著者
田巻 松雄 狩谷 あゆみ 文 貞実 中根 光敏 山口 恵子 山本 薫子 稲月 正 稲葉 奈々子 野村 浩也 佐藤 繁美 西澤 晃彦
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究から得られた主な知見は以下の通りである。1.近年における野宿者の増大と寄せ場における労働市場の縮小とは密接な関係にある。ただし、寄せ場の縮小は不況の単なる反映ではなく、建設産業の大きな再編に起因する。建設日雇労働市場の就労経路が多様化するとともに、飯場の実態に見られるように、建設日雇の労働条件が一般的に悪化している。2.近年の寄せ場の著しい変容には、寄せ場を都市下層の姿を隠蔽しつつ同時に労働力をプールする場として利用してきた行政の寄せ場対策のドラスティックな政策転換が関係している。3.野宿者の増大と可視化にともなう社会問題化によって国及び自治体でのホームレス対策が本格化しているが、従来、福祉面での対応に比べて労働対策の遅れが著しかった。近年、「就労自立」を軸とするホームレス対策が急展開しているが、行政的な狭い枠組みでの「自立」をもとに野宿者を分類・選別するなど、改善すべき課題は多い。4.従来、寄せ場や野宿の問題を語ることは、とりわけ高齢単身の男性を語ることであった。しかし、女性の野宿者が増大している事態、さらに寄せ場の歴史を捉えなおす上でも、ジェンダー的視点を盛り込み、男性野宿者の周辺部にいる女性野宿者の位置から探題設定することが必要になっている。5.野宿者問題は産業構造の変容・再編に伴う労働問題や行政施策の仕組みなどが深く係わる現代の貧困問題であり社会問題であるが、野宿者や日雇労働者、さらには外国人労働者を社会に適合しない特殊な人々と見る社会的風潮は依然強く、このことに起因すると思われる社会的排除の現象が様々な形で生じている、
著者
飯島 洋一 田沢 光正 宮沢 正人 長田 斉 稲葉 大輔 片山 剛
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.43-50, 1985 (Released:2010-10-27)
参考文献数
24
被引用文献数
1

フッ素洗口ならびに飲料水由来のフッ素が, 乳歯エナメル質へのフッ素取り込み量にどのような影響を与えるかを健全脱落乳歯135歯を用いてフッ素洗口経験年数別あるいは飲料水中フッ素濃度別に検討した。フッ素洗口 (F: 500ppm, pH6.0, 5回/週) を経験した乳歯エナメル質表層1μmにおけるフッ素濃度は, 洗口経験年数が1年から4年に増加するに従い4,300ppmから7,300ppmへと増大し, 非洗口群 (飲料水中フッ素濃度0.1ppm未満) に比較して統計学的に有意に高いフッ素濃度であった。フッ素洗口経験年数を重ねることによるフッ素濃度の上昇傾向は, 1μm層に限られ, 5μm層では対照群のフッ素濃度に比較して統計学的に有意の差は認められなかった。一方, 飲料水由来のフッ素の影響を受けたと思われる乳歯エナメル質フッ素濃度は, 飲料水中のフッ素濃度が1.0ppm以上の場合, 表層1μmのフッ素濃度が10,000ppm前後と著しく高く, 内層40μmにおいても対照群に比較して明らかに高いフッ素濃度を示していた。また1.0ppm以上の群は5μm層以上40μm層にいたるすべての層で対照群あるいは洗口群に比較して統計学的に有意に高いフッ素濃度であった。これに対し, フッ素濃度0.3ppmの群は5μm層では対照群に比較して統計学的に有意の差を認めることが出来なかった。1.0ppm以上の群で表層5μmから内層40μmにいたるまで対照群に比較して一定の高い濃度勾配を示したことは, 乳歯の萌出前・萌出後に獲得されるフッ素の影響によるものと思われる。
著者
稲葉 一訓 本多 公貴 大竹 裕子 岡本 紀夫 下村 嘉一 小竹 武 長井 紀章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.93-99, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
6

We proposed an in vitro test based on pH changes in ophthalmic solutions with the addition of lacrimal buffer, and examined anti-allergic ophthalmic solutions (acitazanolast hydrate, amlexanox, epinastine hydrochloride, ketotifen fumarate, levocabastine hydrochloride, olopatadine hydrochloride, pemirolast potassium, sodium cromoglycate, and tranilast) and anti-glaucoma ophthalmic solutions (brimonidine tartrate, carteolol hydrochloride, dorzolamide hydrochloride, isopropyl unoprostone, pilocarpine hydrochloride, timolol maleate, and travoprost) by using the in vitro test. Resistance to the lacrimal buffer capacity of ketotifen ophthalmic solution was higher than that of the other anti-allergic ophthalmic solutions tested. Among anti-glaucoma ophthalmic solutions, resistance to the lacrimal buffer capacity of the isopropyl unoprostone and dorzolamide ophthalmic solutions was higher than that of the other ophthalmic solutions tested. We also found relationships between ophthalmic additives and the pH-buffering effect in ophthalmic solutions, and demonstrated that D-mannitol, which is an ophthalmic additive, resisted the pH-buffering effect in artificial tears. Furthermore, high resistance was observed to the lacrimal buffer capacities of ophthalmic solutions with D-mannitol. These results will contribute to further studies aimed at reducing irritation caused by ophthalmic solutions.

1 0 0 0 OA 編集後記

著者
稲葉 菜々子
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.34, pp.203, 2021-07-31 (Released:2022-08-31)
著者
三木 章義 稲葉 涼太
出版者
一般社団法人 PMI日本支部
雑誌
プロジェクトマネジメント研究報告 (ISSN:24362115)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.92-97, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
24

サステナビリティは,企業にとって最も重要なテーマの1つである.SX(Sustainability Transformation)にいち早く取り組んだ企業は先行者利益を得ることができる.しかし,その優位性は一般化され,やがて失われていく.本研究では,SX後の競争優位の獲得方法を明らかにし,"エメラルド・オーシャン "という戦略概念を提唱する.
著者
稲葉 和雄
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.51-57, 2015-06-30 (Released:2016-11-17)
参考文献数
2
著者
稲葉 弥寿子 白井 秀治 矢上 晶子 秋田 浩孝 阪口 雅弘 水谷 仁 松永 佳世子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1893-1900, 2010-08-20 (Released:2014-11-28)

粉製品に含まれたダニの経口摂取によるアナフィラキシー2症例を経験したので報告する.症例1は50歳女性で,開封後に常温保存したお好み焼き粉を,自宅にて調理摂取した約30分後に全身浮腫性紅斑や動悸,嘔気が出現した.患者が摂取したお好み焼き粉は,賞味期限より2年が経過していた.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ23.4 IU/ml,コナヒョウヒダニ33.7 IU/mlで,コムギ関連特異IgE値はコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.持参した同一銘柄の未開封お好み焼き粉と冷凍保存された薄力粉でのスクラッチテストは陰性であったが,ダニ抗原(鳥居薬品)のプリックテストはscore 3+の陽性を示した.症例2は28歳女性で,開封後に数カ月間常温保存したお好み焼き粉(以下事故粉)を自宅において調理中に喘息症状が出現し,摂取中に呼吸困難感や嘔吐,腹痛が出現し,アナフィラキシーショックとなった.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ51.6 IU/ml,コナヒョウヒダニ55.6 IU/mlで,コムギ関連特異IgEはコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.プリックテストは事故粉でscore 3+の陽性,ダニ抗原(鳥居薬品)でscore 4+の陽性であった.また冷凍保存された薄力粉は陰性であった.事故粉にはコナヒョウヒダニが50匹/g検出され,ELISA法で測定したところ,ダニ主要抗原であるDer f 1が64.1 μg/gと多量に検出された.事故粉と患者血清(症例2)を用いたImmunoblot法ではダニ抗原と思われる25 kDa部位にバンドが検出された.さらに血清とダニ粗抽出液を用いたInhibition immunoblot法ではダニ粗抽出物と共通分子量付近に認められた複数のバンドは事故粉より消失した.この結果から事故粉に認められたバンドは粉中のダニ抗原に反応したバンドと考えられた.上記の検討を踏まえ,お好み焼き粉におけるダニ繁殖の実態を調査するため,我々は,お好み焼き用ミックス粉3銘柄と薄力粉におけるダニ数及びダニ抗原の増殖性の違いについて検討した.各粉にコナヒョウヒダニを添加培養し,3週間後と6週間後に評価した.培養6週間後にミックス粉のダニ数とダニ抗原は,薄力粉に比較して3銘柄ともに増加傾向を認め,1銘柄は有意に増加していた.粉類でダニの増殖を防ぐには冷蔵保存が良いとされる.市販のミックス粉の注意書きには冷蔵保存と明記する必要があり,また我々皮膚科医は小麦アレルギーと誤診しないよう注意が必要である.
著者
武村 裕之 今岡 泰憲 守川 恵助 北山 可奈 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 小澤 香奈 鈴木 優太 西川 涼太 天白 陽介 岡田 誠
出版者
一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
雑誌
呼吸理学療法学 (ISSN:24367966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.2-10, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
27

目的:慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪患者への骨格筋評価は身体機能を判断する上で重要である。筋輝度(Echo Intensity:EI)は骨格筋の非収縮性組織を反映し注目されている。しかし,身体機能と骨格筋の非収縮組織との関係性は不明である。本研究ではCOPD急性増悪患者のEIと身体機能の相関関係を調査したので報告する。方法:2019年5月から12月に当院へ入院したCOPD急性増悪患者17名を対象とした。調査項目は初回理学療法介入時に測定した。超音波検査には日立製作所社製のF37を使用し,大腿直筋(Rectus femoris: RF)の遠位1/3のEIを測定した。画像解析にはImage Jを使用し,8−bit Gray Scaleによるヒストグラム解析を行った。身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離(Six minutes walk distance:6MWD)とした。統計学的解析はSpearmanの順位相関係数を用いて,EIと身体機能項目との関連を調査し,統計処理はEZR version 1.38を使用し有意水準を5%とした。結果:EIはSPPB(r=−0.59 p<0.01)と負の相関を認めたが,6MWDとは相関を認めなかった。結論:COPD急性増悪患者におけるRFのEIと身体機能の相関関係を調査し,RFのEIはSPPBと中等度の負の相関を認めた。
著者
稲葉 継陽 Tsuguharu Inaba
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-29, 2001-02-20
著者
中島 明日佳 船山 道隆 中村 智之 稲葉 貴恵
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.328-337, 2020-09-30 (Released:2021-10-01)
参考文献数
33
被引用文献数
1

過去における左視床損傷後の失語の症例報告では, 理解の障害は軽度で失構音はなく復唱は良好であるが, 発話では喚語困難や語性錯語を認める例が多く, なかでも無関連錯語の出現が特徴的であるとされている。しかし, 実際に無関連錯語の出現が多いか否かは明らかではなく, その出現機序も調べられていない。今回われわれは, 無関連錯語を手がかかりとして視床失語の背景に迫ることを試みた。その結果, 全誤答数に占める無関連錯語の割合および有関連錯語と無関連錯語との比は, 視床失語群が非視床失語群に比べていずれも高い結果となった。われわれが過去に報告した視床失語の 1 例からは, 無関連錯語と選択性注意機能の関連性が示唆された。   過去に提唱された視床失語の機序も考慮すると, 左視床損傷によって目的の語と関連する意味野を活性化できず, 関連しない語彙を不活性化できないことで目的の語彙が選択できず, 視床失語に特徴的な発話に至る可能性が考えられた。
著者
稲葉 睦 松木 直章 土居 邦雄 高橋 迪雄 高桑 雄一 長谷川 篤彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

赤血球の主要膜内在性蛋白質であるバンド3は、従来、生命推持に必須とされてきた。本研究は、黒毛和種牛の遺伝性バンド3欠損症における知見をもとに、この定説の妥当性を検討し、代償機構を解明することを目的とする。得られた成果の概要は以下のとおりである。1)遺伝子型と赤血球表現型との解析により原因遺伝子異常がR664X変異であること、本疾患が優性遺伝形式をとることを実証した。2)赤血球膜病態の解析に基づき、ホモ接合型とヘテロ接合型の赤血球球状化機序が異なること、即ち、前者ではバンド3-アンキリンースペクトリン間結合の消失が、後者では変異バンド3のドミナント・ネガティプ作用によるバンド3減少がそれぞれ球状化の原因となることを示した。これらの知見から膜骨格の形成とバンド3の生合成とが独立した現象であり、バンド3は膜骨格形成には不要であるが、その後の膜安定化に必須であることを提唱した。3)バンド3完全欠損赤血球には本来は前駆細胞のみにみられるバンド3の構造類似体AE2によるアニオン輸送能が存在することを解明した。さらに、迅速なアニオン輪送は全く代償さえておらず、バンド3によるアニオン輪送は平常時のガス交換に必須の要索ではないことを実証した。
著者
稲葉 健太郎 水野 基樹
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第71回(2021) (ISSN:24367257)
巻号頁・発行日
pp.287, 2021 (Released:2021-12-28)

厚生労働省と経済産業省が推進する「健康経営」に取り組む企業が増えている。経済産業省は「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」といった顕彰制度を設けたり、健康保険組合及び地方自治体と連携して健康経営を推し進めており、メディアで健康経営が扱われる機会も多くなっている。 しかし、経済産業省が行った中小企業を対象とした健康経営の認知度の調査によると、健康経営について「全く知らなかった」が52%、「聞いたことがあるが、内容は知らない」が32%と、約8割の企業が健康経営の内容について知らないという実態も明らかとなっている。以上より、健康経営という概念は徐々に広がりを見せてはいるが、より多くの企業や従業員に浸透させるためには草の根的な啓蒙活動の必要があると考えられる。 そこで本研究では、企業に勤める従業員に対するインタビュー及びSNSに投稿されたテキストを分析することで、健康経営が一般的にどのような認知をされているのかを明らかにすることを目的に調査を行った。 インタビュー調査では都内のIT系企業に勤める4名を対象とした。調査の結果、健康経営の実践によって従業員の離職意識を間接的に低減させるとの意見を得られたが、健康経営による定量的・定性的なエビデンスを得る機会が無いため、費用対効果については疑問があるとの意見を得られた。また、SNSのテキスト分析の結果、頻出語では「企業」「健康」「従業員」「働く」といった単語が抽出された。また、共起ネットワーク分析では「健康」と「企業」「従業員」「投資」「向上」といった語のリンクが確認され、健康経営の効果についてSNSを通して発信されていることが明らかとなった。
著者
八幡 薫 佐藤 成 清野 涼介 稲葉 和貴 須藤 重樹 平泉 翔 中村 雅俊
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.157-164, 2020-02-01 (Released:2020-01-21)
参考文献数
25
被引用文献数
2

It is well known that eccentric exercise induces muscle damage that is characterized by a prolonged decrease in muscle strength and range of motion, development of delayed onset muscle soreness. The previous studies showed that hold-relax stretching (HRS) was effective for improving the decreases in range of motion and muscle soreness. In addition, modified proprioceptive neuromuscular facilitation stretching (mPNF) was an equally effective for HRS. However, it was unclear whether there are differences between acute effects of HRS and mPNF on muscle strength and muscle soreness in eccentrically damaged muscle. Therefore, the present study aimed to compare the acute effects of HRS with those of mPNF on muscle strength and soreness in eccentrically damaged muscle. The participants comprised 40 volunteers randomly assigned to either the HRS group (N = 20) or the mPNF group (N = 20). Initially, the participants of both groups performed 60 maximal eccentric contractions of the knee extensors. Two days after this exercise, each group performed either HRS or mPNF for 60 s at a time and repeated them six times for a total of 360 s. Muscle strength and soreness during stretching and contraction were measured before and immediately after HRS and mPNF. The results showed that the muscle soreness observed after eccentric contraction significantly decreased immediately after both HRS and mPNF. In addition, there were no significant changes in muscle strength immediately after both HRS and mPNF. These results suggest that while both HRS and mPNF can effectively decrease muscle soreness without reducing performance.
著者
里 洋平 新藤 幹 稲葉 愛永 藤井 香菜子 新井 遥 中川 純 田辺 新一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.87, no.802, pp.877-887, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)
参考文献数
16

As the trend toward a decarbonized society accelerates, Net Zero Energy Houses are expected to become more popular. In recent years, the residential sector has been facing the problem of inadequate adjustment of power supply and demand due to the expansion of renewable energy installations.The objective of this study is to understand the actual situation of energy consumption and electricity supply and demand in Net Zero Energy Houses. The primary energy consumption of all-electrified and gas-combination ZEHs were compared. In addition, the relationship between house attribute, occupant lifestyle, and primary energy consumption of all-electrified ZEH were analyzed.
著者
稲葉 美由紀
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.131-142, 2009-02-28 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
2

高齢者が身体の衰えからケアを受ける立場になることは,新たな「役割」を担うことになる.そのために新たな姿勢・知識・行動などの対処能力が必要になってくる.しかし,高齢者ケアに関する社会福祉分野での研究は,要介護側の視点に着目した研究は十分に行われていない現状にある.本研究では,介護高齢者がケアを受けることに対する思い,姿勢,言動,対処についてインタビュー調査を実施し「ケアを受ける側の役割」を明らかにするものである.調査対象者は,65歳以上で週8時間以上のケアを受けている高齢者15人と家族介護者5人へのインタビューを行い,質的データ分析を行った.今回の調査では,(1)ケアを受けることへの思い,(2)介護者への支援,(3)セルフケア,(4)FC-ICサービスの把握・利用,(5)ネットワーク構築,(6)社会参加,(7)老後生活の準備・計画の7つのカテゴリーが抽出された.今後の課題として,実践的な要介護者と介護者へのエンパワーメント志向のソーシャルワークモデルの構築を行うことが必要である.
著者
稲葉 陽二
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.77-84, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
21

社会関係資本は学術研究の対象として認知されるようになり,社会関係資本をテーマにした論文は多数に上っている.だが,その概念に関する議論は収束をみていない.しかし,AIに象徴される技術進歩は,社会関係資本研究に新たな付加価値を与えている.エリノア・オストロムによってコモンズの運営にとって社会関係資本が不可欠であることが明らかにされたが,ジェレミー・リフキンは,技術進歩の過程で,技術開発と情報の共有の領域で,新たなコモンズが多数生まれていることを指摘している.換言すれば,今日のAI時代においては,コモンズの運営について不可欠である社会関係資本は,技術開発と情報の共有のコモンズの前提条件として新たな付加価値を生むことが期待されている.