著者
遠藤 維 金井 理 宮田 なつき 河内 まき子 持丸 正明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.548-553, 2009-04-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

The purpose of this research is to develop a virtual ergonomic assessment system that evaluates grasp stability and ease of grasping of products such as digital cameras without real subjects and physical mockups by integrating 3D digital hand models with the 3D CAD models of the products. In this paper, we propose “ease of grasping” as a new index for the assessment. This index is calculated from the “EOG-map”, in which example grasp postures of real subjects are plotted as principal component scores in low dimensional space. We also propose an optimization-based correction method for an inappropriate finger posture by using the EOG-map.
著者
佐原 亮 遠藤 和博 五十嵐 絵美 浜田 純一郎 矢野 雄一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.758-761, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

肩疾患では屈曲と比べ外転しづらい.本研究の目的は屈曲と外転を比較することである.健常者11名22肩を対象とし,三次元動作解析を用い安静下垂位から屈曲・肩甲骨面挙上・外転し,上腕外旋角度,水平肩甲上腕角度,肩甲骨内旋角度を算出した.屈曲の上腕外旋角度は55°であり直線的に増加し,外転では挙上初期から外旋角度が大きく100°まで屈曲より多かった.屈曲では肩甲骨はまず内旋しその後外旋したが,外転は常に外旋した.水平肩甲上腕角度は外転で常に大きい.肩甲骨の外旋制限のある肩関節疾患では外転しづらい.屈曲では僧帽筋を弛緩し前鋸筋を収縮するが,外転では両筋を同時に収縮させる.棘下筋・小円筋も外転では筋長の短い状態での筋収縮が必要である.屈曲に対し外転は,(1)挙上初期から上腕外旋角度が大きく,(2)肩甲骨は常に外旋し,(3)水平肩甲上腕角度は常に大きい.
著者
山本 朋弘 佐藤 和紀 礒川 祐地 遠藤 みなみ 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.58-63, 2020-06-01 (Released:2020-12-09)
被引用文献数
1

小学校教員養成課程の大学生を対象に,IoTセンサー教材(以後:IoT教材)を活用した小学校6年理科の授業を体験させ,映像教材を視聴させる授業との比較を通じて,小学校プログラミング授業への動機付けや授業目標を大学生がどのように理解したかを検証した。アンケート調査を分析した結果,動機付けモデルの4要因全てで,IoT教材の活用がプログラミングへの動機付けに有効であり,プログラミング教育の目標理解を深化させることにつながる可能性が明らかになった。また,センサーを用いた身の回りの機器等に関する記述式回答を分析した結果,IoT教材を用いたプログラミング体験によって,機器等の動作や制御をイメージしやすく,順序立てて説明しやすい結果がみられた。
著者
天野 定雄 黒須 康彦 中山 寿之 三宅 洋 松田 健 遠藤 潔 上田 仁 森田 建 佐藤 公望
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.2313-2320, 1991-10-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
13

最近9年間に経験した鼡径部ヘルニア821例について統計的観察を行い,また施行された手術術式,術後合併症,術後再発,術後愁訴などについて検討した.ヘルニア種別頻度では外鼡径ヘルニアが76.1%,内鼡径ヘルニアが13.6%,大腿ヘルニアが8.2%,内外鼡径ヘルニアが1.9%であった.手術術式は外鼡径ヘルニアではMarcy法,内鼡径ヘルニア,大腿ヘルニア,内外鼡径ヘルニアではMcVay法が最も多く行われていた.術後合併症は3.7%に認められ,血腫形成が最も多かった.再発率は全体で3.1%であった.内鼡径ヘルニア型再発と大腿ヘルニア型再発が主であり,これらの症例の中には全身の併存疾患を有していたものが多かった.術式別愁訴に関してはMcVay法で程度は軽いものの牽引痛の頻度が著しく高かった.再発や愁訴を減少させるためには,ヘルニアの基本的な理解と確実な手術手技が重要と思われた.
著者
三枝 優子 遠藤 眞美 地主 知世 白田 翔平 山岸 敦 高柳 篤史 野本 たかと
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.160-169, 2021-06-30 (Released:2021-10-31)
参考文献数
27

障害児者の効率的なブラッシングには,適切な歯ブラシの選択が重要である.しかし,歯ブラシ機能による客観的な選択の指標はない.本研究ではヘッドサイズによる機能の違いについて平面モデルを用いて評価した.スーパーテーパード毛(以下,ST毛とする)の歯ブラシ(DENT.EX systemaシリーズのgenki(以下,GRとする),genki f(以下,GFとする),42M(以下,SYとする))と,コンパクトヘッドでラウンド毛の歯ブラシ(DENT.EX 3S(以下,DSとする))を選択し,清掃性および毛の到達範囲として剝離面積,毛のたわみの指標として臨界ストロークおよび刷掃時の垂直方向における剝離幅の増加ΔWを評価した. 完全剝離面積は,回数や荷重に関係なくGR<GF<SY<DSの順に広かった.完全+部分剝離は,本条件の中で低い荷重,少ないブラッシング回数でヘッドサイズが大きいGRが最も小さい値であった.一方,高荷重およびブラッシング回数が多い場合にはヘッドの大きいほうが広い面積となった.臨界STは,毛の太いDSが最も短く,また,ヘッドが大きいと臨界STが小さかった.ΔWはラウンド毛に比較してST毛で大きく,ST毛の歯ブラシ間ではヘッドが大きいほど小さかった.ブラッシングスキルの獲得に苦慮する障害児者においてスーパーテーパード毛の大きいヘッドサイズの歯ブラシは広く清掃できる可能性があるが,清掃性を高く磨くためにはラウンド毛に比較して回数やブラッシング力の必要性が示唆された.
著者
高木 敬彦 遠藤 治 後藤 純雄 河合 昭宏 村田 元秀 松下 秀鶴
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.312-321, 1986

自動車から排出される変異原物質の総量をモニターするための手法検討の一環として, 使用済ガソリンおよびディーゼルエンジンオイルの変異原性と走行距離との関係をサルモネラ菌TA100およびTA98株を用いて調べた。エンジンオイルの採取は両車ともに市中走行条件下でオイル交換直後から, 5000kmまで1000km毎に行った。又, 合わせて市中走行のガソリン車12台, ディーゼル車7台からもオイルを採取し, その変異原性を調べた。<BR>エンジンオイル中の変異原物質抽出法を検討した結果, メタノールを抽出溶媒にした還流抽出法が効果的であった。ガソリン車のエンジンオイルはTA100, TA98株に対してS9mix添加および無添加条件下で変異原性か認められたが, ディーゼル車のエンジンオイルはTA100株S9mix無添加条件下では変異原性がほとんどみられなかった。また, TA100株S9mix添加条件下で, 両車のエンジンオイルの変異原性と走行距離との間に相関関係がみとめられた。今回調べた市中走行車についてみると, ガソリンエンジンオイルの変異原性がディーゼルエンジンのそれに比べて高い傾向にあった。ガソリンエンジンオイル車の場合, 総走行距離が30000km以上になると, 走行距離1km当たりの変異原性 (TA100株+S9mix) が高くなる傾向がうかがわれた。
著者
秋元 誠 鈴木 和春 遠藤 幸江 五島 孜郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.79-86, 1986 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

過剰P食投与による変化を, 初体重約110gの Wistar 系雄ラットを用いて40日間観察したところ, 体重増加量および飼料摂取量は, 過剰P食の影響により, 過剰P食群 (EP) が正常P食群 (NP) に比し低値を示した。EP食によりPの吸収率は増加し, Mgのそれは逆に低下した。尿中のCa, PはEP食で明らかに高い排泄率を示した。飼料を交換することによる変化は, P, Mgについては交換直後にみられ, Caは10日から15日間ぐらいの日数を要した。腎臓Ca濃度は, EP群がNP群の約160倍, P濃度は約3倍という高値を示した。EP群の血清P濃度は, NP群に比し上昇傾向を示し, CaおよびMg濃度は低下した。

1 0 0 0 OA 原穴の意義

著者
遠藤 次郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-22, 1986-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

著者は古典に基づいて原穴の意義を探究し, 次の知見を得た。「腎を介して四関に蓄えられた五臓の精気は各々の原穴から湧出し, その反応を体表にあらわす。また, 四関は外界の精気を感受し, この周期性に合わせて五臓の精気を原穴から各々の経脈に流出させる」。
著者
遠藤 朱美
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
2021-03-25

目的 本研究では介護保険施設入所要介護高齢者の1年間の体重減少と食形態の変化との関連を明らかにすることを目的とした.方法 2018年度,2019年度の2回の調査に参加した日本の25の介護保険施設入所要介護高齢者455名を,1回目の調査時に常食を摂取していた284名と嚥下調整食を摂取していた171名に分けた.さらに常食を摂取していた者のうち,1年間の体重減少率が5%以上の80名と5%未満の204名に分けて比較し,体重減少と関連する因子を多変量解析にて検討した.本研究は日本老年歯科医学会の倫理審査委員会の審査承認(2018-1,2019-3),北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会の審査承認(2020-4)を得て,ヘルシンキ宣言の倫理的原則に従って実施された.結果 1年間の体重減少率が5%以上の群と5%未満の群との単純比較では,ベースライン時の各調査項目で有意差は認められなかった.調査項目別の1年間の変化に関しては5%以上の群は5%未満の群に比べバーセルインデックス(BI)が有意に低下し,常食から嚥下調整食に移行した者の割合が有意に増加していた.5%以上の体重減少の有無を従属変数とした多変量解析ではベースライン時の体重(OR=1.059,95%CI:1.014-1.106;p=0.01),BIの変化量(OR:0.966,95%CI:0.943-0.99;p=0.005)と,常食から嚥下調整食への変化(OR:4.408,95%CI:1.867-10.406;p=0.001)に有意な関連を認めた.結論 本研究によって食形態を維持することが,要介護高齢者の体重減少の抑制につながることが示唆された.これにより要介護高齢者においても食形態の維持,すなわち摂食嚥下機能を維持することの重要性が示された.
著者
太田 恵 小川 智美 遠藤 正樹 森島 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100446, 2013

【目的】近年の学生の一部には、教育上無視できないコミュニケーションスキルやソーシャルスキルの低さが認められる。それらの能力不足は、臨床実習で不合格になる要因になり得るが、学力とは必ずしも相関しないため、学科試験だけで見抜くことは難しい。そこで本研究では、入学試験時における面接試験の成績とその後の臨床実習の成績との関係を明確にし、入学直後からの学生指導の可能性を検討した。【対象と方法】平成18年度から21年度までに当校に入学した者のうち、臨床実習より以前に退学した者および現在の在校生を除外した190名(男性136名、女性54名、平均年齢25.9±6.3歳)を解析対象とした。当校では、入学試験において、口頭試問および集団面接の二種類の面接試験を実施している。前者は、3名から4名の受験者に対し、試験官である教員が一人ずつに質疑を行う形式である。一方後者は、8名から10名の受験生がグループになり、他の受験生と提示された課題を進めていく形式で、他者との関わりを見るものである。それぞれ3名から5名の教員が試験官となり、服装・言葉使い・積極性・適正・対人適応等の観点から 1点(非常に悪い)から4点(非常に良い)の段階評価を行なった。複数回受験している者に関しては、最後の試験の成績を採用した。全試験官の評定がいずれも3点以上だった群85名(入試高位群: 男性56名、女性29名、平均年齢24.4±5.3歳)と2点以下の評定が付いた群105名(入試低位群: 男性80名、女性25名、平均年齢27. 2±6.8歳)に分けた。各群において、臨床実習で合格した者(実習合格者)、学生自ら臨床実習を中止した者(実習中止者)、臨床実習指導者の判断で不合格となった者(実習不合格者)について、それぞれオッズ比を算出し、Fisher直接確率検定を用いて解析した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本校は倫理委員会設置しておらず、同等の権利を持つ組織の承認を得て実施した。尚、個人を特定するようなデータは含まれていない。【結果】入試高位群は、実習合格者68名、実習中止者6名、実習不合格者11名であった。それに対して入試低位群は、実習合格者69名、実習中止者5名、実習不合格者31名であった。実習中止者については群間で有意差はなかったが、実習不合格者については、入試低位群は入試高位群と比較しオッズ比2.777(95%信頼区間1.292-5.969) と高値を示した。また実習合格者137名のうち、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が68名(男性42名、女性26名、平均年齢24.7±4.9歳)、口頭試問のみ2点以下だった者が10名(男性5名、女性5名、平均年齢25.3±6.5歳)、集団面接のみ2点以下だった者が34名(男性25名、女性9名、平均年齢26.2±4.8歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が25名(男性20名、女性5名、平均年齢28.0±8.3歳)であった。しかし、実習不合格者42名では、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が11名(男性9名、女性2名、平均年齢22.5±5.0歳)と少なく、口頭試問のみ2点以下だった者が4名(男性2名、女性2名、平均年齢27.8±10.4歳)、集団面接のみ2点以下だった者が12名(男性12名、女性0名、平均年齢27.7±8.5歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が15名(男性11名、女性4名、平均年齢29.0±6.7歳)と多かった。【考察】臨床実習では、理学療法士になるために必要な知識や技術は勿論だが、医療従事者や社会人としての姿勢や資質も要求される。本研究により、面接試験で成績不良だった学生には実習不合格者が多いことが示された。このことから、入学試験時の面接試験は、学生の臨床実習における問題点を早期に把握する上で有効な手段だといえる。また入学試験で一般的に行われている口頭試問だけでなく、集団面接を合わせて実施することにより、問題点をより明確に抽出できると考える。今後は学生の問題点を早期に把握するだけでなく、臨床実習を念頭に置き、入学当初からどのような学内教育に取り組んでいくのが有効なのか、検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】 入学試験において面接試験を実施して教員が評価することで、学力以外の問題点に対しても、臨床実習に向けてより早期から指導をすることが可能になると考える。
著者
遠藤元男著
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
2017
著者
髙嶺 潮 遠藤 聡志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.B-KC6_1-9, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
11

Scene understanding is a central problem in a field of computer vision. Depth estimation, in particular, is one of the important applications in scene understanding, robotics, and 3-D reconstruction. Estimating a dense depth map from a single image is receiving increased attention because a monocular camera is popular, small and suitable for a wide range of environments. In addition, both multi-task learning and multi-stream, which use unlabeled information, improve the monocular depth estimation efficiently. However, there are only a few networks optimized for both of them. Therefore, in this paper, we propose a monocular depth estimation task with a multi-task and multistream network architecture. Furthermore, the integrated network which we develop makes use of depth gradient information and can be applied to both supervised and unsupervised learning. In our experiments, we confirmed that our supervised learning architecture improves the accuracy of depth estimation by 0.13 m on average. Additionally, the experimental result on unsupervised learning found that it improved structure-from-motion performance.
著者
坂本 昌信 遠藤 竜哉 西浦 博 高木 徹
出版者
日本科学技術ジャーナリスト会議
雑誌
日本科学技術ジャーナリスト会議 会報
巻号頁・発行日
vol.2021, no.99, 2021

<p><b>科学ジャーナリスト賞2021受賞作品</b></p><p>●新聞連載「サクラエビ異変」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;静岡新聞社清水支局長 坂本 昌信、同社編集局文化生活部記者 遠藤 竜哉</p><p>●「理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;京都大学大学院医学系研究科教授 西浦 博、作家 川端 裕人</p><p>●BS1スペシャル「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う」<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;日本放送協会(NHK)国際放送局チーフ・プロデューサー 高木 徹,<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;NHKグローバルメディアサービス国際番組部ディレクター 高田 里佳子<br />&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;株式会社ウイング ディレクター 樋爪 かおり</p>
著者
真辺 健太郎 佐藤 薫 遠藤 章
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

身長、体重、臓器質量について成人日本人男性の平均的値に調整されたファントムJM-103に基づく比吸収割合を用いて臓器線量及び実効線量に相当する量を計算するとともに、ICRPの成人男性リファレンスファントムICRP-AMに基づく線量と比較した。Cs-137の経口摂取では、ICRP-AMに対し、JM-103に基づく線量が10%大きいなど、核種によっては体格や臓器質量の違いが線量に影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
遠藤 匡俊
出版者
社団法人日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.221-236, 1990-01-01

漁撈・狩猟・採集生活をしていた江戸時代のアイヌの移動形態は,一定の本拠地からの季節的移動と理解されてきた,これは,本拠地における居住集団の構成員が一定していたことを意味する.安政3 (1856)年から明治10 (1877)年にかけての紋別場所では,集落の位置がほぼ固定し,多くの家が集落内に定着しており,集落を構成する家は固定的であった.しかし,家単位の居住者を追跡した結果,個人の家間移動が激しく,家の構成員は流動的に変化していた.すなわち,集落単位では,多くの家が本拠地を固定させていたにもかかわらず,家単位でみると,多くの人員が本拠地を家と家の間で移していたことが明らかになった.家の構成員の安定性を比較すると,静内場所,樺太南西部では固定的であり,紋別場所,高島場所では流動的に変化していた.江戸時代のアイヌ社会において,家の集落間移動による集落を構成する家の流動的変化と,個人の家間移動による家の構成員の流動的変化という,2種類の流動形態が見出された.