 伊藤 博夫
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

平成29年度は、天然植物キャッツクロー抽出物による歯周病原関連細菌に対する抗菌作用およびヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の培養系における抗酸化作用・抗炎症作用について、本格的に評価することを目的として行ってきた。またキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価についても行ってきた。それらの結果について、抗菌作用の評価は、BHI broth培養系に、キャッツクロー抽出物を連続2倍段階希釈法で投与し歯周病原菌を24時間培養した後、菌の生育度への影響を調べた。生育度を濁度として吸光度計で測定したところ、P.g. とP.i. に対して、生育抑制が確認され、抗菌性が示された。HGFにおける抗酸化作用の評価は、キャッツクロー抽出物が過酸化水素の添加による酸化ストレスを抑制するかどうかを調べた。細胞内で酸化をうけて蛍光発色するプローブを用いて、共焦点レーザー顕微鏡にて検出を行ったところ、キャッツクロー抽出物の添加によって、蛍光発色が抑制されてくることがわかり、HGFでのキャッツクローの抗酸化作用が示唆された。次年度では、再現性を確認してゆく。また抗炎症作用の評価は、P.g.LPS刺激による炎症性サイトカインの発現増強を抑制するかどうかを調べるために、条件の検討を行っており、次年度引き続き行ってゆく。マクロファージ培養系を用いたキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価は、その前に、酸化ストレスで産生した酸化型LDLによるマクロファージの泡沫化促進モデルを構築することができた。次年度は、平成29年度で構築したマクロファージ培養系を用いて、キャッツクローによる泡沫化抑制効果を調べてゆく予定である。本年度までの検討から、キャッツクロー抽出物の歯周病予防および治癒への利用にむけての有用な基礎研究の結果が認められはじめてきている。