著者
近藤 智子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.27-43,98, 2005-12-25 (Released:2009-11-06)

In 1902, two girls were employed by Mitsukoshi department store. Since then, the number of salesgirls increased. The girls were called department store girl. Before the WW I, most of the salesgirls were true meaning girls, about 12-15 years old. They had started working right after graduating only primary school. They worked long long time every day. So they were considered very miserable.In the 1920's, department stores had changed their customer target. Since then, customers of middle classes increased. Many of them were families. At the same time, the salesgirls with decent images grew an important factor at department stores. They were thought to be well-educated and beautiful girls, so sometimes they were heroin of modern city. Many of salesgirls were from middle classes, and retired from their job by marriage. But they came back to department stores again with their family (her husband and children) as customers. It is so called reproduction of clients. The salesgirls were not only representative of modern culture, but also assisted with development of Japanese department stores. So department stores had become modern consumer's culture, and they also became women's workplace.
著者
近藤 雄一郎 佐藤 亮平 沼倉 学
出版者
福井大学教育・人文社会系部門
雑誌
福井大学教育・人文社会系部門紀要 = Memoirs of the Faculty of Education, Humanities and Social Sciences University of Fukui (ISSN:24341827)
巻号頁・発行日
no.5, pp.285-302, 2021-01-19

本研究は「ベースボール型球技」の特徴を明らかにするための基礎的研究として,ソフトボール及びティーボールの競技構造を提起することを目的とし,金井(1977)のスポーツ技術論を援用しながらソフトボール及びティーボールの競技構造を提起することを試みた.研究の結果,各種目を成立させているプレーグラウンドとしての「運動空間」,ルールや用具などの「客観的運動手段」,運動主体が有する技能や戦術能などの「主体的運動手段」について共通性が見られた.一方で,「運動主体」に位置づく投手及び捕手の有無がソフトボールとティーボールにおける大きな違いであり,投手の投球からプレーが開始されるソフトボールと,打者の打撃からプレーが開始されるティーボールのゲーム性に差異が生じていた.以上のことを鑑み,ソフトボールの「競技目的」を「ボールを道具(バットとグローブ)で捕捉することによって生じる時系列的勝敗を身体およびボールの移動で競う」こと,ティーボ―ルは「ボールを打撃することによって生じる時系列的勝敗を身体およびボールの移動で競う」ことにあると提起した。
著者
植村 哲也 近藤 憲治
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

半導体中の核スピンは量子力学的な重ね合わせ状態を長く維持することができ,量子計算機の量子ビットとして有望である.本研究では,強磁性電極から半導体への電気的スピン注入と核電気共鳴(NER)効果を併用し、電気的制御のみで核スピンをナノメートルスケールの空間分解能で選択的に制御できる素子を開発した.具体的には,高いスピン偏極率を有するCo2MnSi電極からGaAsへの高効率スピン注入と,スピン注入信号のゲート電圧による高効率制御を実証した.さらに,注入した電子スピンを用いて,GaおよびAs原子の核スピンを高効率に偏極し,ゲート電極に印加した高周波電場により核スピンに対するNER操作を実証した.
著者
近藤 裕幸
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.403-426, 2007-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
105
被引用文献数
1 2 1

本研究の目的は, 1910~1930年代にかけて日本の中等教育の地理科教科書にみられた教育観の変遷を, 主として小川琢治著の教科書を通して概観することにある. 結果として, 小川著の教科書は, 文章のみで知識を伝えるものから, 直観教材 (挿図表等) を増やし連携させることで地理科の教授内容を生徒に理解させることを意図するものへと変化していった. 一方, 小川と同じ京都帝国大学に所属していた石橋五郎は, 教科書執筆において, 人文と自然との相関重視の地理教育を主張するだけでなく, 著書『地理教育論』において地理教育全体の体系化を目指す方向性を指向した. 本研究によって, ほぼ同時期に活躍し交流があった両者が, 地理教育において果たした役割に相違があったことと, 戦前中等教育における地理教育の多様性の実態を検証した.
著者
近藤 章夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.649-674, 2004-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 2

本稿では,松下電器のテレビ事業部門を事例にして,国内生産の縮小に伴う工場間分業の再編成と地域的に形成されてきた外注連関の変容を検討した.松下電器テレビ事業部門の生産体制は大阪府にある茨木工場と栃木県にある宇都宮工場で担われてきた.長らく両工場は量産拠点として機能してきたが,1990年代に入ると海外生産の進展から国内生産は縮小することになり,両工場の生産機能が明確に分化することとなった.また外注連関も工場間分業の変化と密接に連動しながら変化が生じている.外注連関は茨木工場と宇都宮工場とでおのおの形成されてきた.このことは,両工場の立地展開と密接に関連しながら協力企業が地域的に組織化されてきたことを意味した.しかし,国内生産の減少に伴い外注取引量が減少して域内の外注連関は縮小する一方で,協力企業の選別と淘汰が進み外注連関が広域化するなど,これまで地域的に形成されてきた外注連関は変容しつつある.
著者
近藤 昭彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.788-799, 2003-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本稿はリモートセンシングとGISを水文過程研究の重要な手法とし,さらに社会に貢献できる成果を生み出すためのリモートセンシングとGIS技術の応用のあり方について論じた.水循環研究の対象はグローバルからローカルスケールにわたる.グローバルは多数の地域から成り,個々の地域は固有の多様性,関連性,空間性,時間性,すなわち地域性を持つ.人間社会に還元できる科学の成果を出すためには地域の視点が必要である.同時に,地域をグローバルの中に位置付けることによって,国際社会に還元できる成果を生み出すことができる.このような応用はGISによって空間上に集積された知識ベースによって実現できると考えられる.
著者
高橋 礼子 近藤 久禎 中川 隆 小澤 和弘 小井土 雄一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.644-652, 2017-10-31 (Released:2017-10-31)
参考文献数
11

目的:大規模災害時には巨大な医療ニーズが発生するが,被災地内では十分な病床数が確保できず被災地外への搬送にも限界がある。今回,実際の地域での傷病者収容能力の確認を行うべく災害拠点病院の休眠病床・災害時拡張可能病床の実態調査を行った。方法:全災害拠点病院686施設に対し,許可病床・休眠病床・休眠病床の内すぐに使用可能な病床・災害時拡張可能病床についてアンケート調査を実施した。結果:回収率82.1%(許可病床258,975床/563施設),休眠病床7,558床/179施設,すぐに使用可能な休眠病床3,751床/126施設,災害時拡張可能病床22,649床/339施設であった。考察:いずれの病床使用時にもハード面・ソフト面での制約はあるが,被災地外への搬送に限界があるため,地域の収容能力を拡大するためには,休眠病床・災害時拡張可能病床は有用な資源である。今後,休眠病床の活用や災害拠点病院への拡張可能病床の普及を進めると共に,各種制約も踏まえた医療戦略の検討が課題である。
著者
藏田 伸雄 古田 徹也 久木田 水生 近藤 智彦 村山 達也 佐藤 岳詩 森岡 正博
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は北海道哲学会でシンポジウム「人生の意味」(研究代表者・藏田伸雄、研究分担者・森岡正博、研究協力者・山田健二)、日本倫理学会でワークショップ「「人生の意味」の哲学的・倫理学的議論の可能性」(研究代表者及び研究分担者・村山達也、研究協力者・文武吉沢、研究協力者・長門裕介)、科学哲学会でワークショップ「分析哲学/現代形而上学で「人生の意味」や「死」について「語る」ことはできるのか」(研究代表者及び研究分担者・久木田水生、研究協力者・鈴木生郎)を実施し、本研究の研究成果の一部を公開した。また研究代表者の藏田は日本生命倫理学会で「「人生の意味」というカテゴリーを生命倫理領域で用いる場合に注意しなければならないこと」と題する発表を行い、「人生の意味」に関する議論を終末期医療に関する生命倫理問題に接続することを試みた。また研究分担者と研究協力者による研究会も開催し、研究協力者の北村直彰氏によって死の形而上学について、また杉本俊介氏によって「人生の意味」とWhy be Moral問題についての検討を行った。また本研究課題に関連する問題についていくつかの論考を発表している研究分担者の山口尚氏の一連の論文を批判的に検討することを通じて、人生の意味と「決定論」や「自然主義」との関連について明らかにすることができた。特に、今年度は青土社の雑誌『現代思想』が分析哲学に関する別冊を発行したが、その中で研究分担者の森岡、村山、研究協力者の山口がこの研究班での研究の成果や、本研究と関わる内容について論文を掲載している。また本研究班での研究内容とは異なるが、研究分担者の近藤と古田は「道徳的な運」に関する研究成果を発表している。「道徳的な運」の問題は、本研究の直接的なテーマではないが、「人生の意味」に関する問題とも深く関わる。
著者
近藤 久 浅沼 由馬
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.G-I36_1-11, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Hyperparameters optimization for learning algorithms and feature selection from given data are key issues in machine learning, would greatly affect classification accuracy. Random forests and support vector machines are among some of the most popular learning algorithms. Random forests that have relatively few hyperparameters, can perform more accurate classification by optimizing these parameters without requirement of feature selection. Same as random forests, support vector machines also have a few hyperparameters. However, whether or not to perform feature selection at the same time as optimization of these parameters greatly affects classification accuracy. Usually, grid search method is used to optimize hyperparameters. However, since this search method is performed on predetermined grids, the detailed optimization cannot be realized. In this paper, we thus introduce an artificial bee colony (ABC) algorithm to optimize hyperparameters and to perform more accurate feature selection. ABC algorithm is one of the swarm intelligence algorithms used to solve optimization problems which is inspired by the foraging behaviour of the honey bees. Using KDD Cup 1999 Data that is a benchmark of network intrusion detection classification, experimental results demonstrate the effectiveness of our method. The proposed method is superior in classification accuracies to existing methods for the same data, where swarm intelligence is used to hyperparameters optimization and feature selection. Our method also shows better performance than classification accuracies of random forests and SVM that are learned using default parameters values provided by scikit-learn, an open source machine learning library for Python.
著者
近藤 康人 池上 和男 井関 正博
出版者
防菌防黴研究会
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-4, 2004 (Released:2011-03-05)

5分間の電解により次亜塩素酸を生成した電解水と次亜塩素酸ナトリウム溶液を希釈した溶液で酵母の殺菌効果の比較を行った。電解水は生成直後から3分以内で高い殺菌効果が認められた。一方、次亜塩素酸ナトリウム希釈溶液ではほとんど殺菌効果は認められなかった。さらに、電解を30分以上行った溶液では次亜塩素酸に対して耐性のある枯草菌芽胞にも殺菌効果が認められた。また、電解水も6分間放置した場合には、殺菌効果は次亜塩素酸ナトリウム希釈溶液と同様になった。このことから電解水では生成直後にはオゾンなどの活性物質が存在し高い殺菌効果を示すと考える。
著者
近藤 厚生 岡井 いくよ 早川 ちさ 下須賀 洋一
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5-6, pp.250-255, 2009-06-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
16

We have been assessing awareness of a role of folic acid, intake of folate supplements and dietary folate consumption among pregnant women during the past 6 years. A total of 6902 pregnant women responded to our questionnaires distributed from 2002 to 2007. Dietary folate was measured by analyzing food records completed by 441 pregnant women from 2003 to 2007. Rates of awareness and rates of folate supplementation were considerably low, 15% and 9%, respectively, in 2002, but increased year after year to 39% and 43%, respectively, in 2007. Of the 441 pregnant women who reported their food records 150 (34%) simultaneously took folate supplements. Although the amount of dietary folate consumed averaged 336μg/day in all the women, 126 women in the 1^<st> trimester consumed only 283μg/day, 120μg less than what was recommended by the Government. It was further observed that 61% of the women in the 1^<st> trimester neither consumed 400μg of dietary folate nor took folate supplements suggesting that the majority of the women were facing a real risk of conceiving fetuses afflicted with neural tube defects. Following strategies seem necessary to suppress incidence of neural tube defects in Japan: First, importance of folate supplementation should be stressed in a booklet for pregnant women. Second, the Government should repeatedly send folate information in relation to developing fetuses to the general public. Third, folate information should be given to young girls at curriculums of the junior and senior high school. Fourth, folate supplements should be given free for those women who wish to conceive. Finally, implementation of food fortification with folic acid should be seriously considered by the Government.
著者
近藤 一成 坂田 こずえ 加藤 怜子 菅野 陽平 武内 伸治 佐藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.144-150, 2019-10-25 (Released:2020-01-17)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

日本国内で食中毒事例が多いクサウラベニタケと考えられてきたきのこは,3種類の近縁種から構成される.これら近縁種を特異的に感度よく検出できるリアルタイムPCR法を開発した.有毒と考えられるクサウラベニタケ近縁3種および食用のウラベニホテイシメジに特異的なプライマーおよびプローブ(FAM,VIC,Texas Red,Cy5標識)を用いて検討した.クサウラベニタケ近縁3種とウラベニホテイシメジITS全領域を有する標準プラスミドを用いた検討から,いずれの検出系も12.5コピーまで検出可能あり,目的以外の標的には反応しなかった.本法を用いて中毒事例から回収した検体を分析したところ,PCR-RFLP法では十分解析できない検体でも確実に種の同定検出が可能であることが分かった.食中毒の防止および中毒発生時の原因種特定に役立つと考えられる.また,北海道内におけるクサウラベニタケ近縁種は,本州のものとは異なりEntoloma eminensまたはEntoloma sp.であることを同時に明らかにした.
著者
壱岐尾 優太 佐賀里 昭 中野 治郎 近藤 康隆 小田 太史 大賀 智史 長谷川 隆史 東 登志夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.331-338, 2020 (Released:2020-12-21)
参考文献数
33

【目的】化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を呈したがん患者の痺れおよび疼痛に対する破局的思考と,自覚症状,上肢機能,生活障害との関連を調べること.【方法】上肢にCIPNを認めた造血器腫瘍および消化器がん患者の破局的思考(PCS:合計得点,反芻,無力感,拡大視),痺れおよび疼痛に対する自覚症状,上肢機能,生活障害を評価し,Spearmanの順位相関係数を求めた.【結果】破局的思考と生活障害との間に有意な相関関係を認め,上肢機能との間には有意な相関関係は認めなかった.PCSの下位項目別では,反芻のみ自覚症状と有意な相関関係を認めた.【結論】上肢にCIPNを認めたがん患者の生活改善のためには,機能面に対する評価やアプローチだけでは不十分な場合があり,破局的思考などの認知的側面に対する評価やアプローチも考慮する必要がある.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
近藤和彦編
出版者
山川出版社
巻号頁・発行日
2010
著者
近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-26, 2006-01-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
85
被引用文献数
1

世界ではじめて, 全国民に利用時原則無料で医療を保障する制度を作った国がイギリスである. しかし, そのイギリスでは, 長きにわたる医療費抑制政策の結果, 130万人を超える入院待機者に象徴される医療の荒廃を招いた. そこからの脱却を図ろうとブレア政権は, 医療費を5年間で実質1.5倍にし, 医師・看護師を大幅に増員する医療改革に取り組んでいる. 政府の発表によれば最近になりようやくその効果が見え始めている. その過程や改革の内容は, 公的医療費抑制に向けた論議がされている我が国の将来を考える上で, 多くの示唆を与えてくれる.本論では, まず「第三世界並み」とまで表現されたイギリス医療の荒廃ぶりを, 待機者問題などを例に示す. 次に, それと比べる形で, 我が国にも医療費抑制政策の歪みが表れていることを述べる. 例えば, 病院勤務医が労働基準法を遵守すれば病院医療が成り立たない状況にあることを示す. この余裕のない状態から, さらに医療費が抑制されれば, もはや医療従事者の士気が保てず, 医療が荒廃するであろう.後半では, ブレア政権が, どのようにして医療費拡大への国民の支持を得たのか, その医療改革の枠組みや保守党時代との違いを検討する. さらに, ここ数年の改革の軌跡と, それへの政府の立場と批判的な立場の両者の評価を紹介する.これらを通じ, イギリスの医療改革の経験を踏まえ, 日本においても「医療費抑制の時代」を超えて「評価と説明責任の時代」へと向かうための3つの必要条件-(1)医療現場の荒廃ぶりと, その主因が医療費抑制政策にあることを国民に知ってもらうこと, (2)医療界が自己改革をして国民からの信頼を取り戻すこと, (3)「拡大する医療費が無駄なく効率的・効果的に使われる」と国民が信頼し納得できるシステムを構築すること-を述べる.