著者
熊原 康博 谷口 薫 内山 庄一郎 中田 高 井上 公 杉田 暁 井筒 潤 後藤 秀昭 福井 弘道 鈴木 比奈子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

はじめに 近年のラジコン技術の進歩によって,非軍事用のUAV(Unmanned Aerial Vehicle)の小型化と低価格化が進み,機材を自ら操作して低空空撮を行うことが可能となりつつある.日本でも,これらの機材を災害発生後の被害把握に活用する動きはあった(井上ほか,2012など)が,従来,専門業者にデータ取得を依頼することが多く,誰でも,どこでも,いつでも容易に利用できる状況ではなかった.最近,安価なホビー用ヘリコプターの高性能化が進み,これを利用して斜めあるいは垂直画像の低空空撮を容易に行うことが可能となった.本発表では根尾谷断層水鳥地震断層崖周辺で,ホビー用GPSマルチロータ-ヘリ(DJI社製Phantom)を用いた低空空撮の結果を紹介する. さらに,得られた空撮写真からSfm(Structure from Motion)ソフトを用いることで, DSM(Digital Surface Model)を作成する事も容易になった.SfMとは,コンピュータビジョンの分野ではメジャーな要素技術であり,リアルな立体CG作成などの映像産業やロボットや自動車制御における三次元的な自己位置認識などで用いられている.自然科学の分野では大量の写真画像から地形などの三次元モデルやオルソ画像を生成する用途で使われ始めている.今回は,断層変位地形の三次元モデルの再現を企図してSfMソフトウェアの一つであるAgiSoft社のPhotoScanを使用した.   調査対象範囲 濃尾地震(1891)は歴史時代に発生した我が国最大の内陸地震(M 8.0)で,本巣市根尾水鳥では縦ずれ最大6m,横ずれ2mの断層変位によって明瞭な地震断層崖が出現し,国指定の天然記念物に指定されている.このため,地震発生後120年以上経過するが,断層変位地形の保存状態がよい.空撮実験はこの断層崖を中心に南北約400m,東西約150mの範囲で行った.    UAVによる写真画像の取得 Phantomは電動4ローターを持つラジコン機で,長さと幅約50㎝,重量約700g,ペイロードは最大約400gであり,最長7分程度の飛行が可能である.GPSとジャイロによって,初心者でも安定した飛行が可能である.使用した機材は.機体とインターバル撮影が可能なデジタルカメラを含め10万円以下である. 地表画像は,Phantomにデジタルカメラ(Ricoh GRⅢ:重量約200g)を機体下部に下向きに取り付け,高度約50-100mから5秒間隔で撮影した.低空でからの空撮であるために地上の物体を鮮明にとらえており,地震断層崖の地形も詳細に把握することができる.機体が傾いても,カメラの向きを常に一定に保つジンバルを用いれば,立体視可能なステレオ画像を容易に得ることが可能となる.   Sfmソフトを用いたDSMの作成 撮影した約80枚の画像を,PhotoScanに取り込み,ワークフローにしたがって処理を行った.今回は,特に飛行ルートを設定して撮影をしたものではなく,カメラポジションはバラバラである.それでも,高解像度の3D画像が生成され,任意の角度や縮尺で断層変位地形を観察することができる.ソフトへの画像の取り込みから3D画像の完成までに要する時間は1時間弱である.正確な画像を作成するためには,カメラのレンズ特性や,地理院地図などから緯度・経度・標高を読み取り,地表のコントロールポイントを設定する必要がある.  PhotoScanを活用すれば,GeoTIFF形式の書き出しもでき,他のソフトでも読み込むことが可能となる.本研究では, GeoTIFF形式で出力したDSMをGlobal Mapperで処理し作成した水鳥断層崖周辺の1 mコンターの3 D等高線図や断面測量を行った.   おわりに 今回紹介した小型UAVとSfmソフトを利用した手法は,今後,活断層研究をはじめとする各種の地形研究や災害後の調査など多くの研究に活用が期待される.特に数100 m x 数100 m程度の比較的狭い範囲の地形を詳細に把握するには,多いに利用できると考えられる.この手法を用いれば,活断層や地震断層沿いの変位量を効率的に行うことが可能となり,地震の予測精度の向上に重要な震源断層面上のアスペリティー位置の推定などに貢献できる.
著者
島 義弘 福井 義一 金政 祐司 武儀山 珠実
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.28-36, 2013-10-25 (Released:2014-02-21)
参考文献数
34

This article was retracted.
著者
福井,順平
出版者
造船協會
雑誌
造船協會會報
巻号頁・発行日
no.38, 1926-06-10
著者
福井 勝則 大久保 誠介 本間 直樹
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.303-308, 1996
被引用文献数
7

A method to estimate rock strength with TBM cutting force is proposed. It is assumed that thrust force for a disc cutter increases linearly with product of rock strength and cutting depth. This assumption leads to the following equations:<BR>(Rock strength)&prop;(Resultant thrust force)/(Penetration rate)<BR>(Rock strength)&prop;(Resultant torque)/(Penetration rate) <SUP>1.5</SUP><BR>By the method, rock strength along Niken-goya tunnel was estimated. The tunnel mainly consists of sandstone and slate. Estimated rock strength well agreed with the results of geological investigation; extremely small strength in fragmented slate, on the other hand, very large while boring through massive sandstone. The estimated rock strength was compared with the results of Schmidt hammer test, and it was found that the correlation between the two was excellent. Correlation between estimated rock strength and rock classification was also examined. It was found that the correlation existed, however, the classification used was too rough to evaluate the proposed method precisely.<BR>The proposed method is relatively simple and requires only three values: thrust force, torque and penetration rate. It can be said that the proposed method is promising for real-time estimation of rock strength on the face.
著者
玉井 ひろみ 豊永 友紀 長澤 佳恵 堀 浩子 津村 晶子 佐々木 奈穂 福井 智恵子 岩下 憲四郎 弓削 堅志 岡見 豊一 山岸 和矢
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.121-125, 2001-07-15 (Released:2009-10-29)
参考文献数
8

遠方視力検査は5mとされているが、1.1mの距離で検査を行えるスペースセイビングチャート®(SSC-330 Type II、ニデック社、以下SSC)の有用性を検討したので報告する。症例は小児22例、成人105例。小児は5~8歳、9~12歳の症例に分けて検討した。成人は屈折異常のみ、偽水晶体眼、白内障の症例の測定を行った。さらに白内障では、核白内障、皮質白内障、後嚢下白内障に分けて、それぞれ裸眼視力、矯正視力、等価球面値の差について比較検討した。その結果、各症例ともSSCと5m視力表における裸眼視力、矯正視力はよく一致しており、等価球面値の差も0.1D以下で調節介入は見られなかった。使用して感じた利点は1.省スペースとして有用、2.他人に視標が見えないためプライバシーの保護ができる点であった。一方、欠点は1.視標の数が0.1以下で少なく低視力者に使いにくい、2.正面でしか視標が見えないので視野が狭いと視標が見つけにくいのではないか、という点であった。
著者
吉田 みつ子 遠藤 公久 守田 美奈子 朝倉 隆司 奥原 秀盛 福井 里美 竹中 文良
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.133-140, 2004-02-01

本研究は,がん患者のサポートグループの効果について,疾患部位や満期を混在した男性/疾患混合群(男性群),女性/疾患混合群(女性群),男女混合/疾患混合群(男女群)の3群を比較検討した.プログラムは,ミニレクチャー,グループ,自律訓練法で,週1回14O分の5回連続ヤッションとした.28名を分析対象とし,抑うつ症状(OES-D),前向き姿勢,がんへの心理的適応感(MAO),グループの雰囲気・参加度等を分析したところ,男性群は統計的に有意な変化はなかつたが,女性群,男女群はグループヘの参加によつて絶望感づ減少し,がんへの適応感づ増加した.以上より,心ずしも同一疾患のグループ編成でなくてもグループの効果が認められることが示唆された.
著者
福井 のり子 力石 真 藤原 章正
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.209-219, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1

多くの農村地域のコミュニティでは,持続可能なコミュニティに向けた取り組みへの一歩が踏み出せない地域住民とそれを後押ししようとする行政の在り方の模索が続いている.本研究では,地域の活性化に向けた初動期において,地域や個人がどのような課題に直面し,またそれをどのように乗り越えていったか,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)と複線経路・倒至性アプローチ(TEA)を活用して,その成長プロセスを記述した.具体的には,住民と行政が協働して住民ボランティアによる自治会輸送活動を行うプロジェクトを立ち上げ,2ヵ年に渡り交通の視点から地域活性化に取り組んだ事例を取り上げ,複数回にわたる住民代表者と行政職員との討議録をもとに分析を行った.GTAの分析では,2回の社会実験を通じて,1)行政からの提案,2)組織の課題の浮上,3)将来に向けた地域ビジョンの作成のように,循環型の成長プロセスが存在することが確認できた.さらにTEAの分析では,同様の成長プロセスの過程においても,個人によって異なる社会的ガイドや方向付けが存在することが確認された.
著者
徳岡 研三 福井 義弘 山口 義信
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1998, no.604, pp.59-72, 1998

レールの継ぎ目部に設定されている遊間は, レール温度上昇時に発生する軌道座屈, 及びレール温度下降時に発生する継ぎ目板ボルトの曲がり・折損を防止するために設けられている. 従って, その管理は列車運転の安全を確保する上で極めて重要である. 本研究においては, 従来の遊間管理手法を改善し, これを実務に適用した成果について述べるとともに, 改善された手法から算出される危険度について, コンピュータ・シミュレーションから得られた結果と対比させ, その有効性について論証した. その結果, 改善された手法による危険度は, 危険度が大きい, 即ち軌道座屈の安全性の観点では危険領域にある部分で, 十分な信頼性のあることが定量的に確認できた. このことは, 改善された手法の導入以来, 軌道座屈による鉄道事故がほとんど発生していないことを理論的に証明するものである.
著者
福井 翔 上野 博史 柄本 浩一 浜洲 拓 平山 和子 谷山 弘行 泉澤 康晴
出版者
日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.889-892, 2011-11-20
参考文献数
9

12歳齢,避妊雌,ゴールデンレトリーバーが頻回の全身性けいれん発作を主訴に来院した.頭部MRI検査により右側嗅葉部に腫瘤を認めた.経前頭洞開頭術により腫瘤を摘出し,病理組織検査に供したところ,組織球肉腫と診断された.ロムスチンを用いた化学療法を実施し,第195病日における頭部MRI検査では腫瘤の再増殖は認められなかった.しかしながら,第278病日に呼吸不全により死亡した.肺や四肢原発の組織球肉腫同様,頭蓋内原発の組織球肉腫に対しても外科的摘出後に化学療法を行うことで生存期間が延長する可能性が示唆された.
著者
迫 洋介 吉村 英徳 三原 豊 石橋 賢樹 浜本 英利 福井 優
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.173-174, 2010

A fabrication method of a painless transdermal micro needle array is proposed to realize its inexpensive and mass production. In order to avoid a risk by breakage of the needle when the needle is penetrated into the epidermis, the array is made with biodegradable polymer, for example, PLA. The proposed method has the following processes, (1) a mold dies having many micro through-holes is heated over the melting point of PLA, (2) the heated mold comes into contact with surface of the PLA plate, (3) the melted PLA is poured into the through-holes, and (4) the formed PLA plate is cooled to less than the melting point and removed from the dies. It is difficult to fabricate the array device because of the ratio of needle height to the diameter is large. So, heating temperature, time of heating the plate, moving stroke of dies and demolding temperature were examined and then fabrication of high precision circular cylindrical shaped needle array became possible.
著者
小松 康宏 門田 美和子 福井 次矢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2353-2357, 2016-12-10 (Released:2017-12-10)
参考文献数
16

エビデンスに基づく標準的な医療を安全,効率的に提供するためには医学的アプローチに加え,産業界で発展した品質管理学の手法を応用することが欠かせなくなってきた.Quality improvement(医療の質改善)と呼ばれる学際領域であり,日本の産業界で発展した各種の手法が用いられている.本稿では,質改善の考え方と主な手法(PDCAサイクル,リーン生産方式,six sigma(シックスシグマ)など)について解説する.
著者
池原 森男 福井 寿一
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.948-959, 1979-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
82

Application of nucleic acid chemistry to drugs is discussed. The article contained 1) a survey of nucleobase and nucleoside analogs, which are used to anticancer and antiviral diseases ; 2) Application of oligo- and polynucleotides to medical purpose ; and 3) Use of gene recombinant technique for producing hormones etc.
著者
福井 昭吾
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.141-161, 2005-12-08

資産価格の変動を説明するモデルとして、ARCHモデルやSVモデルに代表される分散不均一モデルがある。近年では、より高次の積率に対して時間ごとの不均一性を説明するようなモデルの構築について考察が行われている。本稿では、資産価格変化率の分散に加えて、歪度についても時間ごとに確率的に変動し、資産価格変化率の条件付分布としてGram-Charlier展開を適用した「確率ボラティリティ-歪度モデル(SVSモデル)」を構築した。SVSモデルは、従来の(条件付)歪度変動モデルと比較して、各時点における歪度の推定が容易であり、より高次の積率を説明する場合についても直接的な拡張を行うことが可能である。また、SVSモデルを、ドル-円レートの変化率に対して適用し、MCMC法を用いて推定を行った。結果として、ドル-円レートは、各時点における分散および歪度ともに自己相関を持ち、時間ごとに変動していると考えられる。
著者
福井 正博 林 憲一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.210-217, 2013

GPU(Graphics Processing Unit)はコア数を増加させることで集積度を増し,電力密度を増やすことなく年率1.7倍の集積度増を続けており, 今後しばらくその勢いを緩めることはない.数百~数千個のコアを1チップに集積し,大規模な並列処理が可能となっている.GPUメーカーもソフト開発環境を提供するなど,普及に力を入れていることもあり,GPUの計算能力を一般科学技術計算に適用する試みが注目を浴びるようになってきた.大規模な問題を扱うLSI設計や検証に対しても,その可能性が広がっている.本稿ではGPUを用いたLSI設計の高速化の動向について,以下の二つの観点でまとめる.まず,画像専用プロセッサGPUがいかに生まれ,それが,どのような経緯で一般科学計算に用いられるようになったかという点を解説する.次に,複雑なLSI設計の各種問題に,GPUの計算能力がどのように適用され,どれだけのパフォーマンスの改善が期待できるか,あるいは,今後のアルゴリズム開発がどのように変わっていくかという点について述べる.
著者
浅井 篤 福井 次矢
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.103-108, 1997-09-08 (Released:2017-04-27)
参考文献数
7

臨床現場で患者の診療に当たっている医師は、日常的に多岐にわたる倫理的問題にしばしば直面している。この論文では、筆者らが実際に経験した2つの症例を提示し、13項目のジレンマ検討のための枠組みを用い、倫理的分析を試みた。この枠組みには、(1)何が問題となっているか、(2)誰が問題としているか、(3)どのような医学的状況か、(4)医療関係者の判断はどのようなものか、(5)患者の解釈モデル、希望は何か、(6)家族の希望はどのようなものか、(7)感情的、利害問題の有無、(8)関係者間のどこに不一致があるのか、(9)いかなるジレンマ解消の努力がなされたか、(10)どのような意思決定がなされ、その根拠はなにか、(11)関係者は納得しているか、(12)関係者は満足しているか、(13)下された判断の倫理的妥当性はどうか、が含まれている。また、どのような倫理原則に従った判断が妥当であるかも考察した。