著者
髙橋 祐介 島内 卓 真島 久 酒井 隆士郎 瓜生 佳代 野口 康男 江口 正雄
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.369-370, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

輸血拒否を特徴とするエホバの証人に対する手術治療成績を報告する.対象は2004年から2018年の115症例,手術時間,出血量,術前後のHb値,術中回収式自己血輸血使用の有無,手術の際に生じる問題点について検討した.男性17例,女性98例,人工股関節置換術25例,寛骨臼移動術3例,人工膝関節置換術12例,脊椎6例,大腿骨頚部,転子部骨折14例,四肢骨接合術12例,抜釘その他43例であった.手術時間は平均121分,出血量は平均218 ml,術中回収式自己血輸血は5例に行った.[考察]エホバの証人は2014年から免責証書を持参せず,当院では新たに免責証書を作成した.使用できる血液製剤,自己輸血療法の内容を明記し,新たに親族のサイン欄も設けた.回収式自己血輸血は600 ml以上出血がないと診療報酬点数が取れず,エリスロポエチン製剤は術後貧血に対して適応がなく,治療費が病院負担となり大きな問題である.
著者
奥村 真帆 福田 章真 斎藤 貴 牧浦 大祐 井上 順一朗 酒井 良忠 小野 玲
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1453, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】がん患者における術前の筋肉量低下は,術後の合併症や,生存率に影響を及ぼすと報告されている。近年,一般高齢者において筋肉量低下に関連する因子の一つに睡眠障害が注目されている。がん患者は高い確率で睡眠障害を発症するため,睡眠障害が筋肉量低下に関連していることが予測されるが,現段階ではこれらの関連は明らかとなっていない。本研究の目的は,術前の消化器がん患者における睡眠障害と筋肉量低下との関連性を調査することである。【方法】本研究の解析対象は,2016年6月から2016年9月の間に手術施行予定の患者の中で,術前に評価可能であった胃がん,食道がん,大腸がん患者40名(年齢70.5±7.5,男性31名)とした。筋肉量低下の診断は,Asian Working Group for Sarcopeniaの基準に従い,男性:骨格筋量指標<7.0kg/m2,女性:骨格筋量指標<5.7kg/m2から診断した。筋肉量の測定には,インピーダンス測定機器Inbody430(バイオスペース社製)を用いた。睡眠障害の評価には,日本語版Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)を用いた。睡眠の質,入眠時間,睡眠時間,睡眠効率,睡眠困難,眠剤の使用,日中覚醒困難の7つの各項目を0-3点の4段階に分類した。また,PSQIの各項目の総合得点が6点以上を睡眠障害有とした。その他に,年齢,性別,身長,体重,教育歴,同居人の有無,CRP,アルブミン,ヘモグロビン,performance status,がん種,合併症(Carlson Comorbidity Index),喫煙,飲酒,clinical stage,身体活動量(International Physical Activity Questionnaire),認知機能(Mini-Mental State Examination),抑うつ(Geriatric Depression Scale短縮版),栄養状態(Mini Nutritional Assessment-Short Form)を測定した。筋肉量(低下群vs.維持群)の比較は,Fisherの正確確率検定,t検定,Mann-Whitney U検定を用いた。PSQIに関しては,各下位項目と睡眠障害の有無のそれぞれについて検討した。p値が0.1未満であった項目を独立変数とし,筋肉量を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。すべての検定において,有意水準は5%未満とした。【結果】対象者の12名(30%)が筋肉量低下群であった。筋肉量低下群は,筋肉量維持群と比較して,体重が軽く(51.79±7.44kg vs. 65.60±9.83kg,p<0.05),入眠時間が長かった(p=0.03)。体重,入眠時間に加え,単変量解析にてp<0.1であった栄養状態を投入し,多重ロジスティック回帰分析を行った結果,体重(オッズ比0.79,95%信頼区間0.68-0.93)と入眠時間(3.23,1.08-9.68)が術前の筋肉量低下に関連していた。【結論】本研究では,睡眠障害のうち入眠時間が,消化器がん患者における術前の筋肉量低下と関連していることが示唆された。術前に入眠時間を評価・管理することが,筋肉量低下の進行を予防する可能性がある。今後は,睡眠障害と筋肉量低下の因果関係について検討する必要があると考える。
著者
酒井 美枝 武藤 崇
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.452-459, 2021 (Released:2023-03-31)
参考文献数
14

In this paper, we review the four processes in the psychological flexibility model of Acceptance and Commitment Therapy (ACT) as mindfulness in the context of ACT. We will discuss in the following order: (1) human psychopathology from the perspective of ACT, (2) human health from the perspective of ACT, and (3) mindfulness from the perspective of ACT. The “purpose” and “method” of using mindfulness training or technique in ACT involves originality and will be discussed by introducing concrete examples of practice.
著者
酒井 直樹 田口 仁 六川 修一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.L1, pp.9-18, 2023 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

災害時の最大のニーズは「どこで何が起きたのか」の把握である.その情報がすぐに災害対応者の意思決定に必要な情報として提供されるべきである.そのためには各種衛星に関して「いつ・どこのエリアをどの衛星で観測するか」をマネジメントする必要がある.特に,広範囲にわたる災害では必要不可欠な技術である.そのためには,各衛星の特性を知った上で,複数機体制の実現とその運用管理の一元化が求められる.緊急観測依頼から衛星データ入手までの時間を短縮する必要もある.観測の精度や手順を標準化することも求められる.SAR衛星や小型衛星を使い,AI解析技術の確立することが重要である.今後ユーザーのニーズに応じて衛星データの選択が可能となり,必要な時に入手できるようになることを踏まえ,平時はインフラのモニタリングをして情報を蓄積し,災害時にはその延長で対応できるようなフェーズフリーな利用が進むと考えられる.
著者
酒井邦嘉作 山田和明絵
出版者
明治書院
巻号頁・発行日
2011
著者
酒井 晴香 関 玲
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.21-29, 2020-09-30 (Released:2020-10-23)
参考文献数
15

本研究は、大学生のアカデミック・ライティングの運用能力について、レポートの文末モダリティ表現(「と考えられる」等)に焦点を当てて問題を明らかにするものである。文末に出現する推量、蓋然性、証拠性に当たるモダリティ表現を分析対象とし、学術論文と大学生のレポートを収集して作成したコーパスを用いて調査を行った。その結果、1)動詞の形態に関して、学術論文ではラレル形が多く使用される一方、レポートではル、タ、テイル形の使用が多いこと、2)レポートでは漢語動詞のバリエーションが少なく、また学術論文には出現しない「と考察される」が特異的に使用されていること、3)「のではないか+と考える」のようなモダリティ重複表現がレポートに多く出現していることが明らかとなった。さらに、この結果から、学術論文では文末モダリティ表現がより広範な用法で使用されていること、レポートではモダリティ重複表現が定型化している可能性を指摘した。
著者
藤本 潔 酒井 寿夫 森貞 和仁 古澤 仁美 中嶋 敏祐 布施 修 小林 繁男
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.83-90, 1998-12-25 (Released:2017-04-03)
参考文献数
20

1984年の長野県西部地震に伴い発生した御岳岩屑流は,森林域にも多大な被害をもたらした。この岩屑流発生から10年目の植生発達状況と立地環境との関係を明らかにするため,岩屑流堆積物が薄く堆積する標高約2000mの小三笠山北側の緩傾斜地(田の原)と,厚さ数10mの岩屑流堆積物で埋積された標高約950mの王滝川谷底部(氷ヶ瀬)にトランセクトを設け,地形断面測量,堆積物の粒径分析および植生調査を行った。波長数10〜100m程度,振幅10m程度の波状起伏がみられる田の原では,流水の影響を受けやすい谷部で粒径2mm以下の細土含有率や細土中のシルト・粘土含有率に顕著なばらつきがみられ,細土がほとんど存在しない箇所で出現種数・被度とも低い値を示すものの,細土含有率が5%程度以上ある地点では,微地形条件に関わらず,これらは同様の値を示した。氷ヶ瀬では岩屑流堆積面が現河床を含め3段に段丘化しており,岩屑流堆積後,河川による侵食作用を被ることなく安定した地形環境下にあった上位面が出現種数・樹高・被度のいずれも最も高い値を示した。これらの結果は,流水による侵食プロセスが初期植生発達過程に大きな影響を及ぼしていることを示す。岩屑流発生後,同じ期間を経ていると考えられる田の原と氷ヶ瀬上位面を比較すると,樹高およびそれぞれの種の被度百分率の合計値のいずれも標高の低い氷ヶ瀬上位面の方が高い値を示した。
著者
酒井 悠太 斉藤 由理恵 乘越 亮 今西 英雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.57-63, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
10

オリエンタル系ユリ ‘カサブランカ’ の国内産球根を用い,予冷温度と期間を変えてそれに伴うシュートの成長,茎先端部汁液のBrixと糖含有量の変化を調べた後に,球根を–2.0°Cの氷温に移して貯蔵した.それらの球根を7~10か月後に取り出して植え付け,開花調査を行い,長期氷温貯蔵後の障害発生と予冷温度・期間との関係を明らかにしようとした.1°Cの予冷期間を0~20週と変えた場合,予冷期間が12週以上になると,氷温貯蔵後の抑制栽培において開花率の低下と葉の障害発生がみられ,それと茎先端部汁液のスクロース含有量の低下とが関連すること,Brixの変動はスクロースの変動とほぼ一致することがわかった.次に1°C, 6°C, 8°Cおよび12°Cで8週間予冷した後,1°Cに移して10週間貯蔵を続け予冷温度の影響をみたところ,1°Cと6°Cの予冷はBrixと糖の含有量について同じような変動を示し,栽培試験でも葉の障害発生あるいは開花率の低下が認められ,同じように影響することが示された.また1°Cで18週間予冷した後に氷温貯蔵に移した場合,氷温貯蔵期間が8週間長くなると全く開花がみられなくなった.以上の結果,6°C以下の温度で長期間予冷することが,長期氷温貯蔵後の栽培において開花率の低下や葉の障害発生をもたらすことが明らかになった.
著者
酒井 昭 倉橋 昭夫
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.192-200, 1975-12-31
被引用文献数
5

Dormant one-year-old twigs were collected from the mature and young plants of a number of conifer species cultivated at Yamabe, Hokkaido, and other places during midwinter, these were artificially hardened at sub-freezing temperatures to overcome differences in site of collection and to induce maximum freezing resistance. In most of the species distributed in the sub-alpine and sub-cold zones, the leaves and the twigs resisted freezing to -70℃ or below, while most of the species distributed in the temperate zone resisted freezing to only about -30℃, and the leaves and the twigs were found to be nearly equally hardy unlike the conifers distributed in sub-alpine and sub-cold zones. Also, most of these temperate conifers were observed not to be grown in a severe cold climate in Hokkaido. Thus, in the conifers distributed in the temperate zone, winter minimal temperatures appear to be the principal factor governing their growth in severe cold climates. A marked variation in hardiness was not observed among the pines Pinus denslflora and Pinus thunbergiana from different provenances.
著者
小山 秀紀 鈴木 一弥 茂木 伸之 酒井 一博
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.49-70, 2012 (Released:2013-11-25)
参考文献数
9

中小運送会社の異なるパターンの運行5事例(4泊5日運行,3泊4日運行,1泊2運行,日勤)と大手運送会社の2泊3日運行3事例について,調査者がトラック助手席に添乗して,疲労や眠気の主観評定,ビデオ画像,活動量および生理反応(心拍数,眼電図)の記録を実施した。中小の長距離輸送では,長時間運転,短時間睡眠,眠気が強くなるまで少しでも走り続けて睡眠を分割して取得するパターンが多かった。大手では,夜間走行-昼間睡眠という同一のパターンでの定期的な運行であった。全事例で車内のベッドやシートで睡眠が取得されていた。運送事業主と荷主との協力関係,休息期間を確保できる運行計画,長時間運転と休憩不足の回避,トラックキャビンでの睡眠への配慮,高速道路や付随する休憩・宿泊施設の充実などの多方面における改善が必要とされていることが示された。(表3,図12)
著者
酒井 恵子 Takuya Yanagida 松居 辰則 戸田 有一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-13, 2018-03-30 (Released:2018-04-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

本研究の目的は,Sprangerの価値類型論に基づき6種の価値への志向性を測定する尺度である「価値志向性尺度」の尺度項目間にみられる順序関係を明らかにし,価値志向性というパーソナリティ特性の構造や成り立ちを解明することである。本研究ではそのための分析手法を新たに開発し「順序関係分析」と名付けた。順序関係分析では,尺度に含まれる2項目ごとに順序関係の有無が判定される。2項目間の相関係数および平均値の差が共に基準以上であれば「順序関係」,相関係数が基準以上で平均値の差が基準未満であれば「等価関係」と判定される。さらにこれらの順序関係および等価関係が樹状図で示される。この分析を,大学生320名(男子156名・女子164名/平均年齢20.0歳)の価値志向性尺度への回答データ(5件法)に適用し,6種の価値志向性(理論・経済・審美・宗教・社会・権力)を測定する6尺度それぞれについて樹状図を作成した結果,Sprangerの理論ともよく対応する特徴的な順序関係が各尺度において見出された。また,今後尺度の妥当性をより高めるべく改良していくための示唆が得られた。
著者
山極 哲也 酒井 和加子 吉岡 亮 上野 博司 山代 亜紀子 川上 明 荻野 行正 土屋 宣之 大谷 哲之 大里 真之輔 信谷 健太郎 竹浦 嘉子 上林 孝豊 清水 正樹 大西 佳子 上田 和茂
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.123-128, 2023 (Released:2023-04-24)
参考文献数
11

地域全体の緩和ケアの質の向上を図るためには,各施設が緊密につながることが必要であると考え,2017年9月に「京都ホスピス・緩和ケア病棟(PCU)連絡会」を発足させた.個々のPCU施設が抱える問題を気軽に話し合い,共に悩み考え,成長,発展させる場,新規立ち上げ施設を支援する場とした.連絡会では,その時々の話題(緊急入院,輸血,喫煙,遺族会など)をテーマに議論を行った.2020年,COVID-19流行のため連絡会は休会となったが,メール連絡網を用い,感染対策,PCU運営などの意見を交わし,WEB会議システムを用い連絡会を再開させた.日頃より顔の見える関係があることで,COVID-19流行という有事においてもPCU間の連携を維持し,がん治療病院との連携にも発展させることができた.京都府のPCUが一つのチームとなることで,患者,家族がどのような場所においても安心して生活できることを目指している.
著者
酒井 健太郎
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2006

付: 参考文献
著者
神谷 行宣 山根 宏敏 中村 英一郎 山口 将則 樋高 由久 酒井 昭典
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.36-40, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
9

頸椎後方手術後の舌下神経麻痺を経験したので報告する.症例は46歳女性.主訴は右上肢痛.1年半前より頚部痛と右上肢痛あり.当科受診し,頸椎症性脊髄症+神経根症と診断.椎弓形成術(C4-6)と椎間孔拡大術(右C4/5)を施行した.術後より舌に発赤,腫脹と構音障害,舌の右方偏位を認め,右舌下神経麻痺と診断された.ビタミンB12の内服と言語リハビリ療法にて治療を行い,術後3か月にてほぼ舌の偏位は改善した.頸椎後方手術後に舌下神経麻痺を生じる原因として,気管チューブ等の麻酔時の口腔内異物による圧迫性神経障害であるとの報告が多く,本症例でも同様に舌への圧迫が原因と考えられた.