著者
水野 高昌 鈴木 久義 奥原 孝幸 上原 栄一郎 山口 芳文
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.273-283, 2011-06-15

要旨:作業療法士が行っている感情労働に焦点をあて,作業療法士の業務において求められている感情労働の構成概念を明確にすることを目的に研究を行った.医療施設および福祉施設に従事する100名を選択し調査対象とした.調査方法は郵送によるアンケート調査で無記名の自記式とし,回収されたデータはBerelson Bの内容分析によって分析した.分析の結果,対象者への感情労働は9カテゴリーが抽出された.対象者への感情労働として抽出されたカテゴリーは,先行研究に類似したものと「プログラムの工夫」など作業療法士独自のものも見られ,本研究によって作業療法士が感情労働を行っていることが示唆された.
著者
椿本 弥生 高橋 薫 北村 智 大辻 雄介 鈴木 久 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.255-267, 2013

日本語母語話者の高校生を対象に,日本語で産出した小論文をグループで協同推敲できるシステム「Re:(アール・イー)」を開発した.推敲の観点として内容・構成・言語使用の3つを設定した.グループの構成員が得意とする観点がそれぞれ異なる実験群と,得意とする観点が統一された統制群とで,システム使用前後の小論文の得点を比較した.その結果,全体的評定値については,実験群のシステム使用後で有意に得点が高かった.さらに分析的評定値では,論拠の質などの小論文の質に深く関わる評価項目について実験群のほうが統制群よりも有意に得点が高かった.プレとポストの得点差において,統制群よりも実験群のほうが,各グループで一定に近かった.このことから,提案するグループ編成方法がより多くの学習者に一定の学習効果を保証できる可能性が示唆された.
著者
小松 浩子 鈴木 久美 林 直子 村上 好恵 松崎 直子 冨田 美和 市川 和可子 外崎 明子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.61-67, 2006-06-20

本報告の目的は,21世紀COEプログラム事業の一環として継続的に実施している国際駅伝シンポジウムのうち,2005年10月に開催された第4回「私たちが選ぶ時代に向けて:患者中心の乳がんチーム医療」の企画・実施過程および評価を報告し,それらを通じてみえてきたPeople-Centered Careを生成するうえでの重要な要素について提示し,今後の課題を検討することである。方法は,シンポジウムの企画,実施,評価の全過程で記述した議事録や講演・討議内容,参加者のアンケート内容を資料とし,質的データは内容分析を,量的データは記述統計を行った。シンポジウムは,乳がん体験者と共に構成や内容,方法を検討し企画した。プログラムは,(1)参加者の医療ニーズを共に知ることをめざしたクイズ,(2)米国のチーム医療から学びをうる講演,(3)共にめざす乳がんチーム医療について広い視点から討議することをめざしたシンポジウム,(4)参加者と共に音とことばのメッセージを分かちあう詩の朗読と音楽演奏,そして(5)ピンクリボンにちなんだシンボルキルトの作成で構成された。その結果,参加者のニーズとテーマの合致性,シンポジウム成果の政策提言,有用性などシンポジウムの評価は全体的に高かった。そして,シンポジウムを通して,患者と医療者が互いに学び,歩み寄り,協働して医療に取り組む姿勢が重要であるといった,新しいチーム医療の方向性やあり方が示された。
著者
渡部 喬之 鈴木 久義 小貫 祐介 長島 潤 迫 力太郎 川手 信行
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.17027, (Released:2018-09-28)
参考文献数
21

目的:脳卒中患者におけるやむを得ない転倒判定チェックシート(以下,判定シート)の,信頼性と予測的妥当性を検討した.方法:検者5名で脳卒中転倒者20例に対し判定シートを評価,また2名は同様の対象に再評価を行い,検者間でのFleissのκ係数,検者内でのCohenのκ係数を算出した.予測的妥当性の検討は,対象の脳卒中転倒者123名の中から判定シートを用いてやむを得ない転倒者を抽出し,その他の転倒者との間で,再転倒割合,運動FIMを比較した.結果:判定結果のFleissのκ係数は0.838,Cohenのκ係数は1.000であり,高い検者間・検者内信頼性を認めた.やむを得ない転倒者の再転倒割合は,その他の転倒者に比べ有意に低かった.運動FIMは有意に高く,やむを得ない転倒者は一定以上の能力回復を認める傾向にあった.考察:判定シートの信頼性と予測的妥当性が高いことが示された.判定シートで転倒の質を評価することは,転倒後の患者指導などに使用できると考える.
著者
鈴木 久米男 髙橋 和夫 SUZUKI Kumeo TAKAHASHI Kazuo
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.69-81, 2017-03-31

教職大学院設置の動きは、平成29年4月に8つの教職大学院が開設され、ひとまず一段落することになる。次の段階として各教職大学院における教育の質の向上及び修了生へのフォローが課題となってきている。このことも踏まえ、教職大学院での学修における理論と実践の往還・融合としての教育実践研究への取り組みが重要視されてきている。本研究では、各教職大学院における教育実践研究のカリキュラムへの位置づけや、研究内容としての研究テーマと研究アプローチ等に注目した。研究の成果として、教職大学院で取り組まれている教育実践研究の位置づけや指導のためのカリキュラム編成の実態を明らかにすることができた。さらに、教育実践研究の内容に関して抽出した教職大学院の実践例から、教科指導が主に取り組まれていること、学卒院生と現職院生では、個々の取り組みによるものと組織的な取り組みを対象にするなどの違いがみられることが明らかになった。
著者
鈴木 久男 太田 和秀 斎藤 肇
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1098, pp.170-175, 1987-02-01
被引用文献数
9 18

Densification behavior of powder compacts having a cordierite composition prepared by the sol-gel process using metal alkoxides is studied. The calcination of the alkoxy-derived powder at 800°C for 12h gave the best sintering. Densification of the powder compacts occurred from 800° to 900°C. Dense cordierite ceramics with different crystalline phases or properties were obtained by sintering the powder compacts without any sintering aid. The sintering of the powder compact at 1300°C for 12h gave dense α-cordierite ceramics having the flexural strength of 120MPa and the critical stress intensity factor of 2.8MN/m<sup>3/2</sup>.
著者
奥原 孝幸:筆頭著者 鈴木 久義:その他 作田 浩行:その他 増山 英理子:その他 水野 高昌
出版者
昭和大学保健医療学部
雑誌
昭和大学保健医療学雑誌 (ISSN:1349029X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.35-44, 2012-08 (Released:2014-10-10)

作業療法に参加している入院統合失調症患者188名を対象に、「作業療法に対するイメージ」の調査を6ヵ月間隔で2回行い、2回とも回答した71名の中から特徴的なイメージをもっている23名を抽出し、そのイメージの要因を探るために個別インタビューを行った。結果、作業療法に対してポジティブなイメージをもっている患者では、病状が安定しており、穏やかで普段からポジティブイメージを想像させる言動が多かった。一方ネガティブなイメージをもっている患者では、病状や気分の不安定さ、不機嫌さ、思考の偏りや狭さなどがみられた。ネガティブイメージの背景にはイライラ感や表情・思考の硬さなどがあり、さらに、その患者特有の心理的要素が影響しているものと考えられた。
著者
渡部 昌史 加賀 勝 鈴木 久雄 高橋 香代
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.113-122, 2003-12-31 (Released:2010-08-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

The objective of this study was to clarify the influences of sports activity in junior high-school athletes on bone strength and fractures. The subjects were 57 male junior high-school athletes aged from 13 to 15 years. They trained 120min, 6 times /wk. As an index of the bone strength, we measured the speed of sound of tibia (t-SOS) using Sound Scan 2000 Compact (Myriad Ultrasound System Ltd., Israel). The fracture rate was compared between the junior high-school athlete and control groups. The following results were obtained.(1) In the junior high-school athlete group, their t-SOS was significantly lower than control group.(2) The value of t-SOS demonstrated a negative correlation with the length of tibia/height ratio in the junior high-school athlete and control groups.(3) The value of t-SOS demonstrated a positive correlation with calcium intake from dairy products in the junior high-school athletes.(4) The junior high-school athletes showed a very high fracture rate. Particularly, the highest fracture rate (26.7%) was seen in the 13-year-old in the junior high-school athletes.These data will be useful for designing appropriate exercise programs to support the growth and bone mineral acquisition in the junior high-school athletes.
著者
渡辺 美智子 北 博正 万木 良平 向笠 由美 鈴木 久乃 金子 佳代子 小池 五郎 桜間 幸次 藤本 英男 井川 正治 笹渕 五夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.40-51, 1984

体重階級制スポーツ選手の試合前の急速減量は, 体力・生理学的および栄養学的に適正な方法によって生体の諸機能の低下を防ぎながら行われるべきであり, 同時に試合後の回復期においても適正な方法によって回復させることが大切であると思われる。<BR>これらの方法を見出すことを目的として, レスリングの新人選手を対象とし, 急速減量における体重調整期, 試合期および回復期の各期間にわたり, 諸調査を実施した。その結果は次のとおりであった。<BR>各栄養素の平均摂取量の概量は, 体重調整2期では, エネルギーが20kcal/kg, たんぱく質1.7g/kg, 水分20g/kg, ナトリウム2g/日, カリウム1g/日であったが, 回復期に入ると急増し, エネルギーは60kcal/kg, たんぱく質2g/kg, 水分46~73g/kg, ナトリウム5g/日, カリウム3g/日となった。<BR>試合直前に体重の10%前後を減少させた各選手は, 試合終了から翌日までにほとんど平常体重の水準まで回復したが, その後増加しすぎるものもあり, 平常体重におちつくまでに約7日間を要した。<BR>この減量に伴って, 体内窒素代謝の亢進と, それに伴う筋力などの若干の低下, 体水分脱出による血液濃縮の影響と考えられる血液性状の変化が認められた。<BR>回復期には, 体重は速やかに平常時に復したが, 窒素, カリウムの摂取量が増加したにも拘らず尿中排泄量は増加せず, 出納はかなり大幅な正に転じた。またナトリウムは, 回復期に塩分の摂取量が多くなるに伴い尿中排泄量も増加したが, 出納は正であった。しかし, 回復期1週間後においても血液性状の一部などに充分に平常値までもどっていないのではないかと思われる徴候もあった。<BR>同復期に摂った飲食物の食品構成と各栄養素の平均摂取量については大きな欠陥は見当らなかったが, 偏差が大きく, 各個人の摂り方の内容は必ずしも充分ではなかった。<BR>被検者となった選手たちは新人ではあるがいずれもかなり高い体力水準を有していることを考え合わせると, これらの結果から, 今後スポーツ選手の急速減量にあたって, 単に減量方法だけでなく, 試合終了後における体力回復の適正な方法についても検討の余地が残されているものと考える。
著者
鈴木 久美子 采 輝昭 山崎 幹夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.221-225, 1988-03-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1 7

A fraction causing diarrhea to mice with a hemolytic activity was previously isolated from the aqueous extract of a poisonous mushroom Rhodophyllus rhodopolius. In order to clarify the relationship between the enterotoxicity and hemolytic activity, the hemolysin was purified. The hemolysin which was partially purified by DEAE-cellulose column chromatography, ammonium sulfate precipitation, and Sephacryl S-300 column chromatography, caused diarrhea and intestinal hemorrhage to suckling mice. The molecular weight of the hemolysin was estimated to be about 40000 by SDS-slab polyacrylamide gel electrophoresis and gel filtration. The hemolytic activity of the hemolysin was observed to be relatively heat-stable in the crude extract and dependent on the temperature and concentration of erythrocytes.
著者
大東 一郎 石井 安憲 芹澤 伸子 小西 秀樹 鈴木 久美 佐藤 綾野 于 洋 上田 貴子 魏 芳 大東 一郎 石井 安憲 清野 一治 木村 公一朗
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、中国の制度・政策転換と東アジア圏の国際相互依存関係への影響に関わる政治経済学的問題を、財政・金融・産業・環境に焦点を合わせて考究した。財政制度の効率性比較、途上国での望ましい工業汚染規制、企業の株式持合いと政策決定の関係、混合寡占下での公企業の役割、途上国企業の部品の内製・購買の選択を理論的に分析した。中国の社会保障制度の実態、マイクロファイナンスの金融機能を明らかにし、税制の機会均等化効果の日韓台間比較、為替介入政策の市場の効率性への影響分析を行った。
著者
鈴木 久実
出版者
東京都立桐ヶ丘高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

今回の研究は、高校生にリスニングのストラテジーを明示的に指示することで、リスニング力向上に寄与することを目標とした。指示したストラテジーは、次の3つである:(1)聞こえてきた音声を頭の中で繰り返しながら聞く、(2)聞こえてきた音で強く読まれている部分に注意しながら聞き取る、(3)聞こえてきた音声をよく聞く。(1)は、意味処理のために、英語を頭に長く残すストラテジーである。(2)は、英語の音声の強形は内容語であることが多いため、強く発話される語に注意を向け、意味理解を促すストラテジーである。(3)は(1)、(2)に対する統制群としての指示である。事前にこのような指示を与え、注意を向けて生徒に聞かせることは大切なことである。この実験は公立高校3校で行った。測定は、日本英語検定協会の英語能力判定テストのリスニングテストの得点で行った。異なる問題で事前テスト、事後テストを行い、その差を分析した。指導には、生徒の習熟度に応じて英検2級と英検3級のリスニングテストの問題を使用した。指導前の各グループ間の差がないことは、事前テストの結果を分散分析することにより証明した。各グループの結果は二元配置分散分析により分析した。全体的には、3つの指示の間に有意な差は見られなかった。次にトラテジーを指示した各グループの内で、事前テストにより上位者、中位者、下位者のグループに分け、対応のあるt検定により分析を行ったところ、特に下位群について、どの指示でもテストの得点に有意な伸長が見られた。上位者、中位者の得点の伸長については学校によって異なった。現時点での分析から言えることは、英語の聞き方のストラテジーをあまり使用していないと考えられる成績下位者は、明示的な指示を教師が与えることで得点が伸長したと考えられる。成績上位者については、すでにストラテジーを持っているので、教員の指示が邪魔になり、結果がまちまちになった可能性がある。
著者
鈴木 久美 小松 浩子 林 直子 片岡 弥恵子 樺澤 三奈子 大坂 和可子 大畑 美里 池口 佳子 大林 薫
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、乳がん検診受診率の向上をめざし、同意の得られた成人女性33人を対象に乳房セルフケア促進プログラムを実施し、妥当性を評価した。その結果、介入前に比べ介入後1年で、40歳以上の定期的マンモグラフィ受診者は26.1%から60.9%(p=0.008)、30歳以上の定期的自己検診実施者は21.2%から57.6%(p=0.004)と有意に改善した。また、85%以上の参加者は、プログラムに対して満足かつ有用と回答した。以上の結果から本プログラムは妥当であると考えられた。