著者
藤村 諭史 釜﨑 大志郎 末永 拓也 吉田 禄彦 森永 秀和 大田尾 浩
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-34, 2023 (Released:2023-10-26)
参考文献数
18

[目的]本研究は,若年者のアーチ高率と歩行速度の関係を検討することを目的とした。[対象]対象者は,健常若年者67名(19± 1歳,男性64%)とした。[方法]基本情報として性別,年齢,身長,体重,body mass index を記録した。身体機能は,最大歩行速度,アーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力を測定した。まず,各測定項目の相関をPearsonの相関分析で検討した。次に,最大歩行速度を従属変数とした重回帰分析を行った。[結果]最大歩行速度はアーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力と有意な相関関係を示した。さらに,重回帰分析の結果,最大歩行速度にはアーチ高率が関係することが明らかになった(標準化係数:−0.36,p=0.016)。[結語]アーチ高率の低下は,若年者の最大歩行速度を上昇させる要因である可能性が示唆された。
著者
面高 俊介 遠藤 英徳 藤村 幹 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.81-86, 2022 (Released:2022-02-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1

未破裂脳動脈瘤診断に伴う治療方針決定の際には破裂高リスク状態の動脈瘤をいかに捉えるかが重要となるが, 動脈瘤の発生から破裂までの経時変化は多岐にわたり予測が難しい. 近年MRIを用いた血管壁イメージング (VWI) が普及し瘤壁造影効果の評価が可能となりその役割に注目が集まっている. VWIにおける瘤壁造影効果は2013年に破裂瘤の, 2014年には破裂リスクを伴う未破裂動脈瘤の特徴として初期の報告がなされ, その後これらを支持する多くの報告があり現在に至っている. VWIは瘤壁の炎症を画像化する新たなmodalityとして動脈瘤診断における有用性が期待されておりさらなるエビデンスの蓄積が求められる.
著者
石岡 学 藤村 達也 佐川 宏迪 日高 利泰
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

青春が大衆化しそのあり方が変容していった高度経済成長期において、青春はどのように表象されたのか。そしてそのイメージは、現実にその時期に青年期を送った者たちの青春のありようにどのような影響を与えたのか。本研究では、この問題を総合的に明らかにすることを目的とする。イメージ構築については、ポピュラーカルチャー(映画・TVドラマ・流行歌・マンガなど)において青春がどのように描かれたのかを分析する。実態的側面については、受験雑誌・人生雑誌・学校文集・手記などの分析を通して、多様な立場に身を置く若者たちの残した語りから、彼ら・彼女らが自身の青春をどう認識し意味づけたのかを明らかにする。
著者
藤村 治夫
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.101-112, 1970-02-10 (Released:2010-06-30)
参考文献数
10

1. 錦川上流域, 錦町付近に生息するアマゴについて得られた標本を調査し, その分布, 成長, 成熟およびアマゴ, 降海型アマゴ, 溯河マスの相互関係を明らかにした。2. 鱗による年令査定の結果, 年令の形成完了時期は11-12月で, 無輪のものは当才魚1輪のものは2年魚, 2輪のものは3年魚である。3. 降海型アマゴおよび溯河マスの各部形態, 鱗の形状および朱点を有する点でアマゴと差が認め難い。従ってこれら三者の関係は早栗によるサクラマスとヤマメの関係同様で, 溯河マス, アマゴの雌雄から降海型アマゴおよびアマゴがそれぞれ出現するものと考えられる。溯河マスは大島のビワマスの降海型と一致する。4. 降海型アマゴは満1年経過後の12-3月に産卵生息域である支流から錦川本流に降河し, 体表が銀白化する。このアマゴは5-7月に錦町付近に溯上しマスと呼ばれる。降河と溯河の時期から考えると海中生活の期間は2-3ケ月である。アマゴでも降下, 溯上は見られるが, 海までは降下しないと思われる。5. アマゴの成長は満1年で最大尾叉長16.3cm, 満2年で20cm, 2年6ケ月で24.0cmである。降海型アマゴでは満1年2ケ月で18cm, 1年8ケ月で30cmでニジマスより優れた成長を示す。6. アマゴならびに溯河マスの成熟は雌雄とも満2年であり, アマゴの雄では満1年で成熟するものもある。7. アマゴでは雌雄とも産卵放精後生き残るものがある。
著者
藤村 淑子 大野 静枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.210-215, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

衣服のゆとり量を求めるために, 体操によって生じた体表面の最大変化量を, できるだけ正確にかつ迅速に, また被験者に疲労を与えずに測定する方法として, 伸縮性P. S.を全身に着用させ, 動作の変化量をP.S.に縫い込んだ未延伸糸から求める方法を考え, 以下の結果を得た.1) 皮膚の伸びと未延伸糸の伸びとの間には, γ=0.996の有意な相関性があり, 測定法としてきわめて有効であった.2) 体表面の面積変化量は, 部位によって異なり, 大きく変化する部位, 少ない部位, 微小に変化する部位に区分された.体幹前面では胸部より腹部の変化量が大で, 側方に向かうに従ってさらに大きく変化する. 後面は肩甲骨上, 胸囲線付近の変化が大きく, 肩関節の移動が大きく影響していることがわかる. また, 股関節部では臀溝上のみに限られた. 下肢部は膝関節部を除き一般には変化量は少ない.3) Vervaeck Indexと各基準線の変化量との関係は, 指数の大きいものほど大きくなり, 脂肪が沈着する腰部では顕著にあらわれた.4) 本実験から得られた体幹部の平面展開図と静止時体表面展開図との間には, 面積変化がよこ方向よりたて方向に顕著にあらわれた. 両者の面積差は, 363.2cm2であり, この値は体操に必要な最低面積ゆとり量といえる. また, 文化式パターンと比較すると, その差は25.9cm2できわめて少なく, 運動に要する最低ゆとり量の必要量からみて, わずかに7%しか満たしていないことがわかった.以上, ゆとり量を体表面との面積変化量から求め, 着衣実験を通して, 各部位に必要なゆとり量について考察してきたが, その結果から, 被服設計上, 次のようなことがいえる. すなわち, 下着など伸縮性布地に対して動作時に要求される変形量は, 面積変化量の最大値を容易にとりうるような材質であることが望ましく, また織物を素材に設計する場合は, 面積拡大率の大きな部位にゆとりを配置するように工夫する必要があろう. 一般に, 人間の動作から生じる体表面の変化量は, よこ方向よりたて方向に多くあらわれることが確認され, それに追従するためには図6に示すようなたて方向のゆとりが必要になる. このたて方向のゆとりを, よこ方向のゆとりにどこまで置換できるかを問題にするのが被服デザインということになる. この解決法として, 従来から, ゆるみ量がよこ方向にとられているわけである. なお, 本研究は, 皮膚の表面積の変化量そのものに限ったゆとり量として求めたものであり, 実際の着衣時における衣服地と皮膚とのずれがゆとり量の許容を排除することについては考慮しておらず, この点は今後の問題として考えていく予定である.
著者
藤村 和男
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.12, no.57, pp.57-62, 1948-12-20 (Released:2009-02-26)
被引用文献数
1 1

Turdus celaenops is a distinct species of thrush confined to the Seven Islands of Izu except Torishima. Its visit to the main island was recorded on five occasions. T. dissimilis of Burma and Yunnan, T. seebohmi of Borneo, T. obsourus, T. hortulorum and T. chrysolaus of the Palacarctic region are considered near relatives to T. celaenops. It is suggested that celaenops, chrysolaus, obscurus and dissimilis were derived from a same ancestral stock on the Asiatic continent and since the arrival of one strain to the Seven Islands, through selections and mutations, the present form, celaenops, was developed. Because the general resemblance in the plumage and the wing formula, celaenops is nearest related to chrysolaus.Yakushimensis, the only known subspecies in Yakushima, is not considered valid and; as these subspecies have been taken only in October, Yakushima birds were probably migrants from the Seven Islands. Parallel cases are phylloscopus occipitalis ijimae and Luscinia akahige tanensis, the Seven Islands breeding subspecies which are known to winter in Yakushima and further south to the Ryukyu Islands.
著者
藤村 正之 二方 龍紀 石田 健太郎 玉置 佑介 フングン ユウ
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

時間配分は、生活の質の向上とも関連して、日常生活のみならずライフスタイルや社会心理と相互に規定しあう重要な社会学的な事象である。本研究では、(1)基礎的な文献研究、(2)家計・消費行動に関する2次データの分析、(3)生活時間と生活の質の関連に関する調査票調査の実施・分析を行った。実証研究から、24時間の基本配分としての仕事と家事、それに影響する性別・家族構成・就業状態、その残余として諸行動が派生するという構造が確認された。

1 0 0 0 煩悶記

著者
藤村操著 [岩本無縫編]
出版者
也奈義書房
巻号頁・発行日
1907
著者
松村 剛 齊藤 利雄 藤村 晴俊 佐古田 三郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.211-217, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
18
被引用文献数
20 22

呼吸管理や心筋保護治療により,Duchenne型筋ジストロフィーの生命予後はいちじるしく改善したが,心機能障害の遷延により循環動態の脆弱性が課題となる.われわれは,最近心機能指標が比較的保たれたまま腎不全で死亡した症例を6例経験し,本症における腎機能障害に関心を抱いた.筋萎縮症例ではcreatinineが低下するため,筋量に影響されないcystatin CをもちいてDMD 103例を評価したところ,30歳以上の患者では3割以上が異常値を示し,貧血と腎機能障害の関連も示唆された.本症の医療管理では心腎貧血連関に留意すべきで,適切な水分バランスや貧血に対する積極的治療などが必要と思われる.
著者
墓本 晃一 藤村 裕一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.121-128, 2021 (Released:2021-10-24)

高校生に対し,性の多様性に関して集団面接を行ったところ,多様性を包摂する社会の創出に向けた取組に肯定的であり,一見すると寛容に見えるものの,当事者意識や想像力の欠如等から,無言の抑圧や無関心さが潜んでいることが示唆された.さらに,同性愛やトランスジェンダー,なかでも,トランスジェンダー女性へのフォビア(嫌悪)が,性別を問わず強く示されるなど,無意識に内在化しているフォビアの実態が明らかとなった.
著者
遠藤 英徳 藤村 幹 松本 康史 遠藤 俊毅 佐藤 健一 新妻 邦泰 井上 敬 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.514-521, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
34

頚動脈狭窄症に対する外科治療の是非に関して, これまで数多くのランダム化比較試験 (RCT) が行われてきた. 古くは, 内膜剝離術 (CEA) と内科治療を比較したRCT, その後CEAと頚動脈ステント留置術 (CAS) を比較したRCTが行われ, その結果に基づいて治療ガイドラインが作成された. 症候性高度狭窄に対してはCEAもしくはCASの有効性が示されているが, 内科治療が発展した現在においては, 無症候性病変に対する外科治療の有効性検証が課題である. 今後は, 外科治療の危険因子を抽出し, 治療対象を明確化していく必要があるとともに, 術者教育環境を整え, 治療成績の維持・向上に努める必要がある.
著者
山口 栄一 水上 慎士 藤村 修三
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.30-44, 2000 (Released:2022-07-27)
被引用文献数
5

技術創造の方法論として,基礎研究から開発に至る線形モデルは衰退し,技術と科学とのフィードバック・ループによるモデルの有効性が高まってきた.そのため「実行情報」の担い手の共鳴場を作ることが急務の課題であり,大学等の研究施設を企業に開放するなど研究者の地域的集積を図る必要がある.公的な研究支援では,研究主体とは独立し自己革新の契機をもった目標設定と評価の主体が不可欠である.
著者
佐野 洋 藤村 知子 林 俊成 芝野 耕司
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.119-125, 2004

社会基盤として情報環境が整備され,情報ネットワークを活用した教育(e-Learning)環境が近年,急速に充実してきた。e-Learningは,教育に新しい可能性を開くものでもある。本稿では,東京外国語大学・留学生日本語教育センターと同大・情報処理センターが共同事業で開発を進めている初級学習者向け日本語e-Learning教材の開発について述べる。本学・留学生日本語教育センターは,日本語教育需要の拡大に伴う日本語学習ニーズの多様化に応じるため日本語教育プログラムの高度化を進めている。その中でe-Learning導入が発想され,本学・情報処理センターとの共同で日本語e-Learning環境の開発が行われている。新しい教育形態として加わるe-Learning用の教材開発では,現状課題の分析とe-Learning化の要件定義を行った上で,既存の日本語教科書・教材内容を整理し,電子化を実施した。既存教材のe-Learning化だけでなく,インタフェース・デザインを含むシナリオ作成を伴う自習教材の統合的な追加と,海外からの利用に対応する多言語化が本教材の特徴である。
著者
石橋 優美 藤村 宣之
出版者
日本家政学会児童学部会
雑誌
児童学研究 (ISSN:24344508)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.51-61, 2020 (Released:2022-02-24)

This present study examined how interventions based on students’ prior knowledge facilitates their conceptual understanding. Individual experiments were conducted on seventh graders (N=39 in Experiment 1; N=38 in Experiment 2), and they solved some problems about oxidation reaction in 3 sessions: pre-test, intervention (2 conditions: experimental or control), and post-test. In Experiment 1, students’ in experimental condition reasoned condition of a thing through time using pictures. On the other hand, students’ in control condition were showed a thing in pictures. The results indicated that (a) three levels were identified, (b) the experimental condition facilitated the understanding, and (c) understanding deepening in the intervention were related to that in the post-test. The purpose of Experiment 2 was to investigate the intervention of Experiment 1, and a real thing was used in place of pictures. The results showed that (a) the experimental condition facilitated the understanding, (b) understanding deepening in the intervention was related to that in the post-test, and (c) Experiment 2 had the more effect on the understanding than Experiment 1.
著者
野呂 文行 藤村 愛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.71-82, 2002-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
10

注意欠陥・多動性障害児童の授業準備行動の改善に関して、機能的アセスメントとそれに基づく介入方法の効果を検討した。機能的アセスメントは、教師に対するインタビューと教室内での直接観察によって収集された情報に基づいて実施された。このアセスメントから作成された介入案は、教室内で適用する前に大学相談室にて機能的分析が試みられた。アセスメントに基づいて担任教師に対して提案された介入案は、1)授業準備に関する個別指示、2)授業準備の遂行に対するトークンの提示であった。トークン表は担任教師により1週間に1回の割合で大学相談室に送付され、その結果に基づいてバックアップ強化子が対象児童に対して提示された。これらの手続きが実行されることで、対象児童の授業準備行動において改善が示された。この結果から、注意欠陥・多動性障害児童が教室内での示す行動問題に対して、機能的アセスメントの利用が有効であることが示唆された。