著者
平野 滋 杉山 庸一郎 金子 真美 椋代 茂之
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.1, pp.11-13, 2021-01-20 (Released:2021-02-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

声帯は50歳ごろより萎縮が始まり, 声の減弱化, 嗄声を呈するようになる. 声帯の粘膜および筋肉の萎縮によるが, 声の劣化は活力の低下, 生活圏の制限, 社会的地位への脅威など高齢者における生活および仕事環境を脅かすことにもなり, またひいては誤嚥による健康被害にも繋がる. 声が掠れてきたら要注意であり, 予防による声帯の維持が重要である. 声帯の維持のために, 1. 声帯の保湿, 2. 喉頭の慢性炎症の予防, 3. 適度な発声, 4. 活性酸素の抑制を勧めている. 声帯の保湿には1日1.5L 以上の水分摂取が世界的に推奨されている. 喉頭の慢性炎症予防のためには禁煙, 胃酸逆流やアレルギー性炎症のコントロールが重要である. 歌手は声帯の寿命が長いといわれるが, 近年の臨床研究で一定のエビデンスが示された. 適切な発声を継続することが声帯維持に重要である. また, 活性酸素は加齢とともに増加し, 組織障害性を発揮する. 声帯も例外ではなく, 加齢や声帯酷使により声帯粘膜内の活性酸素が増加すること, また抗酸化剤の投与によりこれを予防し, 声帯の維持に有効なことを示した. 声帯の萎縮が生じてしまった場合, 呼気と共鳴を最適化する適切な音声治療によりある程度の改善が期待できる. 塩基性線維芽細胞増殖因子は, 萎縮した声帯粘膜内のヒアルロン酸産生を促進することで, 声帯の再生を促すことが可能である. かつては「年だから仕方ない」とされた声帯萎縮であるが, 健康長寿のために予防と治療が重要である.
著者
武市 祥司 金子 真由美
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_19-1_27, 2021 (Released:2021-02-06)
参考文献数
11

This paper deals with the educational effects of co-curricular activities in Kanazawa Institute of Technology. We surveyed the differences between two student groups, participating the co-curricular activities or not, from two viewpoints of students’ academic achievements and generic skills such as communication skill, planning skill, and stress control or resilience skill. After statistical analysis, we find that the students who get involved in the co-curricular activities have better grade point average of academic achievement than the other students, but participating the activities does not affect academic achievements. We also find the collateral evidences that co-curricular activities can foster generic skills of students.
著者
花辺 充広 金子 真也 メジアニ ヤーヤ ムバラク 尾辻 泰一 佐野 栄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.403, pp.83-88, 2006-12-01

InGaP/InGaAs/GaAs高電子移動度トランジスタに二重入れ子型回折格子ゲートと縦型共振器構造を導入したテラヘルツ帯プラズモン共鳴フォトミキサーを試作した。1.5μm帯の単光波連続光(CW)入力、4.0THzの差周波成分を有する二光波CW入力に対する光応答特性を測定した結果、それぞれ光励起二次元プラズモンによる自己共鳴発振、差周波成分による注入同期共鳴発振に相当する明瞭なピーク特性が得られた。さらに、1.5μm帯、70fsパルス光入力に対する電界応答を反射型電気光学サンプリング法により測定した。得られた放射スペクトルには、明瞭なプラズモン振動モードが確認できた。室温条件においてフォトミキサーからのテラヘルツ波放射の観測に成功した。
著者
金子 真之 大内 紀知
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.164-167, 2015 (Released:2016-01-29)

ネットワーク効果が働く製品では、市場シェアの獲得が競争優位性の構築につながるため、ある企業が一度高い市場シェアを獲得すると、他社がその市場でシェアを獲得することが困難となる。しかし、近年、ネットワーク効果が働く典型的な製品であり、これまでMicrosoft社が圧倒的な市場シェアを有していたOS市場において、Apple社のOSが急増するという注目すべき事象が見られる。本研究では、スマートフォン市場とタブレット型端末市場におけるApple社の市場シェアの高さに着目し、それらの市場からのネットワーク効果がOS市場における消費者の購買意思決定行動に与える影響を明らかにする。
著者
平野 滋 杉山 庸一郎 椋代 茂之 金子 真美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.1113-1117, 2019-08-20 (Released:2019-09-05)
参考文献数
30
被引用文献数
1

喉頭・咽頭逆流症 (LPR) は, 慢性的な咽喉頭炎から音声障害を来し得る. 胃酸による逆流性炎症が後部声門の肉芽腫や潰瘍の原因となることは広く知られているが, 近年, LPR では胸焼けや吃逆などの胃食道逆流症 (GERD) 症状は10~20%程度であるのに対し, 音声障害は約70%にまで起こるとされる. 音声障害の病因は, 慢性的な酸暴露による上皮, 粘膜固有層の損傷が主体で, 上皮の肥厚・角化, 潰瘍, 肉芽, 溝の形成, 粘膜固有層の炎症と乾燥などが指摘されている. 動物モデルにおいては, 喉頭に酸やペプシンを暴露すると, 肉芽腫の発生や粘膜上皮内の炎症, 扁平上皮の過形成や潰瘍, 線維化を来すことが確認され, また, LPR 患者の咽喉頭の生検組織において, 声帯上皮, 喉頭前庭, 後部声門の上皮内のペプシンの存在, 細胞間間隙の増大, 粘膜保護作用のある炭酸脱水素酵素やカドヘリンの減少などが報告されてきた. これらの炎症が音声障害を引き起こすと同時に, LPR 患者の発声はしばしば過緊張となり, 筋緊張発声障害を招くことが多い. 最長発声持続時間 (MPT), jitter, shimmer, 雑音成分などの異常を来す. 歌手は LPR の高リスク群とされている. 歌唱に腹圧のサポートが必須で, 高い腹圧によって胃酸の逆流が生じやすいこと, パフォーマンスの前は常に強いストレスにさらされること, 食事や飲酒に無頓着であることなどが原因で, 嗄声のほか音声疲労や歌唱中の声の途切れ, 痰の引っ掛かりなどを訴えることが多い. LPR による音声障害の治療は, 食事様式の適正化, ライフスタイルの改善, 胃酸逆流の抑制で, 胃酸分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬 (PPI) は多くの場合奏効する. これらの治療により, jitter, shimmer, HNR, VHI, GRBAS, RSI, RFS などの改善が多数報告されている. 音声障害患者において, 酸逆流の関与の有無について的確に診断し治療することが重要である.
著者
大井 一浩 井上 農夫男 金子 真梨 道念 正樹 松下 和裕 山口 博雄 戸塚 靖則
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-7, 2010-04-15 (Released:2012-03-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1

The purpose of this study is to evaluate the incidence, risk factors and postoperative nausea and vomiting (PONV) in patients who underwent orthognathic surgery.The subjects were 139 patients aged 17-52 years (47 males and 92 females) who underwent orthognathic surgery in the Hokkaido University Hospital from January 2001 to December 2003. Ninety-four Sagittal splitting ramus osteotomy (SSRO), 34 Le Fort I osteotomy and SSRO (Le Fort I+SSRO), and 11 surgically assisted rapid palatal expansion (SARPE) were performed. Anesthesia was maintained with sevoflurane and nitrous oxide in oxygen. There were no cases of maxillomandibular fixation. The factors investigated included age, gender, type of surgery, amount of bleeding, operation time, anesthesia time, anesthesia induction drugs, fentanyl dose and incidence of PONV. A statistical study was performed using logistic regression analysis to confirm the statistical significance among age, gender, amount of bleeding, operation time, anesthesia time, difference of anesthesia induction drugs, fentanyl dose, and incidence of PONV. A Chi-square test for independence was used to confirm the statistical significance between the type of surgery and incidence of PONV. Differences were considered significant for a P<.05.Nausea was observed in 44.6% females and 17.1% males. The incidence of nausea was significantly higher in females. A significantly higher amount of vomiting was observed in 23.5% of Le Fort I+SSRO compared with 7.4% of SSRO and 9.1% of SARPE. Statistically significant differences for vomiting were also noted in the operation time and anesthesia time.
著者
後藤 多可志 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 狐塚 順子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.187-194, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
26

本研究では,日本語話者の発達性読み書き障害児群を対象に有色透明フィルム使用が音読速度に与える影響を,明るさを統制しない場合の色の要因に焦点を当てて検討した.対象は8~14歳の発達性読み書き障害児と典型発達児,各12名である.音読課題(ひらがな,カタカナの単語と非語および文章)をフィルム不使用条件,無色透明フィルム使用条件および有色透明フィルム使用条件の3条件で実施し,音読所要時間を計測した.実験手続きは後藤ら(2011)に従ったが,有色および無色透明フィルム使用時に低下した刺激の表面照度の補正は行わなかった.両群ともに,所要時間はすべての音読課題において3条件間で有意差は認められなかった.明るさを統制しない場合でも有色透明フィルムの使用は発達性読み書き障害児の音読速度に影響を及ぼさない可能性が考えられた.
著者
宇野 彰 金子 真人 春原 則子 松田 博史 加藤 元一郎 笠原 麻里
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.130-136, 2002 (Released:2006-04-24)
参考文献数
33
被引用文献数
23 13

発達性読み書き障害について神経心理学的および認知神経心理学的検討を行った。はじめに, 読み書き検査を作成し健常児童の基準値を算出した。次に, 検査結果に基づいて 22名の発達性読み書き障害児を抽出し対象者とした。7~12歳までの男児 20名と女児 2名である。WISC-III, もしくは WISC-Rでの平均IQは 103.0, 言語性IQ 103.1, 動作性IQ 102.4であった。パトラック法による SPECTでは, 左側頭頭頂葉領域で右の同部位に比べて 10%以上の局所脳血流量の低下が認められた。音韻情報処理過程と視覚情報処理過程に関する検査を実施した結果, 双方の処理過程に問題が認められた児童が多かった。以上より, 発達性読み書き障害は局所大脳機能低下を背景とする高次神経機能障害であると思われ, 音韻情報処理過程の障害だけでなく, 少なくとも視覚情報処理過程にも障害を有することが多いと思われた。
著者
金子 真美 平野 滋 楯谷 一郎 倉智 雅子 城本 修 榊原 健一 伊藤 壽一
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-208, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

一般人の音声障害に関する音声治療については多くの報告があり,高いエビデンスレベルのものもある.しかし歌唱者の音声障害に対する音声治療については国内外で報告は少なく,現時点で確立された手技もない.今回われわれは歌唱者の音声障害に対し音声治療を行い,症状に一定の改善を認めた.対象は声帯結節,声帯瘢痕,声帯萎縮,過緊張性発声障害のいずれかと診断され,音声治療を施行した歌唱者9例(男性5例,女性4例,平均年齢53.3歳)である.口腔前部の共鳴を意識した音声治療を施行し,効果をGRBAS,ストロボスコピー,空気力学的検査,音響分析,自覚的評価,フォルマント周波数解析で評価した.治療後,音声の改善は個人差があるものの全例で認められ,MPTやVHI-10,GRBASで有意差が認められた.また,歌唱フォルマントもより強調されるようになった.歌唱者の音声障害に対する音声治療は一定の効果が期待できると考えられた.
著者
白井 達也 金子 真 原田 研介 辻 敏夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.57-64, 2002-01-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Through grasp experiments by human achieving an enveloping grasp for a small cylindrical object placed on a table, we found an interesting grasping motion, where human changes the finger posture from upright to curved ones after each finger makes contact with the object. During this motion, the object is automatically lifted up through either rolling or sliding motion between the finger tip and the object. A series of this motion is called as Detaching Assist Motion (DAM) . An advantage of DAM is that most of grasping motions can be done on the table instead of in the air. Therefore, we can avoid the worst scenario where the object falls down to the table. We first discuss the basic mechanism of DAM by human experiments. We then apply the DAM to a grasping motion by a multi-fingered robot hand. We show that the DAM can be explained by using Self-Posture Changing Motion. We also show some simulation and experimental results to confirm that a small object can be grasped easily by applying the DAM.
著者
鈴木 香菜美 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 WYDELL Takeo N. 粟屋 徳子 狐塚 順子 後藤 多可志
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-11, 2010-01-20
被引用文献数
3 5

本研究の目的は, 発達性読み書き障害児の診断評価の補助的な指標となる書字特徴を明らかにすることである. 対象は専門機関にて診断を受けた1年生から6年生の発達性読み書き障害児45名と, 定型発達児560名である. 小学生の読み書きスクリーニング検査のひらがな, カタカナ1文字と単語の書取課題にて分析した結果, 発達性読み書き障害児の書字特徴は, 特殊音節で誤りやすく, その誤りは学年が上がっても減少しにくい点, 低学年ではひらがなの単語よりも1文字で誤りが多い点, ひらがなに比べてカタカナの習得の遅れが著しい点であると思われた. 一方, 主に1年生から3年生でひらがな単語の心像性効果が両群で認められる可能性が示唆された. したがって, ひらがなやカタカナに関して1文字と単語双方の書取課題を実施し, これらから得られた書字特徴を確認することが発達性読み書き障害児の診断評価における補助的な指標となりうるのではないかと考えられた.
著者
猪俣 朋恵 宇野 彰 伊澤 幸洋 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.246-253, 2011 (Released:2011-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

漢字学習過程を想定し, 意味を付与した非言語的な図形を繰り返し模写, 再生する長期記憶検査 (図形学習検査FLT;Figure Learning Test) を新たに作成し, 小学校1~6年生の典型発達児75名と発達性読み書き障害児6名に実施した. 典型発達児では FLTの遅延再生得点と漢字の書き取り成績との間に有意な相関関係を認めなかった. 非言語的図形の長期記憶力に明らかな低下がない場合, 非言語的図形の長期記憶力以外の他の要因も漢字書字成績に影響しやすいのではないかと考えた. 一方, 発達性読み書き障害児では, 高学年児においてFLTの遅延再生得点が典型発達児に比べて-1.5SDもしくは-2SD以下と低下していた. また, 繰り返しの学習の効果が十分に得られないという特徴や意味との対連合学習で困難を示すといった特徴がみられた. 非言語的図形の長期記憶力が漢字書字の学習到達度に影響しうることが示唆された.
著者
春原 則子 宇野 彰 金子 真人
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.10-15, 2005-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
17
被引用文献数
12 7

発達性読み書き障害の男児3例に対して2種類の方法で漢字書字訓練を行い, 単一事例実験研究法を用いてその効果について検討した.3例とも音韻認識力や視覚的認知, 視覚的記憶力に低下を認め, これらが漢字書字困難の原因になっていると考えられた.一方, 音声言語の記憶力は良好であった.漢字の成り立ちを音声言語化して覚える方法 (聴覚法) と, 書き写しながら覚える従来の学習方法 (視覚法) を行い, 訓練効果を比較した.その結果, 効果の持続という点において聴覚法が視覚法に比べて有用であることが示唆された.視覚的情報処理過程に低下がある一方で, 音声言語の記憶力が良好であった本3症例にとっては, 見て写しながら覚えるだけでは十分に漢字書字が獲得できず, 聴覚法が有効なルートとして機能したものと考えられた.
著者
金子 真由美 後藤 雅広 岩田 聖美 三尋木 健史 長谷川 峯夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】フライ料理は人気のある献立である。しかし、最近では廃油処理のわずらわしさや環境への配慮から、とくに単身世帯、少数世帯において敬遠されがちな調理方法といえる。本研究では、マヨネーズを使って、揚げ調理の代替となる簡便な調理方法を探究することを目的とした。【方法】殻を取り除き筋切りしたエビ(中)の表面に、小麦粉、一般的な卵黄型マヨネーズ、パン粉(乾燥)を順につけ、オーブンで焼成した。外観と官能評価により適切な加熱条件を調べた。対照として、一般的な家庭での調理方法に従い、エビに小麦粉、卵、パン粉をつけ、揚げ調理したものを調製した。それぞれについて酸分解法による脂質の定量、SD法を用いた官能評価を行った。【結果】マヨネーズの添加量は、エビ1尾につき3gとし、240℃のオーブンで10分間焼成したとき、最も好ましくフライの食味が得られた。脂質の定量結果から、マヨネーズをつけて焼成したものは、揚げ調理した対照に比べ脂質が少なくなる傾向が示された。官能評価から、マヨネーズをつけて焼成したものよりも、揚げ調理をした対照の方がサクサク感があると評価されたが、ジューシー感、かたさ、好ましさでは有意な差はなかった。以上の結果から、マヨネーズを用いたフライの調理方法は、揚げ調理の簡便な代替方法になりうることが示された。
著者
三浦 覚 青山 道夫 伊藤 江利子 志知 幸治 高田 大輔 益守 眞也 関谷 信人 小林 奈通子 高野 直人 金子 真司 田野井 慶太朗 中西 友子
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

To predict the movement of radioactive contamination caused by Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident is a strong concern, especially for the forest and forestry sector. To learn from the precedent, we investigated soil samples collected systematically from 316 forest sites in Japan just before the accident, which retain the global fallout 137Cs (137Cs-GFO) from the nuclear test bomb during the 1950s and 60s. We measured the radioactivity of 137Cs-GFO in three layers of soil samples (0-5, 5-15 and 15-30 cm in depth) at each site. We divided 316 sampling sites into 10 groups separated by one longitudinal line and four transversal lines on the islands of Japan, then analyzed rainfall and geomorphological effects on 137Cs-GFO inventories. In addition to the analysis of 137Cs-GFO above, we examined the behavior of 137Cs discharged from FDNPP (137Cs-Fk) within the whole trees to study a possibility of biological effect on 137Cs transport to soils from trees. We measured the radioactivity of 137Cs-Fk of above- and belowground tree parts of three 26 year-old Quercus serrata and associated soils at a contaminated area in Fukushima in April, 2014. We estimated an average of 137Cs-GFO inventories of forest soils in Japan to be 1.7 ± 1.4 kBq/m2 as of 2008. 137Cs-GFO inventories varied largely from 0-7.9 kBq/m2 around the country. We found high accumulation of 137Cs-GFO in the north-western part facing to the Sea of Japan. We detected significant rainfall effects on the high accumulation due to winter rainfall. The vertical distribution of 137Cs-GFO showed that 44% of 137Cs-GFO remained within the 5 cm of soil from the surface whereas the rest of 56% was found in the layer of 5-30 cm in depth, indicating that considerable downward migration of 137Cs-GFO occurred during these fifty years in forest soils in Japan. However, multiple linear regression analysis by geomorphological factors related to soil erosion, such as inclination angle or catchment area calculated from Digital Elevation Model, showed almost no significant effects on the distribution of 137Cs-GFO. The radioactivity of 137Cs-Fk concentrations of fine roots collected from the 0-10 cm layer were 1600-2400 Bq/kg, which were comparable to those of one-year old branches (1400-2200 Bq/kg). The radioactivity of the fine roots was 7 times higher than that found in the soil of 50-100 cm layer (220-350 Bq/kg). This difference the radioactivity of the fine roots among the soil layers was remarkably small when compared with the 1000 times or more difference of radioactivity of soils in the same layers (one outlier sample in the 40-60 cm layer was excluded). The findings indicated that 137Cs-Fk circulated through the whole tree within three years after the accident. Considering root litter fall inside the soils we estimated that contaminated 137Cs on trees at the above ground part could be transported to soils through roots. We clarified that 137Cs-GFO has been held at deposited site and migrated downward gradually in soil. There are two possible major driving forces to be considered to explain the downward migration of 137Cs-GFO. One is the migration of 137Cs associated with vertical water movement and the other one is the transport of 137Cs by root litter fall or root exudate. Further research is needed to analyze these processes to obtain reliable prediction of future distribution of 137Cs-Fk.
著者
杉山 庸一郎 金子 真美 平野 滋
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.8, pp.983-989, 2023-08-20 (Released:2023-09-01)
参考文献数
34

高齢者の嚥下障害に対する嚥下診療では, 加齢による嚥下機能低下に加え, 高齢者に好発する疾患とそれに伴う嚥下障害を理解し, 嚥下メカニズムに沿って治療を行うことが原則となる. 高齢者では咽頭・喉頭感覚低下, 食道入口部の抵抗増加, 咽頭残留などの加齢に伴う嚥下機能低下に, 脳血管障害や神経筋疾患など原疾患による嚥下機能低下が加わると, 嚥下障害を来す. 原疾患の治療に加えて, 嚥下障害に対して病態に即して対応することが必要となる. そのためには嚥下機能評価が重要となる. 摂食・嚥下は5段階に分類されるが, そのうち咽頭期嚥下障害は誤嚥のリスクに関与するため, 適切に評価し対応する必要がある. 咽頭期嚥下障害に対する嚥下機能評価は嚥下惹起性と咽頭クリアランスの評価に大別される. 嚥下機能評価により病態生理を解析し, 原理原則に沿って嚥下リハビリテーション治療や嚥下機能改善手術などの適応, 治療方針を決定することが重要である.
著者
松浦 靖 金子 真緒 平原 秀秋 日高 史絵 境田 博至 甲斐 孝憲 柚木崎 千鶴子 窄野 昌信
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.689-694, 2013-12-15 (Released:2014-01-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

本実験では,BLおよびその熱水抽出物であるBLExのSHRにおける血圧上昇への影響を検討した.BLおよびBLExをそれぞれ3%,1.5%飼料に添加し,3週間摂食させた結果,2週目以降,収縮期血圧は対照群に対し有意に低値を示し,BLおよびBLExによる血圧上昇抑制作用が認められた.次にSephadex LH-20およびDiaion HP20SSカラムクロマトグラフィーによりBLExを5つの画分に分画し,ACE阻害成分をin vitroで評価した結果,プロアントシアニジン画分のIC50値は0.004mg/mLであり,画分の中で最も強くACEを阻害した.なお,BLExから分画したプロアントシアニジン画分のSHRにおける血圧上昇への影響を検討した結果,2週目以降,収縮期血圧は対照群に対し有意に低値を示した.これらの結果より,BLおよびBLExは血圧上昇抑制作用を有し,その活性成分の一つとしてプロアントシアニジンの関与が示唆された.今後,ブルーベリー葉は血圧上昇抑制作用を有する新たな機能性食品として期待できる.