著者
稲葉 隆
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.247, 2020-11-01 (Released:2021-11-28)
参考文献数
24

1つのピアノ曲の印象を多色配色として視覚化する際に生じる多様性と共通性について,色属性・配色構成・印象カテゴリーの点から検討した.実験1では,曲の印象を5色配色で表現する課題を実験参加者202名に対して実施し,実験2では,その曲の印象にふさわしい配色を30の配色サンプルの中から選択する課題を30名に対して実施した.実験1の結果,配色を構成する色の属性は明度の高い明清色調と明濁色調のトーンに偏り,配色は狭いトーン域の中で色相構成の違いにより多様化した.そして,作られた配色は「イメージスケール」上でソフトなイメージを中心にした12の印象カテゴリーに分類された.実験2の結果選択された配色の色属性と印象カテゴリーもほぼ同様であった.様々な音楽により喚起される印象は多様な色により表現されると予想されるが,本研究は1つの曲において,その印象が色属性(トーン,色相)と配色構成に反映され,多様化して視覚化される1例を示した.
著者
松波 卓 兎川 嘉隆 太田 裕明 岡部 俊一 児玉 信之 田嶋 紀一郎 大石 尭史 大石 暢彦 植木 美輪子 稲葉 繁 IPSGスタディーグループ
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.323-327, 2001-02-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
5

シリコーン印象材は寸法精度の安定性から臨床に用いる機会の多い材料である.この印象材のパテタイプとインジェクションタイプを使い, 積層印象 (コレクタ・アップドルック) を行った.本印象法では, スペーサーを使わずに一次印象を行い, 撤去後の印象面に対しグルーブカッターを用いて溝を付与した後, 二次印象を行う.その結果, 鮮明な印象が採得でき, 適合のよい補綴物を作製することができた.
著者
青山 祐樹 高橋 索真 稲葉 知己 泉川 孝一 中村 聡子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.145-152, 2019-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
30

70歳男性.黒色便・貧血精査の小腸カプセル内視鏡検査で回腸に輪状潰瘍を認め,原因としてnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)貼付剤が疑われた.貼付を中止し小腸粘膜保護剤を開始後,潰瘍治癒にともなう瘢痕狭窄によるイレウスを発症し外科切除を要した.特異的な病理所見は認めず,臨床的にNSAIDs起因性小腸潰瘍と診断した.貼付剤でも消化管粘膜傷害を生じうる.
著者
稲葉 大地 杉本 龍史 安武 祐貴 上村 吉生 芳澤 朋大 花澤 朋樹 吉原 秀明
出版者
一般社団法人 日本中毒学会
雑誌
中毒研究 (ISSN:09143777)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.319-324, 2022-12-10 (Released:2023-01-26)
参考文献数
11

コルヒチンはグロリオサなどの植物に含有され,痛風などの治療薬として使用されている。グロリオサはイヌサフラン科植物で観葉植物として市販されている。今回,グロリオサの球根を誤食し,中毒症状を生じた症例を経験した。症例は84歳の男性で嘔吐や下痢の症状を生じ,翌日に当院受診し急性腸炎の疑いで入院となった。入院翌日,意識障害と乳酸アシドーシスを認め,全身管理を行ったが入院3日目に死亡した。死亡後に,家族への追加聴取で消化器症状出現前にグロリオサの球根を誤食したことが判明し,尿および血液からコルヒチンが検出され,グロリオサ誤食によるコルヒチン中毒と診断した。コルヒチン中毒は,摂取量によっては急激に多臓器障害を生じ,致死的な経過をたどり得る。中毒症状は非特異的であり,またコルヒチン濃度測定には時間を要するため,診断には詳細な問診がきわめて重要である。
著者
稲葉 幸雄 吉田 智彦 杉山 信男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.431-434, 2007 (Released:2007-07-24)
参考文献数
16

代表的な促成栽培用品種である‘とちおとめ’,‘女峰’および‘とよのか’を用いて,主茎腋芽の発達に及ぼす定植後の温度と施肥量の影響を検討した.植物体は温度条件と施肥量を各2段階に変え,これらを組み合わせた4条件下で栽培した.頂花房直下の腋芽を第1節腋芽とし,第4節までの腋芽のタイプを定植後52日目に調べた.腋芽は休眠芽,一次側枝,ランナーに分類した.3品種とも第1節腋芽はすべて一次側枝に発達した.いずれの品種でも第3,4節の腋芽は低温下では休眠芽となるものが多かったが,高温下ではランナーとなるものが増加した.‘とちおとめ’,‘女峰’では施肥量が増えると休眠芽の割合が減少したが,‘とよのか’では施肥量の影響は小さかった.第2節では,休眠芽の割合は低く,高温下でランナーの割合が増加した.施肥量が増えると,‘とちおとめ’では一次側枝の割合が増加したが,他の2品種では一次側枝の割合はほとんど変化しなかった.以上の結果は,第2節の腋芽の発達を調節するため,品種によって温度や施肥条件を変える必要があることを示唆している.
著者
平田 逸俊 下稲葉 さやか 川田 伸一郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-118, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2

所在不明とされていたコウライムササビ(Petaurista leucogenys hintoni)とコウライキテン(Martes melampus coreensis)の標本が英国自然史博物館において見つかった.標本の特徴及び付属するラベルを記載論文と比較検討した結果,これらの標本は,記載論文の著者の一人である森 為三が教授をしていた京城第一高等学校に保存されていたコウライムササビの模式標本とコウライキテンの原記載に用いられた参考標本であることが分かった.
著者
千葉 百子 稲葉 裕 篠原 厚子 佐々木 敏 下田 妙子 金子 一成
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

カザフスタンとウズベキスタンに跨るアラル海は琵琶湖の100倍、世界第4位の画積だったが、現在は約1/4の面積となり、20世紀最大の環境破壊といわれる。その結果、強い砂嵐が北西から南東にかけて吹くなど、気候変動も起きている。アラル海東側には原因不明の健康障害を訴える住民が増加した。2000年からこの地域の疫学調査に着手した。罹患率の高い貧血、呼吸機能障害、腎機能障害に関してその原因究明を行ってきた。腎機能に関してカドミウムによる障害ではないかと考えた。生体、食事、環境試料を分析したがカドミウムが原因とは考え難い。これまでに世界各地で採取した多数の飲料水を分析してきたが、この地域の飲料水中にはかなりのウランが含まれているものが多かった。そこで本研究ではウランを中心に健康被害調査を行った。2004年9月にクジルオルダ州の2村で無作為抽出した218名の学童を対象に調査を行った。そのうち155名が2005年2月の調査にも応じてくれた。対象学童から飲料水、尿、血液の提供を受けた。飲料水中ウラン濃度の高いものは約40μg/L、低いものは検出限界以下であった。全例の飲料水中および尿中ウランの相関係数はr=0.263であった。尿中クレアチニン(CR)濃度がウラン濃度と平行して増加していた。尿中蛋白濃度はウラン濃度の増加に伴って上昇したが(r=0.272)、NAGおよびβ2ミクログロブリンはウラン濃度と無相関であった。尿中の元素でウランと相関があったものはヒ素(r=0.608)とチタン(r=0.650)であった。飲料水中で有意な相関があった元素はストロンチウム(r=0.800)、鉄(r-0.719)およびカルシウム(r=0.719)であった。飲料水中ウランと腎臓機能障害の指標(NAG、β2MGなど)と直接関係するか否か今後も検討を続ける予定である。
著者
稲葉 昭英
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.51-64, 1999-03-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
15

人が生涯にわたって経験するストレスには大きな性差が見られる。本研究は平成7年度国民生活基礎調査の集計結果を用いて女性に一貫してストレス経験率が高いことを示し、このパターンを説明するいくつかの仮説を検討する。最終的には、自分、家族、家族以外の他者、いずれに成立する出来事に対しても、女性の方がほぼ一貫してストレス経験が高いことが示される。これは女性が他者に対するケアのみではなく、自分に対するケアもより多く行うというケアの性別非対称的構造を想定することで説明が可能となる。最後に、女性によるケアの提供という視点から性別役割分業を捉える可能性が議論される。
著者
浅野 悠紀 溝口 弘悟 上月 豊隆 茂木 陽太郎 白井 拓磨 浦田 順一 中西 雄飛 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.887-894, 2014 (Released:2015-01-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Human knee joint has a yaw-axis rotational DOF and a locking mechanism called screw-home mechanism(SHM). We focus on this mechanism and implement it to a musculoskeletal humanoid through hardware design. In this paper, we first explained human knee characteristic of SHM and joint range of motion. Next, we explained hardware design and implementation method of the mechanism. As an evaluation of our developed knee joint, we checked the function of SHM from viewpoint of moment arm of the yaw rotational axis and the yaw angle displacement during squat motion. Lastly, as unique and integrated motions that involve the use of yaw DOF derived from SHM, we made several motion achievement including humanlike twisting squat, heel move motion and switch pedals, under a condition of contacting environment. This result demonstrates human mimetic rotational DOF of knee contributes motion achievement.
著者
塩崎 功 村上 晃生 谷口 博幸 川上 康博 今井 久 稲葉 秀雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.579, pp.163-176, 1997-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

川浦ダム・川浦鞍部ダム周辺地山の透水性を評価するために, 初期湛水時にダム周辺地下水の水質・同位体調査を行った. イオン濃度の調査結果から, 川浦ダム監査廊内ボーリング孔, 川浦鞍部ダム左岸ボーリング孔の一部で調整池水の到達が確認された. イオン濃度の時間変化から求められた監査廊内への調整池水の流下時間は7~20ケ月と長く, ダム基礎岩盤の透水性は基礎処理によって十分改良されていることが示された.トリチウム, 酸素-18, 重水素の同位体データを用いた多変量解析結果より, イオン濃度からは判定できない仮排水路トンネル湧水への調整池水の到達が示された. 本調査の結果, 調整池水の到達を知るための指標として, 現場測定可能な電気伝導度および硝酸イオンが有効であった.
著者
森川 友喜 井芹 健 稲葉 大朗 林 純一 柴田 孝則
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.627-635, 2019 (Released:2020-02-06)
参考文献数
20

維持血液透析(hemodialysis:HD)患者におけるエリスロポエチン治療に対する低反応性は生命予後不良との関連が報告されているが,HD導入期での検討は行われていない.今回,2011年4月から2016年3月の間に当院でHD導入となった322例を登録,除外基準に基づいて最終的に154例を対象とする後向きコホート研究を行った.1週間当たりの遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン量(rHuEPO)を体重(kg)とHb(g/dl)で割った値をエリスロポエチン抵抗性指数(erythropoietin resistance index:ERI)とし,ERIと各因子の相関,導入後の生命予後との関連について検討した.対象症例154例のうち,男性は112例,HD導入時年齢の中央値は68(61-76)歳,観察期間の中央値は1,204(846-1,839)日であった.ERIと各因子との相関を評価したところ,ERIはHD導入時年齢,性別(女性)と有意な正の相 関,血清鉄値,血清トランスフェリン飽和度(transferrin saturation:TSAT),body mass index(BMI),血清アルブミン値と有意な負の相関を認めた.ERIとの関連が報告されている因子についての重回帰分析では, 性別(女性)と有意な正の相関,TSAT,フェリチン,BMIが有意な負の相関を認めた.HD導入後の死亡は25例(感染症8例,心疾患2例,その他15例)であり,Cox比例ハザードモデルを用いて単変量解析を行ったところ,ERIは全死亡リスク(ハザード比1.07,95%CI 1.036-1.093,p <0.0001)と有意に関連した.多変量解析においても,ERI(ハザード比1.004,95%CI 1.006-1.072,p=0.019)は,HD導入時年齢,カテーテル導入,血清CRP値と共に全死亡リスクと有意に関連した.HD導入期のERI高値は生命予後不良と関連することが示唆された.
著者
藤巻 洋 中澤 明尋 竹内 剛 門脇 絢弘 草山 喜洋 井出 学 金井 研三 金 由梨 松原 譲二 稲葉 裕
出版者
日本関節病学会
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.14-21, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
12

目的 : 人工膝関節全置換術 (TKA) 前後の立位下肢アライメント左右差が脚長差に及ぼす影響を調査すること。方法 : 調査対象は初回片側TKAを施行した74例で手術時年齢は平均73歳。TKA術前および術後3週に両側の下肢全長立位2方向単純X線像を撮影し, 正面像で下肢機能軸 (大腿骨頭中心と足関節中心を結ぶ線) の長さ (MA長) および下肢機能軸の膝関節面通過点の膝関節中央からの偏移 (MAD) を, 側面像でknee flexion angle (KFA) を計測した。術前後での各計測値の左右差を調査し, さらに術前後それぞれでMADおよびKFA左右差がMA長左右差に及ぼす影響を単変量および多変量で解析した。結果 : 術前にMA長左右差と有意に関連したのは単回帰分析でMAD左右差 (R=−0.31, P=0.003) およびKFA左右差 (R=−0.51, P<0.001), 重回帰分析でもMAD左右差 (P<0.001) およびKFA左右差 (P<0.001) であった (修正R2=0.43)。術後にMA長左右差と有意に関連したのは単回帰分析でMAD左右差 (R=−0.39, P<0.001) およびKFA左右差 (R=−0.58, P<0.001) で, 重回帰分析でもMAD左右差 (P<0.001) およびKFA左右差 (P<0.001) であった (修正R2=0.50)。考察 : TKA前後で冠状面および矢状面の立位下肢アライメントが脚長差に影響しており, 片側TKA後には脚長差が生じる可能性を認識する必要がある。
著者
阿部 貴行 稲葉 由之 岩崎 学
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.79-94, 2007-02-28 (Released:2017-05-01)
参考文献数
22

多くの分野(例えば,標本調査,医学研究,工業実験等)において,研究者はっ様々な理由により不完全データに直面することが多い.したがって,研究者は,研究の計画段階から不完全データの対処法を検討する必要がある.このようなニーズに応える形で,近年,不完全データの統計解析ソフトウェアが増えている.本論文では,不完全データの統計解析を提供する6種類のソフトウェアの機能や特徴の比較検討を行い,使用目的に応じたソフトウェア選択に対する提案を行う.不完全データの統計解析手法として,主にEMアルゴリズム(Dempster et al., 1977)及びMultiple Imputation法(Rubin, 1987)に焦点を当てる.最後ら擬似乱数データを用いて各ソフトウェアの出力結果の比較検討を行い,統計手法間の結果の違いについても考察を行う.
著者
櫻井 真由美 大野 良晃 槇野 亮次郎 杉田 省三 井上 圭右 吉本 充 稲葉 雅章
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.457-463, 2017 (Released:2017-07-28)
参考文献数
8

透析患者においては歩行速度の低下が予後の悪化や入院のリスクとなることが報告されている. このため当院で患者の歩行速度を改善させるために透析前5分間のバランスマット上の運動を2か月間施行したところ, コントロール群12名は歩行速度に変化がなかったのに対し運動群13名は0.81±0.19m/sから1.05±0.20m/sと有意に改善した (p=0.043). 歩行速度と骨格筋指数 (SMI), 握力, 開眼片足立位時間, 5回立ち上がり所要時間とは単相関を示した. 重回帰分析では5回立ち上がり所要時間のみが歩行速度に対して有意な因子であった (p=0.002). 運動群では介入後2か月の歩行速度と片足立位時間, 5回立ち上がり時間はそれぞれ相関を示したが重回帰分析では5回立ち上がり時間のみが有意であった (p=0.003). バランスマット上の運動で歩行速度が改善し, 最も寄与した因子は下肢筋力の向上である可能性が示唆された.
著者
平生 尚之 稲葉 綾乃 井澤 信三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.147-158, 2018-09-30 (Released:2019-04-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では、自閉症スペクトラム障害特性(以下、ASD)を背景とするひきこもり状態にある人の家族を対象とし、ASDに特化したCRAFTプログラムによる介入を実施した。本プログラムは、個別セッションと集団セッションの併用型とし、対象者は本人相談につながりにくい9家族12名の親であった。本介入の結果、ひきこもり行動チェックリストの得点が改善され、本人10名中6名が相談につながり、別の1名はアルバイトを開始した。また、家族の心理的ストレス反応(SRS-18)の低減も認められた。本介入では、ひきこもり状態にある本人がASD特性のなかでも受け身型で、なおかつ対人不安の強いタイプに効果的であった。一方で、参加した親のなかでパートナーにもASD特性が疑われる場合は、精神健康度(GHQ-28)が介入後に低減したが、フォローアップ時には再上昇が認められた。
著者
齋藤 和幸 大井 和起 稲葉 彰 小林 正樹 池田 昭夫 和田 義明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.18-23, 2021 (Released:2021-01-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

症例は49歳男性.2005年に気管支喘息重積発作による心肺停止状態となった.覚醒後に動作時のミオクローヌスが出現し,Lance-Adams症候群(LAS)と診断された.発症11年後にペランパネルを開始しミオクローヌスは著明に減少し,3年以上持続してactivities of daily lifeが改善した.近年進行性ミオクローヌスてんかん症候群にペランパネルが有効な報告があり,本例のようにLASのミオクローヌスに対してもペランパネルによる治療の余地がある.