著者
鈴木 俊介 神村 真 阪上 最一
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1729-1730, 2004

都市部でのトンネル工事では、近接施工となる場合が多いので、地盤掘削が周辺地盤に及ぼす影響を精度良く予測する必要がある。数値解析は、予測手法として一般的であるが、結果検証のためには、遠心力模型実験等による実挙動の確認が必要である。しかし、一般に普及しているビーム型遠心力模型実験装置は、高精度であるが、大型であるため簡便性に欠ける。著者らは、ビーム型装置より小型のミニドラム型遠心力模型実験装置により、トンネル掘削模擬実験を実施し、簡便な地盤挙動予測手法の検討を行った。検討結果は、ミニドラム型装置が、掘削時地盤挙動を簡便かつ精度良く把握できることを示すものであったので、ここに報告する。
著者
鈴木 俊一 青木 広臣 川上 博人 畑 明仁 本島 貴之
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.87-98, 2009
被引用文献数
3

本稿では, 多重バリアシステムを有する放射性廃棄物処分施設の安全性能評価手法について提案する. 本稿で提案する手法は, 我が国において既存の放射性廃棄物処分施設に対しておこなわれた安全評価で用いられている移行率モデルの概念に基づいている. 提案する安全評価手法の有利な点は, 複雑な数値シミュレーションを多用することなく, 廃棄体からの溶出率を考慮した人工バリアシステム (EBS) からの放出フラックスを算定でき, さらに, 人工バリアが有する遅延性能, 低透水性能, 及び低拡散性能の3つの性能指標からなる移行率を提案・採用している点である. また, 本稿で提案する安全性能評価手法を用いて, 人工バリアからの放射性核種の放出フラックスに対して感度解析を行い, 廃棄体からの溶出率, 移行率, 及び人工バリアからの放射性核種の最大放出率による相図を作成し各パラメータの影響度を整理した.
著者
青木 広臣 鈴木 俊一 川上 博人
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.500, 2007

放射性廃棄物処分施設の安全性能評価において,地下水移行シナリオ,隆起・浸食シナリオ等の被ばく線量に支配的な影響を及ぼすパラメータである廃棄体の溶出率と,処分施設の核種閉じ込め性能を示す指標である人工バリア部の移行率の関係について整理し,最大放出率に及ぼすそれらパラメータの相対的な位置づけを理論式に基づき分析した.
著者
鈴木 俊
出版者
日本村落研究学会
雑誌
村落社会研究 (ISSN:13408240)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.21-32, 1997 (Released:2013-04-12)
参考文献数
18

The paddy rice production in Heilongjiang Province recorded only 0.8million tons with the area of some 0.21 million ha. in 1980, but increased up to 4.24 million tons with 0.74 million ha. in 1993. There are several reasons for this increment, but the most salient one could be due to “the introduction of paddy nursery technique in upland bed” which was developed in Japan. Further more this technique was also extended to Jilin and Liaoning Province after 6 years of its first introduction, and this changed these provinces from millet and milo production to paddy rice producing areas. Moreover, the Federal Government had started to disseminate this technique to 3 major areas of Northern China since 1990, and has been getting good result. But these brilliant successes of this technology transfer is known among a very few people in Japan. This paper attempts to clarify the structure and method of the technology transfer. This study was carried out by visiting Hokkaido to make interview with the person who has been working for this technology transfer, and also to Heilongjiang Province. The study examined the following items:(1) contents and characteristics of the technique transferred, (2) the structure and method of primary/international transfer, (3) outline of Heilongjiang Province agriculture with reference to paddy production, (4) the structure and method of secondary/domestic transfer. After analyzing various data, the author clarified the structure, method and route of the transfer, and also problems and issues of the technology transfer system in Heilongjiang Province. It is considered that the result of this study will be able to contribute to improve the structure and methods of technology transfer in some other areas of China or developing countries.
著者
高崎 恭輔 米田 浩久 谷埜 予士次 鈴木 俊明 渡辺 美鈴 河野 公一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P2096, 2009

【はじめに】ファンクショナルリーチ・テスト(以下 FRT)はバランス機能を評価する方法として臨床で頻繁に用いられる手法であり、転倒の危険性を予測する指標とされている.これまでFRTは、そのリーチ距離に着目され各年代の基準値を指標に用いられてきた.しかし先行研究ではリーチ距離と足圧中心の前方移動距離との相関性は低いという報告があり、また鈴木らのスモン患者における研究でもリーチ距離が歩行機能に与える影響は少ないといわれている.これらのことから我々はFRTを転倒予防や運動能力の評価指標として用いるためにはそのリーチ距離だけでなく、動作戦略にも着目する必要があるのではないかと考えている.そこで本研究では、FRTを有効に活用するための新たな指標の構築の前段階として、健常者におけるFRTの動作戦略について検討した.<BR>【対象と方法】対象は実験に同意を得た健常大学生83名(男性46名、女性37名)である.方法はDuncanの方法に従いFRTを行わせ、矢状面からデジタルビデオカメラにて定点撮影した動画によって計測中の足関節、股関節の関節運動開始順序を確認しパターン分類した.<BR>【結果】以下に分類した動作戦略パターンと全試行数に占める該当数の割合を示す.分類されたパターンは、a.股関節屈曲のみのパターン(42.6%)、b.足関節背屈の後に股関節屈曲するパターン(37.3%)、c.股関節屈曲の後に足関節底屈による膝過伸展を示すパターン(10.8%)、d.足関節背屈のみのパターン(5.6%)、e.股関節屈曲と足関節の底屈による膝過伸展が同時に出現するパターン(1.6%)、f.股関節の屈曲の後に足関節背屈するパターン(1.2%)、g.股関節屈曲と足関節背屈が同時に出現するパターン(0.4%)、h.足関節底屈の後に股関節が屈曲するパターン(0.4%)であった.<BR>【考察】本研究ではFRTにおける股関節、足関節の運動開始順序に着目し動作戦略のパターン分類を行った結果、上記の8パターンを示した.一般的に姿勢制御戦略において、足関節戦略はわずかな重心の乱れに対応するのに対し、股関節戦略は足関節戦略で対応できない大きな外乱に対して用いられるといわれる.また高齢者は足関節戦略より股関節戦略を頻繁に用いるようになり、これが転倒の原因の一つになるとも言われている.このことから、前方へのリーチ動作を合目的的に行う戦略として足関節底屈筋群の活動により足関節の背屈を制御し、さらに股関節の屈曲が見られるa.やb.のパターンは、足関節が底屈するパターンに比べて高いバランス機能を有するのではないかと考える.本研究では健常者を対象としていることから、多数みられたパターンを高度な姿勢制御を有すると仮説して考察したが、今後さらにパターンの優位順序を明確化していくために、他のバランステストとの関係性や年代毎のパターン分類なども行いたいと考えている.
著者
鈴木 俊明 谷 万喜子 文野 住文
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-2, 2015 (Released:2016-01-06)
被引用文献数
1

The important points of motion analysis in basic movements are as follows. The movements of simple joints should not be observed alone, but together with the movements of several joints that participate in the basic movement. Next, basic movements should be expressed as anatomical and kinematic data. Furthermore, to clarify problems such as impairment disorders, whether characteristic movements are needed for performance of basic movements needs to be determined. If these goals are definitively accomplished, then the appropriate timing of physical therapy can be accurately determined. In this report, the importance of motor analysis in the field of physical therapy is reconfirmed.
著者
早田 荘 楠 貴光 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-32, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
14

Arm elevation movement is used in daily living. There are many reports about the functions of the muscle activities and biomechanics of the shoulder joint. However, there are few reports about trunk function during arm elevation movement. We have performed physical therapy for patients without shoulder joint problems who had difficulty with arm elevation movement. We think trunk function is important in arm elevation movement. Therefore, we examined trunk function during arm elevation movement, and describe it in this report.
著者
小林 憲弘 鈴木 俊也 小杉 有希 菱木 麻佑 加登 優樹 金田 智 植田 紘行 河相 暢幸 北本 靖子 土屋 かおり 木村 慎一 古川 浩司 岩間 紀知 中村 弘揮 粕谷 智浩 堀池 秀樹 京野 完 髙原 玲華 馬場 紀幸 佐藤 信武 久保田 領志 五十嵐 良明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.211-224, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
7

水道水中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを迅速・簡便に分析するために, DNPHで誘導体化した試料をLC/UVあるいはLC/MS/MSにより測定する方法を検討した。検討の結果, 水道水に塩化アンモニウムを加えて残留塩素を除去した後, リン酸とDNPHを加えて誘導体化した試料を測定した。いずれの測定機器を用いた場合も両誘導体のピークは短時間で良好に分離し, ホルムアルデヒドの基準値の1/10の濃度 (0.008 mg L-1) まで高精度に分析できた。さらに, 本研究で確立した分析法が全国の水道水質検査に適用できるかどうかを検証するために, 15機関において水道水を用いた添加回収試験を行った結果, いずれの測定機器を用いた場合も両物質について「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の真度, 併行精度および室内精度の目標を満たした。以上のことから, 本分析法は水道水の標準検査法として利用可能と考えられる。
著者
梁 波 鈴木 俊男 濱本 孝一 山口 十志明 藤代 芳伸 淡野 正信 イングラム ブライアン カーター ジョン
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.412, 2011

NiO-GDC, NiO-YSZ, NiO-Fe2O3-GDC, NiO-Fe2O3-YSZ anode tube supported tubular fuel cells was fabricated at the co-sintering temperature from 1250 oC to 1400 oC to investigate the relation between the densification of electrolyte layer and the open-circuit voltage. To focus on the changing of anode tube, all the tubular fuel cells support a ScSZ electrolyte layer and a LSCF cathode layer. The microstructure of the electrolyte layer sintered under 1300 oC included pores inside it, and the densification of the electrolyte completed at the sintering temperatures above 1300 oC. As the increasing of co-sintering temperature, the ScSZ electrolyte layer on the anode tube will become structurally sound and crack-free. The shrinkage both in length and in diameter of a tubular fuel cell reaches as much as 20% at co-sintering temperature of 1400 oC. So, it will result in the changing of open-circuit voltage of fuel cell from 1.0 V to 1.1 V
著者
鈴木 俊太郎
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

いじめ予防プログラムの基盤となる「ポジティビティ・フォーカスト・アプローチ」について、前年度の理論研究を踏まえて、実際のカウンセリング場面、心理教育場面に利用できるように手続きや方法論を明確にする作業を行った。ポジティブ心理学の中でも肯定的感情側面に焦点を当てたB.Fedricksonらの研究成果を基盤に、対人コミュニケーション場面において、自身の肯定的感情が、認知的枠組みを拡大・再構築していくというプロセスを、教育プログラムとして実行できるように調整している。最初は、カウンセラーとクライエントという特殊な2者関係、つまりカウンセリングの一場面でこのプログラムを想定し、そこでパイロットスタディを踏まえて、集団場面、教育場面での応用が可能な形にブラッシュアップを図っていった。プログラムは大きく分けて2つのフェーズから構成され、1.ポジティブ感情喚起フェーズ、2.認知再構築フェーズの2段階に分けられる。それぞれのフェーズでは、一定のタスクが参加者に課される。例えば、1.のフェーズでは、過去の失敗経験と成功経験を同時に想起してもらい、成功経験のみについてその後詳細に事実を説明してもらう。このような作業を行うと、次いで思い出してもらった失敗経験の記憶が想起しずらくなる、価値が低下するなどの効果が見込める(検索誘導性忘却という現象を利用したトレーニング)。また、これと並行して、ここまでの研究成果を学会発表という形で公表し、他の研究者からプログラム実施に関して様々な意見をいただき、ブラッシュアップを図った。遂行過程で大幅な改変の必要性や手続きの補強、倫理的配慮をご指摘いただき、考慮に入れることとなったため、年度内で予定していた実際に施行するプログラム開発まで至ることは難しかった。なお、この遅れについては、年度をまたいで、次年度の計画施行スピードを調整することでも解消可能と考える。
著者
井尻 朋人 高木 綾一 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.33-37, 2015 (Released:2016-01-06)
参考文献数
22

We previously examined the order of the activity of scapular muscles during trials against an external load and during trials of isometric contractions in healthy participants. From these studies, we learned that scapular muscles can be divided into agonists and antagonists. An agonist muscle at the scapulothoracic joint (STJ) generates resistance against an external load just like the agonist at the glenohumeral joint (GHJ). In the present study, we investigated muscle activity during maximum isometric contraction in subjects with muscle weakness at the GHJ or STJ and analyzed the characteristics of the muscle activity. Two patients participated in this study. One patient (subject A) had muscle weakness at the GHJ, and the other patient (subject B) had muscle weakness at the STJ. We used electromyography to measure muscle activity during maximum isometric contractions of shoulder flexion, external rotation, and internal rotation and analyzed the changes in muscle activity as these muscles applied resistance against an external load. Subject A demonstrated lower muscle activity at both the GHJ and STJ than in the healthy shoulder and Subject B. The lower muscle activity observed at the STJ of subject A was possibly due to the absence of the transfer of energy to the STJ by the external load because of muscle weakness at the GHJ. This suggests that the normal STJ function depends on maintaining muscle strength at the GHJ at a constant level in isometric contraction.
著者
米田 浩久 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに】理学療法の場面では獲得すべき動作の構成要素を集中的にトレーニングすることが多い。理学療法では一般的に学習効果と達成度が高いとされる全習法よりも,むしろ構成要素ごとに学集する分習法をおこなうことで早期に改善する印象がある。この印象について検討するために,われわれは第48回日本理学療法学術大会においてバランスボール上での非利き手による下手投げ投球動作を用いて全習法と分習法の学習効果を検討した。その結果,全習法よりも分習法で有意な学習効果を認め,理学療法でおこなうトレーニングの有効性を証明した。一方,分習法によるトレーニングを実施する場合,構成要素をどのような基準で分割し,どのような順序で実施すべきかという疑問に対して,これまで有効な報告は得られていない。そこで今回,先行研究と同じ学習課題をもとに構成要素の学習順序が異なる2種の分習法を実施し,その効果を検討したので報告する。【方法】対象者は健常大学生24名(男子16名,女子8名,平均年齢20.4±0.6歳)とした。検定課題は以下とした。両足部を離床した状態でバルーン(直径64cm)上座位を保持させ,2m前方にある目標の中心に当てるように指示し,お手玉を非利き手で下手投げに投球させた。検定課題は学習課題前後に各1回ずつ実施し,バランスボール上座位を投球前に5秒間保持させ,的への投球をおこなった後,さらにバランスボール上座位を投球前に5秒間保持させた。目標の的から完全にお手玉が外れた場合と検定課題中にバルーン座位が保持できなかった場合は無得点とした。目標は大きさの異なる3つの同心円(直径20cm,40cm,60cm)を描き,中心からの16本の放射線で分割した64分画のダーツ状の的とした。検定課題では最内側の円周から40点,30点,20点,10点と順次点数付けし,その得点をもって結果とした。学習課題は2種類の方法を設定し,それぞれA群とB群として男女別に無作為に対象者を均等配置した。A群は,まずバランスボール上座位を6セット実施した後,椅座位での投球を6セット実施した。B群では,まず椅座位での投球を6セット実施した後,バランスボール上座位を6セット実施した。これらの学習では1セット1分40秒とし,セット間インターバルは1分間とした。投球課題では1セット内で対象者の任意のタイミングで5投実施した。学習効果の検討は,学習前後の的の得点と重心の総軌跡長の変化によって実施し,両群とも学習前後の検定課題の結果による群内比較と群間比較を実施した。統計学的手法は,群内比較には対応のあるt検定を用い,群間比較にはマン・ホイットニー検定を実施した。有意水準はそれぞれ5%とした。【倫理的配慮】対象者には本研究の趣旨と方法を説明のうえ同意を書面で得た。本研究は関西医療大学倫理審査委員会の承認(番号07-12)を得ている。【結果】学習課題前後の検定課題の平均得点(学習前/学習後)は,A群5.8±13.7点/24.2±15.64点(mean±S.D.),B群8.3±15.3点/12.5±14.2点であった。また,学習前後の重心の総軌跡長(学習前/学習後)は,A群289.76±69.27cm/175.46±93.24cm,B群が257.86±77.68cm/213.84±64.64cmであった。群内比較では得点および総軌跡長ともA群に有意な学習効果を認めた(p<0.05)。群間比較ではいずれも有意差は認められなかったが,学習後の得点でA群に学習効果を認める傾向を認めた(p=0.064)。【考察】Wadeら(1997)は,姿勢の変化が要求される運動は運動前や運動中におこなわれる姿勢制御によって担保され,運動の目的や状況,環境により姿勢制御は左右されるとしている。本研究では,バランスボール上座位という絶えず変化する座位の保持に加え,的の中心に当てるという精度の高い非利き手での投球動作の双方を要求した。対象者は,これらを実現するため絶えず座位の姿勢制御を求められていたものと考えられる。従って,B群に比べて初めに姿勢制御を学習したA群で,有効な姿勢制御を効果的に獲得でき,学習効果につながったと考えられる。以上のことから,分習法による構成要素の区分は姿勢制御課題を基準として分類し,まず姿勢制御課題から学習をおこなうことが重要であると示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究は,トレーニング課題の設定方法として姿勢制御課題を軸とした分類と学習をおこなうことの有効性を示唆したものである。動的姿勢改善に着目した分習法は,基本動作獲得の一助として理学療法への応用に有用であると考えられる。
著者
鈴木 敦 菅谷 克行 鈴木 俊哉
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本課題では、同定が困難な甲骨文字を含む拓本資料の画像データベースを構築した。現在、甲骨文字研究においては『甲骨文合集』が一般に利用されるが、同書の印刷品質は再版以降低下しており、文字同定の典拠とする資料として難点がある。そこで、同書の素材となった旧著録のデジタル化を行った。また、ネットワークを通じた参照利用を円滑とするため、近年人文情報学の分野で画像データベースの公開手段の標準となりつつあるIIIF方式を採用し、課題代表者が旧著録原本を所蔵しているものについては一般公開を開始した。『甲骨文合集』と旧著録の対応関係については確認ができたものから順次公開していく予定である。
著者
坪井 潤一 寺島 祥子 高野 倫一 森 広一郎 鈴木 俊哉 石原 学 高木 優也 小森 謙次
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00065, (Released:2018-05-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

友釣りおよび投網を用いて879個体のアユを捕獲しEdwardsiella ictaluriのPCR保菌検査を行った。週の平均水温が高いほどE. ictaluriの陽性率が高く,最も陽性率の高かった7/31-8/6には,週の平均水温が25℃以上を記録した。同期間中,投網で捕獲されたアユの陽性率は20.4%であったが,友釣り個体では陽性個体は確認されなかった。日中の平均水温が高いほど友釣りのCPUEが低かった。E. ictaluri感染は友釣りでの漁獲不振を招く可能性があることが示唆された。
著者
山田 剛治 鈴木 俊之 高柳 大樹 藤田 和央
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.57, no.670, pp.426-436, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

A free piston double diaphragm shock tube with 70 × 70mm cross-section at test section was newly developed for the purpose of investigating nonequilibrium phenomena behind a shock wave. This paper presents the performance of the shock tube and the measurement system newly developed. Experimental investigation to clarify its characteristics was conducted for various operational parameters, such a rupture pressure of the first diaphragm and initial pressures of the low pressure tube, the high pressure tube, and the compression tube. Based on the characteristics experiment, a performance map of the shock tube was obtained by changing the operation parameters. The result shows that the shock tube is capable of generating the shock layer corresponding to the super orbital reentry flight conditions. The newly developed measurement system enables us to obtain the spatial distribution of spectra behind a shock wave with high spatial and time resolution. A description of the measurement system and typical examples of the measured spectra are presented.
著者
野田坂 伸也 鈴木 俊二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
緑化工技術 (ISSN:03865223)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-14, 1982-03-31 (Released:2011-02-09)
被引用文献数
1

岩手県の中部にある貯水開始後15年たったダム湖の, 定期的に水没と露出をくり返すゾーンの植生調査を行なった。このダム湖は4~5月の雪どけ時に満水位になり, その後9月までは減り続け15~20m, 低下する。10月から再び上昇し満水位より数m低い状態が冬の半ばまで続く。2~3月は流入量が減るため低下し夏の水位に近くなる。この年満水位は約60日続いた。植生調査によって知り得たことを列挙する。(1) 水没深15m水没期間230日のゾーンで生育していた植物は木本11種, 多年草14種1年草11種。水没深10m, 水没期闇190日のゾーンで生育していた植物 (ただし上記の分を含む) は木本23種, 多年草19種, 1年草14種。水没深5m・水没期間60日のゾーンで生育していた植物 (上記の分を含む) は木本67種, 多年草31種, 1年草14種。以上は, たまたま調査区域に出現したものだけであるから, 調査が進めばこれよりはるかに多くの植物が長期の水没という厳しい条件に耐えられるということが見いだされるだろう。(2) 水没深 (当然水没期間と関係がある) と群落の変化の関係を見ると, 浅いところから深い方へむかって, 高木・亜高木林-低木林-多年草群落-1年草群落という変り方をしている。これは生活形で見ると「木本型=地上部・地下部共生き残る-多年草型=地上部は枯れ, 地下部だけが生き残る-1年草型=地上部・地下部共枯れ, タネから再生する」という変化で環境圧の増大に対応していることになる。(3) 水没深の浅い区域では, ダム建設以前にあった植生の影響が強く残っている。はっきりわかるもので水没深7m付近までは, 元の植生が残っている。(4) 長期水没~露出をくり返す区域でもふつうの場所と同じように, 地形や土壌の違いが植生に影響している。(5) 水没深と樹高・草丈とは相関関係がある。しかし, 一部の植物でははっきりしない。(6) サクセッションはふつう地にくらべるとかなり遅く, 深いところではほとんど停滞してしまうと考えられる。(7) 部分的に水没し, 一部が水面上にでている植物は, 春になるとそのままの状態で水面上の部分は開葉し, 花を咲かせる。しかも近くの陸上の同種の個体と同時期にこれを行なう。(8) 水がひいたあとで発芽してくる早さは種によって異なるが, 早いものは1週間後にははなれて見ても一帯が緑になったことがわかるほどすみやかに生長してくる。
著者
鈴木 俊介
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.49, no.1-2, pp.11-18, 2013-03-22

ゲノムインプリンティングは一部の遺伝子に親由来により異なるエピジェネティック修飾を与え,片親性発現を引き起こす。本来,雄由来と雌由来の染色体からなる二倍体の細胞をもつことは劣勢変異の表現型を抑える大きなメリットがあるが,片親性発現であるインプリント遺伝子は二倍体でありながらその機能が一倍体と同じ状態になっている。このユニークな遺伝子発現制御機構は,高等脊椎動物において哺乳類には広く保存されているが,鳥類以下では見つかっていない。ゲノムインプリンティングが哺乳類の進化上なぜ現れ,どのように進化して現在まで保存されてきたかは,非常に興味深い側面であるがまだ結論は出ていない。哺乳類には,卵生で胎盤をもたない単孔類,胎生だが真獣類と比べ非効率的な胎盤をもち早期に出産する有袋類,効率のよい胎盤をもち長期間胎内で子を育てる真獣類という,それぞれ異なった生殖様式をとる三つのサブグループが存在する。ゲノムインプリンティングの進化は,哺乳類の中でも胎生である真獣類と有袋類のみにみられること,インプリント遺伝子群に胎児の成長や母子間の栄養輸送,母性行動などに関わる遺伝子が複数含まれること,ほとんどのインプリント遺伝子が胎盤組織で高い発現レベルを示すことなどから,哺乳類の胎生の進化と関連があったと考えられている。したがって,生殖様式の異なる真獣類と有袋類においてインプリンティングを受ける遺伝子や領域,メカニズムを解析し比較することは,その起源や生物学的意義,進化を考察する上で必須である。本総説では,これまでのほとんどの研究が対象にしてきたマウスやヒトとは別のグループである有袋類や単孔類を含めた比較解析により見えてきたこれらの知見について議論する。