著者
酒井 宏三 中沢 実 服部 進実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.97, no.564, pp.89-96, 1998-02-20

本稿では, マルチエージェントやモバイルエージェント技術を含んだシステム構築に対して, それらの位置管理・通信方式の統一化・通信方式の自律的選択を行なえる新しいネットワークアーキテクチャDORAEMON(Distributed Object Request Broker in Agent Mobile Network)について述べる.本システムではネットワーク上で分散・移動している複数のモバイルエージェント間の通信機能を支援するための位置管理, またマルチエージェントやモバイルエージェント間の通信方法であるRPC(Remote Procedure Call)・RP(Remote Programming)両通信方式に対する統一的なインタフェース, さらに, これらの通信方式の戦略的且つ自律的な選択を実現することで, 動的なネットワーク形態・サービス形態に対して, 柔軟で且つシームレスなネットワークアーキテクチャの構築を行なうことを目的としている.
著者
山下 利之 高橋 雅博 酒井 秀昭 武田 利浩 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.105-112, 2000-04-15
被引用文献数
8

高度情報化社会の発展に伴い, コンピュータとのコミュニケーションにより, 長時間の仕事, 作業を進める機会がますます増えつつある.人間同士のコミュニケーションの場合, 自然言語によるverbal情報に, 表情や身振りによるnonverbal情報が加わり, 円滑なコミュニケーションが行われている.そこで, 人間とコンピュータとの円滑なコミュニケーションを促進するインタフェースとして, 本研究では顔に注目した.そして, 特定の状況において生じる感情を表している表情をファジィ推論によって選択するモデルを提唱した.眉と目の傾きに関する3条件と口の形の3条件の組合せによる9種類の顔を用いてファジィ推論モデルを構成した.本モデルを, コンピュータ画面上に入力された文章に表されている感情を表情で表現するシステムへ応用することを試みた.システムに関する質問紙調査の結果, ヒューマンインタフェースとしての顔表示の有効性が示された.
著者
佐々木 祥 宮田 高道 稲積 泰宏 小林 亜樹 酒井 善則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.78, pp.407-413, 2006-07-14

近年急速に普及しているsocial bookmark は,これまで利用者が個別に管理していたbookmarkをネットワーク上で他の利用者と共有するサービスである.これらのサービスでは多くの場合,利用者がbookmarkに対して「タグ」と呼ばれる自由記述のキーワードを付与することによって管理を行うFolksonomyと呼ばれる分類法を採用している.このようにして利用者が付与したタグ情報の集合は,多数の利用者によって成長を続けるメタデータであるとみなせるため,このタグ情報を利用することにより効率的なコンテンツの検索や推薦を行うことができると考えられる.しかしながら,利用者はあくまで自分自身の嗜好に基づいてタグ付けを行っているため,分類に使用したタグ名そのものは,必ずしも他の利用者とって適切なものであるとは限らない.そこで本研究では,タグの持つ本質的な情報を,タグ名ではなく,タグによるコンテンツの分類情報であると仮定し,分類間の類似度に基づいて利用者に対して望ましいコンテンツの推薦を行うシステムを提案する.The web-based bookmark management service called social bookmark has recently come to be widely used. In the social bookmark, a user can add one or more keywords called `tags' to their own bookmark for future use. The tag information gathering from a lot of users allows us to classify the web contents including database of social bookmark. This classification method is known as Folksonomy. Furthermore, we can qualify the tag information as the effective meta-data for search and recommendation use. However, a user hardly adds tags considering other user's convenience. Because of this behavior, a user will be not satisfied with the way to classify web contents by the name of tags. In this paper, we assume that the essential information of tags are not tag names, but classifications of web contents by tags. Based on this assumption, we have proposed the content recommendation system based on the similarities between the classifications.
著者
森山 悦子 岩本 英希 新関 敬 永山 綾子 城野 智毅 下瀬 茂男 中野 聖士 野田 悠 鈴木 浩之 酒井 味和 黒松 亮子 古賀 浩徳 野村 政壽 川口 巧
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37-44, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
16

atezolizumab+bevacizumab併用療法(atezo+beva)はIMbrave150試験の結果に基づき,本邦でも肝細胞癌の一次治療薬となった.atezo+bevaは,実臨床においてもその有用性が示されている一方で,免疫関連有害事象(irAE)の報告も増加している.今回,我々は切除不能肝細胞癌に対しatezo+beva後に下垂体性副腎皮質機能低下症を生じた3例を経験したため報告する.3症例ともに,主訴は倦怠感であり,低血圧と著明な低Na血症を認めていた.血清ACTH値の増加は認めなかったが,血清コルチゾール値の低下を認め,下垂体性副腎皮質機能低下症の診断に至った.ヒドロコルチゾンの投与により全例で速やかに症状の改善を認めた.免疫チェックポイント阻害剤投与時には様々なirAEが出現し得るが,副腎皮質機能低下症による低Na血症および低血圧症も念頭に入れ,診療に携わる必要がある.
著者
酒井 厚
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.63-80, 2022-03-30 (Released:2022-11-11)
参考文献数
126

2020年7月から2021年6月までの1年間に,日本人研究者が発表したパーソナリティに関する研究の概観を通して,わが国のパーソナリティに関する研究の動向を捉え,今後の研究の在り方の展望を論じた。諸研究は,パーソナリティを総合的に捉えた観点からの研究,特定の構成概念や特性の個人差を扱った研究,社会的態度に関する研究,パーソナリティの形成・発達と適応に関する研究の4つの枠組みから整理された。それぞれの研究動向と展望については,メタ分析や大規模データの二次利用からの特性理解の進展とさらなる展開への期待,多様な構成概念や特性を多角的な視点から検討する研究の蓄積とそれらを統合することの必要性,様々な社会的問題に対する態度を扱った研究の重要性,社会的適応や精神的健康に関して今後の発展が予想される研究テーマの萌芽としてまとめられた。
著者
塚谷 才明 小林 沙織 金原 寛子 山本 美穂 長東 菜穂 酒井 尚美 中村 さおり 小林 孝行 兼田 美紗子 牧野 桜子 赤田 拓子 岡部 克彦 小森 岳 高塚 茂行
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.247-257, 2020-12-31 (Released:2021-04-30)
参考文献数
28

【目的】誤嚥性肺炎患者の中長期的な生命予後に関する報告は少ない.この研究の目的は,誤嚥性肺炎患者の中長期的生命予後ならびに予後因子を明らかにすることである.【方法】本研究は,後方視的に検討したコホート観察研究である.2018 年4 月から2019 年3 月までの1 年間,耳鼻咽喉科に嚥下評価依頼のあった症例のうち,主病名が誤嚥性肺炎の入院患者を対象とした.脳血管障害急性期に続発した誤嚥性肺炎例,嚥下評価前の肺炎急性期に死亡した例は対象外とした.生命予後に関係する因子として,年齢(3 群:74 歳以下,75 歳から89 歳,90 歳以上),性別,嚥下障害重症度(2 群:正常~機会誤嚥,水分誤嚥~唾液誤嚥),日常生活自立度(2 群:非寝たきり,寝たきり),BMI(3 群:18.5 以上,18.5~16,16未満),代替栄養の有無,既往症・併存症(肺炎既往,脳梗塞既往,パーキンソン病,認知症,高血圧,糖尿病)に関して多変量解析を行い,ハザード比(HR)を求めた.患者生死,生存日数,代替栄養導入の有無に関しては,2020 年1 月から4 月の期間,電話による聞き取り調査を行った.【結果】誤嚥性肺炎患者は109 例,年齢中央値86 歳,64 歳以下は5 例のみで104 例は65 歳以上であった.調査期間内の死亡67 例,生存42 例,生存期間中央値254 日,6 カ月生存率54.8%,1 年生存率41.8% であった.予後因子のHR は高齢1.76,男性1.78,水分誤嚥以下の嚥下機能2.01,寝たきり2.39,BMI 低値1.60,代替栄養導入あり0.27 と,6 項目すべてにおいて有意差を認めた.既往症・併存症では,パーキンソン病があると生命予後悪化を認めた(HR5.00)が,その他は有意差を認めなかった.【結論】誤嚥性肺炎患者の半数以上が1 年の時点で死亡していた.高齢,男性,水分誤嚥以下の嚥下機能,寝たきり,BMI の低下が生命予後を悪化させる因子であり,代替栄養の導入は生命予後を改善した.既往症・併存症のうちパーキンソン病は生命予後を悪化させた.
著者
網代 広宣 小林 雄也 平田 昂大 板野 圭佑 佐藤 慎也 酒井 直也 仲島 佑紀
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.49-55, 2023-10-31 (Released:2023-11-07)
参考文献数
18

本研究は117名の高校野球選手を対象にCOVID-19感染拡大防止措置が実施された年と前年の傷害発生率を調査し比較した.季節別では,2019年と比較し,2020年の夏季で肩・肘傷害,冬季は足・足部傷害が増加した.各季節のポジション別では,夏季の投手・内野手の肩傷害,秋季で内野手の肘傷害,冬季で外野手の足・足部傷害が増加した.今後は得られた特徴より,傷害予防を講じていく必要がある.
著者
酒井 理佐 山田 和佳 西澤 文吾 越智 大介 新妻 靖章 綿貫 豊
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.57-66, 2023-04-25 (Released:2023-05-11)
参考文献数
45

北太平洋西部の日本列島本州沖にて2014年から2018年に混獲されたコアホウドリPhoebastria immutabilis 96個体とクロアシアホウドリP. nigripes 25個体の胃内容物を調べた.胃内にプラスチックを持っていた個体の割合はコアホウドリ(91%)の方がクロアシアホウドリ(48%)より高く,この傾向は北太平洋中央部での先行研究と同じであり,また,飲み込んでいた硬質プラスチックあるいはレジンペレット各々の重量と長さそれぞれの平均はコアホウドリ(0.073 g, 8.25 mm)の方がクロアシアホウドリ(0.031 g, 5.86 mm)より大きかった.このプラスチック負荷の種間の差が,利用海域と食性の種間差によって説明できるとする強い証拠は,本研究では得られなかった.北太平洋でのこれら2種のプラスチック負荷は,南太平洋西部で混獲された,あるいは海岸に漂着したアホウドリ科より高く,その影響が懸念される.
著者
酒井 佑 雨宮 怜
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.104-121, 2023-09-30 (Released:2023-11-11)
参考文献数
94

Athletes who train and compete despite health problems are frequently found in competitive sports. In recent years, this phenomenon has been associated with presenteeism that has been studied mainly in occupational health. The research subject is a laborer. Recently, Meyer and Thiel (2018, pp.51-52) applied the concept of presenteeism to athletes as “sickness presenteeism,” which is defined as in the sports context “as training or competing despite having a health problem.” Sickness presenteeism possibly leads to mental illness, burnout, and exacerbation of illnesses and injuries of athletes. Although there are many studies on presenteeism in occupational health, very little exist in sports science. Therefore, this study reviews the literature to investigate presenteeism and its research potential with athletes by examining eight published studies; five by Mayer and his research group. This review focuses on the model of presenteeism created by Mayer and introduces the measurement methods, factors, and influences of presenteeism. The influences of presenteeism can be both negative and positive; therefore, athletes are conflicted about competing while having health problems. Finally, we described the possibilities and prospects for presenteeism research with athletes in Japan.
著者
金野 満 酒井 康行
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.63, no.206, pp.316-323, 2021-11-15 (Released:2022-02-08)
参考文献数
33

Polyoxymethylene dimethyl ethers are a class of ethers with the molecular structure CH3(-O-CH2)n-O-CH3, called OME for short. Amid a growing global trend for a carbon neutral, OME has attracted the attention as a potential e-fuel for compression ignition engines because it has good ignitability and low-sooting tendency. In this article, the fuel property, the synthesis, the cost, chemical kinetic mechanisms and the effects of OME blends on engine performance are described based on the latest literatures, as well as the research on the spray characteristics made by the authors. The points are as follows: it is not feasible to use neat OME because the cost of OME synthesis is high with the current technology, but to use as diesel fuel additive that can greatly reduce PM emission. Without changing the fuel injection strategy from diesel fuel, the thermal efficiency is penalized with OME blends. The ignition delay and combustion duration decrease with the increasing of OME ratio in the diesel fuel blends. The thermal efficiency could be improved by optimizing the fuel injection parameters.
著者
向山 和孝 花木 宏修 中村 裕紀 境田 彰芳 岡田 憲司 伊藤 勉 菅田 淳 酒井 達雄
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.136-142, 2018-02-15 (Released:2018-02-20)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

A statistical estimation method of S-N curve for aluminum alloys using their static mechanical properties was proposed. Firstly, S-N data series for aluminum alloys were extracted from "Database on Fatigue Strength of Metallic Materials" published by the Society of Materials Science, Japan (JSMS) and semi-logarithmic curve model was applied as mathematical regression model based on the JSMS standard, "Standard Evaluation Method of Fatigue Reliability for Metallic Materials -Standard Regression Method of S-N Curves-". Secondly, correlations between each pair of regression parameters and static mechanical properties were investigated. Using these correlations, S-N curve for aluminum alloys could be predicted easily from the static mechanical properties. Moreover, using (1) the distribution of regression parameter D and (2) the distribution of fatigue strength at 107 cycles, the percent points for the predicted S-N curve was evaluated. As result, it was confirmed that over 70% of S-N data series of wrought aluminum alloys fall within the range of estimated interval between -3s and +3s, where s means a standard deviation for the parameter of D.
著者
軽米 克尊 酒井 利信
出版者
身体運動文化学会
雑誌
身体運動文化研究 (ISSN:13404393)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.43-57, 2013-03-15 (Released:2022-03-31)
参考文献数
42

This study focuses on the Kata ‘Hōjō’ central in Jikishinkage-ryu. The purpose of this study is to research the birth of Hōjō, at what training stage Hōjō is practiced, the stages in Hōjō training, and the actual content.The conclusions of this study are as below.1. The prototypical four Katas of Hōjō were formed in the Jikishin-ryu. And the actual Hojo already was formed in the Jikishinseito-ryu.2.Hōjō was trained in the first and second stages of the training process of Jikishinkage-ryu.3. In The first stage, it is prohibited to duel. This is for two reasons. First, the hope to progress and defeat opponents hinder training. Second, by forcing too much spirit and hitting too hard causes incorrect actions and postures.4. Hōjō was had two stages. In the first stage, ascetics learn movements of Uchitachi and Shitachi to correct posture and sword-swing trajectories. Intermediate ascetics train ‘Shingyō’ to verify that the mind is in correct condition.5.Descriptions of teachings of correct swing trajectories called ‘Tateichimonji’ and ‘Yokoichimonji’ can be found in documents. These teachings in turn are crucial to the swing of ‘Jyūmonji’.6.Ascetics were required to create ideal body posture through Hōjō training. This ideal body condition relates to the teaching of ‘Sōtai-no -shime’ that fill body with ‘Ki’ and sharpens the senses. The eyes, navel, and the back are thought of as important points.7.‘Hikiri’ is one of the ‘Shingyō’ in Hōjō training. This training eliminates unpure thought called ‘Hi’ from one’s mind and this is done by swinging wooden swords in Hōjō practice.8.Also considered ‘Shingyō’ is ‘Shikake’; a psychological mind-game in which one takes the initiative to recognize both strengths and weaknesses to discover and master opportunities of attack in the relation with the opponent.