著者
菅原 広史 近藤 純正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.813-818, 1995-12-31
被引用文献数
7 10

都市の各種地表面について,熱収支モデルを用いて地表面温度と気象条件,地表面のパラメータとの関係について調べた.気象条件では日射量が地表面温度に与える影響は大きく,建物の日陰の地表面温度は日向と比べてかなり低い.一方,気温や大気の比湿は地表面温度にあまり影響を与えないことがわかった.都市と郊外(アスファルト面と芝生面)を比較すると地表面温度には地表面の湿潤度が最も大きな影響を与えている.また地中の熱物理係数は地表面温度の位相,振幅を変化させ,場合によっては日中にクールアイランドが形成される可能性があることを示した.
著者
山村 隆 国下 龍英 大橋 高志 近藤 誉之
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.SSCP法によるT細胞抗原受容体レパトアの解析:T細胞レパトア解析の新しい方法論(RT-PCR-SSCP 法)を導入し、多発性硬化症(MS)の脳病変部位、末梢血の病変部位におけるT細胞を解析した。その結果、1)MSの病変ではかなり限られたクローンの増殖がみられることがわかったが、特定のVベータ鎖の優先使用はなく、Vベータ特異的治療の可能性に疑問を投げかけた。2)MS患者末梢血から樹立したMBP82-102特異的、PLP95-116特異的T細胞クローンを対照において患者末梢血をSSCPで解析したところ、同クローンが体内で持続的に活性化状態にあり、増殖していることがはじめて明らかになった。3)慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチーの末梢神経においてVB11陽性細胞の特異的な浸潤のあることを明らかにした。2.脳炎惹起性T細胞抗原認識機構の解析:ミエリン塩基性蛋白(MBP)特異的脳炎惹起性T細胞の中に、プロテオリピッド蛋白(PLP)を共認識するものをはじめて見いだした。アナログ・ペプチドによる解析の結果、共認識されるMBP89-101およびPLP136-150ペプチドは、I-A^S結合部位を共有するが、T細胞抗原受容体結合残基はそれぞれ異なることがわかった。すなわちTCRは複数のセットの接触残基を利用して活性化されることがわかった。同クローンはPLP95-116、PLP118-135などにも反応し、polyreactive T細胞と命名されるべきである。polyreactive T細胞の各ペプチド・リガンドに対する反応性は異なり、活性化の結果脳炎を誘導できるペプチドはMBP89-101とPLP136-150に限られていた。
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
近藤 公夫 王 敏 日色 真帆 三上 晴久 廣川 美子 川村 政美
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

日本の文化史に1000年前の金色堂に見られる黄金よりも、500年前の銀閣に銀をもって蔽った漆のたたずまいを好ましいかに思う今日の心象、その心象が形成された風景の源流を三内丸山以来の伝統に考えるのは是か非か。あえて日本の赤をめぐる景観の源流として三内丸山の風景をとりあげ、そこに出土した赤漆の色に「日本の赤と中国の赤」に関する調査研究の拡大と深化に係わる発展的な端緒を求めたいと考える。おそらく今日の科学をもってすれば什器に見られる彩文の赤漆について、あるいは同様に出土している黒漆などに関しても、その原色を解明して三内丸山の文化に迫る可能性は考えられよう。そこから四季の自然に恵まれ秋季の紅葉があざやかな東北日本にあって、今も日本民族の心象に伝わる縄文文化に投影された赤の風景を、その植生に見られる景観の変化から考え得るとも思われる。さらには重ねて司馬遼太郎氏がこの地を北のまほろばと記した秋色を思えば、日本の赤についての源流を縄文時代の赤漆と山野の紅葉から妄想した次第について、ひとつの心象的な風景へと思いを致さざる得ない。4000年前以上もの太古に三内丸山社会が見せた情景、遠近の人々を集めた祭祀のにわに赤が演じた風景とは何であったのか。それは後世の神前に舞う乙女達の白衣紅裳とは果たして連なるものか、あるいは東アジア文化に如何なる位置を占め、それは如何なる変遷を経て今日の伝統文化と結ばれ得るのか。それは自然科学から考古学そして歴史学から文化人類学、それぞれの検討を総合した上に新しい展開を今後に期待させる課題に連なるであろう。
著者
近藤 純正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.165-170, 2012-03-31
被引用文献数
2
著者
近藤 拓也 山際 貴志 山中 光司 山本 正信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.247-255, 1997-01-25
被引用文献数
27

これまでの動画像の解析では, 連続する画像間の対応付けに始まり, もっぱら対象の運動パラメータや3次元情報といった物理的・幾何学的情報の抽出が中心課題であった. これに対して, 我々は人間の動作について「上手である」とか「美しい」とかの印象を定量的に把握することを目指している. 本論文ではスキーにおける滑りを取り上げ, 滑りの動画像を解析することにより, 滑りの上手さを判定することを試みた. 実際, 動画像から得られた動作の運動パラメータから, 動作の対称性や滑らかさなど動作の特徴を抽出した. これらの特徴を用いて滑りの上手さを判定することができた. この判定結果は, 同じ動作を観察したときの人間の受ける印象と一致している.
著者
近藤 裕昭 村山 昌平 玉川 一郎 斎藤 琢 菅原 広史 石戸谷 重之 髙根 雄也
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)などによる宇宙からの二酸化炭素(CO2)の監視の究極的な目標は各発生源からの発生量を正確に求めることである。これを逆問題解法により推定するには衛星モニタリングに加えて空間分解能の高い局所CO2輸送モデルの開発が不可欠である。このためのモデル開発とそのために必要なCO2フラックス観測を山間部(岐阜県高山市)と都市(東京)において行った。これらの結果をふまえて改良した局所CO2輸送モデルを用いて観測との比較を行った結果、濃度の日変化の振幅はおおむね一致した。
著者
原 豪志 戸原 玄 近藤 和泉 才藤 栄一 東口 髙志 早坂 信哉 植田 耕一郎 菊谷 武 水口 俊介 安細 敏弘
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.57-65, 2014-10-16 (Released:2014-10-25)
参考文献数
32

経皮内視鏡的胃瘻造設術は,経口摂取が困難な患者に対して有用な栄養摂取方法である。しかしその適応基準はあるが,胃瘻造設後の経口開始基準や抜去基準はない。 われわれは,胃瘻療養中の脳血管障害患者の心身機能と摂食状況を,複数の医療機関にて調査したので報告する。133 名 (男性 72 人,女性 61 人)を対象とし,その平均年齢は77.1±11.3 歳であった。患者の基本情報,Japan Coma Scale (JCS),認知症の程度,Activities of daily living (ADL),口腔衛生状態,構音・発声の状態,気管切開の有無,嚥下内視鏡検査 (Videoendoscopic evaluation of swallowing,以下 VE)前の摂食状況スケール (Eating Status Scale,以下 ESS),VE を用いた誤嚥の有無,VE を用いた結果推奨される ESS (VE 後の ESS),の項目を調査した。 居住形態は在宅と特別養護老人ホームで 61.3%を占め,認知症の程度,ADL は不良な対象者が多かったが,半数以上は口腔衛生状態が良好であった。また,言語障害を有する対象者が多かった。対象者の82.7%は食物形態や姿勢調整で誤嚥を防止することができた。また,VE 前・後の ESS の分布は有意に差を認めた (p<0.01)。胃瘻療養患者に対して退院後の摂食・嚥下のフォローアップを含めた環境整備,嚥下機能評価の重要性が示唆された。
著者
灘本 明代 服部 多栄子 近藤 宏行 沢中 郁夫 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.103-116, 2001-01-15
被引用文献数
35

本論文では,膨大なWeb情報を容易に閲覧することを目的とし,チャンネルを選択するようにWebページを選択し,テレビ番組のような番組を作成し,Watch and Listen型インタフェースを通じて視聴する方式を提案する.受動的視聴とは,これまでテキストや画像で表示されていたコンテンツに代わり,音声やキャラクタアニメーションを用いた番組風コンテンツを作成して見ることである.この番組を作成することを我々は番組化と呼ぶ.これまでのWebブラウザと異なり,番組化においては,時間軸的同期や演出が問題となる.本論文では,この同期と演出に着目し,Webコンテンツの受動的視聴のための番組化の方法として,(1)現在のHTMLベースのWebコンテンツを自動で受動的視聴向けコンテンツに変換する自動変換方式,(2)受動的視聴コンテンツ作成のためのスクリプト作成マークアップ言語を提唱する.This paper proposes a passive Watching-and-Listening approach that makes it easier to view Web information. This approach utilizes a Watching-and-Listening interface that allows the user to choose Web pages in a similar way as we select TV channels, by converting the pages into TV-program-like cartoon animations. During the conversion process, which we refer to as programmization, voice and image-data presentations must be synchronized carefully so that they effectively convey the original information. Moreover, the overall presentation needs to follow a particular presentation structure, such as news and variety shows, in order to improve the familiarity of the program. Our approach solves these issues by developing a novel method of converting HTML documents into programs, and designing a new mark-up language, Scripting-XML (S-XML), which is suitable for describing programs. This paper also addresses the preliminary evaluation results of the current implementation.