著者
古本 佳代 近藤 千晶 村尾 信義 前田 憲孝 神田 鉄平 糸井 崇将 古川 敏紀
出版者
一般社団法人 日本動物看護学会
雑誌
Veterinary Nursing (ISSN:21888108)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.43-50, 2020 (Released:2021-08-04)
参考文献数
28

地域猫活動を参考に大学キャンパス内のノラネコの管理に取り組んだ。ノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素について考察するため、個体数、不妊去勢手術済み数、遺棄個体数、新規個体数、譲渡個体数、失踪個体数、死亡個体数、学内教育動物病院への治療依頼数、活動メンバー数、活動経費を算出し分析した。譲渡、失踪、死亡による数の減少が繁殖、新規参入、遺棄による数の増加より上回り、大学キャンパス内のノラネコ数は縮減し、ゼロとなった。管理したノラネコの約半数は失踪あるいは死亡したが、約半数は新しい飼い主に譲渡され、キャンパス内のノラネコ数の縮減に一定の成果を上げることができた。6年間の活動期間中の活動メンバーおよび活動資金は安定的に確保できた。TNR(trap-neuter-return)活動と新しい飼い主への譲渡を組み合わせた取り組みと、活動の効果発揮のための組織作りがノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素となったことが示唆された。
著者
福山 泰広 西山 優太 上野 宥那 依田 信一朗 田村 咲絵 岩田 和也 近藤 佑衣 川原井 晋平 圓尾 拓也
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.199-205, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
14

自壊した皮膚腫瘍(出血,感染,悪臭)は局所腫瘍の進行病変で治療困難なことがある。この治療のためにカルボキシメチルセルロース(CMC)を基剤とした変更Mohsペースト(moM-CMC)1.0を作成したが,保存できないという問題があった。塩化亜鉛 5 g,蒸留水 2.5 ml,CMC 0.75 gを混合し湯煎すると糊状ゾルとなり直ちに使用可能であるとともに3ヶ月保存できた。このmoM-CMC 2.0を犬8頭,猫2頭の自壊した皮膚腫瘤に対して使用した。臨床徴候として全例で自壊に加えて悪臭があり,7頭で出血が認められた。診断は乳腺癌2頭,耳介の肥満細胞腫,口腔扁平上皮癌,皮膚扁平上皮癌,皮膚組織球肉腫が各1頭ずつ,病理検査を行なっていないものは,耳道の腫瘤2頭,乳腺腫瘤,頸部皮膚腫瘤が各1頭であった。塗布すると水分を吸収しゲルとなった。治療時間は中央値30分(幅,10–60分),回数の中央値2回(幅,1–11回),間隔は1週毎,治療期間の中央値2週間(0–20)であった。治療反応は一時的には完全奏功3頭,部分奏功1頭,安定5頭,増大1頭であった。出血は7頭中6頭で改善し,臭いも全例で改善した。合併症として潰瘍部の拡大が4頭で認められ,自傷行為が2頭で認められた。このことから合併症はあるものの保存していたもので直ちに使用が可能であり,自壊した皮膚腫瘍の緩和治療が容易になる可能性がある。
著者
近藤 正一 早瀬 幸彦 麓 和善 若山 滋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.488, pp.203-210, 1996
参考文献数
11

We surveyed "Shinsenju", "Shinsansui", "Ginpa", and the other remained buildings of Nakamura Yukaku, in order to analyze the characteristics of city planning and modern architecture in the age of Taisho to Early Showa which germinate modern urban thought. The urban planning is modernistic although follow basic urban structure of historic Yukaku, in consideration of anti-disaster, hygiene, etc. The floor plan of almost all buildings is typed 3 patterns according to functional matters on urban planning. "Shinsenju" and "Shinsansui" which are Japanese style have adopted western style everywhere, while "Ginpa" which is western style have been sukiya style at the interior.
著者
近藤 高貴
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.43-48,a4, 2003-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15
被引用文献数
2

農業用水系における淡水産貝類について, 定性調査, 定量調査および生態調査の方法を具体的に紹介し, 標本作成法やその保存の仕方と種の同定方法についても簡潔に解説した。さらに, 個々の調査事例について, 資料の解析上の注意点や評価の仕方に関して解説した。
著者
加藤 久美子 近藤 厚生 岡村 菊夫 高羽 秀典
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1501-1505, 1986-09-20
被引用文献数
19

名古屋市内の一企業の女性社員に尿失禁に関するアンケート用紙を配布し,回答の得られた968名(回答率93.3%)を集計した.対象の年齢は17〜69歳で,10〜20代が全体の約7割を占めた.1)尿失禁が現在あるものは全体の8.5%,過去にあったが消失したものは6.7%であった.2)尿失禁保有率は年代と共に増加し,40代をピークとしてその後やや低下した(10代1.5%,20代4.1%,30代17.7%,40代23.9%,50代21.8%,60代20.0%).3)出産回数が多い程,尿失禁保有率は高かった(0回4.3%,1回15.2%,2回24.0%,3回以上34.3%).4)未産婦の尿失禁保有率は,年代と共に上昇した.5)尿失禁の現在ある群の平均体重は,尿失禁の経験のない群より,30代・50代・60代では統計的に有意に重かった.6)尿失禁の誘因はくしゃみ,咳,急がないと間にあわない,なわとび,笑う,精神的緊張,走る,重い物を持つの順に多かった.7)尿失禁の程度は,気にならない73%,濡れると気になって下着を替える22%,時々生理用ナプキンを使う4%であった.8)尿失禁を主訴として医療機関を受診したことのあるものはなかった.本邦の健常女性において,未治療の腹圧性尿失禁が多数存在すると推測された.腹圧性尿失禁の啓蒙に取り組むことが今後の課題になると思われる.
著者
西岡 大輔 近藤 尚己
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2020.002, (Released:2020-02-18)
参考文献数
84
被引用文献数
6

【背景】貧困や孤立等,患者の社会リスクへの対応は医療現場において不可欠とされながら,標準的な手続きや制度はない。対応策としてsocial prescribing(社会的処方)という概念が注目されているが,明確な定義やその効果についてはまとめられていない。そこで第一に,文献レビューにより社会的処方の包括的な定義づけを試みた。第二に,その定義に合う日本の活動をレビューし,日本の医療現場での患者の社会的課題に対応する活動の現状と普及に向けた課題を整理することを目的とした。【方法】(1)Social prescribing等をキーワードに検索し抽出した文献について国や地域・定義・対象・方法・効果等を評価し,社会的処方を包括的に定義づけた。(2)日本の事例を抽出し,活動の現状と普及に向けた課題を整理した。【結果】34文献をレビューした。社会的処方に関する報告は,英国からのものが多数であり,社会的な課題を抱えた患者を医療機関が“link worker”に紹介することや,地域での多様な交流活動等,患者にとって有益な非医療的な社会資源を患者とともにつくっていく活動の紹介やその効果評価の論文であった。医療費削減や救急受診減少の効果を示唆する研究があった。そこで,社会的処方を「医療機関等を起点として,健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,その社会的課題を解決し得る非医療的な社会資源につなげること,またケアの機会となる社会資源を患者とともにつくる活動」と定義した。この定義に合致する活動の報告は日本国内でも観察された。【考察】日本での活動の普及に向けては,活動の効果評価,方法論の標準化,必要なツールの開発,地域資源の開発,保健・医療・介護・福祉・その他の地域の社会資源のネットワークづくりが求められる。また,本研究では英国の“social prescribing”を直訳し社会的処方と表現したが,国内での活動の呼称の検討も必要である。
著者
近藤 敦
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.12_20-12_30, 2009-12-01 (Released:2010-12-06)
参考文献数
43
被引用文献数
1 1
著者
近藤 潤三
出版者
愛知教育大学地域社会システム講座
雑誌
社会科学論集 (ISSN:02885778)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.69-101, 2007-03-20
著者
田島 知郎 石井 明子 石津 和洋 葉梨 智子 近藤 泰理
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.105-112, 2007-03-30 (Released:2008-07-25)
参考文献数
25

ロシアと中国での大規模臨床試験で, 乳房自己検査 (BSE) が無効と結論されたとの理解が広がり, わが国でも戸惑いが続いている。乳癌死リスク低下効果が検証できなかったとされる両研究であるが, BSE発見乳癌はコントロール群よりも早期の傾向で, また指摘すべき問題点が他にもある。まずBSE発見乳癌のサイズであるが, ロシアの研究ではT1以下がわずかであったのに対し, 中国の研究では48.8%で, この両方を一括解釈して, わが国に持ち込むことには疑問がある。また中国の研究では, BSE群とコントロール群との間に背景因子の違い, あるいは試験介入による健康状態への影響による総死亡数の差が約10%もあり, 両群比較の妥当性が問われる。さらに両研究の著者はマンモグラフィの優位性, BSE推奨だけで済まない医療側の責任, BSE普及と精検の費用などの問題も提起しており, 結果的にもBSE自体というよりも乳癌検診のあり方やBSE教示法の方が研究の主な目的であったとも言えよう。これまでの多数の非無作為試験の結果からも, BSE発見乳癌は早期の傾向で, 確実な技法の実践による予後改善が期待される。わが国には視触診, マンモグラフィ, 超音波を検診対象の全女性に, 質を保証して提供できるだけの設備, 専門医, 専門技師がまだ不足している一方で, BSEのメリットを最大限に生かせる素地があり, 乳癌啓発の入り口であり, 他の検査を補完する役割も果たすBSEを手放せない。
著者
白石 朝子 安髙 久美子 木村 恵 鍋島 直美 伊藤 誉人 井手 飛香 近藤 貴子 尾崎 彩子 塚田 順一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.65-70, 2022 (Released:2022-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

COVID-19蔓延下の面会制限で入院療養への影響,患者・家族のニーズの把握は重要である.産業医科大学病院 緩和ケアセンターに紹介された担がん患者,家族(以下,患者家族),当該患者のプライマリーナース(以下,PNs.)を対象とし,無記名自記式の質問紙調査を行った.統計解析にはEZRを用い,p<0.05を有意差ありとした.患者31例(男性9例,女性22例,年齢中央値65歳(30~85歳)),患者家族25例,PNs.26例の回答を得た.「面会制限があることで気持ちが落ち込むことがあるか」という質問では患者よりも有意に患者家族への影響が強かった(p<0.05).面会手段に関しては患者と比較して患者家族は直接面会を希望する傾向にあった(p<0.05).面会制限の影響は患者よりも患者家族に大きく,面会制限下では家族ケア・サポートがより重要であると考えられた.
著者
近藤 廉治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.419-423, 1964-06-15

I.おじろく,おばさ制度 耕地面積の少ない山村では農地の零細化を防ぐために奇妙な家族制度を作つた所があつた。長野県下伊那郡天竜村(飯田の近く)では16-17世紀ごろから長兄だけが結婚して社会生活を営なむが他の同胞は他家に養子になつたり嫁いだりしない限り結婚も許されず,世間との交際も禁じられ,一生涯戸主のために無報酬で働かされ,男は「おじろく」,女は「おばさ」と呼ばれた。家庭内の地位は戸主の妻子以下で,宗門別帳や戸籍簿には「厄介」と書き込まれていた。かかる人間は家族内でも部落内でも文字通りの疎外者で,交際もなく,村祭りにも出ることもなかつた。明治5年には人口2,000人の村に190人の疎外者がいた。昭和35年には男2,女1となつて今や絶滅に瀕しているが,このような社会からの疎外者はどんな人間になつているかを検する機会を得た。
著者
近藤 憲久 福井 大 倉野 翔史 黒澤 春樹
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.63-70, 2012 (Released:2012-07-18)
参考文献数
36

北海道網走郡大空町にある旧大成小学校体育館で,コウモリの出産哺育コロニーが発見された.本コロニーを形成する個体の捕獲を行い,外部形態を精査したところ,乳頭が2対あることからヒメヒナコウモリと同定した.また,8月以降にコロニー周辺で拾得された2個体のコウモリについても,外部並びに頭骨計測値からヒメヒナコウモリと同定した.5回にわたる捕獲調査の結果,本種は6月下旬~7月上旬に出産し,8月上旬には幼獣が飛翔を始めていた.本コロニーを形成する雌成獣は約60頭であった.8月以降は,成獣はほとんどいなくなり,幼獣が大部分(96%)を占めていた.飛翔時の音声構造は,FM-QCF型であり,ピーク周波数の平均値は26.1 kHzであったが,FM成分とQCF成分の比率は飛翔環境によって大きく変化していた.ヒメヒナコウモリのねぐらおよび出産哺育個体群は国内初記録であり,今回の発見により,本種の国内における繁殖・定着が明らかになった.