著者
横光 健吾 金井 嘉宏 佐藤 健二 杣取 恵太 坂野 雄二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.87-90, 2019-07-01 (Released:2019-07-06)
参考文献数
20

The purpose of this cross-sectional study was to examine the relationship between happiness, satisfaction, and the psychological effects of consuming “shikohin” at social events on psychological health. Five hundred and thirty-two participants (270 men, 262 women; mean age=44.91 years, SD=13.81 years) from a community sample in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba completed a set of questionnaires and the data were analyzed. The results of partial correlation analyses showed that when people experienced positive and negative social life events, the psychological effects of consuming “shikohin” showed a weak but positive correlation with happiness and satisfaction.
著者
石川 利博 金 兌勝 梁 哲周
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.750-759, 2011 (Released:2012-03-21)
参考文献数
11

黄帝内経・霊枢には「陰陽五態」「陰陽二十五人」と二種類の類型が存在する。それは「性格」「体格」「体質」「治療」に項目を分けてまとめ直すことができる。それらは相互に密接に関連している。これは,「形神合一」という概念があることで説明できる。「形」即ち「身体」と「神」即ち「精神」が合一であるという整体観が基礎になっている。また,この類型を性格類型とみなすと,現代の心理学的な性格類型と比較する事が出来る。クレッチマーやコルマンは性格と体格,性格と相貌を関連付けて論じている。体格,相貌は望診である。一方,性格は望診と問診両方に当たる。これらの知見を借りることで,漢方的な診断の技術を上げられるのではないかと考える。
著者
金藤 正直
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

企業が従業員の健康保持・増進に関与し、健康保険料の増加や疾患リスク上昇に伴う生産性の低下を防ぐための健康経営について、経済産業省は重要な経営課題の1つと位置づけている。しかし、従業員の職務上のストレス削減や能力向上が、企業全体の離職率低下、医療費負担抑制、生産性向上をもたらし、さらには業績向上も実現させる健康経営の可能性を定量的に分析し、評価するような研究は、国内外においても十分に進んでいるとは言い難い。そこで、本研究では、従業員の健康リスク削減により、企業の業績向上を実現させる健康経営システムに資する会計モデルの構築を目指す。
著者
杉山 庸一郎 金子 真美 平野 滋
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.8, pp.983-989, 2023-08-20 (Released:2023-09-01)
参考文献数
34

高齢者の嚥下障害に対する嚥下診療では, 加齢による嚥下機能低下に加え, 高齢者に好発する疾患とそれに伴う嚥下障害を理解し, 嚥下メカニズムに沿って治療を行うことが原則となる. 高齢者では咽頭・喉頭感覚低下, 食道入口部の抵抗増加, 咽頭残留などの加齢に伴う嚥下機能低下に, 脳血管障害や神経筋疾患など原疾患による嚥下機能低下が加わると, 嚥下障害を来す. 原疾患の治療に加えて, 嚥下障害に対して病態に即して対応することが必要となる. そのためには嚥下機能評価が重要となる. 摂食・嚥下は5段階に分類されるが, そのうち咽頭期嚥下障害は誤嚥のリスクに関与するため, 適切に評価し対応する必要がある. 咽頭期嚥下障害に対する嚥下機能評価は嚥下惹起性と咽頭クリアランスの評価に大別される. 嚥下機能評価により病態生理を解析し, 原理原則に沿って嚥下リハビリテーション治療や嚥下機能改善手術などの適応, 治療方針を決定することが重要である.
著者
宮里 賢 豊見山 麻未 名富 久義 城間 裕子 與那嶺 圭輔 西澤 万貴 馬渕 仁志 金城 譲 仲地 紀哉 島尻 博人 豊見山 良作
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.117-126, 2019-04-01 (Released:2019-04-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3 3

感染性肝囊胞は比較的稀な疾患とされているが画像診断の進歩により診断する機会が増加しており,当院では2009年から2018年の間に23例を経験した.今回は画像検査の所見と囊胞液の検査結果,治療経過について検討した.腹部超音波検査では22例に囊胞内のスラッジエコーを認め,腹部造影CT検査では5例に囊胞壁の造影効果を認めた.腹部MRI検査を14例に行い全例でT2強調画像での囊胞内部の信号低下を認め,拡散強調画像を追加した12例では囊胞内部や囊胞辺縁の拡散低下を認めた.囊胞液の培養は12例が陽性で血液培養も10例で陽性であり,起因菌はKlebsiella pneumoniaeが最多であった.治療は全例に抗菌薬投与と囊胞内容液の穿刺吸引または持続ドレナージを施行して11例は塩酸ミノサイクリンによる硬化療法を追加した.1例はドレナージにて改善が得られず外科手術に至ったが,最終的に全例が軽快退院した.
著者
河村 宜克 藤田 基 井上 智顕 山本 隆裕 古賀 靖卓 八木 雄史 中原 貴志 戸谷 昌樹 金田 浩太郎 鶴田 良介
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.552-556, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
9

トンネル内で急性一酸化炭素(carbon monoxide,以下COと略す)中毒患者が多数発生した事例において,隣県のドクターヘリコプター(以下ドクヘリと略す)とともに傷病者7例を高気圧酸素(hyperbaric oxygen,以下HBOと略す)治療装置のある4施設に分散搬送したので報告する。トンネル内で作業員が倒れているとの情報で,ドクヘリが覚知要請された。 現場到着時,傷病者はトンネル内で,発電機を複数台持ち込み作業していたとの情報から,急性CO中毒を疑った。傷病者は7例で19〜58歳,全員歩行不能であり,JCS 1桁であった。 経皮的カルボキシヘモグロビン濃度は,測定可能であった4例では30%前後であった。最終的に救急車で直近のHBO治療装置保持施設に3例,次に近い施設に1例搬送した。山口県ドクヘリで2例,広島県ドクヘリで1 例をさらに離れたHBO治療装置保持施設2施設へ分散搬送した。
著者
金岡 政彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.530-534, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)
参考文献数
25

巨大な顕微鏡と称される放射光施設では,放たれるX線の特性からラボ用分析装置では得られない極めて高い分解能の観察ができるため,さまざまな分野の最先端研究が行われている.この高分解能を得るには高精度光学素子の存在が不可欠であり,2nm以下という卓越した精度で表面を平滑化したX線全反射ミラーを安定供給しているのは筆者らの組織だけである.本稿では,このグローバルニッチトップ型ビジネスを支える独自のナノ加工技術の存在と,その実用化・事業化の成功について述べ,新たに進める技術の応用開発の一例を紹介する.
著者
朝日 稔 金 秀浩 藤本 基秋 岡田 崇志 平田 英周
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.55-61, 2006 (Released:2006-08-29)
参考文献数
14

Traumatic atlanto-axial subluxation (AAS) is a rare injury which can be diagnosed by flexion-extension dynamic radiograph on the cervical spine. Here we report on a case of delayed progression of AAS in the chronic phase after a cervical spinal injury. The described case is a 58-year-old man who sustained a closed occipital head injury with subsequent severe tetraparesis and was admitted to our hospital. Although, no obvious bony injuries of the cervical spine were revealed on plain radiograph and CT scan, Magnetic resonance imaging demonstrated intramedullary spinal cord injury at the level of C1-2. In the acute phase, the patient was treated conservatively and the motor dysfunction was well ameliorated. However, the patient gradually suffered again from motor deterioration eight months later and the radiological examinations revealed delayed progression of AAS. After the unsuccessful trial of external reduction for AAS, the patient underwent atlas laminectomy and occipito-cervical internal fixation with compact Cotrel-Dubousset instrumentation. The motor disability improved again after the operation. Sufficient decompression of spinal cord and stable fixation of craniovertebral junction have been obtained for over two years post-operatively. The unique clinical course of the present case is discussed.
著者
千葉 百子 稲葉 裕 篠原 厚子 佐々木 敏 下田 妙子 金子 一成
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

カザフスタンとウズベキスタンに跨るアラル海は琵琶湖の100倍、世界第4位の画積だったが、現在は約1/4の面積となり、20世紀最大の環境破壊といわれる。その結果、強い砂嵐が北西から南東にかけて吹くなど、気候変動も起きている。アラル海東側には原因不明の健康障害を訴える住民が増加した。2000年からこの地域の疫学調査に着手した。罹患率の高い貧血、呼吸機能障害、腎機能障害に関してその原因究明を行ってきた。腎機能に関してカドミウムによる障害ではないかと考えた。生体、食事、環境試料を分析したがカドミウムが原因とは考え難い。これまでに世界各地で採取した多数の飲料水を分析してきたが、この地域の飲料水中にはかなりのウランが含まれているものが多かった。そこで本研究ではウランを中心に健康被害調査を行った。2004年9月にクジルオルダ州の2村で無作為抽出した218名の学童を対象に調査を行った。そのうち155名が2005年2月の調査にも応じてくれた。対象学童から飲料水、尿、血液の提供を受けた。飲料水中ウラン濃度の高いものは約40μg/L、低いものは検出限界以下であった。全例の飲料水中および尿中ウランの相関係数はr=0.263であった。尿中クレアチニン(CR)濃度がウラン濃度と平行して増加していた。尿中蛋白濃度はウラン濃度の増加に伴って上昇したが(r=0.272)、NAGおよびβ2ミクログロブリンはウラン濃度と無相関であった。尿中の元素でウランと相関があったものはヒ素(r=0.608)とチタン(r=0.650)であった。飲料水中で有意な相関があった元素はストロンチウム(r=0.800)、鉄(r-0.719)およびカルシウム(r=0.719)であった。飲料水中ウランと腎臓機能障害の指標(NAG、β2MGなど)と直接関係するか否か今後も検討を続ける予定である。
著者
金指 美帆
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.26-31, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
29

物理療法の標的器官の1つである骨格筋は,廃用や加齢,疾患等により萎縮を呈する一方で,電気刺激による筋萎縮予防・治療効果が広く認められている.しかし,その作用機序については健常な骨格筋を対象に検証されたものが多く,病態下にある萎縮骨格筋への刺激応答性については科学的根拠が不足している.電気刺激の治療効果を最大限に引き出すためには,標的となる組織・細胞で生じる応答を解明し,適切な刺激条件・方法で介入することが求められる.加齢や廃用,がん悪液質や糖尿病などの病態によりタンパク質合成抵抗性が惹起されることから,病態に応じて電気刺激の至適条件を見直し,治療戦略を再考する必要があるのではないだろうか.本稿では,廃用性筋萎縮に対する電気刺激の効果及び作用メカニズムについて,主に基礎研究による知見をもとに概説するとともに,今後の電気刺激療法の展望について考察する.
著者
金澤 悠介
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.221-224, 2022 (Released:2023-03-24)
著者
高久 道子 市川 誠一 金子 典代
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.684-693, 2015 (Released:2015-12-09)
参考文献数
28
被引用文献数
3

目的 愛知県に在住するスペイン語圏の南米地域出身者におけるスペイン語対応の医療機関についての情報行動の実態を把握し,その情報行動に関連する要因を明らかにする。方法 調査対象は,日本に 3 か月以上在住し愛知県に居住する,来日してから病気やケガで受診経験のある18歳以上のスペイン語圏の南米地域出身者とした。スペイン語による無記名自記式質問紙調査を2010年 4 月から 7 月に実施した。分析対象者245人(有効回答率58.9%)の情報行動を分析するにあたり,Wilsonの情報行動モデルを参考にした。東海地方にあるスペイン語対応の医療機関を探した群(以下,探索群)と探さなかった群(非探索群)を目的変数とし,回答者本人の「スペイン語対応の医療機関が必要になった経験」,「スペイン語対応の医療機関の認知」,「認知後にスペイン語対応の医療機関を受診した経験」,「情報入手先」,そして情報行動に関連すると思われる因子として基本属性,生活状況,日本語能力等との関連をみた。結果 分析対象者245人の性別内訳は,男性が106人(43.3%),女性が139人(56.7%)であった。平均年齢は39.6歳(標準偏差±11.2歳)で,国籍はペルーが84.5%を占めた。日本での在住年数は平均11.0年(±5.7年)で,愛知県での居住年数は5~9年(34.3%)が最も多かった。探索群は165人(67.3%),非探索群は80人(32.7%)であった。スペイン語対応の医療機関の探索は,病気やケガでの受診時に医療通訳など母国語対応を必要とした経験,東海地方における母国語対応の医療機関の認知,認知後に受診した経験,日本での在住年数,日本語能力,普段使用する言語と有意な関連があった。結論 スペイン語圏の南米地域出身者におけるスペイン語対応の医療機関に関する情報行動は,これまでに日本の医療機関でスペイン語通訳などの支援が必要になった経験が情報探索の動機となっていた。日本語によるコミュニケーションの困難,母国語の普段使用,短い在住年数がスペイン語対応の医療機関の情報探索に関連がみられた。スペイン語メディアを使い,家族や友人,職場の同僚といった身近な人と情報共有がなされていたと推察された一方で,自治体や公的機関発信の情報は届いているとは言えない状況にあり,医療に関する情報提供の在り方が課題として浮き彫りとなった。
著者
鈴木 雅大 金子 貴輝 谷口 尚平 松嶋 達也 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1L2J1105, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,深層生成モデルの研究は急速に進んでおり,それらを簡潔かつ汎用性高く実装できるフレームワークが求められる.本研究では,最新の複雑な深層生成モデルの特徴として,確率分布によるネットワークの隠蔽,および複数の誤差関数から目的関数が構成されているという2点に着目し,それらを達成する新たな深層生成モデルライブラリ,Pixyzを提案する.本論文では,提案ライブラリが簡単な深層生成モデルの実験において,既存の確率モデリング言語であるPyroよりも高速で動作することを示し,さらに既存の確率モデリングライブラリでは実装できない複雑な深層生成モデルについて,容易かつ簡潔に実装できることを示す.
著者
金井 勇人
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.179, pp.16-30, 2021-08-25 (Released:2023-08-26)
参考文献数
15

話し手が「あのレストラン,おいしかったね」と聞き手に言うとき,「レストラン」は両者の共同の経験・文脈において認知された対象である。こうした性質を持つ指示対象を《共同的共有知識》と呼ぶことにする。しかしア系の指示詞は,作文などの《共同的共有知識》が成立しない環境においても用いられる。その場合の《非-共同的共有知識》を指すア系は,学習者にとって習得が難しい。そこで本稿では日本語母語話者の日本語作文を例に,その文法的な性質について分析を行った。その結果,①真の共有知識を指す,②疑似的な共有知識を指す,③対象自体を推論させる,④対象の程度を推論させる,という4つのタイプがあることを見出した。これらは読み手との共感を喚起し,書き手の思い入れを顕示する。続いて上記の分析結果に基づいて,中韓母語話者の日本語作文を例に《非-共同的共有知識》を指すア系の誤用を分析し,日本語教育における扱いについて考察した。
著者
金 孝卿
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.1-10, 1999-11-30 (Released:2017-07-21)
参考文献数
26

日本と韓国における卍字紋と巴紋(太極紋)は, 幾何学的紋様として, 装飾・紋様領域のなかで重要な位置を占めている。特に卍字紋と巴紋(太極紋)は釣り合いのとれたダイナミックな造形として知られている。両国における卍字紋は, 豊かなバリエーションがあり, 図(figure)と地(ground)の相互関連によって形成される構造をもっている。卍字紋の原型は, 四つ巴紋から変遷された十字形であり, 巴紋と太極紋の原型は, 波状や螺旋の変化形とも言える。巴紋・太極紋の形体は, ともに回転性をもち造形的に一見近似にみえる。巴紋は, 勾玉と勾玉の間に新しく生成されたパターンであり, 太極紋は, 勾玉と勾玉が逆対称した紋様として、基本的には異なる形体で形成されている。両国の卍字紋と巴紋(太極紋)は, それぞれ意味や形体が異なるものの, 回転のシンメトリー性をもった数理的造形である点は共通している。
著者
松村 勝秀 平井 輝幸 北島 英明 林 勝 金川 裕 谷口 俊夫 岡本 道明
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1-2, pp.153-181, 1996-02-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
2
被引用文献数
4 3

原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物のうち、固体状の廃棄物は、気体、液体系の廃棄フィル夕、取り換え消耗器材、定期点検、改良工事に伴う各種廃材、消耗資材等からなり、その材質、構造、形態、放射性汚染条件等が広範にわたるので、一義的に定義することが難しい。これを埋設処分するためには、その発生実態、廃棄物の物理化学的特性をよく把握して、合理的に廃棄体を製作する技術の確立が必要である。ここでは、保管廃棄物の代表性を考慮した実廃棄物サンプリング調査、その分別確認試験と代表的模擬廃棄物の設定、埋設規則技術基準への適用、合理的な廃棄体形態の考え方、実大模擬廃棄体試作による製作方法の確証試験、廃棄体の非破壊放射能測定法の適用性について体系的に調査研究を実施したので、その概要を紹介する。