著者
鹿又 伸夫 与謝野 有紀 平田 暢 野宮 大志郎 織田 輝哉 稲葉 昭英 太郎丸 博 高瀬 武典
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1.異なる分野の調査データに適用するという研究目的については、歴史社会学、社会運動論、組織社会学、社会心理、社会行動などにかかわるデータの分析を行った。具体的には、農民暴動、ボランティア団体、社会的属性と意識、援助行動、携帯電話への不快感、出産意向などの分析をおこない、ブール代数アプローチが多様な分野およびテーマに応用可能であることを示した。2.調査方法の異なるデータへ適用するという研究目的については、事例データのみでなく、歴史的資料データ、既存データのメタ分析、クロス表データ、ヴィネット調査データ、手紙データなど多様な調査データへの応用方法を提示し、ブール代数アプローチを様々な調査データへ応用可能にした。3.理論の定式化および理論比較への適用という研究目的については、演繹的に理論モデルを構築する手法によって、役割概念を理論的に再定式化する成果が得られた。そこでは、役割の階統性・可視性による役割構造分析という、役割理論にたいする新たな分析を提示した。4.数理モデルとして拡張するという研究目的については、論理演算の明示化、確率モデルとの比較、真理表データの2値化基準の検討などを行い、数理モデルとして拡張していくための基礎的検討を行った。これらでは、データの多様性の欠如や、矛盾のある行などの方法論的問題にたいする対処策を提示した。以上のように本研究では、方法論的な基礎的検討(上記4.)、発展的応用方法の開発(上記2.および3.)、そして実質的研究への応用(上記1.)を行った。とくに実質的研究へ応用にかんしては、意識や行動における主観的論理や主観的状況定義にブール代数分析が有効であることがわかった。
著者
加藤 正博 稲葉 美代志 板鼻 秀信 大原 英治 中村 好一 上里 新一 井上 博之 藤多 哲朗
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.288-292, 1990
被引用文献数
2

Twentythree crude drugs and related plants were examined for their anticoccidial activity by the use of the experimental coccidiosis in chicken. The activity was found in the dry leaves and calyxes of some Hydrangea plants. As the active components of H. macrophylla subsp. macrophylla forma macrophylla, febrifugines were isolated which have been known to be contained in Dichroa febrifuga and H. umbellata. However, although the febrifugines in the latter two plants were reported to be mainly trans, in the H. macrophylla plants, cis-febrifugine was found to be a major component and the trans-counterpart, a minor component. Furthermore, the cis-isomer showed no anticoccidial activity in chicken even at the concentration level of 25 times the effective dose (3 ppm, IE=100) of the trans-isomer.
著者
稲葉 浩幸
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.255-266, 2006-12-20

わが国に近代的な生命保険事業が紹介されたのは,1867年の福沢諭吉『西洋旅案内』が最初とされる。明治維新以後,政府は富国強兵・殖産興業をスローガンに資本主義化を推進し,1881年にはわが国初の近代的な生命保険会社,明治生命が開業した。黎明期の生命保険事業は類似保険および経営基盤の脆弱な生保会社の乱設などの諸問題を抱えながらも,保険業法制定,第一生命保険相互会社の創立と順調な発展を遂げた。生命保険の浸透にともない,小説の題材としても次第に生命保険が登場するようになった。本稿では,黒岩涙香『生命保険』(1890年)と夏目漱石『吾輩は猫である』(1905年)の2編を採り上げ,その内容を生命保険の観点から検証する。
著者
濱田 正美 久保 一之 稲葉 穣 東長 靖 小野 浩 矢島 洋一 小野 浩 矢島 洋一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

中央ユーラシアにおけるイスラームの歴史的展開の全体像を通時的に把握することを最終目標として、歴史地理、イスラーム神学、イスラーム神秘主義哲学、文化史など、従来概ね歴史研究からは等閑視されていた分野に関する知見を組み込んだ歴史像を描く可能性への橋頭堡を築いた。
著者
薩摩 雅登 竹内 順一 稲葉 政満 薩摩 雅登 横溝 廣子 古田 亮 佐藤 真実子 松村 智郁子 竹内 順一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東京藝術大学大学美術館では、明治期の音楽録音資料・蝋管を212本所蔵している。しかしながら、経年変化とカビにより保存状態が悪く、音楽資料としての価値を失いつつある。そのため、その保存体制として、アモルデン水溶液による蝋管の洗浄、収納棚やトランクの薫蒸、針接触方式のデジタル再録音機・アーキフォン(Archeophone)により124本の音源の再録音を行った。また、蝋管の基礎調査として、国内や海外の各機関や個人コレクターを対象としたアンケート調査および実地調査にて、収蔵環境や音源のデジタル化、蝋管の公開の手法、関連する最先端の情報を収集した。さらに、明治期の蝋管や蓄音機に関する新聞記事および広告を調査し、当時の社会状況を把握した。現在に至るまで断片的な研究しか行われていなかったが、本研究において、蝋管に関する情報を集約した。
著者
吉村 豊雄 三澤 純 稲葉 継陽 足立 啓二 山田 雅彦 松本 寿三郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の中心をなす日本史研究班は、16・17年度に引き続いて、熊本大学が収蔵する日本最大の前近代組織体文書たる永青文書所蔵の細川家文書(細川家の大名家文書)のなかで、藩制の基幹文書となっている「覚帳」「町在」の系統解析に全力をあげつつ、前近代日本社会・日本行政の到達形態について実態的な成果を出すことに努めた。その結果、「覚帳」の系統的解析を通して驚くべき成果を得た。すなわち、本研究で明らかになってきたのは、日本近世の領主制が農村社会の自律的運営能力の立脚する方向で、次第に農村社会からの上申事案・上申文書の処理を業務とする割合を強め、ついには農村社会からの上申文書を中央行政機構における稟議制の起案書として、地方行政に関わる政策形成を行うに至るという、従来、想像もされてこなかった19世紀、幕末の行政段階である。熊本藩では、18世紀以降、こうした傾向を強め、中央行政機構では、こうした状況に対応した行政処理・文書処理のシステムを整備し、19世紀段階には農村社会からの上申文書を起案書とし、中央行政機構の稟議制に基づく地方行政を展開している。本研究において主対象とした熊本藩の中央官庁帳簿たる「覚帳」は、こうした歴史的推移をたどる。同時に、中央行政機構の稟議にかかった上伸事案は、農村社会で無数に生成される要望・嘆願の類いのごく一部であり、その多くは中央行政機構に上申されることなく、農村社会の段階で処理・解決されている。18世紀後半以降の地方行政は、農村社会の政策提案能力に依存しつつ、領主支配の根幹に関わる事案について上申させ、これを稟議処理し、執行することで成り立っていたと言える。
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.Recently, spam mail, that is an irrelevant and unsolicited mail, is one of the most serious problem in Internet. A Bayesian spam filter is a popular method to deal with the problem at a recipient computer. However, a mail which includes many symbols and unknown words is hardly classified accurately by a conventional Bayesian spam filter. In this report, we propose a new Bayesian type spam filter which utilize a distribution of symbols and unknown words included in the received mail. We confirm the performance of the proposed method by experiment.
著者
中井 義勝 久保木 富房 野添 新一 藤田 利治 久保 千春 吉政 康直 稲葉 裕 中尾 一和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.729-737, 2002-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
8
被引用文献数
6

1999年の1年間に全国23施設を受診した摂食障害女性患者975人について,臨床背景,身体症状,精神症状と食行動異常,本人の状態と家族の状態,誘発因子につき調査し,神経性食欲不振症制限型(AN-R),同むちゃ食い/排出型(AN-BP),神経性大食症排出型(BN-P),同非排出型,特定不能の摂食障害の5群で比較した.各病型に持徴的な身体症状(AN-Rのうぶ毛密生,柑皮症,AN-BPとBN-Pの唾液腺腫脹や歯牙侵食等)があった.精神症状は各群に共通して出現率が多い項目(過剰適応,強迫傾向)と群間で有意差のある項目(肥満恐怖,対人関係不良,抑うつ等)があった.誘発因子はストレスとダイエットが2大因子であった.この資料は,摂食障害を専門としない人にもその診断に役立つと思われる.
著者
稲葉 洋美 永桶 久美子 小日向 桃香 阿部 菜生 佐野 翠 平松 采弓 海和 美咲 澁谷 顕一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.212-217, 2022 (Released:2022-05-13)
参考文献数
21

ヒトの摂食量は一緒に食べるヒトの影響を受けることが知られている. また, 共食者が不在でも他者の摂食量情報に影響を受けることが知られている. 本研究では摂食量は, 他者の摂食量情報よりも実在の食を共にする人の摂食量に強く影響を受けるとの仮説を検証することとした. 健康成人女性16名に嗜好調査というカバーストーリーのもと4条件でスナック菓子を4分間好きなだけ食べてもらった. 同席者なし条件と同席者あり条件にそれぞれ大食または少食情報を組み合わせた. 大食情報とは他の人は平均14枚スナックを食べたとの情報であり, 少食情報とは他の人は平均4枚食べたという情報とした. 同席者に常に9枚食べるよう依頼した. 嗜好調査後, 各条件での摂食枚数を求めた. 一般化線形混合モデルを用いて解析を行った. 摂食量は同席者なし条件 (11.0±5.9枚) と同席者あり条件 (12.8±7.3枚) 間 (F=3.089, p=0.086) および大食条件 (12.1±6.0枚) と少食条件 (11.7±7.3枚) 間 (F=0.161, p=0.690) でも主効果に有意差は認められなかったが交互作用が認められた. 少食条件の場合と異なり, 大食条件では同席者の摂食量の影響を受け, 同席者がいる場合, 摂食量は抑制された. したがって, 本研究は抑制的規範説を支持したと考える.
著者
稲葉 通将 高溝 恵子 浮世 満理子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 99回 (2023/12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.166-171, 2023-12-04 (Released:2023-12-04)

日本における10~39歳の死因順位の1位は自殺であり,現在の日本社会におけるメンタルヘルスケアの問題は深刻である.世界的にも,うつ病・不安障害により年間1兆ドルの生産性が失われているという報告がある.そこで,情報技術を用いてメンタルヘルスに関する問題解決を目指した研究が活発に行われており,カウンセリングを行う対話システムの研究開発も行われている.カウンセリング対話システムの多くは大規模言語モデル(LLM)を活用して構築されている.しかし,LLMを用いたカウンセリング対話システムの性能の定量的な評価が十分に行われているとは言い難い.本研究では,現職のカウンセラーがカウンセリング対話を模したロールプレイを行ったデータを収集し,そのデータ中のカウンセラー役の応答をGPT-4が生成した場合の適切さを別の複数名のカウンセラーが評価した結果について報告する.