著者
金子 隆之 清水 智 板谷 徹丸
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.p299-332, 1991-06
被引用文献数
5

信越高原は,中部日本北東部に位置する.この地域には数多くの第四紀火山が,第三紀の火山岩を基盤に密に分布し,浅間火山から北へ約70Kmに渡って南北の火山列をつくる.このような新旧の火山岩が複雑に分布する地域では正確な時代区分を行うことが難しく,個々の火山に至っては,形成史がほとんど解明されていないものも多い.本論では, K-Ar年代測定を行った55個のサンプルの産地,岩石について記載し,得られた年代値と,現時までに公表されている地質図,層序関係を総合的に検討することによって,各火山の活動年代,形成史を明らかにすることを試みた。各火山の推定された活動年代は以下の通りである.関田火山:1.7-1.2 Ma,毛無火山:1.6-1.0 Ma,班尾火山:0.7-0.6 Ma,鳥甲火山:0.9-0.7 Ma,苗場火山: 0.6-0.2 Ma,カヤノ平火山:1.5-0.7 Ma,高社火山:0.3-0.2 Ma.焼額火山: 1.1-0.8 Ma,東舘火山:0.9 Ma前後,志賀火山:0.25-0.05 Ma,横手火山:0.7前後,草津白根火山:0.6-0.0 Ma,御飯火山:1.1 Ma前後,四阿火山:0.9?-0.4 Ma,烏帽子火山:0.4-0.2 Ma,浅間火山:0.1-0.0 Ma,鼻曲火山:1.1-0.7 Ma.Seventeen Quaternary volcanoes are distributed in the Shin-etsu highland area situated in the north-eastern part of central Japan. They occur forming a volcanic chain (about 70km) from the Asama volcano in the south to the Sekita volcano in the north, and convering the Tertiary volcanics. In the southern area, geological approaches in field have been unsuccessful both in distinguishing the Quaternary volcanic edifice and the basement volcanics and in revealing their ages of volcanic activity.
著者
鈴木 重晴 嶋村 則人 関谷 徹治
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

聴覚神経系のなかでも、蝸牛神経(cochlear nerve, auditory nerve)は外力に対して極めて脆弱である。このことは、交通事故や労災事故後に経験される外傷性聴覚障害の一部が蝸牛神経損傷によって生じることによっても示されている。一方、脳神経外科の小脳橋角部手術では、蝸牛神経に直接的に外力が及ぶことがある。これによって、蝸牛神経変性が起こり、結果的に外傷性聴覚障害を生じる。このような手術合併症防止の重要性は、広く脳神経外科医には認識されてきた。そして、聴覚誘発電位の一つである聴性脳幹反応を術中に記録することによって、その波形変化から不可逆的な蝸牛神経損傷の発生を未然に防ごうとする試みがなされている。この神経保護手法の臨床的有効性は確立しているが、聴性脳幹反応の術中変化の判定基準は、これまでほとんどV波潜時の延長所見によってのみなされてきた。しかし、潜時のみではなく、V波の振幅の変化に着目して術中モニタリングを行う方が、より鋭敏に蝸牛神経に生じる変化を捉えうるのではないかという指摘もなされてきた。本研究は、上記のような背景のもとに、我々が確立した定量的蝸牛神経変性モデルに基づいて、聴性脳幹反応術中モニタリングにおけるV波振幅変化の意義について検討したものである。我々の本研究の結果は下記であった。すなわち、聴性脳幹反応を脳神経外科手術時の術中モニタリング法として使用するとき、その潜時変化によって不可逆的蝸牛神経損傷の発生を未然に防ぐことは可能である。しかし、これに加えてV波の振幅変化に着目することによって、さらに鋭敏な術中モニタリングが可能となることが証明された。この結果はこれまでにないものであり、蝸牛神経変性防止上、新たな研究成果であったと言える。
著者
岡内 博 清水 智治 谷 徹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.2280-2284, 2011 (Released:2012-03-25)
参考文献数
25

症例は58歳,男性.9カ月前に胃石落下による小腸閉塞に対し開腹下に胃石摘出術を受けている.今回,腹痛,嘔吐を訴えて受診となった.精査,既往より再発胃石による小腸閉塞と診断し,開腹手術を行った.胃内に2個,Bauhin弁より90cmの部位に1個可動性のある硬い構造物を触知し,黒褐色の異物を摘出した.大きさはそれぞれ5.5×4.5cm,5.5×4cmおよび4.5×4cmであった.結石分析では成分の特定には至らなかった.落下胃石による腸閉塞は比較的まれな疾患であり,その中でも再発症例は極めてまれである.本邦では,本症例を含めて2例しか報告されていない.さらに自験例ではビールとトマトジュースのカクテルの大量摂取という特殊な嗜好が,胃石生成に関与していると考えられた.本疾患の術後には胃石の生成原因と考えられる因子を取り除き,再発を念頭に置き術後の定期的な経過観察を行うことが重要であると考えられた.
著者
森本 千佳子 松尾谷 徹
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2016 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.172-183, 2016 (Released:2017-07-01)

本論文は、チームの協業状態を把握する方法の試行結果を報告するものである。特に近年ではダイバーシティの進展により様々なバックグラウンドを持つメンバーとの協業が増えている。効果的にチームビルディングを行うことの重要性は実社会では理解されているものの、客観的にチーム状態を把握するのは難しく、実務の場面ではプロセス審査場面や職場観察などで行われるのが一般的である。本研究では、経済学の分野で所得格差の把握に用いられるローレンツ理論のジニ係数をチームの協業状態を把握するチーム貢献係数として応用し、複数のソフトウエア開発チームの協業状態を比較した。その結果、チーム貢献係数によってチーム協業状態の差異が把握できたことを報告する。
著者
石川 卓哉 鈴木 孝 篠田 昌孝 高士 ひとみ 山口 晴雄 鈴木 貴久 三宅 忍幸 神谷 徹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.1050-1054, 2006 (Released:2006-09-05)
参考文献数
11

症例は43歳,男性.不明熱のため当院入院.腹部超音波検査で,脾臓に多数の低エコー病変,腹部CT検査で肝臓,脾臓に多発結節状の低吸収域を認めた.猫を1匹飼っており,Bartonella henselae抗体を測定したところ高値を示し,ネコひっかき病と診断した.本症はまれな疾患と考えられるが,肝臓,脾臓に多発性腫瘤を認める不明熱をみた場合,鑑別として本症の可能性を念頭において診断をすすめることが重要と考えられた.
著者
井上 晶子 谷山 貴一 石田 麻依子 小川 さおり 湯川 譲治 澁谷 徹 INOUE AKIKO TANIYAMA KIICHI ISHIDA MAIKO OGAWA SAORI YUKAWA JOJI SHIBUTANI TOHRU
出版者
松本歯科大学学会
雑誌
松本歯学 = Journal of the Matsumoto Dental University Society (ISSN:21887233)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.10-14, 2016-06-30

The purpose of this study is to evaluate the rate of incidence and risk factor of postoperative nausea and vomiting (PONV) in patients who underwent orthognathic surgery. The subjects were 84 patients aged 1₅–₅2 years old (3₇ males and 4₇ females) who underwent orthognathic surgery under general anesthesia in Matsumoto Dental University Hospital from January 2011 to October 2016. The operation methods were sagittal split ramus osteotomy (SSRO) 44 cases, SSRO and Le Fort I osteotomy(Le Fort I)28 cases, SSRO, Le Fort I and genioplasty 6 cases, SSRO and genioplasty 4 cases, Le Fort I and anterior maxillary alveolar osteotomy 1 case, and SSRO, Le Fort I and genioplasty with upper and lower alveolar bone osteotomy 1case. Anesthesia was maintained with nitrous oxide or air in oxygen, sevoflurane or desflurane, remifentanil and fentanyl. The factors investigated were age, gender, minimum alveolar concentration hours (MAC hours), use of nitrous oxide, remifentanil dose, anesthesia time and the type of surgery. Statistical investigation was preformed using logistic regression analysis to confirm the significance between the incidence of PONV and follows; age, gender, MAC hours, use of nitrous oxide, remifentanil dose, anesthesia time and the type of surgery. The rate of incidence in nausea was ₇₇%, and that in vomiting was 3₅%. The incidence of nausea was 4.4 times higher in females than males. The incidence of vomiting was 4.6 times higher in cases with nitrous oxide than those without nitrous oxide.
著者
住田 佳代 五十嵐 芳暢 鳥塚 尚樹 松下 智哉 阿部 香織 青木 幹雄 漆谷 徹郎 山田 弘 大野 泰雄
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.246, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】ジメチルスルホキシド(DMSO)は細胞を用いたアッセイにおいて脂溶性の化合物を添加するときによく用いられる。しかし,DMSOはその濃度が高くなると, 細胞毒性を呈することが知られており,DMSOの細胞に対する種々の影響をよく踏まえておくことが必要である。今回,我々はDMSOがヒト凍結肝細胞の遺伝子発 現に与える影響を検討した。 【方法】1.2x106個のヒト凍結肝細胞を6ウエルプレートに播種し,4時間後に培地交換した後,さらに20時間培養した。0,0.1,0.5,0.75,1,2%(v/v)DMSOを 含む培地に交換し,24時間培養した。細胞播種から48時間後に培地及び細胞の全RNAを回収した。培地内のラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定し,細胞 毒性を評価した。また,HGU133Plus2.0アレイ(アフィメトリックス社,約55,000プローブ搭載)を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い,DMSOの影響を検討した。 【結果】LDH活性を指標とした細胞毒性は,DMSO濃度2%(v/v)まで認められなかった。遺伝子発現データを解析した結果,DMSO濃度0.75%(v/v)において,2倍 以上あるいは1/2以下の発現変動を示した遺伝子数はそれぞれ11個,46個と少なかった。また,薬物代謝酵素の発現への影響を解析した結果,大半の酵素に関して, DMSO濃度0.75%(v/v)までは発現変動の振れ幅が1標準偏差内に収まり,大きな影響は認められなかった。今回得られた結果を総合的に考察すると,少なくとも DMSO濃度0.5%(v/v)までは遺伝子発現データに大きな影響を与えないことが示唆された。現在,ラット初代肝細胞を用いてDMSOの影響を検討中であり,合わせ て報告したい。
著者
花田 伸英 冨田 友幸 阿部 直 片桐 真人 矢那瀬 信雄 山下 えり子 塩谷 茂 吉村 博邦 笠井 潔 亀谷 徹
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.231-234, 1993

Human T-lymphotropic virus type I (HTLV-I) 抗体価が高値を示し, 多発結節性陰影を呈したT細胞性リンパ腫の1例を経験した. 症例は42歳, 男性. 千葉県出身. 昭和63年6月に胆嚢摘出術後, 発熱が持続したため当院受診, HTLV-I抗体価の高値を指摘された. 約8ヵ月後, 胸部X線上多発結節性陰影が出現, 開胸肺生検にてT細胞性リンパ腫と診断された. 文献を検索し得た限りでは肺原発のT細胞性リンパ腫において, 多発結節性陰影を呈した報告例は1例のみであった. また本症例の肺病変はHTLV-I感染との間に関連性があり, Adult T-cell lymphoma の初発の病変と考えられたので報告する.
著者
谷 徹也
出版者
日本史研究会
雑誌
日本史研究 (ISSN:03868850)
巻号頁・発行日
no.617, pp.1-30, 2014-01
著者
本谷 徹 須田 礼仁
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2012-HPC-133, no.30, pp.1-8, 2012-03-19

連立一次方程式の反復解法として広く使われている共役勾配法を大規模に並列化した際に律速となるのは,頻繁に現われる内積計算の通信遅延である.内積計算は計算機全体の集団通信を必要とすることから,大規模なアーキテクチャでの通信遅延は大きくなる.また強スケーリングにおいては計算粒度が小さくなり,通信遅延は相対的が大きくなってしまう困難を抱えている.物理的制約を超えての通信遅延削減は不可能なため,アルゴリズム側のアプローチによる通信遅延の削減が必要とされている.本稿では,共役勾配法の k+1 反復分の内積計算に必要な通信を 1 回で済ませることで集団通信を回避し,通信遅延を削減するk段飛ばし共役勾配法を提案,実装した.
著者
森川 茂廣 来見 良誠 仲 成幸 塩見 尚礼 村山 浩之 村上 耕一郎 Hasnine A. Haque 犬伏 俊郎 谷 徹
出版者
特定非営利活動法人 Microwave Surgery研究会
雑誌
Journal of Microwave Surgery (ISSN:09177728)
巻号頁・発行日
no.29, pp.33-38, 2011

We started microwave ablation therapy of liver tumors under MR image guidance with an open configuration MR scanner. The combination of these two was quite feasible. At the beginning, preparations of MR compatible electrodes and a noise-eliminating filter were required. After the measurements against the noise, microwave irradiation did not disturb MR images and temperature changes could be monitored using MR temperature maps, which were useful for the real-time evaluation of therapeutic effects. In addition, MR temperature maps could be used to investigate the condition of microwave ablation with newly developed instruments and applications. The encounter of microwave ablation with MR imaging made a breakthrough in the image-guided minimally invasive therapy. Further developments of new technologies for therapeutic procedures are expected from this combination.
著者
清水 智治 三宅 亨 北村 直美 遠藤 善裕 谷 徹 谷 眞至
出版者
一般社団法人 日本エンドトキシン・自然免疫研究会
雑誌
エンドトキシン・自然免疫研究 (ISSN:24341177)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-6, 2020 (Released:2020-10-29)
参考文献数
4

Toraymyxin® (Toray Medical Co., Ltd, Tokyo, Japan) has been developed as a direct hemoperfusion column that contains polymyxin B-immobilized fiber to bind endotoxins in the patients’ blood. Toraymyxin was approved by the Japanese National Health Insurance system for the treatment of endotoxemia and septic shock in 1994. We reviewed and analyzed clinical history and evidence of Toraymyxin, and assessed the current status of Toraymyxin use for the treatment of severe sepsis and septic shock. Our review shows that Toraymyxin appeared to be effective in improving hemodynamics and respiratory function in septic shock requiring emergency abdominal surgery. The recent large-scale RCTs could not demonstrate whether prognosis is improved by Toraymyxin. The clinical studies based on large-scale data-base from Japan revealed that Toraymyxin appeared to have a survival benefit in patients with severe condition of septic shock. We also commented on the revised version of health insurance adaptation of Toraymyxin in April, 2020.
著者
三根谷 徹
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.48, pp.13-22, 1965-11-30 (Released:2013-05-23)
参考文献数
14

Though the terminology of the Yfin Ching has been widely used in the studies of Ancient Chinese, it is already proved that the phonemic system on which Yiin Cbing is based is not the same as that of Ancient Chinese, reconstructed through the study of fan-cb'ieb of Cb'ieb Yiin切韵.The writer estimates that Yiin Cbing is a reflex of the tradition of the Buddhists' circle that was different from the Confucianists' standard pronunciation. He attempts a solution of this problem by the peculiar correspondence of the tones in the Sino-Vietnamese as shown on p.16.
著者
沢井 長雄 景山 宗一郎 岡田 利典 板谷 徹丸
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-27, 2001-05-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
27
被引用文献数
1

A large number of epithermal vein-type gold deposits are distributed in the northern-central Kyushu. K-Ar ages were determined for sericite and K-feldspar separated from hydrothermally-altered rocks and quartz-K-feldspar veins, and for quartz-alunite altered rock, which were collected from gold deposits located outside the Beppu-Shimabara Graben, to examine their age of gold mineralization. The results are 2.61±0.06 and 2.74±0.13 Ma in Ogata, 2.48±0.06 and 2.75±0.06 Ma in Kinsei-Hoshino, 3.55±0.12 Ma in Tamarai, 3.59±0.09 and 3.53±0.10 Ma in Asahi, 2.87±0.23 Ma in Magane, 3.54±0.08 Ma in Usa, 3.92±0.09 Ma in Yamaura and 8.05±0.24 Ma in Bajo.Sericite age of Bajo deposit is 8.05 Ma, which is significantly older than those of other deposits. This is due to that relic muscovite of the host granitic rock mixed into the mineral separates to be dated. Newly and previously obtained K-Ar age data revealed that the gold deposits in outside of the Beppu-Shimabara Graben were formed in a period (1.5 million years) between 3.92 Ma and 2.48 Ma in Pliocene and that the gold mineralization occurred immediately after the end of major volcanic activity. The ages also show that the gold mineralization in Pliocene has close relationship with the volcanism.
著者
中西 幸子 中尾 修一 圓谷 徹彦 中川 和寿 西川 征洋 橋口 隆志 藪内 健三 細田 瑳一 田村 光司 石塚 尚子 笠貫 宏 中村 憲司
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.195-206, 1995-12-15
被引用文献数
16

過去16年間に東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所で,心臓カテーテル検査を行って拡張型心筋症と診断された172例(男139例,女33例,平均年齢50±14歳)について,日本全会社生命表(1984〜'85)死亡率および昭和62年年齢別予定疾病入院率・予定手術率を用いて,死亡指数・入院給付指数・手術給付指数を算出した。観察期間は平均4.1±3.3年(最長15.3年)であった。実死亡数は90例で,その死因は,うっ血性心不全が47名(52%),突然死が35名(39%)であった。累積生存率は,5年生存率50±11%(累積生存率±99%信頼区間),10年生存率28±13%,全期間を通じた死亡指数(99%信頼区間)は1701(1239〜2163),入院給付指数は153(117〜189),手術給付指数は159(97〜245)であった。死亡指数は謝絶契約相当の高い値を示し,保険契約をお引受けできないものと考えられた。経過年度別死亡指数では,各年度の死亡指数間に有意差は認められず,いわゆる恒常性の危険に近いものと考えられた。診断年齢別死亡指数では,若年者群と高齢者群との間に有意差(p<0.0001)を認め,若年発症の群ほど予後不良であると考えられた。心臓カテーテル検査(EF・EDVI・PA・CI)データ別死亡指数では,心機能不良群の死亡指数は有意に高かったが,死亡指数が1万を越えるような飛び抜けて高い群は存在しなかった。リビング・ニーズ特約と関係の深い余命6か月判定では,心臓カテーテル検査の数値データによる判定でも難しいものと考えられた。
著者
大野 忠男 谷山 貴一 隅田 佐知 芝 規良 澁谷 徹
出版者
松本歯科大学学会
雑誌
松本歯学 (ISSN:03851613)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.12-15, 2013-06-30

The allergic reactions to drugs are divided into two types ; type I (anaphylactic or fast type) and type IV (delayed type). The anaphylactic type is due to the specific IgE antibody and the reactions occur immediately after the administration of the causal drugs. On the other hand, the delayed type is due to the specific T cell and the reactions are more slowly. We experienced a case who suffered from delayed type allergic reaction twice after dental treatment. At the first time, the patient’s lower firstmolar was extracted under local anesthesia with 3% prilocaine with felypressin and he had acetaminophen for the postoperative pain. At second time, scaling was done under surface anesthesia with COPARON which contains 6% tetracaine hydrochloride. We performed the drug−induced lymphocyte stimulation test ; DLST and the challenge test. It was ascertained from the anamnesis and the results of allergic tests that the causal drugs for the allergic reactions were 3% prilocaine with felypressin and COPARON . 2%lidocaine for surface anesthesia, 2% lidocaine with adrenaline, acetaminophen and cefdinir were safely used.

1 0 0 0 OA 身体と混血

著者
谷 徹
出版者
西田哲学会
雑誌
西田哲学会年報 (ISSN:21881995)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.50-68, 2011 (Released:2020-03-23)

This presentation attempts to show how Nishida’s philosophy and phenomenology relate to each other in terms of the “body” and “history”. Roughly speaking, phenomenology bases itself upon the principle that “what appears, appears”[das Erscheinende erscheint].(This is not a mere tautology.)Contrary to the prevalent view, body and history are central issues for phenomenology. Phenomenology describes how the Erscheinendes is initially accomplished and how it appears as a sense-unity. The medium of this process is the body, and the sense that appears through the process plays in history the role of a signifier of direction. These analyses relate to Nishida’s concept of the “historical body”. In today’s historical situation, bodies encounter other bodies interculturally and become hybridized(not only in the biological sense, but in the sense that intercultural encounters influence the constitutive functions of the body). New things appear, and those who live within the framework of tradition can easily lose their way. The dialogue between Nishida’s philosophy and phenomenology, which has already begun, can expand our view of this new reality.