著者
野村 大成 梁 治子 足立 成基 藤川 和男 本行 忠志 中島 裕夫 奥村 明之進
出版者
独立行政法人医薬基盤研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

N5雄親マウスへの原子炉放射線(中性子0.2Gy+γ線0.2Gy/時間)、0.2、0.4、0.8、1.2 Gy精原細胞期照射により、F1マウスのマイクロサテライト突然変異が対照群に比べほぼ直線的に増加し、突然変異率は、3.5x10^<-2>/Gy/遺伝子座であり、60Coガンマ線と比較し、原子炉中性子線のRBE は約16 になった。変異はメンデル遺伝し、白血病も有意に増加した。遺伝子発現の異常も子孫マウスに見られた。
著者
野村 亮太
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.32-43, 2013-08-31

健やかに楽しく生きるための資源として活用しやすい落語の楽しさを説明する観点として没頭体験に着目し,落語没頭体験尺度を作成した。17歳から23歳の高校生・大学生75名(男性48名,女性27名)を対象に調査を行い,信頼性・妥当性を検討した。噺の世界に入り込む主観的な感覚と五感の作用および生理的反応が生じる頻度について尋ねる21項目で構成された本尺度は高い内的整合性を示した。また,この尺度はメディアを視聴する場合よりも対面状況においてより没頭体験が生じやすいことを測定できることから,一定の妥当性が示された。なお,尺度得点に性差や年齢差は見られなかった。これを基に作成された10項目で構成され短時間で実施できる短縮版尺度は本尺度と同様の信頼性・妥当性を示すとともに,本尺度をよく予測できた。これらの結果は,落語鑑賞時の楽しさにみられる個人差とこれが心身の健康に与える効果という観点から議論された。
著者
野村 泰之 戸井 輝夫
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.167-173, 2014-06-30 (Released:2014-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1 7

After the huge earthquake in Japan on March 11th 2011 (magnitude 9.0), many people in the eastern area of Japan close to the epicenter felt dizziness, as if they were rocking at a time when no aftershocks were actually occurring. There are a few reports about dizziness after major earthquakes in the world, but there has been no study so far with analysis of large numbers of cases of earthquake sickness. We conducted an epidemical clinical study and called those symptoms “post earthquake dizziness syndrome; PEDS.” Affected subjects became aware of the rocking feeling within a minute especially when indoors and seated. A significant difference was found with respect to gender, with a prevalence of females, and with the people who were prone to suffer from motion sickness. Otherwise, there was no relationship with case histories of vertigo-related diseases. On the other hand, anxiety and social stress from the disaster seemed to be contributory factors. The underlying mechanism is associated with stimuli to the vestibular and equilibrium balance systems. Emotional disorders such as post-traumatic stress disorder (PTSD) were added to the etiology. For the prevention and treatment, maintaining fitness in daily life and avoiding anxiety caused by reports in the media seemed to be important. Physiotherapy and medication also proved important to prevent symptoms from getting worse.
著者
野村 悠祐 山地 洋平 今田 正俊
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.72-81, 2019-02-05 (Released:2019-08-01)
参考文献数
49
被引用文献数
1

量子多体系とは多数の自由度がお互いに相互作用しあう系を指し,そこにおける各自由度の運動は多体の波動関数によって支配される.多体波動関数さえわかってしまえば問題解決であるが,多体系のハミルトニアンの次元は自由度の数に対して指数関数的に増大するため,自由度の数が増えると多体波動関数を厳密に求めることは不可能になる.そのため,多体波動関数をいかに精度よく表現できるか?という問題は,非常に重要な課題になる.この問題に対して新しい風が吹いている.これまで物理的洞察に基づいて波動関数を近似する試みは多くなされているが,それとは逆に対称性などの明らかな拘束条件以外には直観に頼らず,機械学習の力を借りて波動関数を構築しようという動きである.機械学習は膨大なデータセットからその本質的なパターンを抽出する.すなわち,本来の波動関数は指数関数的に大きな次元を持つベクトルとみなせるが,その本質的なパターンを機械学習によって見つけ出し,波動関数の次元よりもはるかに少ない数のパラメータを用いて波動関数を精度よく近似しようという試みである.機械学習の手法の中でも,本稿では,人工ニューラル・ネットワークの一種であるボルツマンマシンを用いた変分波動関数について議論する.ボルツマンマシンは可視(入力)層の自由度である可視ユニットに加え,仮想的自由度である隠れ層の不可視ユニットで構成され,ユニット間が結合(相互作用)を持つ構造をしている.ボルツマンマシンは可視ユニットの状態配置を入力とし,その生成確率分布を学習する機械である.それに対し,多体波動関数は物理的なハミルトニアンの自由度の状態配置それぞれに対して値を与える.波動関数の値が,それらの状態配置に対する(複素数に一般化された)確率であると考えると,物理的ハミルトニアンの自由度と可視ユニット自由度を同一視することで,多体波動関数をボルツマンマシンによって書き下すことができる.すなわちボルツマンマシンをユニット間結合定数などを変分パラメータとする変分波動関数とみなし,物理的ハミルトニアンのエネルギー期待値を最小化するように波動関数を最適化し(機械学習の言語ではこれが学習に対応),未知の基底状態を探索する.最初に量子多体系に適用されたのは,最も単純な構造をしている制限ボルツマンマシン(Restricted Boltzmann machine,略してRBM)である.RBMを用いた変分波動関数は量子スピン系に適用され,その精度の良さが実証された.この研究を皮切りにRBM波動関数の特性が以下のようにわかってきた.i)不可視ユニットの数を指数関数的に増やすとどんな波動関数も表現可能.ii)相互作用が短(長)距離だと,エンタングルメント・エントロピーが表面(体積)則を満たすこと.iii)従来の波動関数法を組み合わせるとフェルミオン系などにも適応可能となりより良い精度が達成できること.iv)隠れ層を一層増やした深層ボルツマンマシン(DBM)にすると関数表現能力が格段に向上する.その性質を用いると,DBMを用いて基底状態の波動関数を厳密に構築できること.ボルツマンマシン波動関数の研究は始まったばかりである.その有用性,より深い学理が近い将来明らかになるだろう.
著者
野村 泰捻
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.650-656, 2020-09-15 (Released:2020-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3
著者
野村 直樹 橋元 淳一郎 明石 真
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-50, 2015 (Released:2017-02-28)

本稿は、時間を存在するもの、すでにあるものとしてではなく、むしろ作られていくもの、つまり、区切り、記述として見ていくことで、どのようにわれわれの時間概念が書き換わるかを説明しようとする。すべての時間が何らかの区切り(punctuation)をもとにするところから、区切るという行為やリズムから時間論を組み立てていく。区切る、リズムを刻む、記すという行為をとおして世界を秩序立てていくという意味で「物語としての時間」という呼び方をする。人間世界、生物の世界のみならず、物理的世界(例、振り子の同期)にも共通してある同期という現象に焦点を当てることで、新たな時間が立ち現れることを、マクタガートの時間論をベースに理論化していく。この時間世界を拡張していく主役は、E系列と呼ばれる時間であり、詩人やアーティスト、宗教家の直観として古来より語られてきたものではあるが、これを科学の枠組みの中に位置づけようとするのが本稿の目的である。相互作用し、同期するものが作る「生きた時間」という視点がもたらす広がりを説明したい。
著者
梶山 哲 戸髙 良祐 野村 心 梅野 和也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.541-546, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
24

〔目的〕歩行自立・転倒カットオフ値リスト(脳卒中対象の他論文を参照)を,回復期リハ病棟の脳卒中患者に導入し,転倒予防効果を検討すること.〔対象と方法〕2016年度に当センターを退院した脳卒中患者123名を非導入群,2017年度に退院した脳卒中患者119名を導入群とした.導入前後でFIM,転倒発生率を比較した.また,理学療法士28名に対しアンケート調査を行った.〔結果〕転倒発生率,退院時合計FIMにて有意差を認めた(p<0.05).アンケートでは,「歩行自立度判断を行う際の多職種との協議において,パフォーマンステストや転倒リスク因子を参考に発言できているか」について導入後に有意に数値が高くなった(p<0.05).〔結語〕リストの使用は理学療法士の意識の変化に影響を与える可能性が示唆された.
著者
奥田 知明 坂出 壮伸 藤岡 謙太郎 田端 凌也 黒澤 景一 野村 優貴 岩田 歩 藤原 基
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.28-33, 2019-01-10 (Released:2019-03-23)
参考文献数
17

可能な限り多数の測定装置を同時に利用することで、閉鎖的環境の代表例である地下鉄構内の空気中粒子状物質の詳細な特性調査を行った。総粒子個数濃度はCPC、ナノ粒子側粒径分布はSMPS、ミクロン粒子側粒径分布はAPS、ミクロン粒子側粒子個数濃度はOPC、粒子状物質の帯電状態は自作の帯電粒子測定装置K-MACS、PM2.5濃度はポータブルPM2.5濃度計、粒径別の個別粒子の元素組成はSEM/EDX、フィルター採取された粒子の元素組成はEDXRFにより測定された。地下鉄構内におけるPM2.5質量濃度は、列車の到着本数が過密になる7–8時台を過ぎた時間帯にピークを示した後徐々に減少し、午後になると約50–120 μg/m3の範囲でほぼ定常的な上昇と減少を繰り返した。地下鉄構内のPM2.5質量濃度は、屋外と比較して約2–5倍であった。地下鉄構内においては、屋外大気と比較して粒径0.5 μm以上の比較的粗大側の粒子が高濃度となった。地下鉄構内のFe、Ti、Cr、Mn、Ni、Cu、Znなどの金属類は、屋外観測地点の数十から数百倍の高濃度であった。一方で、Sの濃度は地下鉄構内と屋外観測地点で大きな違いは見られなかった。0.5–1.0 μmの粒径範囲においては、地下鉄構内の粒子の約70%以上は帯電していた。地下鉄構内における粒子状物質濃度は屋外と比較して高く、かつ地下鉄構内ではFeを含んだ粒子が多いことは、過去の研究例と同様の傾向であった。このことに加えて、本研究では複数の測定装置により、粒径による元素組成の違いや、粒子の帯電状態などといった、地下鉄構内空気中粒子の詳細な特性を把握することができた。
著者
底田 辰之 澤井 俊宏 岩井 勝 野村 康之 竹内 義博
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.55-59, 2007-04-15 (Released:2007-11-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

症例は8歳,男児。3歳時に自閉症と診断され,養護学校に通学中である。平成17年11月16日,生来初めてのインフルエンザHAワクチンの接種を受けた。接種3日後より発熱があり,近医にて解熱剤,抗生剤を処方されていた。改善がないため再診したところ,強い炎症反応がみられたため入院となった。熱源不明のまま抗生剤投与を続けられたが,発熱の持続とともに急激な腎機能低下が判明したため当科に紹介入院となった。軽度の尿異常および尿中β2ミクログロブリンの著明な高値などから急性尿細管間質性腎炎を疑い,持続血液濾過透析を行いながらステロイドパルス療法を実施したところ,透析開始後6日目で利尿が得られ,以後順調に回復した。腎生検の結果から急性尿細管間質性腎炎であることを確認した。患児に投与された種々の薬剤を抗原としてリンパ球幼若化試験を実施したところ,インフルエンザHAワクチンの関与が疑われた。
著者
野村 玄
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.1878-1900, 2012-11-20 (Released:2017-12-01)

This article examines the backdrop against which Toyotomi Hideyoshi was deified with the title of Toyokuni Daimyojin instead of Shin-Hachiman, the title he himself specified in his last will and testament. Despite the fact that who actually promoted deification has by no means been made clear, the author argues that it is necessary to keep in mind that deification was a policy implemented in the midst of the unstable political situation that characterized post-Hideyoshi Japan, and therefore any discussion over who promoted that policy should proceed from an appraisal of the actual situation at that particular time. As a result of the examination of new historical sources clarifying the meaning of the title of Daimyojin and the Toyokuni Shrine and helping to identify those who were involved in their creation within the context of the contemporary political situation, the author has reached the following four conclusions: 1) The title of Daimyojin, which conflicted with Hideyoshi's own wishes, was instituted between the 5th day of the 3rd month and the 10th day of the 4th month of the 4th year of the Keicho Era (1599) under the auspices of Emperor Goyozei, Tokugawa Ieyasu and the vassals of the Toyotomi Clan. 2) Regarding the creation of a brand new title contrary to the wishes of its recipient by emphasizing the idea of Japan as "Toyokuni" (land of prosperity), the consent of Tokugawa Ieyasu was obtained amidst the political chaos arising from the sudden death of the country's supreme commander from ill health during the expeditionary campaigns being waged in Korea and for the purpose of maintaining the centrifugal character of the Toyotomi regime and stabilizing every possible political situation. Consequently, for Ieyasu deification was intended to not only deeply honor the fallen leader, but also to make a clear political statement that Japan had never nor would ever be defeated and conquered by the likes of the Ming Dynasty. 3) In addition, there is the distinct possibility that Ieyasu initially considered between the time just before Hideyoshi's death and the 7th month of Keicho 4 (1599) changing the name Toyotomi to Minamoto. 4) Viewing the situation from Ieyasu's personal political standpoint, the deification of Hideyoshi with the title of Shin-Hachiman would have meant linking him to the genealogy of the patron deity of the Minamoto Clan; however, concluding that Hideyoshi even after his death should be recognized as a Toyotomi as he lived, Ieyasu decided to abandon the initial plan, ignore Hideyoshi's wishes and newly establish the title Toyokuni Daimyojin.
著者
藤田 尚 野村 貴光
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.411-440, 2012-12-30

近年、我が国の少年法は、度々改正がなされているが、その内容を見る限り、少年の立場からなされたものというよりは、犯罪被害者や世論を受けて改正がなされているように思われる。その結果、少年法の理念からかけ離れ、徐々に厳罰化へ進んでいるような感が否めない。1980年代後半から、アメリカでは現在の日本と同様の動きが見られ、今もその動向は続いていると信じられているが、実際には、現在のアメリカでは、少年司法における厳罰主義に歯止めがかかり、その厳罰化からの転換は、特に諸州における州法の改正という形を取って顕著に現われている。 そこで、本稿は、アメリカ少年司法制度の経緯を概観し、この新動向について主に各州の傾向を詳細に検討した上で、今後の日本の少年司法制度の在り方について論じる。/近年、修復的司法が過去に達成した偉業、修復的司法の現在の状態、そして、将来において修復的司法が那辺に向おうとしているのかについて、欧米において問題提起がなされている。すなわち、古くは世界各国における先住民の文化及び宗教的伝統に起源をもつ和解及び紛争解決の実践から生まれ、その後、欧米諸国においては1970年代から草の根運動として始まり、2012年現在、さまざまな諸原理及び諸政策を内包する社会運動にまで進化を遂げた修復的司法の軌跡に対する再検討を通じて、修復的司法を進化させていくための必要条件を模索し、探求しようという動向が、欧米において発生するに至っている。 思うに、被害者政策としての修復的司法の必要条件を探求することは、被害者政策の手段としての修復的司法の将来的発展に寄与し、被害者の人権の保障につながる結果となるが故に、修復的司法の必要条件を探求することには意義が認められよう。そこで、本稿においては、究極的に被害者の人権保障の貫徹を目指すという動機から、修復的司法の必要条件を探求することを目的とし、被害者政策としての修復的司法に必要とされているものは何かとの問題提起を行い、その問題につき法律学、被害者学及び社会学的視角から、考察し、修復的司法の必要条件に対する理論的帰結を導出することにしたい。
著者
野村 康弘 倉本 宣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.73-78, 2005-11-03 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

本研究では多摩川に生息するカワラバッタについての分布状況と生息地間の移動に関して調べた. 分布調査の結果, 生息地が39ヶ所確認され, 本種は多摩川において連続的に生息していることが確認された. 標識再捕獲調査の結果, 標識数4641匹のうち85匹が生息地間を移動していたことが確認された. また, 総個体数と砂礫質河原面積には正の相関, 移出率と砂礫質河原面積には負の相関があった. 本種の通常起こりやすい移動距離を300mとしたbuffer-1と最大値の810mのbuffer-2を各生息地に発生させたところ, 本種の地域個体群が多摩川の河口から52.6~53.2km付近で大きく分断化されていることが推測された. 本種の保全のためには分断化されている地域個体群のネットワークをつなげることが重要と考えられた.
著者
神田 鉄平 前田 憲孝 井口 亜弥乃 柴田 和紀 野村 千晴 山本 達也 村尾 信義 加計 悟 古本 佳代 古川 敏紀
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Suppl, pp.Suppl_77-Suppl_78, 2011-10-01 (Released:2011-12-20)
参考文献数
2

イヌにおけるBCS評価の客観性および妥当性の向上を目的に、腹部CT撮影画像から算出された体脂肪組織量との相関性についての検討を行った。BCS評価はCT画像から得られた体脂肪組織量と有意に相関し、その基準が外観や触感といった間接的なものではあるものの、イヌの体脂肪組織量をある程度正確に反映していることが示唆された。
著者
野村 直人 佐藤 滋
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.387-393, 2015-10-25 (Released:2015-10-25)
参考文献数
13

巨大災害が引き起こす長期避難生活において、適切な住環境、生活環境の構築は、本格的な復興へと円滑に移行していく上で重要な課題である。2009年に中部イタリアで起きたラクイラ地震においては、復興に膨大な時間がかかることが予想されたことから、「応急建設」という法的枠組みのもと、長期避難生活に耐えうる質の高い住環境を短期間で供給することに成功している。本研究では、第1に適切な緊急時対応及び応急建設を実現させた組織体制を明らかにすること、第2に長期復興プロセスに対する応急建設の有効性を明らかにすることで、災害の規模や被災地の特性に応じた住宅供給のあり方として日本への示唆を得ることを目的とする。本研究により具体的に以下の2点が明らかになった。 1.応急建設物の迅速な建設プロセスや住宅としての質の高さにおいて長期的な復興プロセスに対する有効性が見られた。 2.全国災害防護庁は技術的な蓄積をもとに、被災の規模や被災地の特性に応じて緊急時における住宅供給の戦略を決定し、多様な規制緩和や行政手続きの免除等によって迅速な事業の実施を可能としている。
著者
野村 祐輝 夏秋 優 岡本 祐之
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.436-440, 2017 (Released:2018-06-28)
参考文献数
23

70歳代,女性。6月下旬,頸部にかゆみのある発疹が出現し,刺したと思われるアリを持参して当科を受診した。初診時,頸部にそう痒を伴う紅色丘疹が孤立性に4ヶ所認められた。そのアリは体が黒褐色,脚が赤褐色で,形態的な特徴からオオハリアリと同定し,自験例をオオハリアリ刺症と診断した。オオハリアリは尾端部に毒針を有するアリで,中国や朝鮮半島,北海道を除く日本全国に分布している。わが国でオオハリアリ刺症と診断された報告はこれまで11例あり,うち7例はアナフィラキシー症状を生じている。韓国でも在来種として,米国では外来種としてオオハリアリ刺症によるアナフィラキシーが報告されている。最近,特定外来生物であるヒアリが日本国内で発見され,その毒性や危険性が問題になっている。自験例はアナフィラキシー症状を認めず,ステロイド外用のみで軽快したが,オオハリアリは刺されるとアナフィラキシーを起こす可能性のある身近なアリであると認識することが重要である。(皮膚の科学,16: 436-440, 2017)