著者
山本 高行 稲葉 歩 川口 淳一郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.35-44, 2003 (Released:2003-12-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本論文では,いわゆる空力上昇径路を飛行する機体の最適誘導則を新たに提案する.まずDCNLP法により最適解を示す.次に直接最適法であるSQP法により別の解を示す.後者の手法ではある直交関数で表現された操舵角を利用することにより,効率的にまた容易に実行することができる.本論文の主な結果は操舵則の解析的表現を示したことである.これは最適性の議論に関連するものである.これによ り従来の線形タンジェント則は揚力を発生しない機体のみに適用可能であることがはっきりと結論される.同時に最適誘導則は三角関数形式を従来の線形タンジェント則に加えることで得られることが結論づけられる.本論文で得られた結果はさらに数値的デモンストレーションによる誘導方策へと最適化プロセスを拡張している.線形化遷移運動が解析モデルによく一致しているため,本論文の結果 は実際的な正当性を示すことに成功している.機体パラメタがノミナル値から変化したり,パラメタ値に対する感度といった誘導計算例もまた示される.
著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 肥田 満裕 山本 英弘 北川 薫
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.94-100, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4
被引用文献数
4 6

本論文では,スポーツ動作分析の支援を目的とした人体センシング情報の可視化提示法とその応用例について述べる.スポーツにおける打撃動作や投球動作の分析では,動作中に得られた筋電位などの運動機能情報を,対応する動作フォーム映像と比較しながら行うことが多い.この作業を支援するため,本方法は,動作中の人物の各要所部位で計測した筋電位値とその変化を,その人物の人体骨格を表す3D モデル上の対応する部位に色の差異として表示し,それを動画アニメーションとして提示する.これにより,利用者は,動作フォームの変化に伴う各筋肉の負荷状態とその時間変化を,視覚的かつ直感的に理解することが可能となる.本方法を,実際にゴルフスゥィング動作とボーリング投球動作に適用し,とくに異なる人物の動作特徴の比較評価が効果的に行えることを示す.
著者
稲葉 陽二
出版者
経済社会学会
雑誌
経済社会学会年報 (ISSN:09183116)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.95-108, 2016 (Released:2021-04-01)

Economic inequality brings about corruption through deterioration of social capital. In a society with large income gap, people are fragmented into small groups. Although they enjoy high level of trust among their group members, they neglect others who are not the members of their group. Thus people lose generalized trust which is trust toward the general public and commit wrongdoings such as cheating on taxes, accepting bribes, avoiding a fare on public transport and claiming government benefits to which they are not entitled. Inequality deteriorates generalized trust. That in turn encourages people to commit wrong doings. Eric Uslaner named this process an inequality trap because it is often accompanied with corruption on the part of the government. This paper deals with the validity of Uslaner’s inequality trap hypotheses based on the mail survey data the author carried out in Japan. Although I cannot say that inequality trap exists in Japan, I found many evidences that connect the elements of social capital with tolerance toward corruption.
著者
稲葉 肇
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.253, pp.1-10, 2010 (Released:2021-08-02)

This paper reveals that Josiah Willard Gibbs (1839-1903) attempted to explain certain chemical properties of matter, such as osmotic pressure of "diaphragms" (semi-permeable membranes) and electromotive force of chemical cells, from his theory of statistical mechanics, i.e., Elementary Principles in Statistical Mechanics (1902; EPSM). To begin with, I examine his thermodynamical theory developed in "On the Equilibrium of Heterogeneous Substances" (1876/78; EHS). Later, I attempt to support the above claim by analyzing his theory of statistical mechanics. In EHS and his later discussions on thermodynamics, Gibbs used thermodynamics to derive various properties of matter in equilibrium. Among others, "the fundamental equations" of thermodynamics and different "conditions of equilibrium," for both of which temperature, pressure and chemical potentials were essential, played a pivotal role in explaining these properties. With these two means, Gibbs explained a wide range of physicochemical phenomena such as diaphragms and chemical cells. In EPSM, Gibbs argued that some properties of ensembles corresponding to those of thermodynamical systems can be derived. I focus, in particular, on the properties of grand canonical ensembles, because he used them to deduce a formula analogical to one of the fundamental equations of thermodynamics, and to construct an analog of a diaphragm with corresponding conditions of equilibrium. Further, he included problems of chemical cells in the scope of statistical mechanics. Therefore, Gibbs' theory of statistical mechanics can be considered as a theory that attempted to explain the physicochemical domain.
著者
稲葉 靖子 大坪 雅
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.426-434, 2021-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
35

アロイド(Aroid)はサトイモ科,サイカド(Cycad)はソテツのことであり,被子植物のサトイモ科と裸子植物のソテツは,発熱植物の中で2大勢力を誇っている.サトイモ科植物は,発熱能力の高い種を多く含み,古くから発熱植物研究の主役であった.一方,ソテツは,発熱と昆虫との関係性が深く,発熱の基本メカニズムを知るうえでも近年注目されている.一般的に,花の温度を外気温に対して0.5°C以上上昇させる能力をもつ植物のことを『発熱植物』と呼び,花の発熱には植物の生殖機構に絡む重要な役割がある.本稿では,この2つの植物グループに焦点を当て,発熱植物の「いろは」から,花の発熱原理・生理的意義に至るまでを概説する.
著者
稲葉 光行
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-22, 2010 (Released:2017-03-28)

本論文では、人々が自発性に基づいて連携し、お互いのリソースを提供し合い、協同しながら様々な社会問題の解決に取り組むネットワーキングの時代において、新しい文化創造の役割を担う人々の「活動システム」(activity system)のあり方について議論する。まず、活動システムのつながりと文化創造の関係について理解するために、「文化歴史活動理論」(Cultural-Historical Activity Theory:CHAT)の背景とその系譜について整理する。次に、文化歴史活動理論の枠組みを取り入れた協同的な学習実践のうち、米国での「第五次元プロジェクト」の一拠点として運営されているLa Clase Mágicaと、日本の事例である八幡子ども会議について紹介する。そして、それらの事例を、エンゲストロームが提唱する「拡張的学習」(expansive learning)の枠組みを用いて分析する。最後に、これらの2つの事例を手がかりとして、文化創造のための活動システムのつながりと、文化創造の担い手を育む学習共同体のあり方について議論する。
著者
山川 啓介 山本 崇史 桂 大詞 井上 実 畠山 望 三浦 隆治 岡島 淳之介 稲葉 賢二 石澤 由紀江 遊川 秀幸 伊東 博之 石元 孝佳 大下 浄治
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.886-891, 2022 (Released:2022-08-23)
参考文献数
11

革新的な多機能材料を効率的に開発するために、モデルベースリサーチ(MBR)の考え方に基づいて、これまでに多孔質材料の吸遮音機能と断熱機能を設計する微視構造設計モデル技術を開発した。今回、構成素材の防振機能を設計可能とするモデル技術を構築したので報告する。
著者
赤林 英夫 敷島 千鶴 島田 夏美 竹ノ下 弘久 加藤 承彦 井深 陽子 稲葉 昭英 野崎 華世 川本 哲也 中村 亮介 直井 道生 佐野 晋平 田村 輝之 栗野 盛光
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

新型コロナパンデミックは、子供の教育格差研究に対し、取り組むべき課題と研究手法との双方に、変革の必要性を迫っている。社会のオンライン化に伴い、家庭環境が子供に与える影響が強まることが懸念されている。また、教育格差拡大を防ぐために、世界各国で、新たな政策的対応の必要性が議論されている。そこで、本研究では、全国の子供を対象とし、オンラインにより、ポストコロナの新たな課題に対応した調査や実験による研究手法を考案する。それらを通じ、コロナ禍が子供の学力や日常生活に及ぼした影響を厳密に分析し、国際比較も行うことで、コロナ後の研究と政策のあり方を提示する。
著者
中堀 亮一 下稲葉 順一 吉田 晋 下稲葉 康之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.521-525, 2017 (Released:2017-05-30)
参考文献数
11

【緒言】リドカインは末梢神経に対し興奮抑制作用を示すことで鎮痛効果を発揮する.とくに神経障害性疼痛を主体とした難治性疼痛やモルヒネ不耐症に対する疼痛マネジメントにおいて有効である.【症例】51歳,女性.終末期の食道がんに起因する難治性疼痛が持続し,オピオイド増量による効果も乏しく,副作用の出現が目立っていた.疼痛に対しリドカイン持続静脈内投与を開始(150 mg/日)したところ,徐々に疼痛は軽減しオピオイドも減量することが可能となった.リドカインによる副作用はみられなかった.【結論】終末期の難治性疼痛およびモルヒネ不耐性を示す患者に対するリドカイン持続静脈内投与は,疼痛マネジメントとして有効であることが示唆された.
著者
原田 岳 坂口 孝宣 稲葉 圭介 中村 利夫 倉地 清隆 深澤 貴子 中村 光一 沢柳 智樹 原 竜平 井田 勝也 今野 弘之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.432-441, 2010-03-05
参考文献数
30
被引用文献数
1

症例は70歳男性.肝門部とドーム下に肝腫瘍を指摘され受診された.門脈腫瘍塞栓をともなうStage IVの肝細胞癌と診断し,近医経過観察の方針となった.その後は症状の増悪なく経過し,初診から28カ月後の画像診断で腫瘍は著明に縮小していた.退縮に関わる因子として,門脈腫瘍塞栓による腫瘍血流の減少と,イミダプリル,補中益気湯の抗腫瘍効果が考えられた.肝細胞癌の自然退縮症例はまれであり,文献的考察を含め報告する.<br>
著者
稲葉 利江子 高比良 美詠子 田口 真奈 辻 靖彦
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.241-253, 2022-05-20 (Released:2022-06-22)
参考文献数
16

2020年度新型コロナウィルス感染拡大防止のため,大学教員は否応なくオンライン授業に取り組むことになった.オンライン授業において授業効力感を得られた場合,多くの授業が対面授業に戻った後も,部分的にオンライン授業やICT ツールを継続的に利用していく可能性がある.そこで,本研究では,大学教員のオンライン授業における授業効力感に着目し,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT 利用量」の3要因からの効果を明らかにすることを目的とした.具体的には,2020年7月〜8月に大学教員向けに実施したアンケート調査を基に,オンライン授業における授業効力感が,「指導方略」,「学生の状況把握」,「学生の活動促進」の3因子からなることを明らかにした.その上で,「ソーシャルサポート」,「学生の受講態度」,「授業内のICT 利用量」の影響を検証するため,階層的重回帰分析を行った.その結果,講義,演習・実習,ゼミ・セミナーという授業形式に依らず,「学生の受講態度」が教員のオンライン授業における授業効力感の向上に全般的に影響を及ぼすことが明らかとなった.
著者
新井 武志 大渕 修一 小島 基永 松本 侑子 稲葉 康子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.781-788, 2006-11-25 (Released:2011-02-24)
参考文献数
29
被引用文献数
24 20

目的: 本研究は, 地域在住高齢者の介入前の身体機能レベルと運動介入による身体機能改善効果との関係を明らかにすることを目的とした. 方法: 対象は東京都内の7つの自治体の地域在住高齢者276名 (平均年齢75.3±6.5歳) であった. 個別評価に基づいて高負荷筋力増強トレーニングとバランストレーニング等を組み合わせた包括的な運動トレーニングを3ヵ月間行った. 運動介入の前後に最大歩行速度, Timed Up and Go, 開眼・閉眼片足立ち時間, ファンクショナルリーチ, 筋力, 長座位体前屈などの身体機能測定を行い, 各体力要素の改善効果と初期の身体機能レベルとの関係を検討した. 結果: 対象者の運動介入前の平均最大歩行速度は85.8±30.6m/分と虚弱な対象であったが, トレーニングの脱落率は8.0%と低値であった. トレーニング後, 閉眼片足立ちを除き, すべての身体機能において有意な改善を認めた (P<.01). 最大歩行速度の変化量以外, 身体機能の変化量・変化率は, 初期の身体機能レベルと負の相関を示した(|r|=.20~.59, P<.01). また, 重回帰分析の結果, 各身体機能の変化量を説明する変数として複数の身体機能要素が抽出された. 結論: 虚弱高齢者を含んだ対象への運動介入の結果, 身体機能レベルが低い者ほど, 身体機能改善効果が高いことが示された. 適切な対象を選択することがトレーニングの効果を高める重要な点であることが示唆される. トレーニングの対象をより明確にして介入を加える, いわゆるハイリスクアプローチが有効であると考えることができる.
著者
川崎 宏治 趙 漠居 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.285-291, 2015 (Released:2015-06-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

In our research, we focus on the information collection in multi-field by aerial vehicle. We develop hardware mechanism generating more efficient lift power to achieve the ability to tilt with continuous and infinite rotation and keep arbitrary tile angle while flying. In this work, we propose a new mechanism for aerial robot including four propellers separated to two mutually connected bi-copter modules. We call this new aerial robot Bi2Copter. With the proposed mechanism, we are able to realize take-off, landing and flight under vertical orientation of body, leading to the feasibility of image capture with full 360° spherical coverage as well as exploration and measurement parallel to the target surface of which curvature changes continuously. This paper presents the motivation to this new aerial robot, the design of proposed mechanism and flight control accompanied with experiment results.