著者
丸山 義昭
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.54-64, 2012-08-10 (Released:2017-11-22)

「羅生門」「山月記」、それぞれの〈語り方・語られ方〉を読むことで、物語内容をどう対象化していけるか。どのような問いかけによって、生徒の読みを揺さぶることができるか、「羅生門」では生徒の読みを検討しながら、授業を進めた。「山月記」では李徴の語りと、作品全体の語りの双方を相対化する授業を行った。語り手の、登場人物に対する見方、人物との距離を明らかにすることで、何が浮かび上がってくるのか。授業の概要と、考えていることの報告である。
著者
福田 義昭
出版者
東洋大学アジア文化研究所
雑誌
アジア文化研究所研究年報 = Annual journal of the Asian Cultures Research Institute (ISSN:18801714)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1(366)-22(345), 2017

This article is a sequel to my two earlier articles on the literary representation of Muslims in Japan during the Showa period. While the earlier articles each dealt with several writers, this article exclusively deals with works of the Taiwanese-Japanese writer Chin Shunshin (1924-2015). Chin was born in the city of Kobe and encountered Tatar children there in his youth. As he studied Hindustani and Persian at Osaka School of Foreign Languages he increased his interest in the Islamic world. He reminisces about his frequenting the Kobe mosque during the WWII. After the war, he made several visits to countries of the “Silk Road” and met in Istanbul some Turks of Tatar origin, who had lived in Japan until the aftermath of the war and spoke Japanese fluently. Chin wrote a lot of novels set in Kobe, some of which include Tatar characters. He drew attention to the “statelessness” of the Tatars and depicted them with sympathy and understanding. For him, Tatars were co-members of the community of strangers of Kobe who shared Japanese as the common language.
著者
本多 義昭 武田 美雄 木内 文之 飯田 彰 伊藤 美千穂 林 宏明 高石 善久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

中央アジアにおけるトルコ系民族薬物に関する第3次調査研究として、現地調査として、2003年はウズベキスタンのアラル海沿岸部からブハラにかけての地域を、2004年にはイランのカスピ海沿岸部を、また2005年には中国の新疆ウイグル自治区を調査した。また、収集した薬用植物について、天然物化学的解析を行った。2003年の調査地のウズベキスタン西部は、アムダリア川流域の灌漑事業のために、アラル海周辺部の環境が悪化し、降雨量が少ないため砂漠化も進んでいる。この地域の薬草として目立つものはカンゾウで、分析用資料の収集をした。また、他の薬用植物数種類も収集した。この地域も含めて、ウズベキスタンでは、タビブと称される民間医が薬草の知識を伝えているが、その中身には、ロシア経由のヨーロッパのハーブの知識が多く見受けられた。2004年は、カスピ海に沿って東西に伸びるアルボルス山中に居住するトルクメンの調査をすることができたが、トルコとウズベキスタンの双方に共通するトルコ語系の呼称のものも認められ、更なる調査の必要性が明らかとなった。2005年はトルコ系のウイグル族が多い新疆省を調査した。省南部のホータンはウイグル医学が最もよく残っている地区であるが、この伝統医学はアラビア医学の系列に属するものであることが薬物とその呼称から明らかである。この3年間には、各地で収集した薬用植物に関する天然物化学的研究や品質評価研究についても解析を進め、これまでに13報を報告している。
著者
榊 純一 坂本 静生 矢野 博司 神田 宰 塩原 守人 助川 寛 磯部 義明 春山 智 村田 伸一 吉澤 正浩 平野 誠治 室田 秀樹 瀬戸 哲司 松中 耕二 山越 学 西尾 太 林 義昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.374, pp.51-56, 2005-10-20
被引用文献数
2

まもなく旅券(パスポート)にコンタクトレスICが搭載されようとしている.またこのICチップ上には, 本人認証を行うためのバイオメトリクスデータ, 顔画像が記録されることとなっている.本稿では, このIC旅券導入にあたっての経緯について簡単に照会すると共に, 日本において発給を開始するにあたって, IC旅券調査委員会が実施した調査検討の中から, 特に, (1)顔認証技術適用を前提とした旅券写真に関する技術的妥当性評価と, (2)IC旅券有効期間中の加齢に伴う顔認証精度評価の二点について述べる.
著者
谷津 實 佐藤 光寛 小林 仁 大澤 健司 居在家 義昭
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第105回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.226, 2012 (Released:2012-09-04)

【目的】蔵王キツネ村で飼育しているキツネには個体管理をするために、2011年から約200頭の全頭にマイクロチップを装着している。このキツネ群を安定的に維持するには、個体情報や血縁情報に基づく計画的な交配が必要である。我々は、これまでに電気伝導度の変化を指標とした雌キツネの交配適期の判定法(第104回日本繁殖生物学会)や電気刺激射精器を用いた雄キツネからの採精条件(第18回日本野生動物医学会大会)について明らかにしてきた。今回は、この方法を用いて採精した後の精液性状と凍結保存法、凍結精液を用いた人工受精後の分娩率について検討した。【方法】2012年1月~3月にかけて電気刺激射精器を用いて、延べ18頭から採精した。この内、生存精子が得られた延べ13頭について、EDTAをベースとした凍結保存試作液(EDTA-S)とウシ用凍結保存液(Cow-S)を用いて、精子数5×107/0.5mlストローに調整し、凍結保存した。Cow-Sで凍結融解した精液を10頭に人工授精、その後の分娩率について調べた。【結果及び考察】延べ13頭の精液量は100μl~500μlで、その平均は280.0±117.9μlであった。平均精子数7.8±1.8×108/ml, 総精子数は平均2.1±0.7×108であった。精子生存指数は43.8~95.8、平均83.6±16.6であった。凍結融解後の精子生存指数はEDTA-Sで2.1±2.5、Cow-Sで41.9±9.3であり、Cow-Sで有意(P
著者
津田 祥平 中川 佳織 大山 俊幸 高橋 昭雄 岡部 義昭 香川 博之 山田 真治 岡部 洋治
出版者
Japan Thermosetting Plastics Industry Association
雑誌
ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.75-83, 2010
被引用文献数
1

相分離変換システム法により,天然リグニンから精密な分子設計の下に誘導されるリグニン系新素材であるバイオマス由来リグノフェノールのエポキシ樹脂硬化剤への適用可能性を検討した。エポキシ樹脂としてビスフェノールA ジグリシジルエーテル(DGEBA),硬化剤としてリグノフェノール(LP),硬化促進剤として1- シアノエチル-2- エチル-4- メチルイミダゾール(2E4MZ-CN)を用い,エポキシ基と水酸基の当量比を1:0.9 とした系において,硬化物のガラス転移温度が198℃を示し,石油由来のフェノールノボラック(PN)を硬化剤とした硬化物を約60℃上回った。さらに5% 熱重量減少温度も373℃と熱的に安定であった。FT IR 測定において,910cm<sup>-1 </sup>のエポキシ基由来の吸収帯が消失していることから,LP の水酸基がDGEBA のエポキシ基と十分に反応していることが観察された。また硬化物の動的粘弾性試験(DVA)から,PN 硬化物と比較して,室温での貯蔵弾性率の上昇,および架橋密度の上昇が観察された。以上の結果より,リグノフェノールはエポキシ樹脂の硬化剤として適用可能であり,最大で49% のリグノフェノールを含むエポキシ樹脂硬化物が作製できることが示された。
著者
吉井 千春 森本 泰夫 二階堂 義彦 田尾 義昭 津田 徹 永田 忍彦 城戸 優光
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.917-923, 1993
被引用文献数
3

rG-CSFは, 白血球数最低値を底上げし, 白血球数減少期間の短縮が期待される薬剤として, 肺癌化学療法での併用が定着しつつある. しかし, どの時点からの投与開始が最適であるかの検討は十分にされていない. 今回我々は, 3つの化学療法レジメン (3日間) で, 投与開始時期により4群 (A群: rG-CSF非投与, B群: 白血球数2000/mm<SUP>3</SUP>以下からの開始, C群: day2からの開始, D群: day5からの開始) に分け, r G-CSFを2μg/kg皮下注して, 各群の白血球数最低値と白血球減少期間を比較した. この結果, D群は全例で白血球数最低値が2000/mm<SUP>3</SUP>以上になり, A群と比べ有意に最低値が底上げされた. またB, C群は同一症例で同一レジメンの比較で白血球数減少期間の短縮傾向を認めた. この結果から, 今回行った化学療法レジメンでは白血球数最低値を確実に底上げする目的ならば, day5からの投与開始が最も有用と思われた.
著者
松浦 義昭 植田 千春 小林 健一
出版者
一般社団法人日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
no.103, pp.28-41, 1982-12-25

We have developed a very low power consumption lOOnA IC for analog quartz watch, using the current control system. As the reference voltage for the current source, we have used a circuit in which the threshold voltage of the depletion and enhancement MOS transistors and their ratio of conductance coefficient are used. For the current source, we have used the current saturation characteristic of MOS transistor. Further, this IC features excellent electrical characteristics, stable temperature characteristics and high yield, due to the CMOS Al gate process in which thin gate oxide is used.
著者
垣野 義昭 谷口 博之 安井 誠 上杉 憲一
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.239-244, 1982-02-05
被引用文献数
3

工作機械の真直度誤差と直線運動誤差を測定する方法について研究した結果, 次のことがわかった.1)形状誤差の既知なストレートエッジマスタを5つの電気マイクロメータピックアップでトレースすることにより, 直線運動誤差の5つの成分を同時に精度良く測定することができる.2)ストレートエッジマスタの形状誤差が未知な場合には, 3点法による測定とデータ処理を行えば, ストレートエッジマスタの形状誤差と直線運動誤差を同時に精度良く測定できる.ただしこり場合には9個のピックアップを必要とする.3)測定した立てフライス盤については加工精度に直接関係する真直度誤差は500mmの測定範囲で3μmと小さかったが, 姿勢の変化は80μm/mと大きかった.
著者
藏澄 美仁 土川 忠浩 近藤 恵美 石井 仁 深川 健太 大和 義昭 飛田 国人 安藤 由佳 松原 斎樹 堀越 哲美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.115-127, 2012-11
参考文献数
55
被引用文献数
1

本研究の目的は、屋外環境における至適温熱環境の範囲を提案することである。実験は、夏季と冬季の屋外温熱環境における人体の生理的・心理的反応を求める実測を被験者38名を用いておこなった。延べ実測数は906であった。ETFeと人体の生理的・心理的反応との関係を明確にした。得られた知見を以下に示す。暑くもなく寒くもない温熱的に中立な温冷感申告をすると考えられる夏季のETFeは31.6℃、冬季のETFeは36.0℃を得た。季節により温冷感申告の評価に違いが示され、夏季の場合と比較して冬季の場合の方がETFeに対する傾きが大きくなり、暑さに対する反応よりも寒さに対する反応が強くなる傾向を明らかにした。快でもなく不快でもない快適感申告をする寒い側の温冷感申告値は44.7、暑い側の温冷感申告値は55.1を得た。この条件を快適温熱環境範囲としてETFeと温冷感申告値との関係から快適なETFeの範囲を求めると、ETFeが31.6〜38.5℃を得た。
著者
新藤 義昭 松田 洋 鈴木 誠史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2782-2796, 2002-08-15
被引用文献数
6

情報処理演習室での質疑応答コミュニケーション用に開発したCyber Teaching Assistant(CTA)というCG-Animationシステムと,そのシナリオを記述するハイパーテキスト言語CPSL(Cyber Person Scenario Language)について述べる.CTAは,受講者からの質問が殺到したとき,人間型3DCGモデル(Cyber Person)を回答代行者としたCG-Animationを提示するシステムで,CPSL BrowserとCTA Starterで構成される.CPSL Browserは各々の受講者側PCで別個に動作する.CTAのシナリオはCPSLで記述し,ネットワークサーバに格納する.講師は受講者の画面を見て,CTAのシナリオで質問に回答できると判断したときは,シナリオを指定して質問者のCTAを遠隔起動する.CTAは,シナリオに従って必要な舞台や小道具を設定し,顔表情を変えたり体演技したりしながら台詞を音声合成で読み上げて質問に回答する.CPSLは,非専門家でも低コストでCG-Animationを制作できることを目標に開発したハイパーテキスト言語で,HTML言語に類似した文法と簡単な平文表記で制作できる.本論文では,CPSLの機能とCTAのシナリオの制作技法を述べ,従来の技法によるCG-Animationの制作コストとの比較実験を行いCPSLの有効性を確認した.This Paper describes CG-Animation system named Cyber Teaching Assistant (CTA), developed for new type communication between Teacher and Students in the Computer Seminar Room and Animation Scenario Language named CPSL (Cyber Person Scenario Language). CTA is a Cyber Person Animation system based on 3DCG technology, which includes CPSL Browser and CTA Starter. CPSL Browser is installed in each student's PC. CTA's Scenario files are written by CPSL and they are saved in the network file server. When teacher detects the student's question or help request and if student's difficult situation would be resolved by the CTA Scenario, he can start the CTA with appropriate scenario by using CTA Starter. CTA sets up the stage and properties and reads aloud the Japanese text by Voice Synthesizer with Facial Expression and plays specified body Action according to the Animation Scenario. CPSL is a Script Language similar to the HTML Language to produce the Animation Scenario by a low cost even for a non-expert. This paper describes a function of CPSL and production technique of a scenario of CTA. In addition, we did a comparison experiment with a production cost of CG Animation by conventional technique and confirmed the effectiveness of CPSL.
著者
日野 英忠 古橋 紀久 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.106-110, 1989-04-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

頭部X線CTにより診断した前脈絡叢動脈領域梗塞7症例について臨床的検討を行った.神経症状として片麻痺, 半身感覚鈍麻, 半盲の三主要徴候のほか, 全例に著明な自発性低下, 記銘力障害を急性期に認めた.これらの発現機序として, 視床障害の関与を推察した.また見当識障害, 失計算も多くみられ, さらに大脳皮質症状である半側視空間失認, 病態失認も認められた.CT所見は特徴的な内包後脚全域の低吸収域のみならず, 外側膝状体に及ぶ病変も多くみられたが, 視床, 側頭葉, 中脳などのその他の灌流域での異常は認められなかった.脳血管写上, 多くの症例では本血管の主幹部または分岐部内頚動脈での狭窄所見を認めた.脳梗塞発症の原因として脳動脈瘤クリッピング, 高血圧症があげられる.その他蛋白同化ステロイド薬使用後, 再生不良性貧血, 妊娠中の発症があり, さらに性交を契機とした例もみられた.
著者
時本 義昭
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学社会学部紀要 (ISSN:0919116X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.33-46, 2013-11-15