著者
栗山 哲 友成 治夫 大塚 泰史 大城戸 一郎 細谷 龍男
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.367-371, 2003-05-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19

Combination therapy with angiotensin receptor antagonist (ARB) plus angiotensin converting enzyme inhibitor (ACE-I) (ARB/ACE-I) was efficacious in reducing proteinuria in patients with progressive renal disease. However, this therapy may be associated with the worsening of anemia and hyperkalemia. The present study addressed whether or not triple therapy with low dose ARB, low-dose diuretic (D) and calcium channel blocker(CCB) (ARB/D/CCB) is as effective as therapy with low-dose ARB/ACE-I in retarding the progression of overt diabetic nephropathy. In the triple therapy, the patients were initially subjected to monotherapy with CCB for 24 weeks. Low-dose ARB and low-dose D were added to the treatment for an additional 24-week period. In parallel, patients undergoing double therapy were initially treated with low-dose ACE-I alone for 24 weeks, and then low-dose ARB was added for an additional 24-week period. The results were as follows: 1) In the triple therapy, blood pressure was reduced by 9 mmHg in systole and 5 mmHg in diastole (not significant) compared to monotherapy with CCB. There was a significant decline in proteinuria (3.3±1.2 g/day in the CCB-treated period vs. 2.1± 1.0 g/day in the ARB/D/CCB-treated period, n=12, p=0.0143) . Furthermore, a significant improvement in the slope of reciprocal serum creatinine concentration (1/Cr) was found in response to triple therapy (l /Cr : -0.0118±0.0009 in the CCB-treated vs. -0.0035±0.0028 (1/mg/dl/month) in the ARB/D/CCB-treated period, n =12, p <0.001) . There was neither a worsening of anemia nor an increase in the serum potassium (K) concentration. 2) In the double therapy, blood pressure was reduced by 12 mmHg in systole(p=0.0079, n=11) and 6 mmHg in diastole(n=11, p=0.0037) compared to the monotherapy with ACE -I . A significant improvement in the slope of 1/Cr was found in the double therapy (1/Cr : -0.00952±0.0052 in the ACE- I treated period vs. -0.0029±.0028(1/mg/dl/month) in the ARB/ACE-I, n=1 I, p<0.001). In addition, there was a substantial reduction in hematocrit and increase in serum K concentration. The present result suggests that triple therapy consisting of ARB/D/CCB is as efficacious as double therapy with ARB/ACE-I in protecting the kidney from the progression in patients with diabetic overt nephropathy. The former may be expected to have less adverse effects.
著者
飯山 真一 冨山 宏之 高田 広章 城戸 正利 細谷 伊知郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.455-464, 2004-10-15
参考文献数
8
被引用文献数
5

現在,自動車の制御系ネットワークでは,CAN(Controller Area Network)が事実上の標準となっており,CANメッセージの最大遅れ時間を求める手法が提案されている.しかしながら,従来の手法では,メッセージの送信要求時刻がオフセットを持つ状況を取り扱うことができない.より広範な実システムに対応するため,本論文では,グループ分けされたメッセージの送信要求時刻がオフセットを持つメッセージモデルに対する解析手法を提案する.また,実際の車両への適用が検討されているメッセージセットに対して提案手法を適用し,提案手法の有効性を確認した.CAN (Controller Area Network) is a de-facto standard of automotive networks for control. Some methods to evaluate the worst-case response time of CAN messages have been proposed. However, these conventional methods cannot evaluate response times of messages with offsets. This paper proposes a method to decide the worst-case response times of grouped CAN messages with offsets. We also apply our method to a message set currently considered using for a control network of an actual automotive, and confirm the method to be effective.
著者
細谷 肇 斉藤 健一 反町 裕 米本 貞夫
出版者
千葉県畜産総合研究センター
雑誌
千葉県畜産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469746)
巻号頁・発行日
no.8, pp.77-82, 2008-11

早場米地帯として早生系品種の早期栽培が定着し、コンバイン型専用収穫機を所有するコントラクタにより飼料イネの収穫作業が1ヵ月強にわたって継続する地域において、収穫期間の各時期で長期貯蔵性を備えた高品質ロールベールサイレージの調製方法を検討した。2006年8月末からの1ヵ月強で23haを収穫した中で、最前期の8月28日刈取りのヒメノモチ(食用品種)、9月21日刈取りのはえぬき(食用品種)、最後期の9月28日刈取りの夢あおば(飼料専用品種)について、乳酸菌(畜草1号)添加の有無を設定し、収穫から10ヵ月及び13ヵ月貯蔵のサイレージ発酵品質とかびの発生状況を調査した。ヒメノモチは適期刈りの黄熟期、はえぬきと夢あおばは刈遅れの完熟期で、前2品種は天候に恵まれた収穫、夢あおばは直前の大雨を経た収穫となった。ヒメノモチとはえぬきの発酵品質は全般的にV-SCOREが良好と評価され、乳酸菌添加によりpHが低下、乳酸含量が増加、酪酸含量が減少し、品質がさらに向上した。刈遅れのはえぬきは、乳酸菌添加では貯蔵期間による品質の差がなかったが、無添加では13ヵ月貯蔵で酪酸含量が増加し長期貯蔵での品質低下が懸念された。夢あおばは添加の有無にかかわらず、同じように乳酸発酵が進行した一方で、酪酸含量が多く発酵品質が劣り、材料草への雨水と土の付着が影響したものと考えられた。かびの発生による廃棄ロスは、いずれの品種も乳酸菌添加の有無と貯蔵期間の違いによる有意な差が認められなかった。いずれの収穫時期においても好条件の適期刈りに近づけるため、秋雨等の季節的状況や農業用水の管埋を考慮しながら、品種の早晩性を踏まえた早場米地帯の飼料イネ作付け体系確立が望まれた。
著者
細谷 千博 有賀 貞 山本 満 小此木 政夫 緒方 貞子 宮里 政玄
出版者
国際大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1984

三年計画の最後に当るため、各分担者とも分担課題について研究のまとめに努力した。細谷千博は全般的概観を試みるとともに、吉田茂首相の1954年外遊の目的、当時の吉田の対外政策構想についても論文を準備した。有賀貞はアメリカのアジア政策の概観を準備するとともに、アメリカの保守派の対外政策観におけるアジアの地位について考察する論文を用意し、報告した。五十嵐武士は9月より米国に出張中であるが、ニクソン・ドクトリンについての論文を作成中である。小此木政夫は1980年代の朝鮮半島をめぐる国際関係について報告し、とくに金日成暗殺誤報問題を分析した。また緒方貞子は対中国交正常化に関する比較研究について研究を進めるとともに、ワシントンでの実地調査に基づいてレーガン政権の対外政策決定過程の特色について報告し、政権上層部は穏健派だが、中堅層以下には教条的保守派が進出している等の事実を明らかにした。渡辺昭夫は防衛費1%枠問題を国際的文脈と国内政治の文脈で検討した報告を行なった。山本満は日米とアジアNICSとの投資貿易関係について分析する論文をまとめたが、さらに新資料により、最近の状況に触れた論文を作成中である。黒柳米司は、アセアン諸国の政治動向を分析し、それが日米両国の利害とどのようにかかわっているかを論じる論文をまとめつつある。宮里政玄は、ベトナム戦争が日本の世論にどのような影響を及ぼしたかを分析した論文をすでにまとめている。草野厚は海外出張中であるが、牛肉問題をめぐる日米豪の関係をそれぞれの国内政治をからませて考察する論文を準備している。3月の最後の研究会では、研究成果の刊行準備について協議し、昭和63年度に刊行することを目標とすることになった。
著者
細谷 和海 西井 啓大
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.36, pp.73-130, 2003

ブラックバスは北米原産のサンフィシュ科の淡水魚で、わが国には1925年に実業家、赤星鉄馬氏により神奈川県芦ノ湖へ移殖された。以来、本種は同湖から持ち出されることがなかったが、1970年代のルアー釣りブームを契機に一挙に分布域を拡大した。ブラックバスは魚食性が強く、コイ科を主体とする在来種の地域的な絶滅を引き起こすことが危惧されている。そのため、ブラックバスを対象とするルアー釣りをめぐり、在来種を保護しようとする側とルアー釣りを楽しみたい側とが激しく対立し、大きな社会問題となっている。問題を解決するためには、ブラックバスの食害に関する科学的データを社会に提供する必要がある。ブラックバスの生物学については、すでにアメリカにおいて1975年にStround and Clepperが総合書を取りまとめている。一方、もともとブラックバスが分布していなかったわが国ではブラックバスに関する情報は限られる。1992年に全国内水面漁業協同組合連合会が「ブラックバスとブルーギルのすべて」を、また、最近では2002年に日本魚類学会自然保護委員会が「川と湖沼の侵略者ブラックバス」を刊行している程度で、情報は充分とは言えない。サンフィシュ科魚類は北米東部を中心に9属32種が知られている。そのうち、日本の淡水域に移殖放流されたものはオオクチバス、コクチバス、およびブルーギルである。わが国において、ブラックバスという名称は慣習的にオオクチバスに当てられてきたが、コクチバスが定着して以来、両種の総称として用いられることが多い。本資料では、オオクチバスとコクチバスを対象とする。
著者
武山 主郎^[○!R] 細谷 稔
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.80-84, 1984-02-05
被引用文献数
15 9

高純度鉄をはじめ各種金属中の微量ケイ素を簡便に定量するため,強硫酸酸性とした試料溶液にフッ化水素酸を加えてケイ素をフッ化ケイ素とし,加熱することなく酸素を送入して試料溶液から分離し,ホウ酸溶液に吸収させた後モリブデソ青吸光光度法によって定量する方法を検討した.試料液量に対し1.6倍以上の硫酸を加えることにより,定量的にフッ化ケイ素が発生することを確かめた.又生成したフッ化ケイ素を完全に吸収液中に移行させるためには,1000 ml/minの酸素流量で20分間通気する必要があった.本法を高純度鉄,多量のヒ素を含むガリウム-ヒ素半導体やその他の金偶中の微量ケイ素の定量に応用して良好な結果を得た.本法によるケイ素含有量0.0006%の鉄試料についての相対標準偏差は6.4%であった.又分析所要時間は(40〜45)分間で他の方法に比べて迅速に定量できた.
著者
斉藤 満 関 剛 細谷 昌之
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.410-440, 1992-11

この報告は, 南極氷床ドーム深層掘削計画に使用するため, 新たに開発した大型雪上車の基本性能及び総合性能の試験結果について述べたものである。試験した結果, この雪上車は, 設定した性能及びシステムデザインのねらいをおおむね満足しているが, 構造の一部に不具合部分があることも認められた。試験は, 再現性を有し類似車両と性能の比較ができるコンクリート舗装路及び南極の積雪の硬さを模擬して造った転圧雪路で行った。
著者
竹内 貞男 喜納 淳 細谷 昌之 吉田 治郎 石沢 賢二
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.p363-375, 1992-11

日本南極地域観測隊は, これまで4種類の雪上車を使って調査活動を続けてきた。それらの雪上車は用途別に内陸氷床上用と沿岸・海氷上調査用の2つに分類できる。内陸用の雪上車はこれまでSM50S型中型雪上車を使用してきたが, 「南極氷床ドーム深層掘削計画」も提言されるなど, 調査区域が年々内陸奥地に広がり, より低温性能のよい大型雪上車の開発が要望されていた。そのため, 国立極地研究所設営専門委員会に雪上車設計作業委員会を設置して, 現有のSM50Sの技術的課題を分析し, この結果を基に新型雪上車の開発を実施した。この雪上車は国内での試験走行の後, 1991年に南極に搬入され, 1992年の冬期には南極氷床で走行し, ほぼ予想された性能を発揮した。
著者
喜納 淳 細谷 昌之 竹内 貞男 金内 賢
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.218-237, 1988-07

昭和基地ならびに沿岸地域で使用する小型雪上車を国立極地研究所設営専門委員会小型雪上車設計作業委員会が開発した。この雪上車は, 主として氷上で行動することから, 軽量化を図ることを開発の条件の一つとした。このため, 動力伝達システムには全油圧駆動方式を採用した。この方式は, 日本の南極観測では始めてのことであるので, 低温下での始動試験, 始動に用いるバッテリーの持続試験を行った。全油圧駆動方式に伴う車両の操縦上の問題について試験を行い, 必要な改善策を講じた。また, 車両のピッチングを減少するために, 懸架装置についての試験も行い, 必要な改善を行った。完成した新小型雪上車は第28次観測隊により昭和基地に搬入され使用されている。
著者
馬 哲旺 細谷 健一 高須 英樹 廣川 二郎 福迫 武 堀井 康史 真田 篤志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.94, pp.61-69, 2000-05-19

1999年11月30日から12月3日までの4日間に渡りシンガポールで開催された第11回アジア・パシフィックマイクロ波会議(APMC'99)の概要を報告する。この会議において発表された250件の論文を能動素子・回路、MMIC・システム、受動素子・回路、計算電磁気学、電磁界理論・電磁波伝播・測定に分類し、それぞれの概要を紹介する。
著者
細谷 里香 松村 京子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.331-342, 2012-09-20

我々は以前,優れた教師が子どもと関わるときに自身の情動能力に自覚的であり,子どもの前での情動表出を指導に用いる有効なスキルの一つとして捉えていることを報告した。本研究は,教育実習に参加した教員養成課程在籍学生の子どもと接しているときの情動体験および情動表出パターンを明らかにし,実習生と優れた教師の情動体験・情動表出および調整プロセスの比較により,今後の教員養成への示唆を考察することを目的とした。教育実習終了後の大学生計41人に,個別に半構造化面接を実施し,質的な分析を行った。実習生は,子どもと関わっている時に,喜びなどのポジティブ情動とともに,怒り,悲しみ,恐れ,嫌悪などのネガティブ情動も感じていた。ネガティブ情動は子どもだけでなく,自分自身によっても喚起されていた。優れた教師との顕著な違いは,実習生が教師としての未熟さに由来する恐れを感じていたことであった。情動表出パターンとしては,自然な表出,情動の直接的演出,抑制等のほかに,実習生の顕著な特徴として,恐れのコントロール不能が見出された。優れた教師が自覚的に行っていた怒りの直接的演出は,実践を困難に感じる実習生がいたことが明らかとなり,実習生の怒りの演出に関連する情動調整プロセスが見出された。教員養成教育において,子どもと関わるための教師の情動能力への気づきを促すような教育が求められる。
著者
細谷 暁夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.286-290, 2004-05-05

ブラックホールの物理学と熱力学の間にほぼ完全な類似があることが知られている.ここでは,ブラックホール固有のエントロピーと通常の熱力学的エントロピーの和が常に増大するという,一般化された第2法則に対する簡単な証明を与える.さらに,一般化されたエントロピーの増え分は,ブラックホールの外で行われる量子操作による知識量よりも大きいことが示される.
著者
細谷 純子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.77-82, 1956
被引用文献数
1 8

チヤドクガEuproctis pseudoconspersaの飼育中に観察された, 2, 3の興味ある性質について報ずる.1)本種は自然界では年2回の発生であるが, 恒温下(22〜25℃)では越冬に入らせしめず, 世代を繰返させる事が出来た.2)卵は直径0.6〜0.7mm.卵期間は20〜22日であつた.3)幼虫は6〜7(時に8, 9, 10)齢を経過し, 幼虫期間は平均46.0日であつた.4)前蛹期間は約2日, 蛹期間は18〜23日であつた.営繭, 羽化時期とも, 雄の方が2〜3日早かつた.5)成虫の寿命は5〜7日で, 交尾は羽化後約24時間以内, 産卵は早いもので2日目に行われた.産卵数は1卵塊120粒前後であつた.6)1齢幼虫にはそれ自身毒針毛を生じない.2齢では腹部第1, 2環節亜背線部に, 終齢の前齢には更に第8腹環節亜背線部に, 終齢では第1〜8腹環節の亜背線, 気門上線部に毒針毛叢生部が生じる.毒針毛長は, 0.03〜0.207mmで, 齢期が進むにつれ長さを増す傾向がみられた.7)終齢幼虫の毒針毛は, 繭の内側に環帯となつて附着して(特に雌で顕著), 成虫は羽化に際して尾端房毛に附着させて脱出する.8)幼虫には顕著な群集性がみられる.集団的に飼育された場合, その1群中の個体数にやゝ比例的に幼虫期間と脱皮回数が短縮された.この場合, 最終齢幼虫の頭幅は雌雄によつては差がみられたが, 1群中の個体数によつては影響を受けない様に思われた.
著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳巳
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1980

全国的な規模で広範に分布している有機質土を土木工事で取り扱うケースが増加しているが, 現行の有機物含有量試験法は土の種類に対する適性, 測定操作上の難易などに一長一短があり, 標準的な測定法が確立されているとはいいがたい。この点を考慮して筆者らは有機物含有量測定法のうちの強熱減量法を取り上げ, 特にその測定法に影響を及ぼすと考えられる燃焼温度, 燃焼時間, 試料重量の3つの要因に関して, 各要因が強熱減量値に与える影響を調査した。実験に使用した試料として有機物含有量が20%代, 40%代, 50%代, 70%代の4種類の土を選び, 上記各要因についても各々4種類の値を選んで組合わせによる実験を行った。試料の作成方法は土質工学会基準の強熱減量法の方法に準じ, 燃焼装置として電気マッフル炉を使用した。実験の結果, 有機物含有量に最も大きく影響する要因は燃焼温度であることが判明したが, 結果を総合すると上記3要因の組合わせでは600℃×4時間×2.0gが最適であると判断された。
著者
WELFIELD John B. 細谷 千博 塩出 浩和 信田 智人 毛利 勝彦 大内 浩 細谷 千博 WELFIELD Joh
出版者
国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、歴史的経緯を踏まえた上で、政治・経済・防衛・パーセプション・経済援助という多岐にわたる側面から現状を分析した。冷戦後において中国の脅威論が日米両国内で議論されているが、軍事的に見て近い将来に中国は東アジアにおいて日米両国の脅威となる可能性は少ない。唯一の懸念は台湾海峡問題であるが、それに対して日米両国は中国に対して封じ込めなど敵対的な対応をするのではなく、積極的に中国が国際システムに参入することを支援していかなければならない。中国が東アジアの国際秩序形成に建設的な働きをするようになれば、台湾問題においても近い将来平和的な解決手段をみつけることができよう。言い換えれば、中国を孤立させない形で、日米両国が東アジアの新国際秩序形成にイニシアチブをとる必要がある。そのためには、防衛面だけでなく、最近の東アジアの金融不安に対する経済援助やマクロ経済調整、知的所有権問題といった面での経済政策での日米の協力や、環境問題や人口問題などのグローバルな問題においての日米両国の協力が重要になってくる。京都における環境問題国際会議に見られたように、これらの問題において日米両国は必ずしも同じ立場であるとは限らない。だが、たとえ立場が違ったとはいえ、日米両国が協力して中国を含めた新国際秩序形成のために最大限の努力をするのだということは忘れてはならない。