著者
中村 美詠子 近藤 今子 久保田 晃生 古川 五百子 鈴木 輝康 中村 晴信 早川 徳香 尾島 俊之 青木 伸雄
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.881-890, 2010

<b>目的</b> 本研究は,児童生徒における「学校に行きたくないとしばしば感じる気持ち」(以下,不登校傾向)の保有状況と自覚症状,生活習慣関連要因との関連を横断的に明らかにすることを目的とする。<br/><b>方法</b> 平成15年11月に小学校 2・4・6 年生,中学校 1 年生,高等学校 1 年生の5,448人と小学生の保護者1,051人を対象として実施された静岡県「子どもの生活実態調査」のデータを用いた。自記式の調査票により,児童,生徒の不登校傾向,自覚症状,生活習慣,および小学生の保護者の生活習慣を把握した。<br/><b>結果</b> 有効な回答が得られた小学生2,675人,中学生940人,高校生1,377人,小学生の保護者659人について分析を行った。不登校傾向は,男子小学生の11.4%,男子中学生の12.1%,男子高校生の25.3%,女子小学生の9.8%,女子中学生の19.6%,女子高校生の35.9%にみられた。不登校傾向を目的変数,自覚症状,生活習慣関連要因をそれぞれ説明変数として,性別,小学(学年を調整)・中学・高校別に,不登校傾向と各要因との関連を多重ロジスティック回帰分析により検討した。男女ともに,小学・中学・高校の全てでオッズ比(OR)が統計学的に有意に高かったのは,活力低下(OR: 3.68~8.22),イライラ感(OR: 3.00~6.30),疲労倦怠感(OR: 3.63~5.10),朝眠くてなかなか起きられない(OR: 1.98~2.69)であり,また強いやせ希望あり(OR: 1.83~2.97)のオッズ比は中学男子(OR: 2.09, 95%信頼区間:0.95–4.60)以外で有意に高かった。一方,小学生において保護者(女性)の生活習慣関連要因と不登校傾向との間に有意な関連はみられなかった。<br/><b>結論</b> 不登校傾向の保有状況は小学生では男女差は明らかではないものの,中高生では女子は男子より高かった。また,不登校傾向は,不登校者においてしばしば観察されるような様々な自覚症状と関連していた。
著者
里見 佳昭 福田 百邦 穂坂 正彦 近藤 猪一郎 吉邑 貞夫 福島 修司 井田 時雄 広川 信 森田 上 古畑 哲彦 熊谷 治巳 塩崎 洋 石塚 栄一 宮井 啓国 仙賀 裕 福岡 洋 佐々木 紘一 公平 昭男 中橋 満
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.853-863, 1988-05-20
被引用文献数
20

1965年1月より1985年12月までの21年間に横浜市立大学病院及びその関連病院に於いて経験した腎癌550例の遠隔成績と予後因子について検討し,次の結論を得た.1. 全症例の生存率は,5年生存率48%,10年生存率36%,15年生存率27%と、術後5年をすぎても長期にわたり死亡する予後不良の癌である.2. 40歳未満の若年者腎癌では術後2年以上経てから死亡する例はなく予後が比較的良好である.3. 予後不良因子としては,発熱,体重減少,食欲不振,全身倦怠などの症状のほか,赤沈亢進,CRP陽性,α_2-globulinの上昇,AL-P上昇,貧血などがあげられた.ツベルクリン反応陰性,LDH上昇,レ線上の腎の石灰化像などは予後不良因子ではなかった.4. 経腰的腎摘除術と経腹的腎摘除術の遠隔成績はほぼ同じであり,症例を選べば手術は経腰的腎摘除術で十分な場合もあると考えた.5. 4分類法のgrade分類は予後を比較的よく反映した.Robsonのstage分類ではstage IとIIの間に差がなく,stage分類法に欠陥あることを指摘した.6. 腎癌にはslow growing typeとrapid growing typeがあり,前者は予後良好であると安心しがちであるが,それは誤りであり,前者は緩慢なる経過を取るだけであり,術後5年経てから転移や死亡症例が多くなり,長期的にはrapid growing typeの症例の生存率に近づくと理解すべきである.
著者
渡辺 久美 近藤 益子 太田 にわ 池田 敏子 前田 真紀子 太田 武夫
出版者
岡山大学医療技術短期大学部
雑誌
岡山大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09174494)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.85-90, 1997-09-10
被引用文献数
2

2週間の特別養護老人ホームの実習前及び実習後の学生の老人イメージを20項目の尺度を用いて調査した。その結果,以下のことが明らかになった。 1. 実習後のイメージの平均得点は,「ユーモアのない」から「ユーモアのある」へ,「生気のない」から「生気のある」へと好ましい方向へ上昇し,一方「経験に富む」,「穏やかな」,「現実的な」は好ましくない方向へ変化した。 2. 3分の1以上の学生が実習後に特にイメージが変化した項目として「ユーモアのない/ユーモアのある」の項目をあげた。 3. 老人像は全体として「暇な」,「弱い」,「孤独な」という否定的な老人イメージと「経験に富む」,「暖かい」という肯定的イメージで捉えられており,このイメージは実習前後で共通していた。実習前後では全体として老人像に大きな変化はなかったものの,実習によって,より活動的な老人イメージを抱き,より現実的に老人をとらえていることが明らかになり,A園での老人看護学実習は教育上意義のある実習であると評価した。This study investigated how nursing students perceived the elderly living in a nursing home for the elderly. Testing was done both before and after they experienced a two-week nursing practice at the nursing home. Three findings were obtained. (1) The students regarded the elderly not only as more humorous and vital but also less experienced, peaceful, and realistic before than after experiencing the practice. (2) Over a third of the students named humorous/not humorous as an item for which they experienced a marked change in image of the elderly. (3) The students generally regarded the elderly as being experienced, warm, bored, weak, and lonely. The findingsindicate that the nursing practice provided the students with an opportunity to form better and realistic images of the elderly.

1 0 0 0 OA 続史籍集覧

著者
近藤瓶城 編
出版者
近藤出版部
巻号頁・発行日
vol.第6冊, 1930
著者
渡辺 賢悟 伊藤 和弥 近藤 邦雄 宮岡 伸一郎
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.58-65, 2010

キャラクタデザインは,ゲームやアニメといったコンテンツ制作において重要な作業である.デザイン作業は複数人のアイデアを,コミュニケーションを介してまとめながら進められるが,絵が描けるデザイナと描けない者の間でアイデアの視覚化の能力に差があるため,アイデアを交換・共有するのが難しい現状がある.本研究では,絵が描けない者のアイデアの視覚化を支援するため,絵画手法の1つであるコラージュに着目する.複数の既存画像から一部分を切り出し,組み合わせるだけの作業で視覚化を行えるシステムを提案する.画像合成処理にPoisson Image Editingを用いることで,高品質なコラージュ結果を実現する.また,合成部品の切り取りを簡単にするため,部品領域の最適化処理を実装する.作成したシステムと,従来のソフトウェアを使用して視覚化した結果を比較し,システムの実用性を検証する.
著者
西村 功 山田 俊一 坂本 光雄 近藤 明洋 小堀 鐸二
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.63, no.505, pp.61-68, 1998
被引用文献数
4 1

Discussed in this paper is the vertical load supporting mechanism of laminated rubber bearings with hollow circular sections. The compressive stiffness of the hollow circular rubber bearings is analytically studied. Key issues discussed in this paper are 1) derivation of the governing equation that determines the compressive stiffness of the device 2) effect of bulk modulus on the compressive stiffness 3) proposition of a simple formula which is close to the rigorous solution. As a result of this analytical study, the compressive stiffness of the rubber bearings is proved to be 20 % smaller than is expected from the commonly used conventional model.
著者
濱田 良樹 飯野 光喜 近藤 壽郎 石井 宏昭 高田 典彦 佐藤 淳一 中島 敏文 村上 夏帆 清水 一 渡邊 英継 黒田 祐子 中村 百々子 瀬戸 皖一
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.286-291, 2000

1994年~1999年の6年間に,鶴見大学歯学部付属病院第一口腔外科ならびに関連施設で施行された顎裂部骨移植に関して臨床統計的観察を行った。その結果,以下のような結論が得られた。<BR>1)総患者数は86例で,11歳以下の症例が22例25.6%,12~17歳が32例37.2%,18歳以上の成人症例が32例37.2%を占めていた。<BR>2)生着率は97.7%で,早期経過不良の2例はいずれも成人症例であった。成人症例への対応として,骨移植後の感染源となり得る歯と歯周病の管理が重要と考えられた。<BR>3)受診の動機としては,顎裂に関する他科からの紹介が86例中80例93.0%で,そのうち矯正歯科からの紹介が最も多く72.5%であった。一方,当初他疾患を主訴に来院したものが6例あり,いずれも顎裂部骨移植に関する知識は皆無であった。今後,関連各科との連携強化と患者への積極的な情報提供が必要と考えられた。<BR>4)顎裂部骨移植に関連する併用手術としては,顎矯正手術のほか,デンタルインプラントの埋入,口唇外鼻修正術などが,主に成人症例に対して施行されており,成人症例における顎裂部骨移植の臨床的意義が示唆された。
著者
近藤 俊之
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.62, pp.24-26, 2002-06

私は、第3学群工学システム学類を平成9年に卒業し、今はエンジニアとして自動車会社に勤めています。筑波大学を卒業してから早5年が経とうとしていますが、当時の学生生活を昨日のことのように思い出すことができます。必修の単位を …
著者
近藤 和也 門田 康正
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.633-642, 2001-09-15
被引用文献数
23 13

1990年より1994年までの5年間に治療した胸腺上皮性腫瘍に関してアンケートを依頼した.呼吸器外科学会認定施設115施設より回答を頂き, 1, 320例の胸腺上皮性腫瘍を集計し得た.胸腺腫は1, 082例 (82.0%), atypical thymoma (well differentiated thymic carcinoma) は11例 (0.8%), 胸腺癌は186例 (14.1%), 胸腺カルチノイドは41例 (3.1%) であった.胸腺腫は女性優位であるが, 胸腺癌, 胸腺カルチノイドは男性優位である.胸腺癌の患者は胸腺腫に比べて有意に年齢が高い傾向を認めた.胸腺腫における合併症の頻度は, 重症筋無力症は24.7%, 赤芽球癆は2.6%, 低または高グロブリン血症は0.65%であった.胸腺腫の約70%が臨床病期IまたはIIであったが, 胸腺癌では約90%が臨床病期IIIまたはIVであった.胸腺上皮性腫瘍の治療は外科切除が中心であるが, 胸腺腫I期: 5.6%, II期: 43.5%, III期:<BR>74.4%, IVa期: 73-1%, IVb期: 66.7%, 胸腺癌: 58.6%, 胸腺カルチノイド: 53.7%の症例に追加治療がなされている.完全切除率は胸腺腫I期: 100%, II期: 100%, III期: 84.2%, IVa期: 40%, IVb期: 45.2%, 胸腺癌: 50.5%, 胸腺カルチノイド: 87.5%であった.再発率は胸腺腫I期: 0.9%, II期: 3.7%, III期: 27.3%, IV期: 33.3%, 胸腺癌: 51.2%, 胸腺カルチノイド: 64.3%であった.5年生存率は胸腺腫: 94.8%, 胸腺癌: 50.5%, 胸腺カルチノイド: 84.8%であった.胸腺腫臨床病期別ではI期: 100%, II期: 98.3%, III期: 89.2%, IVa期: 73.1%, IVb期: 63.5%であった.
著者
近藤 哲也 西沢 美由紀 島田 大史
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.81-86, 2005 (Released:2007-03-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1

北海道礼文島の固有種であるマメ科のレブンソウは,環境庁および北海道のレッドデータブックに,それぞれ,「絶滅危惧IA類」,「絶滅危惧種」に指定されている。種子の発芽条件の把握のため温度条件と濃硫酸処理に関する実験を行った。種子は物理的休眠を有しており,無処理種子では10%程度の発芽率であったが,10-40分間の濃硫酸処理によって種皮に亀裂や穴が生じて吸水が可能になり高い発芽率を示すようになった。休眠が打破された種子は,10-30℃の幅広い温度で播種後10日目に71-77%の発芽率を示した。濃硫酸処理を施した種子を5月下旬に播種し,植木鉢に移植してガラス室内で育成したところ,翌年の5月下旬から8月中旬にかけて開花した。
著者
小倉 知子 昆 泰寛 小沼 操 近藤 高志 橋本 善春 杉村 誠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.59-66, 1993-02-15
被引用文献数
2

ニワトリのリンパ組織におけるT Cell Subsetsの分布をCD4, CD8に相当するモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討した. 胸腺においてCD8^+細胞は皮質にのみ認められ, 一方CD4^+細胞は皮質のみならず髄質にも認められた. 被膜直下の皮質細胞は両抗体に反応しなかった. 盲腸扁桃においてCD8^+細胞は固有層浅層に限局し, 固有層中層ないし深層では多数のCD4^+細胞が胚中心を囲むように存在していた. 脾臓においてCD8^+細胞は赤脾髄にのみ存在し, CD4^+細胞は動脈周囲リンパ組織ならびに静脈周囲リンパ組織に認められた. 胚中心内にこれら抗体に反応するリンパ球は認められなかった. 骨髄ならびにファブリキウス嚢に反応は認められなかった. 夕ンパク抗原(みょうばん沈澱ウシ血清アルブミン)投与実験によって, CD4^+細胞が胚中心内に認められ, 一方CD8陽性を示す細胞は赤脾髄領域から減少した. これらの結果はニワトリのリンパ組織におけるT Cell Subsetsが明らかな住み分けをしていることを示すものと思われる.
著者
近藤 暁夫
出版者
古今書院
雑誌
地理 (ISSN:05779308)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.4-13, 2015-04
著者
野村 理朗 近藤 洋史 柏野 牧夫
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.40-40, 2007

衝動性の特徴は、即時的な報酬をもとめ中長期的なリスクを犯してしまうことと、行動の制御が不十分であることの二つに大別される。本研究では、後者のメカニズムに焦点をあて、Go/Nogo課題において衝動性の指標となる反応遂行エラー(commission error)、課題遂行時の脳活動、さらにはセロトニン2A受容体遺伝子多型性を指標とし、行動の制御プロセスにかかわる機能的連関について検証した。実験の結果、同遺伝子多型のサブタイプであるAA接合型をもつ被験者の誤答数が他タイプのものと比較して多いこと、さらにはfMRIにより、同タイプにおける前頭前野腹外側部の過活性化が確認された。その一方で、脳内報酬系の回路に存在する視床下部、線条体などの諸領域におけるタイプ間の差異は見出されず、以上のことから衝動的行動は、報酬への感受性、すなわち脳内報酬系の機能不全に起因するものではなく、抑制系統の問題によって生じうるという可能性が示唆された。
著者
橋本 哲 寺野 真明 杉浦 敏浩 中村 政治 川瀬 貴晴 近藤 靖史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.93, pp.67-76, 2004-04-25
被引用文献数
11

室内環境は,オフィスワーカーや学校生徒など建物居住者のプロダクティビティや健康に影響する.近年,室内環境の改善によるプロダクティビティ向上が,費用対効果の高い投資であることを強調する文献が目立ってきている.このような状況の中,筆者らは,この分野の研究や応用商品の開発が国内で活発化する可能性について調査を行ってきた.本稿ではまず,海外の研究動向を紹介する.次に,現在,様々な見解や方法が提案されているプロダクティビティの概念・定義,および,測定方法について,その解釈と今後の方向を考察する.