著者
工藤 彩佳 森山 咲 鈴木 真一 猪熊 壽
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.217-221, 2019-12-31 (Released:2020-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ホルスタイン種の牛コレステロール代謝異常症(cholesterol deficiency:CD)は常染色体劣性遺伝性疾患のため,ヘテロ個体に症状は発現しないはずであるが,健常ヘテロ牛の血清コレステロール濃度は野生型に比べて低いと報告されている.本研究ではヘテロ個体の生産性を明らかにすることを目的として,健常ヘテロ個体の血清コレステロール濃度,乳生産および繁殖成績を調査した.臨床的に健常で生産に供される5 農場の乳牛718 頭のうち93 頭(14.9%)がヘテロであった.ヘテロ群の血清コレステロール濃度は野生型に比べて有意に低値であった.また,乳生産を評価できた2 農場のうち1 農場のヘテロ群では305 日補正乳量が野生型群に比較して有意に少なかった.他の1 農場でもヘテロ群の305 日補正乳量は野生型よりも低い傾向にあった.305 日補正した乳脂率,乳蛋白質率および無脂固形分率はヘテロ群で有意に高い,または高い傾向にあった.空胎日数および授精回数には両群で差はみられなかった.
著者
丸山 智彰 鈴木 真由子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.67, 2008

【目的】<BR> 家庭科における「福祉」は、特別な支援を必要とする社会的弱者のみならず、すべての生活者(個人・家族・コミュニティ)を対象にした広義の概念と考える。その場合、「福祉」をすべての領域に通低する"視点"として捉える必要があり、そのためには、福祉の視点を取り入れた授業が検討されなければならない。<BR> 我々は2007年7月、教員養成系大学における家庭科専攻学生に対し、「調理実習」の授業において、試食時に食事介助体験を導入し、学習の意義や可能性について検討した<SUP>1</SUP>。介助体験について自由記述で回答を求めた結果、食事を快適にする介助技術や被介助者に対する配慮等の記述が散見された。また、中高生が食事介助を体験することは、福祉の視点を身につけるために有意義であるとの指摘があった。<BR> そこで、本報告は、高等学校における調理実習の試食時に食事介助体験を導入する可能性について検討することを目的とする。<BR>【方法】<BR> 大阪府立N高等学校における『家庭総合」の調理実習の試食時に食事介助体験を設定し、前後に自記式質問紙法調査を行った。<BR>1)事前調査<BR>1.調査期間:2007年10月<BR>2.調査対象:普通科2年生全クラス240名、回収数220票、有効回答数(有効回答率)203票(男子93名女子110名)(84.6%)<BR>3.調査項目:「食事介助の経験の有無」「食事介助に気をつける点」「高齢者のイメージ」等<BR>2)食事介助体験実習<BR>1.実習期間:2007年11月<BR>2.実施方法:介助役→被介助役→介助役をA、被介助役→介助役→被介助役をBとし、二人一組あるいは三人一組で実施<BR>3.メニュー:ロールパン、コーンポタージュ、サケのホイル焼き<BR>3)事後調査<BR>1.調査期間:食事介助体験実習と同日<BR>2.調査対象:回収数208票、有効回答数(有効回答率)206票(85.8%)<BR>3.調査項目:<BR>A「介助時の気持ち」「被介助時の気持ち」「被介助後の介助変化」等<BR>B「被介助時の気持ち」「被介助後の介助変化」「Aの介助変化」等<BR>【結果】<BR>・食事介助経験がある生徒は20名(9.9%)、被介助経験がある生徒は8名(3.9%)と少なかった。<BR>・高齢者について、ポジティブなイメージを持っている生徒75名(36.9%)に対して、ネガティブなイメージを持っている生徒は134名(66.0%)と3割以上多かった。なお、このうち両方のイメージを併記していた生徒も26名(12.8%)いた(重複カウント)。<BR>・「被介助時の気持ち」については、「食べにくい」「恥ずかしい」「自分で食べたい」「怖い」等の回答が多かった。<BR>・「被介助経験後の介助」は、被介助時に不快に感じたことを通じて「被介助者の経験をしたから」「自分がされて不安だったから」何らかの変化を伴ったとの回答がほとんどであった。<BR>・食事介助体験の感想には、「汁物は食べさせ難い(食べ難い)」等、介助技術に関する記述が多かったが、介助する側・される側の困難を体験し、相手の立場を思いやることの重要性の指摘も散見された。<BR>【引用文献】<BR><SUP>1</SUP>丸山智彰 鈴木真由子「調理実習の試食における食事介助体験導入の可能性~教員養成カリキュラムでの試みより~」生活文化研究 大阪教育大学 Vol.47 2007年(印刷中)
著者
佐藤 政男 鈴木 真也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.127, no.4, pp.703-708, 2007-04-01 (Released:2007-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
6 6

Much attention has been paid to lifestyle-related diseases including type 2 diabetes mellitus, cardiovascular disease, hypertension, and hyperlipidemia because the incidence rates of these diseases are increasing in developed countries. Elucidation of factors contributing to the development of obesity and insulin resistance is needed. Metallothionein (MT), a ubiquitous metal-binding protein, is induced not only by heavy metals but also by various kinds of stresses. Endoplasmic reticulum (ER) stress is caused by accumulation of misfolded proteins in ER. Recently, increased ER stress by obesity and impairment of insulin action by ER stress have been reported. Exposure to ER stress increased induction of MT synthesis, and an enhanced response to ER stress evaluated as expression of Bip/GRP78mRNA was observed in the liver of MT-null mice, suggesting that MT attenuates expression of ER stress. MT may prevent ER stress and thereby modulate the development of obesity and insulin resistance. A possible role of metallothionein in response reaction for ER stress is discussed.
著者
中尾 駿介 中道 範隆 増尾 友佑 竹田 有花 松本 聡 鈴木 真 加藤 将夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第92回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.2-YIA-03, 2019 (Released:2020-03-20)

The aim of the present study was to examine enhancement of learning and memory by oral administration of ergothioneine (ERGO), which is a hydrophilic antioxidant highly contained in golden oyster mushrooms and other foods, and systemically absorbed by its specific transporter OCTN1/SLC22A4 in daily life, with an aim to clarify its possible role as a neurotropic compound. After oral administration of ERGO in normal mice, the novel object test revealed a longer exploration time for the novel object than for the familiar object. Similar result was also confirmed in mice ingested with ERGO-free diet. Dietary-derived ERGO is present in the body without the administration, but the ERGO administration led to modest (3~4 times) increase in its concentration in plasma and hippocampus. Exposure of cultured hippocampal neurons to ERGO elevated the expression of the synapse formation marker, synapsin I, and neurotrophin-3 and -5. The elevation of synapsin I was inhibited by tropomyosin receptor kinase inhibitor K252a. Thus, oral intake of ERGO may enhance object recognition memory, and this could occur at least partially through promotion of neuronal maturation in the hippocampus.
著者
鈴木 真
出版者
歴史人類学会 ; 1980-
雑誌
史境 (ISSN:02850826)
巻号頁・発行日
no.71, pp.57-76, 2016-03
著者
國友 宏渉 江上 いすず 長谷川 昇 鈴木 真由子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-79, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

日々の生活習慣が健康に与える影響は大きいといわれる.誤った生活習慣は年齢に関わらず, 生活習慣病と呼ばれる厄介な病気につながることがある.このことは大学生の学生生活, とりわけ不規則な生活スタイルに陥りやすい学生にとっては重大な問題である.そこで本研究は, 学生の生活習慣と健康状態との関係に着目し, どのような生活習慣が健康に対してどれだけの影響力をもつのか, また各生活習慣要因の相対的な影響力の位置関係がいかにあるのかについて明らかにしようとした.本調査によって得られたデータを分析した結果, 学生生活において日常的かつ基本的な生活習慣, 特に食生活に関わる習慣が健康状態を大きく左右する要因として浮かび上がった.中でも, 「食事の規則性」, 「睡眠時間」, 「欠食」などの要因が相対的に大きな規定力をもって現れた.また, 毎日の食品摂取の在り方においても, 「清涼飲料」, 「インスタント麺」, 「菓子類」等の過剰摂取が健康状態にマイナスの因子として働いていることが示唆された.
著者
下田 義文 鈴木 真次 石川 信隆 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.480, pp.97-106, 1993
被引用文献数
2

本研究は, コンクリート製砂防ダムの耐土石流衝撃設計に資するため, まず個別要素法による衝撃応答計算モデルを作成し, 次にこのモデルを用いて土石流に含まれる巨礫の衝撃に対する砂防ダム袖部の衝撃応答解析を行った. この結果, 個別要素法による衝撃応答計算モデルが, 砂防ダム袖部の小型模型実験における衝撃応答, サンドバッグの緩衝効果および実砂防ダムの土石流による被害形態をよくシミュレートできることを確かめた.
著者
平野 順子 東 珠実 柿野 成美 鈴木 真由子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.312, 2006

【目的】 近年の消費者トラブルの急増と悪質化に鑑み、一般の消費者よりも不利な立場にある高齢者の実態を把握するために実態調査を行った。本報では、高齢者が消費者トラブルに関する情報と一般的な情報を得る経路についての実態把握を行い、今後の高齢者に対する消費者教育のあり方について検討することを目的とした。【方法】 2005年1月に、全国の65歳以上の一般男女1350人に対して、訪問面接法によってアンケート調査を行った。有効回収率は77.6%であった。本調査は、平成16年度内閣府請負事業として実施されたものである。【結果】 _丸1_一般的な情報の入手経路として多かったのは、テレビ(男性95.4%、女性95.8%)、新聞(男性89.2%、女性81.8%)、友人・知人(男性41.0%、女性46.5%)であった。_丸2_消費者被害情報の入手経路として多かったのは、テレビ・ラジオ(男性91.0%、女性92.9%)、新聞(男性81.3%、女性65.9%)、家族・友人との会話(男性26.7%、女性38.8%)、自治体や自治会の広報(男性24.9%、女性21.4%)であった。_丸3_前述までの通り、高齢者の多くは積極的な入手経路によって情報を得るよりも、メディアや身近な人からの情報入手が多いことが分かった。とりわけ身近な人からの情報によって、消費者トラブルが自分の身近な問題であることを再認識するきっかけとなることが分かっている。今後、高齢者にとってより有効な情報伝達手段を使っての情報提供が期待される。
著者
山下 裕司 山崎 舞 鈴木 真綾 萩原 宏美 田上 八郎 平尾 哲二 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.67-74, 2016-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、角層中のコーニファイドエンベロープ形成や細胞間脂質を構成するセラミド合成促進などの効果が近年見出され、皮膚への有効性が期待されている。昨年、我々は有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経表皮水分蒸散量(TEWL)の変化について調べ、有機ゲルマニウムに角層の保湿性を向上する傾向があることを報告した。本研究では、剤型をクリームから化粧水に変更し、市販の有機ゲルマニウム含有化粧水と含有されない化粧水を用いて角層水分量、TEWL、皮膚粘弾性、および皮膚色の変化から皮膚への塗布効果を調べた。4週間の連用塗布によって、有機ゲルマニウム配合化粧水は未配合化粧水に比べて有意に角層水分量は増加したが、その他の評価項目に関しては著しい差は見られなかった。また、本研究では、この角層水分量の増加に対して表皮中のフィラグリンから産生されるピロリドンカルボン酸量との関係について調べた。化粧水中の有機ゲルマニウムの有無に関係なく皮膚の保湿能に関係するピロリドンカルボン酸量は変化しておらず、有機ゲルマニウム配合化粧水の高い保湿機能が天然保湿成分の量的変化に関与していないことが示唆された。
著者
増田 啓子 東 珠実 鈴木 真由子 吉本 敏子 古寺 浩 田崎 裕美 村尾 勇之
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1105-1113, 2000-12-15

本研究はアメリカの家政系学部がスコッツデール会議(1993)における名称変更の決議をどのように受け止め, 家政学についてどのような問題意識をもっているかを明らかにする事を目的とする. アメリカ家政系学部の部科長を村象に1995年9月にアンケート調査を実施した結果, スコッツデール会議で採択された新しい名称「Family and Consumer Sciences(FCS)」については, 支持する回答が61.0%を占め, それに伴い学部名称をFCSに変更する動きがみられた. さらに1998年の追跡調査によると, FCSを用いている大学は20校から46校に増加し, Home Economicsは60校から28校に減少した. アメリカ家政学の名称変更をめぐる背景には, プロフェッションの認識とそのアイデンティティをめぐる様々な問題に対し, 名称変更によってその状況を改善しようとする動きが見られた.
著者
鈴木 真歩
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.705, pp.2599-2606, 2014-11-30 (Released:2014-11-30)
参考文献数
24

This paper presents an overview of the development of a series of city-owned publicly-accessible garden squares in nineteenth-century Baltimore. I also examine the successful 1873 campaign to remove the iron railings that enclosed these locations, showing the campaigners introduced the new mode of urban green spaces by claiming moral superiority of absence of such railings. Thus I conclude that the iron railings here were not a reflection of governance, but a cultural existence. I also mention that the city's ownership rather made the discussion on the railings open, beyond the actual users and administrators, and promoted the city-wide change.
著者
鈴木 真理子 鈴木 裕子 竹山 理恵 徳田 良英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H4P3257, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】四肢運動時において重心移動が生じるため,姿勢の調節が必要である.姿勢は,筋収縮によって発生する反作用を見越して運動調節する機構により,簡単には崩れにくいように働く.このため,予測的な姿勢調節が随意運動に先行して行われる必要がある(吉尾ら. 2007).これを先行姿勢調節機構(Anticipatory Postural Adjustments:以下APA)という.APAの先行研究では上肢外転肢位で,落下する重錘を掴む際,主動作筋に先行して対側の体幹筋が活動し,重錘を放す際,対側の体幹筋が抑制する事が明らかになっている(Alexander, et al. 2001).本研究は,上肢前方挙上時の体幹のAPAを計測し,姿勢調節におけるさまざまなstrategyを類型的に把握し検討することを目的とする.【対象・方法】対象者は健常成人24名(男性14名,女性10名:平均年齢21.8±0.6歳,身長166.6±8.2cm,体重54.5±7.8kg)とした.実験装置は,被検者が立位で肩関節を90度屈曲した肢位の手掌から40cm上方に風船を設置した.実験課題は開始肢位は両上肢を体側に下垂した開眼立位とし,風船を合図無しに落とし,被験者は肩関節屈曲運動を素早く行い,風船を把持する事とした.上記課題はフォースプレート(Kistler社製,サンプリング周波数1KHz)上で行い,課題前後の重心の軌跡を測定した.右三角筋前部線維,両側外腹斜筋,両側脊柱起立筋の筋活動を筋電計(DKH社製EMG計測システム,サンプリング周波数1KHz)にて同期して計測した.また,ビデオカメラによって矢状面の被験者の姿勢と姿勢保持のためのstrategyを観察した.解析方法は,安静立位の開始時点から三角筋の筋活動の賦活開始時点までの体幹筋の筋電図の波形からパターンに分類し,姿勢・動作との対応を探った.【説明と同意】ヘルシンキ宣言に則り,対象者に研究内容を説明し,同意を得た.【結果】全被験者で,APAの出現後から上肢挙上運動開始までの間に重心が後方に移動した.重心の後方移動距離(平均±標準偏差)は(1.1±0.5cm)で,各群間で有意差はなかった(p>.05).筋電図の波形から,A群(5名),B群(10名),C群(9名)に分類した.各群の概要は以下の通りであった.A群は,三角筋が活動する100-200msec前に外腹斜筋が抑制,50-100msec前に脊柱起立筋が活性化した群である.ビデオ解析の結果,A群は立位姿勢のalignmentが比較的良好で, 課題時の重心の後方移動は全てhip strategyによって行っていた.B群は,安静立位時に外腹斜筋の筋活動が著明に認められないものである.外腹斜筋にAPAがみられず,三角筋が活動する20-80msec前に脊柱起立筋が活性化した. ビデオ解析の結果,B群10名全員の立位姿勢alignmentは概ね不良で,過半数は頚椎前彎と胸椎後彎が強く,骨盤が後傾した姿勢であった. 課題時の重心の後方移動は8名がhip strategy, 2名がankle strategyによって行っていた.C群は,外腹斜筋,脊柱起立筋にAPAがみられないものである. ビデオ解析の結果, 課題時の重心の後方移動はC群9名中, 7名がankle strategy, 1名がhip strategy,残りの1名が knee strategy によって行っていた.【考察】全被験者において重心が後方に移動しているのは,上肢前方挙上の際に,上肢の重みにより重心が前方に移動することを予測し,姿勢を保持するために無意識的に行われている.重心移動時に,各群間で筋活動が異なるのは,姿勢とstrategyの影響によると考える.まず,A群とB群においては,同じhip strategyによって重心の後方移動を行っている. A群においては外腹斜筋に抑制のAPAが生じたが,B群においては生じなかった.A群は安静立位で腹筋群を使用した良姿勢をとっており,脊柱起立筋に拮抗して外腹斜筋は抑制されたが,B群の安静立位は腹筋群をあまり使用しない不良姿勢であったため外腹斜筋に抑制のAPAが出現しなかったと考える.次に,体幹筋にAPAが生じたA・B群と生じなかったC群を比較する. A・B群はhip strategy, C群の多くはankle strategyにて重心の後方移動を行っている.よって,APAをhip strategyにて行った場合は体幹筋が, ankle strategyにてAPAを行う場合は体幹ではなく,下肢の筋活動が三角筋に先行する可能性が示唆された.【理学療法研究の意義】姿勢調節に重要なAPA出現の仕方を姿勢・動作との対応から類型的に把握することを試みたもので,パイロットスタディーとして意義がある.