著者
桂 利行 斎藤 毅 斎藤 毅 寺杣 友秀 向井 茂 金銅 誠之 中村 郁 石井 志保子 石田 正典 G. van der Geer
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

代数多様体は、いくつかの多項式の共通零点として定義される図形であり、数学の基本的な研究対象である。本研究では、標数がp>0の世界で、代数多様体を研究し、a-数、b-数、h-数という不変量を定義して、それらの間の関係を明らかにし、応用を与えた。また、標準束が自明であるK3曲面という代数多様体を標数2、3で考察し、超特殊と言われる場合に、その上の非特異有理曲線の配置の様子を解明し、格子の理論と関係を明らかにした。
著者
川瀬 啓祐 紙野 瑞希 所 亜美 正藤 陽久 飯田 伸弥 生江 信孝 金原 弘武 楠田 哲士
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.73-80, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
31

飼育下ハートマンヤマシマウマ(Equus zebra hartmannae)の雌1頭において,血中および糞中の性ステロイドホルモン濃度の測定,腟粘膜上皮細胞像の観察および直腸温測定を実施し,発情周期を調査した。血中エストラジオール-17β 濃度がピーク値を示した後,血中プロジェステロン濃度の上昇がみられた。糞中プロジェステロン代謝物濃度動態は血中での動態と類似しており,血中濃度と採血日から2 日後の糞中の濃度は有意な正の相関(r=0.80)を示した。糞中プロジェステロン代謝物濃度の動態はプロジェステロン分泌をよく反映していることが明らかになった。糞中プロジェステロン代謝物濃度の動態は年間を通して周期的な増減を示し,平均23.1±2.3日間の発情周期が確認された。無核角化上皮細胞の割合は,糞中プロジェステロン代謝物濃度が低い非黄体期に増加する傾向がみられたが,有意な変化ではなかった。直腸温については非黄体期に増減変化がみられ,ヒトなどで一般的に知られている黄体期の基礎体温上昇は確認できなかった。
著者
出村 洋介 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.111-118, 2023-11-10

経験の多様性と不偏性は強化学習エージェントの性能や頑健性を向上させるが,大きな計算コストなしにそれを実現するのは困難な場合がある.多くのチェスライクゲームやオセロなどでは,初期状態(初期局面の駒配置等)が固定されていて 1 通りしかないため,AlphaZero スタイルの強化学習を行う場合,エージェントは似たようなエピソードや棋譜を経験しがちである.本論文では,この課題に対応するため,将棋の初期局面を拡張した「将棋 81 万」を提案し,将棋における有効性を実験的に評価する.「将棋 81 万」は,チェス 960 [1] と同様に駒の初期配置を一定の制約のもとでランダムにシャッフルして作成された将棋の初期局面集である.我々は,Gumbel AlphaZero の手法で 1000 万局の自己対局を行って様々なエージェントを訓練する実験を行い,最初に将棋 81 万で事前学習を行った後に通常の将棋に適応学習させたエージェントは,通常の将棋のみで訓練したエージェントよりも人間の対局で見られる様々な戦型において平均的パフォーマンスや頑健性が向上することを示した.
著者
金 守良 金 秀基 小林 久人 奥田 豊一 中井 敦史 藤井 友実 早雲 孝信 佐々木 素子 狛 雄一朗 朝井 章 西川 浩樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.575-582, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
18

症例は60歳代女性.X年2月乳癌の診断のもと,左乳房切除,病理所見は浸潤性小葉癌であった.同年3月に多発リンパ節,骨転移に対して薬物療法を開始したが,8月より肝障害が出現した.薬剤性肝障害を疑い,薬物治療を中止するも肝障害は増悪した.造影CT,EOB-MRIなどの画像診断で肝転移巣は認めなかったが,腫瘍マーカーCA15-3の上昇がみられた.10月に腹部超音波カラードップラー画像・ソナゾイド造影所見から類洞閉塞などによる門脈血流低下が示唆された.経頸静脈的肝生検を施行したところ,類洞内に浸潤性小葉癌転移と肝硬変様の高度線維化を認めた.

1 0 0 0 OA 時間栄養学

著者
金 鉉基 柴田 重信
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.401-411, 2020-10-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
83

In mammals, the circadian rhythms have been shown to regulate several physiological functions, including body temperature, sleep-wake behavior, physical activity, hormonal secretions, and metabolism. These processes are controlled by circadian clock genes, and abnormal circadian rhythms are associated with the development of obesity, diabetes, and lifestyle-related diseases. In addition, the timing of behaviors such as food intake, exercise, and stress influence circadian rhythms, including clock gene expression in peripheral tissues. Therefore, the interaction between nutrition and the circadian clock is so-called “chrono-nutrition” is poised to become an important research field of chronobiology. In this review, we review the effects of a timed-nutrition on circadian clocks and their timing-dependent effects on physiological functions.
著者
矢嶋 尚生 鮫島 雄祐 松島 純也 坪内 陽平 金指 秀明 櫻井 馨士 長島 義宣 秋枝 一基
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.121-125, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
16

甲状腺クリーゼの誘引として感染や虚血性心疾患などが知られている。甲状腺クリーゼの背景にある甲状腺中毒症の原因にはバセドウ病が多いが,無自覚・未診断のバセドウ病も存在する。近年,コロナワクチン接種後にバセドウ病を発症したという報告が増えている。今回我々は,新型コロナワクチン初回接種後に甲状腺クリーゼを発症した患者がその後バセドウ病と診断された症例を経験した。症例は既往のない67歳男性で,新型コロナワクチン接種後の翌朝に発症した倦怠感と呼吸困難により救急要請した。心電図検査,心臓カテーテル検査で虚血による急性心不全と診断され,治療後にICUへ入室した。来院時より頻脈が継続し,入院後に発熱も認めたため,甲状腺ホルモンなどを調べたところ,甲状腺クリーゼおよびバセドウ病と診断された。甲状腺クリーゼは,急病や外傷だけによらず,ワクチン接種後にも発症することがある。
著者
金沢 弘美 窪田 和 谷口 貴哉 澤 允洋 髙橋 英里 民井 智 江洲 欣彦 吉田 尚弘
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.10, pp.1134-1141, 2023-10-20 (Released:2023-11-01)
参考文献数
21

一側性難聴は, 難聴側からの聴取困難だけでなく, 雑音下での聴取困難, 音源定位の困難がある. 両側性難聴者だけでなく, 一側性難聴者もマスク装用下での聞き取り困難を感じている. この困難感は, 雑音の多い学校生活で1日を過ごすことが多い学童児が特に感じていることが危惧された. 今回は, 一側性難聴児の学校生活の中での聞き取り困難感を, マスク装用生活前後で比較した調査を行った. また希望者に対しては補聴器試聴を行った. 対象は, COVID-19 流行時に当院に外来通院していた一側性難聴児31人である. コントロール群として健聴児15人をおいた. 方法はアンケート形式で, 雑音下聴取・音源定位・学業理解に関して4つの問いを設定し, VAS スケールで困難感として当てはまる程度を患児本人が記入した. 補聴器を希望した一側性難聴児は, 装用1~3カ月後に雑音下語音検査を行った. この結果, 難聴のレベルにかかわらず, 多くの一側性難聴児が, マスク装用生活後に聞き取り困難を感じていた. 11人が補聴器試聴を希望し, 9人が雑音下語音検査でその効果を認め購入に至った. 一側性難聴児は, 両側性難聴児と同様に, 学力の低下, 社会性の問題など, 年齢が上がるに連れて顕著になるケースがある. マスク装用生活が続いたことにより, 一側性難聴児が困難感を自覚するようになっている. 補聴器装用のほか, 聴取の環境調整, 心理・社会面など個別にサポートする必要がある.
著者
阿比 留萌 金高 宏文 竹中 健太郎 下川 美佳
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.235-245, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
10

本研究は, 相手が一足一刀の間合いに入るために移動動作を起こす機会における出ばな面を習得した剣道競技者 (A 競技者) の身体知について報告した.具体的には,習得前後の運動動作と運動意識の懐古的比較から習得・指導に向けた身体知の提示を目的とした.その結果,重要な身体知は「左足母指球付近の荷重感」の意識であることが示唆された.打突前に左足の母指球付近に荷重することで,体を前に出す動作を開始する際に生じる右足から左足に体重をかけ直す動作(荷重移行)が省かれ,さらに打突の適切な距離や体勢に関する運動意識を得ることに繋がった.以上のことから,相手が一足一刀の間合いに入る機会における出ばな面を打突する場合は,左足母指球付近の荷重感を意識し打突の準備をすることが重要であると考えられる.
著者
柳澤 修 金岡 恒治 松永 直人 安達 玄 押川 智貴
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.113-121, 2022-06-20 (Released:2023-04-09)
参考文献数
37

研究は,MRIを用いて高負荷スクワット運動が腰椎椎間板に与える力学的ストレスを評価するとともに,そのストレスの程度が個人の腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と関連を示すのかを検証することを目的とした.男女13名を対象に,スクワット (最大挙上重量の80%の重り,8回5セット) 前後で,腰椎のMRI拡散強調像を取得し,各椎間板のapparent diffusion coefficient値 (ADC;髄核内の水の動きを評価) を算出した.加えて,MRIを用いて腰椎前弯角と体幹筋の横断面積を算出するとともに,股関節屈曲と足関節背屈の関節可動域を計測した.スクワット運動後にL4/5ならびにL5/S1の椎間板は有意なADC値の低下を示したが,それらの変化は腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と有意な相関を示さなかった.高負荷スクワット運動は下位の腰椎椎間板に力学的なストレスを与えやすいが,そのストレスは個人の腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と関連性をもたなかった.
著者
金児 正史 早藤 幸隆 後藤 顕一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.169-172, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
13

2021年度から高等学校で始まる教科「理数」では,科学的に探究する過程を踏まえて自ら見出した課題を解決し,考えを伝達する活動を求めている。こうした学習にたけていない高校生の状況も踏まえ,筆者らは,理科と数学科の融合に焦点化した課題を教師が提供し,その課題を解決する過程を通して,理科や数学科に関連する既習事項の科学的背景をより深く学ぶとともに,科学的・数学的な課題解決の過程も学べる授業の開発を行った。本稿では,理科と数学科を総合する課題として,化学反応速度に着目した。化学の教科書のデータを活用して,時間の変化とともにモル濃度の減少速度が,変化しないで残っている溶質のモル濃度に
著者
木平 崇之 金 美英 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P19, 2010 (Released:2010-06-15)

本研究では,SD方法を用いて,歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの表記の相違による単語の印象の変化を分析し,定量的に評価した.被験者には,評価対象となる単語について15組の形容詞対によって印象評価を求めた.印象評価結果に対して因子分析を行った結果,安定性因子,力量性因子,感受性因子の3つの因子が抽出された.また,因子得点を用いて数量化_I_を行ったところ,仮名遣い全体としては安定性因子に大きく影響を与えていることがわかった.また仮名遣いの中でいくつかに分類することで,力量性因子,感受性因子にも影響を与えていることが判明した.
著者
金井 健吾 岡 愛子 赤松 摩紀 渡部 佳弘 上斗米 愛実 北村 寛志 今西 順久 野口 佳裕 岡野 光博
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.300-309, 2023 (Released:2023-07-28)
参考文献数
26

嗅覚障害は,感冒罹患,鼻副鼻腔の慢性炎症,外傷,薬物や毒物の吸入,神経変性疾患や脳血管疾患などによって生じる。原疾患のコントロールを行うことで改善することもあるが,治療に難渋する症例も経験する。最近では新型コロナウイルス感染症に罹患し嗅覚障害を生じる症例も存在する。嗅覚機能検査として,T&Tオルファクトメーターを用いる基準嗅力検査や静脈性嗅覚検査などが一般的に施行される。嗅覚障害に対する新しい治療法として,患者が嗅素を積極的に嗅ぐことで,嗅覚の再生を促す嗅覚リハビリテーション(嗅覚刺激療法)が注目されており,欧州では安全で有効な治療法として診療に取り入れられている。嗅覚刺激療法は当院倫理審査で承認され,リハビリテーション科医師の指導の下で言語聴覚士が行っている。当院を受診し嗅覚障害と診断された患者を対象として,嗅覚刺激療法を3か月以上行い,治療前後の嗅覚を比較した。1日2回(朝・夕)4種類の嗅素(バラ・レモン・ユーカリ・シナモン)を一つの嗅素につき10秒ずつ嗅ぎ,3か月後には4種類の嗅素をラベンダー・オレンジ・ヒノキ・バニラへ変更している。治療前後の嗅覚の変化において,基準嗅力検査(平均認知域値と検知域値)では有意差は認めなかったが,日常のにおいアンケート,嗅覚に関するQOL質問紙,VASでは有意に改善を認めた。日本人にとって,より有効で統一的なプロトコールが確立されることが期待される。
著者
安達 實 本江 裕之 金森 範孝 北浦 勝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.241-246, 2002-05-15 (Released:2010-06-15)
参考文献数
22

戦前までは, 特別に重要な箇所を除き橋と云えば木造橋が殆どであった. 木造橋の主流は桁橋であるが, 渓が深いところや舟運で径間を大きくとらなければならないところには, 木造方杖形式が採られた. 特に木材の豊富なわが国においては, いろいろな形の方杖形式が生まれた.戦前の写真をもとに東日本 (北海道・東北・関東地方) の木造方杖橋について, 土木史的視点よりその構造形態について述べる.
著者
金子 浩一
出版者
経済教育学会
雑誌
経済教育 (ISSN:13494058)
巻号頁・発行日
vol.36, no.36, pp.129-139, 2017 (Released:2018-08-10)

筆者は,中学校の社会科・公民的分野における経済概念に関して,2014年度にアンケート調査を行った。全国から400の中学校が無作為抽出され,社会科教員158人の回答を得た。調査結果から,金融政策より財政政策が詳しく教えられている実態がわかった。たとえば,拡張的金融政策については,金利の低下に言及せずに景気を改善させることを説明している場合もある。それは貨幣市場に関わる金融政策がなぜ財市場の増産につながるのかを説明していないことを意味する。また,現行課程の新項目の一つ「預金通貨の創造」について,その用語が記載された教科書を使用する教員の過半数が説明していないことも判明した。
著者
金枝 敏明 石岡 建一
出版者
公益社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.475-480, 2012-07-01 (Released:2013-04-08)
参考文献数
9

本論文はNi基超耐熱合金インコネル718板切削における切削油剤の塗布効果について調査を行ったものである.現在までに著者らによって軟質金属切削における切削油剤の塗布効果について広範にわたり調査されてきた.しかし難削材切削におけるそれに関してはいまだ不十分である.そこで,本研究では難削材であるニッケル基超耐熱合金インコネル718に対し塗布効果実験を行い,塗布効果の発生条件,メカニズムについて調査した.その結果,インコネル718切削における塗布効果のメカニズムも軟質金属のそれと類似し,切りくず自由面側のラメラ間の摩擦低減によるものであることがわかった.