著者
金盛 正至
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-10, 1995-02-15 (Released:2017-06-30)

日本のような小資源国では,プルトニウムの有効利用による準国産エネルギーの活用が重要である.プルトニウムには,核燃料物質として臨界となる危険性,放射性物質として人体へ直接与える影響があり,安全上の対策が不可欠である.安全上の対策は,プルトニウム利用が,原子炉で行われるのか,あるいは核燃料サイクル施設で行われるのかによって各種の異なったものとなる。また,プルトニウムを取り扱う上での内部被ばく,外部被ばくなどの評価方法および人体への影響にっいて解説する.
著者
大川 尚臣 古田 斗志也 金川 泰一朗 小畑 卓司 野上 浩實
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.1041-1049, 2017 (Released:2017-11-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

症例1は63歳,男性.虚血性腸炎で入院加療中に排便困難のため,グリセリン浣腸(glycerin enema:以下GE)を施行した.直後から肛門痛と下血および血尿を認めた.肛門鏡にて歯状線近傍に裂傷と,腹部CTにて直腸周囲の脂肪織濃度上昇と遊離ガス像を認め,直腸穿孔と診断した.絶食と輸液・抗生剤投与を行い,血尿に対し強制利尿とハプトグロビンを投与した.腎不全には至らず,保存的に軽快した.症例2は78歳,男性.頸椎損傷で施設療養中,便秘に対しGEを施行した.粘血便が出現し,下部消化管内視鏡で直腸壁損傷を,腹部CTにて直腸壁肥厚,壁内気腫と直腸周囲遊離ガスを認め,直腸穿孔と診断した.血尿や溶血はなく,絶食と輸液・抗生剤投与のみで軽快した.GEの誤注入による直腸壁の損傷は急性腎不全や腹膜炎等の重篤な合併症をきたすことがある.今回,われわれはGEによる直腸穿孔の2例を経験したので考察を加え報告する.
著者
川又 華代 金森 悟 甲斐 裕子 楠本 真理 佐藤 さとみ 陣内 裕成
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.260-267, 2023-09-20 (Released:2023-09-25)
参考文献数
16

目的:身体活動の効果のエビデンスは集積されているが,事業場では身体活動促進事業は十分に行われておらず,「エビデンス・プラクティスギャップ」が存在する.このギャップを埋めるために,本研究では,わが国の事業場における身体活動促進事業に関連する組織要因を明らかにすることを目的とした.対象と方法:全国の上場企業(従業員数50人以上)3,266社を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を行った.調査項目は,身体活動促進事業の有無,組織要因29項目とした.組織要因は,事業場の健康管理担当者へのインタビューから抽出し,実装研究のためのフレームワークCFIR(the Consolidated Framework For Implementation Research)に沿って概念整理を行った.目的変数を身体活動促進事業の有無,説明変数を組織要因該当総数の各四分位群(Q1~Q4),共変量を事業場の基本属性とした多重ロジスティック回帰分析を行った.最後に,各組織要因の該当率と身体活動促進事業の有無との関連について多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:解析対象となった事業所は301社であり,98社(32.6%)が身体活動促進事業を行っていた.Q1を基準とした各群の身体活動促進事業の調整オッズ比は,Q2で1.88(0.62–5.70),Q3で3.38(1.21–9.43),Q4で29.69(9.95–88.59)であった(傾向p値 < .001).各組織要因と身体活動促進事業との関連については,CFIRの構成概念のうち「内的セッティング」に高オッズ比の項目が多く,上位から「身体活動促進事業の前例がある」12.50(6.42–24.34),「健康管理部門の予算がある」10.36(5.24–20.47),「健康管理部門責任者の理解」8.41(4.43–15.99)「職場管理者の理解」7.63(4.16–14.02),「従業員からの要望」7.31(3.42–15.64)であった.考察と結論:組織要因該当数と身体活動促進事業の有無に量反応関連が認められ,組織要因の拡充が身体活動促進事業につながる可能性が示唆された.特に,社内の風土づくりや関係者の理解の促進が有用であると推察された.
著者
吉川 大志 金子 里可
出版者
日本支援工学理学療法学会
雑誌
支援工学理学療法学会誌 (ISSN:24366951)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.55-61, 2022-09-25 (Released:2023-09-25)
参考文献数
20

【目的】脳卒中片麻痺者2例に対する短下肢装具(ankle-foot orthosis:以下、AFO)装着の改善を目的とした工夫について報告する。【方法】症例1(右片麻痺者)は本人用AFO作製時にクイックリングを採用し、面ファスナーシールを足部外側に貼付したことで、リングにベルトを通しやすく、足部の下にベルトが挟まれないようにした。症例2(左片麻痺者)はAFOを床に立てて装着する方法で練習を行い、AFOベルトへの装着番号シールの貼付や手順書を提示し装着手順を視認できるようにした。【結果】症例1は本人用AFO作製後に装着時間が短縮し、AFOの履き易さや愛着が改善した。症例2はAFO自己装着動作を含めた短距離歩行が自立した。【結論】脳卒中片麻痺者に対するAFO装着に対して工夫を行った結果、自己装着の自立度や装着時間、履き易さが改善された。
著者
高橋 智彦 金廣 琴乃 土屋 智史 石田 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.22-00365, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
21

本研究は,腐食環境にある既設構造物を対象として,今後の合理的な構造物の運用と維持管理を支援する解析的検討について取りまとめたものである.具体的には,供用開始から35年以上が経過した桟橋上部工を対象に,材料と構造を連成したマルチスケール統合解析を適用して,建設時からの塩害劣化進行を評価した.その際,過去に実施した劣化調査に加え,薄板モルタルによる飛来塩化物イオン量と構造物周辺の気象計測を追加実施して,概ね等価な長期評価用の作用履歴を推定した.それにより,現時点での変状を再現するとともに,複数のシナリオのもとでの塩害劣化に対する将来予測を実施した.さらに,耐荷力評価の一例として,材齢100年時に床版中央を静的に押抜く載荷解析を行い,塩害による材料劣化後の残存耐荷力評価を行った.
著者
金村 尚彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.72-77, 2019 (Released:2019-05-24)
参考文献数
6

理学療法研究は,2014年12月に告示された人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき研究を行うが,時代とともに変化する社会情勢に対応するため,この倫理指針も個人情報保護法の改定に伴い,2017年2月に一部改正されている。侵襲と介入や,個人認識符号や要配慮個人情報等の用語の定義,インフォームド・コンセント等の手続きの見直し,利益相反などを考慮し,倫理審査のプロセスを確認し,研究計画を立案することが重要である。
著者
金子 絵里奈 高木 博子 家入 一郎 山野 徹 石橋 久 園田 正信
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.96-105, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
10

Although several pharmaceutical inquiries made by community pharmacists meet the PreAVOID criteria, the frequency of PreAVOID reports by community pharmacists is lower than that by hospital pharmacists. We aimed to clarify the characteristics of adverse events (AEs) in pharmaceutical inquiries to increase the number of PreAVOID reports and to improve their quality. We identified AEs using MedDRA/J and compared the types of AEs, information source, and drug efficacies between detected and prevented AEs. In this study, detected AEs were defined as AEs leading to pharmaceutical inquiries after the last visit; prevented AEs were defined as AEs leading to pharmaceutical inquiries before dispensing medicine based on patient interviews, medical records, and laboratory data. We evaluated prescriptions for adults against inquiries at a community pharmacy between April 2016 and March 2019. The chi-squared or Fisher’s exact test was used to compare the number of system organ classes (SOCs) between detected and prevented AEs. We identified 57 detected AEs and 121 prevented AEs from 5,545 prescription inquiries. Gastrointestinal disorders (30 AEs) and skin and subcutaneous tissue disorders (30 AEs) were the most common SOCs that showed a significantly higher number of detected than prevented AEs (P = 0.011 and P < 0.001, respectively). Renal disorder (22 AEs) was the second most common SOC that was associated with prevented AEs (P = 0.001). The results can be used to develop strategies to resolve clinical problems at community pharmacies. Our study contributes to an increase in PreAVOID reports through pharmaceutical inquiries.
著者
金 晟均 瀧口 惠子 岸江 信介
出版者
徳島大学
雑誌
言語文化研究 (ISSN:13405632)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.253-292, 2008-12

Studies on Japanese textbooks in Korea have been focused on or limited to the high school textbooks for Japanese that are customarily chosen in accordance with the guidelines or curricula made by the Ministry of Education. The purpose of this paper, acknowledging such limitations, is to investigate the difference in vocabulary or lexicon used in the university textbooks for Japanese as part of general education to help students learn about Japan and Japanese. University textbooks unlike high school ones have no definite guidelines when selected, so as to make difference or irregularity with regards to vocabulary or lexicon. This paper compared and analyzed such difference of vocabulary based on a glossarial index of 1,023 basic words understood as a part of 2007 Revised Curriculum. The textbooks to be compared are being used in five national universities having a Japanese department. As a result, 54.1% is the highest rate for vocabulary agreement of textbook comparison while the least is 26.2%. It proves a great discrepancy in selecting and using textbook vocabulary.
著者
中本 敦 佐藤 亜希子 金城 和三 伊澤 雅子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.45-53, 2011-05-30 (Released:2018-01-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2

沖縄島におけるオリイオオコウモリPteropus dasymallus inopinatusの個体数の長期モニタリング(2000年から実施)において、近年個体数の増加傾向が見られた。調査はルートセンサス法を用いて、沖縄島の都市部と森林部の2ヶ所で行った。都市部では2001年9月から2009年8月に、森林部では2004年と2008年の2年間調査を行った。両調査地ともにここ4〜8年間の間で個体数がおよそ3倍に増えていた。またこの目撃個体数の増加は全ての季節で見られた。これらの結果は、オリイオオコウモリの目撃数の増加が空間的な偏りの変化ではなく、沖縄島個体群自体の増大を意味するものであることを示す。沖縄島に接近した台風の数は2005年以降減少しているが、これは個体群の成長率の上昇のタイミングと一致していた。以上のことから沖縄島のオリイオオコウモリの個体群サイズは台風による攪乱頻度によって調節されている可能性があることが示唆された。今後、地球温暖化により台風の攪乱が不規則になると、本亜種の個体数変動が不安定になり、個体数増加による農業被害の拡大とともに地域個体群の絶滅が起こる可能性が高まることに注意する必要がある。
著者
大野 美幸 野津 直子 金津 久美子
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.47-52, 2008 (Released:2019-08-03)
参考文献数
2

5 階西病棟は脳神経疾患の患者が7 割を占めている。多くは高次脳機能障害をきたし、点滴ルートや尿管、胃管カテーテルの自己抜去行為も頻繁に認め、安全のためミトンや抑制帯による抑制を行っている。しかし、抑制解除の評価が難しく、一度始めた抑制がなかなか外せない現状にある。そこで、抑制解除の要因を明らかにすることを目的に、看護師10 名に半構成的面接法を行い、そこから得たデータを質的帰納的に分析した。その結果、看護師が抑制を解除できると判断した要因として、3 つのカテゴリーと9 つのサブカテゴリーが抽出された。看護師は、【抑制解除につながる患者側の要因】として、《抜去に及ばない程度の理解力がある》《抜去しようとするしぐさがない》《看護師で補える程度のリスク状態》を見極めていた。また【抑制解除を促す看護師の介入】として、《抑制しない工夫》《他職種へのはたらきかけ》《ゆとり(業務のゆとり、看護師の経験からくるゆとり、目が届く)》を、さらに【抑制解除につながる看護師側の要因】として、《抑制への罪悪感》《家族への配慮》《抑制解除の成功体験》を挙げ、抑制解除につなげていることが明らかとなった。
著者
宮本 学 岡部 公樹 吉川 知伸 金子 恵美 緒方 美佳 吉田 幸一 本村 知華子 小林 茂俊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.213-223, 2023-08-20 (Released:2023-08-21)
参考文献数
26

我々は,災害医療従事者を対象に,災害時のアレルギー患者対応に関するパンフレットや相談窓口など既存のツールの評価,災害医療従事者のアンメットニーズを調査するためアンケート調査を行い,266名から回答を得た.アレルギーに関する情報を得る手段は,平時では電子媒体や講演会が,災害時にはスマートフォンアプリや紙媒体の要望が多かった.アレルギー関連webサイトなど既存ツールの認知度は約10~30%と高くなかった.COVID-19が災害時のアレルギー疾患対応に悪影響があると回答したのは66%であった.73%の災害医療従事者が,災害時アレルギー対応窓口の一本化を望んでいた.また,自助の啓発,患者情報を把握するためのツールを要望する意見も多数みられた.これらの結果から,災害医療従事者に向けたアレルギー疾患マニュアルの拡充を積極的に行う必要があると考えられた.
著者
森川 みき 金光 祥臣 塚本 宏樹 森川 昭正 富岡 佳久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.200-205, 2016 (Released:2016-05-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1

症例は,牛乳アレルギーおよび気管支喘息既往歴を有する6歳女児.インフルエンザB型に罹患し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤(イナビル®)を使用後にアナフィラキシーを起こした.プリックテスト並びに薬剤刺激好塩基球活性化試験を実施したところ,イナビル®と添加剤の乳糖水和物に陽性を示し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は陰性を示した.本症例では,添加剤の乳糖に夾雑する乳タンパク質がアレルゲンとなった可能性が考えられ,その同定を試みた.ウェスタンブロット(WB)により,添加剤の乳糖水和物中からβ-ラクトグロブリン(β-LG)が検出され,その分子量およびin vitro実験の結果から糖鎖付加体であると推定した.さらに患者血清を用いたWBの結果から,本症例のアレルゲンが,糖鎖付加されたβ-LGである可能性が高いと判断した.本研究は,吸入粉末製剤の添加剤乳糖が乳アレルギーを起こす危険性を示す結果となった.本症例のようなインフルエンザ患者は,気道過敏性が亢進しているため特に注意が必要である.
著者
金内 雅夫
出版者
畿央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

メタボリックシンドロームは糖尿病や心血管病など生活習慣病の根幹をなす重要な病態である。過度の肥満者では食事由来の燃焼CO2排出増加と1回換気量の増大が見込まれることから、メタボリックシンドロームが身近なところでCO2排出や地球温暖化と連関している可能性が窺われる。しかし、メタボリックシンドローム者のCO2排出とエネルギー代謝について論及した研究は少ない。本研究では、職域健診受診者を対象にメタボリックアナライザーを用いて酸素摂取量・基礎代謝量を測定し、推定CO2排出量を算出した。日常活動量を加算して年間CO2排泄量を推定すると、非メタボ群に対しメタボ群では有意に過剰であり、身近な温暖化対策としてのガソリン約12lの節減に相当することが判った。推定CO2排泄量を加味したエネルギー代謝の評価は、肥満対策を目指した保健指導に役立つと考えられる。
著者
王 培玉 金子 誉
出版者
山梨医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

最近数十年、食生活の欧米化によって、糖質の摂取量が減らしつづけている。このことが日本における糖尿病増加の原因の一つと考えられる。申請者の実験によると、健康な若者でも、糖質の少ない食事によって耐糖能が悪化し、糖尿病と判定されかねないケースが約30%あった。このような低糖質による耐糖能の悪化が将来糖尿病に進展するのか否かを検証することは糖尿病の予防という実際的観点からも興味深い。ヒトでこれを確認することは不可能である(20-40年かかる)から、ラットをもちいて検証したいと考えている。実験方法は、9週令の雄性Wistarラット40尾を1週間馴化した後、ランダムに2群に分けた。実験群は低糖質/高脂肪食(糖質10%、蛋白質25%、脂肪65%)で、対照群は普通食(糖質60%、蛋白質25%、脂肪15%)で飼育した。2ヶ月ごとに腹腔内糖負荷試験(IPGTT)を行った。血漿インスリン濃度も測定した。飼育開始14ヶ月後、実験群の空腹時血糖値が対照群に比べて有意に高くなった。負荷後2時間値は、飼育2ヶ月後から実験群の方が対照群より高く、その後両群間に差が次第に大きくなり、実験終了時には実験群が256±44mg/dl、対照群が196±25mg/dlであった。血糖曲線下面積(AUC)においても、実験群の方が対照群より高かった(292±48vs183±34mg/dl・hr)。空腹時血漿インスリン濃度は、12ヶ月までは実験群の方が対照群(C-F)より高かったが、負荷後30分の血漿インスリン濃度は、実験群が対照群に比べて有意に低かった。体重は、飼育開始3ヶ月後から実験群の方が大きくなったが、14ヶ月後から急激に減少した。また、Woleverらのラット糖尿病型の判定基準(負荷後の最大血糖値>300mg/dlまたは負荷後2時間値>200mg/dl)によって分類すると、実験終了時には対照群ラット17尾中4尾が糖尿病型であったが、実験群では18尾中16尾が糖尿病型で、著しい差が認められた。結論を言うと、低糖質/高脂肪食でラットを長期間飼育すると、耐糖能が悪化し、インスリン分泌が低下して糖尿病型となる。
著者
金森 昌彦 佐藤 勉 島 友子 齋藤 淳一 Gabor Andocs 近藤 隆
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-14, 2021-03-31 (Released:2021-05-06)
参考文献数
40

Modulated electro-hyperthermia(略称mEHT),別名“オンコサーミア”は癌温熱療法における新たな治療法である.mEHTは腫瘍の温度上昇を治療に利用する点は通常のハイパーサーミア(癌温熱療法)と同様であるが,幾つかの異なる特長を有する.例えば,正確なインピーダンスマッチングを図る点,振幅変調した13.56 MHzラジオ波(RF)を用いた容量結合型加温である点,腫瘍内温度はいわゆる“マイルドハイパーサーミア”水準の<42 ℃に維持される点,腫瘍細胞膜に連続的な温度勾配を生じさせる点,等である.これによる細胞膜の不均一かつ非平衡な加温は腫瘍細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)を誘発するとされる.また低出力のRFを用いるため火傷等の副作用も少ない.従って,mEHTの治療効果を考える場合には,熱作用のみならず,非熱作用(温度上昇に依存しない)の生物効果を考慮することが臨床的にも重要である.サース教授による“Oncothermia: Principles and Practices”が出版された後にも基礎,前臨床研究および臨床結果が数多く報告された.この総説では,最近の知見をまとめ,mEHTの課題と将来に向けたさらなる臨床応用の可能性について考察する.
著者
八木原 寛 角田 寿喜 宮町 宏樹 後藤 和彦 平野 舟一郎 日野 亮太 金澤 敏彦 海宝 由佳 塩原 肇 渡邊 智毅 望月 将志 根本 泰雄 島村 英紀
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.227-239, 1996-08-23 (Released:2010-03-11)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

We investigated seismic activity around Tokara Channel north off Amami Oshima, Nansei Syoto (Ryukyu) Islands of western Japan, using 12 ocean-bottom seismographs (OBS), as well as two temporal stations at Yaku Shima and Amami Oshima islands, operated from April 16 to May 10, 1992. One-dimensional velocity structure and station corrections were inverted from P and S times of 51 events provisionally well-located in the OBS network. We then relocated precisely 239 events in the studied region, using the inverted velocity structure and station corrections.Seismicity was highest in an area of about 10km×10km near the trench axis northeast off the OBS network: the largest event of MJMA 5.6 and other 40 events (probably aftershocks) were located at shallow depths. A mechanism solution of normal fault type with a T-axis of NW direction for the largest event was concordant with bending process of the Philippine sea plate. On the other hand, 18 events at depths of about 30km in a small area north of the OBS network were presumably due to interplate thrusting, because a composite mechanism solution for three events was of reverse fault type with a P-axis of ESE direction. A cluster of 17 events at depths from 10km to 25km was found in a southwest area of the network. These shallow events were probably crustal earthquakes within the Eurasian plate.We found an area of very low seismicity in the southeast of the network during the period studied. It is also identified at the nearly same location in the epicenter distribution from 1984 through 1991 obtained by Japanese Meteorological Agency (JMA) and possibly corresponds to the aftershock area of the 1911 Kikaijima Earthquake (M 8.0).Although we could not confirm any discernible alignments of shallow earthquakes along the Tokara Channel which is a notable tectonic line, the dipping angle of the intermediate-deep seismic zone changes discontinuously from about 65° on the north of the channel to about 40° on the south.