著者
坂口 貴司 岡林 孝志 金森 務 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.2385-2393, 1998-10-25
被引用文献数
7

人間の身体ジェスチャには豊かな情報が含まれており, マン・マシンインタフェース, マン・マンインタフェースの有力な手段と考えられる.本論文ではオクルージョンの心配がなく外部磁界環境の影響も受けないという特長を有する運動覚センサ(ジャイロセンサ, 加速度センサ)に筋電位センサを組み合わせて, ニューラルネットワークで統合化するジェスチャ計測および認識手法を提案する.これらのセンサはジェスチャが表現している意味の強さ(例「とても」, 「やや」など, ここではバリュー情報と呼ぶ)を加速度, 角速度, 筋力情報という形でうまく検出してくれる.14種類のジェスチャ(手話動作)について認識実験を行い, 筋電位情報がバリュー情報認識に有効であること, 本手法により多様なジェスチャに関してシンボル情報だけでなくバリュー情報が認識できることを確認した.
著者
金井 圭介 大野 貴弘 石塚宏紀 伊藤花乃子 澤 義和 三尋木織 戸辺 義人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.141-148, 2008-02-27

生活を支援するという点で一番身近であることからオフィス,ホームがユビキタスコンピューティングの対象として取り上げられることが多かった.今後は,生活空間の延長である都市全体をすっぽりと包んで,屋内と屋外とがシームレスにユビキタスコンピューティングで自由に行き来できる世界を構築したいと我々は考える.それに伴い,コンピュータで処理できる情報を取得する過程で必要とされるセンシングも,都市全体をカバーする領域へと拡大する.我々はこれをアーバンセンシングと呼ぶ.本稿では,アーバンセンシングの第一歩となる取組みについて述べる.Offices and Homes have been a main target for ubiquitous computing because these are the closest to our daily lives. We hope to construct a world of ubiquitous computing in the city in such a way that we can move back and forth between indoor and outdoor seamlessly. To achieve that goal, we need to extend sensing to the whole area of a city, which is referred to as urban sensing. In this paper we describe the first step towards urban sensing.
著者
黒田 嘉宏 金守 恒志 滝内 秀和 田ノ岡 征雄 黒田 知宏 大城 理
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.385, pp.495-498, 2009-01-12

術中ナビゲーションにおいて,術野の映像情報を損なわずにバーチャル画像を重畳することが重要課題である.本研究では,バーチャル画像内の物体構造理解と内視鏡画像内の表面情報理解を両立する,内視鏡位置に基づく動的な透過度制御法を提案する.あらかじめ設定された対象物体と内視鏡との距離に応じて内視鏡画像の局所領域における透過度分布パターンを動的に変化させ,その背後に存在するバーチャル画像を可視化する.腹腔鏡下腎摘除術を対象として,実験ファントムを用いた基礎評価を行った結果について報告する.
著者
荒金 陽助 金井 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.3, pp.31-36, 2005-01-19
被引用文献数
1

本論文では,テキスト記述によるネットワークコミュニティを対象とし,利用者の置かれた環境を位置情報として抽出し,趣味・嗜好に合わせた情報共有を目的として,位置情報を記述する空間属性記述表現および,情報共有のための定量的な位置情報比較を可能とする空間属性類似度の提案を行った.実際のメーリングリストを用いた評価実験において,コンテンツの持つ位置情報の類似性について,被験者の主観評価と高い相関を示し,位置情報に応じた情報共有の可能性を示唆した.また,提案手法の応用例について議論した.In this paper, we propose a similarity estimation method for text based network community contents. By our method, place names are picked up from original contents and re-constructed to three layer place name. We defined this layered place name description about a content is spatial attributes description about the content. To compare with two spatial attributes, we propose a spatial attributes similar level. In subjective experiments, there is high correlation between our methods and subject's feeling about spatial attributes similarity of two contents.
著者
平田 敏彦 高橋 香代 鈴木 久雄 太田 善介 金重 哲三
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, 1991-12-01

陸上競技長距離選手が良い成績をあげるためには高い全身持久力が必要である。一方、過度の体脂肪は走運動の効率を低下させることから効果的なトレーニングの指導のためには、選手の持久性体力と身体組成の経時的な情報が必要であると考える。今回、我々は陸上協議長距離選手の持久性体力ならびに、DPXE法による身体組成を径時的に測定したので報告する。
著者
鴨志田 良和 金田 憲二 遠藤 敏夫 田浦 健次朗 近山 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.199, pp.19-24, 2006-07-26
被引用文献数
2

我々は,多数の計算機の効率的な監視と,対話的なコマンド投入を行うシステムVGXP(Visual Grid eXPlorer)を開発している.VGXPは面倒な個々の計算機へのインストールが不要で高速な並列コマンド投入が可能なGXPを拡張したシステムで,計算機のリソース利用率の監視と可視化機能を追加したものである.VGXPを使うと各計算機でのリソース利用率が図示されるので,クラスタの混み具合や負荷分散のバランスを一目で把握することができ,並列プログラムの開発やテストに役立てることができる.また,監視のために各計算機で必要なCPU負荷は約2%程度で,6拠点にまたがる約600台の計算機を監視した場合でも表示ノードにかかるCPU負荷は20%程度と,低負荷で監視を行うことができる.本稿では,これらの機能の実現方法や,監視のための情報収集の性能について説明する.
著者
金田 裕剛 峰松 美佳 斉藤 匡人 間 博人 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.692, pp.293-298, 2005-02-25

本研究では既存のネットワークゲームを改変することなく、ゲームサーバを介するクライアント・サーバ(C/S)型から特定のサーバに依存しないピア・ツー・ピア(P2P)型通信形態へ通信接続形態の切り替えを実現する機構を提案する。これにより本研究で提唱するネットワークゲームの再利用問題の解決を試みる。本論文ではプロトタイプを実装し、First Person Shootingの代表格であるQuake2のバイナリデータを使用しC/S型通信モードをP2P型通信へゲームプログラムを改変せず切り替えることを実現した。
著者
吉田 正人 向原 伸彦 大保 英文 尾崎 喜就 本多 祐 金 賢一 溝口 和博 井上 武 深瀬 圭吾 三里 卓也 志田 力
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.61-65, 2007-03-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

2000年1月から2003年12月までの4年間に当院で施行した80歳以上の大動脈弁置換術(AVR)症例29例を高齢者群とし,その手術成績ならびに中期成績について検討した.使用した弁は,全例,生体弁(Carpentier-Edwards PERIMOUNT)であった.また,同時期に施行された75歳以下の生体弁によるAVR症例36例を対照群として,2群間で比較検討を行った.平均年齢は高齢者群で82.9歳,対照群で71.6歳であり,病変は高齢者群では大動脈弁狭窄(AS)症例が79%と対照群の53%に比較して有意に多く,ASの程度も高度であった.術前合併症としては,高齢者群では糖尿病と腎機能障害(Cr≧1.5)の頻度が有意に高く,緊急手術例も高齢者群24%,対照群6%と高齢者群で緊急手術の頻度が有意に高かった.術後合併症は,48時間以上の長期の人工呼吸器管理を要した症例と一時的にCHDFを必要とするような腎機能障害をきたした症例の頻度が高齢者群で有意に高かったが,病院死亡は高齢者群6.9%,対照群5.6%と差はなく,3年生存率も高齢者群89%,対照群78%と差は認めなかった.80歳以上の超高齢者に対するAVR症例では術前の重症度が高かったが,その手術成績ならびに遠隔成績は良好であり,外科的治療を積極的に考慮すべきであると考えられた.
著者
内山 俊郎 山口 雅浩 大山 永昭 武川 直樹 金子 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.204, pp.23-30, 2001-07-11

マルチスペクトル画像を対象とした新しい類似画像検索方法を提案する。画像検索技術は、画像特徴の表現方法とその表現に基づいた類似度(あるいは距離)定義から成る。特徴表現については、精度と効率性が重要である。ここでは、画像全体の色(正確には、マルチスペクトル信号)の分布に着目する。従来のヒストグラムインターセクション(以下HI)法はマルチスペクトル画像に適用する場合、次元数の増加のために、十分な特徴表現ができないという問題が生じる。特徴表現の精度を向上させるためには、各画像毎で適応的に特徴表現をすることが必要である。しかし、HI法では共通のビンを用いる必要があり、適応的な特徴表現は難しい。本論文では、ベクトル量子化に基づいた各画像毎に適応的な特徴表現方法を導入し、それに基づく検索方法を提案する。実験により有効性を示す。
著者
金沢 正午 中島 明 岡本 健太郎 鈴木 節雄
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.266-276, 1970-02-01

It is reported in this paper that the combined addition of 0.03% Nb and 0.55% Mo in quenched and tempered steel has shown such a high strength increase that can not be deduced from the present knowledges. It is also investigated whether there is any other combination effects between elements of VIa or Va family and elements of VIa family in the periodic table, as in the case of Nb and Mo. 1. It is found that Nb-Mo added steels have the largest combination effect, Ti-Mo, Zr-Mo and Nb-Cr steels have a slight effects, and Ti-Cr, Zr-Cr, Nb-W steels have none of the combination effect. 2. The reason why such combination effect occurs has been investigated. It is found that, in the case of combination having such effective combination effect, a large number of, and a great amount of cubic duplex carbide particles of IVa or Va element containing VIa element in it precipitate in the course of tempering, and it is infered that such duplex carbides result in the great combination effect of the steel. 3. The extraction method of Nb or V precipitates from steels is investigated, and it is found that the best is the (1+1) HCl aq. extraction method.
著者
金子 治 川口 由起子 石川 好江 稲垣 和正
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.429-438, 1997-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
3

加齢にともなう肌表面の物理特性-凹凸や透明度-の変化と, 目で見て感じるくすみとの関連を明らかにすることを目的として, 肌表面微小凹凸度と皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに定義し, その数量化の方法を考案するとともに, 前報で報告したくすみ度Yと, それら2つの物理特性値間の相関関係を調べた。結果として, メラニンの多寡による呈色度合いM1と血流・血行のよしあしM3のほかに肌表面微小凹凸度, 皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに追加することによって, 目で見て感じるくすみをより精緻に, より客観的に数値化できることを示唆するデータが得られた。
著者
金子 治 塚田 弘行 石川 好江 川口 由起子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.44-51, 1997-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

肌のくすみはよく知られた現象であり多くの女性にとって美容上の悩みの1つである。しかしながら, くすみの生理学的定義や発生メカニズムについてはいまだ定説がない。そうした中でメラニン色素や, ヘモグロビンの量の変化がくすみの原因の1つであるとされているが, その関連は明確にされていない。見た目で感じるくすみは, 心理物理的現象であり, 皮膚から反射された光そのものを調べてみる必要がある。著者らは, 見た目で感じるくすみに寄与する因子を抽出するために, 皮膚から反射される光の分光反射率を線形で表現することを試み, くすみの視感評価結果と, メラニン量や血流を反映する皮膚反射光の分光特性との間に, 有意な相関を見いだした。
著者
比嘉 悠貴 深見 裕之 小野 直亮 金谷 重彦
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.97-101, 2022-07-31 (Released:2022-08-13)
参考文献数
13

紅麹菌(Monascus)を米に生育させた紅麹米は,世界中で食品として利用されている.近年は天然色素としての着色料だけではなく,血圧低下作用やコレステロール低下効果など機能性食品としての利用も高まっている.紅麹菌はヒトの健康に良い効果をもたらすモナコリンKやアザフィロン色素を生産する一方で,健康を害すると考えられるカビ毒シトリニンも作る.したがって,安全に食品として利用できるカビ毒シトリニンをつくらない紅麹菌の産業利用が望まれる.我々は,紅麹3菌種について次世代シークエンサーを用いたゲノム解析とLCMSを用いた二次代謝物解析を行った.その結果,ゲノムレベルと代謝物レベルでカビ毒シトリニンを生産しない紅麹菌株としてMonascus pilosus NBRC 4520とMonascus ruber NBRC 4483を見出した.また,Monascus ruberについてはシトリニンを生産することが報告されているが,Monascus pilosusについてはゲノムレベルでシトリニンの生合成遺伝子が保存されていないことが複数の菌株で報告されている.したがって,食品として利用するための紅麹菌種として安全性が最も高いのはMonascus pilosusであると考えられる.これらの研究知見が,安全な紅麹菌の研究を通じて食品への利用,世界中のヒトの健康の維持増進へ貢献する端緒となれば幸いである.
著者
金 昭英
出版者
University of Tokyo(東京大学)
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 影浦 峡, 東京大学准教授 李 正連, 東京大学教授 小国 喜弘, 東京大学教授 秋田 喜代美, 東京大学客員教授 根本 彰
著者
布下 裕基 曽山 明彦 福本 将之 原 貴信 丸屋 安広 松島 肇 今村 一歩 足立 智彦 日髙 匡章 金高 賢悟 岡野 慎士 江口 晋
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.19-24, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
11

2019年末に中国武漢で報告され,流行した新型コロナウイルス(以下COVID-19)感染症により,移植医療はレシピエントのCOVID-19感染,移植のための人の往来による感染伝播,移植後患者のCOVID-19感染のリスクなど様々な問題に直面した.実際に,それらの問題のため,COVID-19流行前の2019年と流行後の2020年以降2022年末までの臓器提供数,脳死肝移植症例数を比較すると,減少している.今回COVID-19感染下に発症した急性肝不全患者に対して,診断早期から多職種間,施設間で連携をとり,適切なタイミングで脳死肝移植を施行した一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
本田 由美 河内 美恵 金 樹英 西牧 謙吾
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.345-359, 2024-01-01 (Released:2024-01-05)
参考文献数
165

本論文では,2010年以降に発表された和文の自閉スペクトラム症の介入実践研究を概観した.キーワード検索で該当した和文文献4,171編を抽出条件(1.査読付き実践研究,2.2010 年~ 2021年発表,3.対象は本人,保護者,支援者,4.個別・グループ含む)に従い選択し,最終的に148編の論文を対象とした.その結果,(1)対象者は「本人」が最多で75.0%,次いで「本人と養育者」(12.2%),(2)対象年代は学童期(35.1%),乳幼児期(25.7%)が多数を占める,(3)最も活用されている介入法は行動的アプローチであり,一定の介入効果をあげている一方で,結果が一様でないケースもみられることなどが明らかとなった.今後の課題としては(1)青年期・成人期への介入研究の増加,(2)統制群や待機群を設定した研究実施,(3)多面的な評価や中長期的フォローの必要性があげられた.