1 0 0 0 OA 絵本童の的

著者
鈴木, 春信
出版者
山崎金兵衛
巻号頁・発行日
vol.上, 1767

鈴木春信画。女性向け教訓絵本。明和4年(1767)初春序。墨摺り。半紙本1冊。上巻のみ存。刊記はなく、奥付に山崎金兵衛の広告を付すが、初板元は江戸美濃屋平七であることが知られている。題の由来は、浪花禿帚子の序に「古き書より正しき的を撰出し、鈴木氏の筆に写、幼稚の目を喜めんと梓に鐫ける」とあるとおり、道徳の規範となるべきことを、古書や諺に探り、絵画化したもので、題材は和漢、古今に渉る。たとえば、『徒然草』の「色このまざらん男はいとさう/\しく玉の盃のそこなき心地す」という詞章を引き、その解釈を試み、「人は情をしれといふ事也、しかるを男女のたはふれとのみ心得たるは誤也」として、色欲を戒めた例などがある。絵は、伊勢物語49段と目され、同趣の絵がすでに石川豊信の『絵本俚諺草』(当館請求記号:わ-46)に見える。(鈴木淳)
著者
鈴木 敦命
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.271-275, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
参考文献数
20

感情認知の神経心理学研究では感情と表出行動の対応関係がしばしば想定されてきた。この立場によると, 感情認知は他者の内的状態をその表出行動から読み解く一種の知覚的パターン認識である。しかし, 脳損傷研究は扁桃体や島などのいわゆる〝感情脳〟の役割を明らかにし, 他者と感情状態を疑似的に共有することが感情認知に寄与することを提案している。また, 感情と表情の対応関係を否定し, 文脈情報にもとづく推論が正確な感情認知に重要であると主張する研究者も少なくない。近年では, 感情認知の種々の手がかりの統合に関わる神経・認知メカニズムへの関心も高まっている。以上のように, 感情認知は多様な過程によって支えられている。このことは, 感情認知が脳機能障害に脆弱でもあり, 頑健でもあることを示唆する。つまり, 上記の一つの過程に異常が生じただけでも, 感情認知障害は起こりうる。一方で, 一つの過程の障害は他の正常な過程によって代償されうる。こうした感情認知の相反する特徴に臨床検査では留意する必要があるだろう。
著者
荻野 雅史 江連 和己 渡辺 彰 佐々木 和人 鈴木 英二
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.20-24, 1995 (Released:2003-08-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

三郷市健康フェアーに参加した一般県民74名(男性31名,女性43名)を対象に,ウエストヒップ比と肥満指標(Body Mass Index,体脂肪率,皮脂厚)及びWBIの関連性について調査検討した。その結果,ウエストヒップ比と肥満指標・WBIとの間には相関関係が認められた。このことから,ウエストヒップ比は,肥満の評価には有用であり,また,筋力低下による下肢痛などの障害発生の一指標になる可能性があると考えられた。
著者
鈴木 敬
出版者
美術史學會
雑誌
美術史 (ISSN:0021907X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.p1-11, 1980-11
著者
渡邊 法男 細川 佐智子 山田 卓也 吉田 知佳子 鈴木 瑛子 安部 成人 伊藤 真也 丹羽 伊紀詠 山村 恵子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.27-32, 2017-03-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
11

目的:フェンタニル舌下錠(Fentanyl Sublingual Tablets:FST)の有用性および安全性について調査を行い,FSTの適正使用に向けた問題点について検討した.方法:薬学的管理を行ったがん性疼痛入院患者のうち,突出痛に対してFSTを使用した18名を対象に,FST使用前後の疼痛スコアおよび副作用(嘔気・嘔吐,傾眠)の変化について調査した.結果:FST使用前後の疼痛スコアは,投与直前6.4±2.4と比較して,投与30分後3.4±2.8と有意な改善が認められた(p<0.01).傾眠は,投与直前と比較して,投与30分後および2時間後に有意な発現の増加が認められた(p<0.05).嘔気・嘔吐は,有意な変化を認めなかった.FST使用患者9名に口腔乾燥が出現し,口腔乾燥出現時には,疼痛スコアおよび副作用に有意な変化を認めなかった.結論:FSTの適応を判断する上で口腔状態の観察は必須で,十分な口腔ケアを行った上でFSTを使用すべきである.また,傾眠の副作用が高頻度に出現する可能性が示唆された.
著者
伊藤 さよ 佐藤 高広 山下 珠希 鈴木 康弘
出版者
Japanese Association of Forensic Science and Technology
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.133-137, 2014
被引用文献数
1

Glass fragments are valuable evidence in the criminal investigation of hit-and-run, murder and burglary cases. Screening of glass fragments should be carried out by refractive index (RI) measurement after the identification of unknown fragments of glass by analysis using electron probe microanalysis (EPMA), scanning electron microscopy with an energy dispersive X-ray spectrometer (SEM-EDS) and/or X-ray fluorescence spectrometry (XRF). However, it has been pointed out that RI values of glass fragments can be influenced by electron beam and/or X-ray of the instrumental analysis, although the effect of them on RI values of glass has not been sufficiently examined.<br>   In this work, we compared the RI values of glass fragments before and after irradiation by electron beam and/or X-ray using these devices. Glass fragments were collected from 3 different uses (windowpane of building, windshield and beer bottle). No significant difference was recognized in the RI values of these glass fragments before and after 30 minutes of irradiation.<br>   We have ascertained that the effect of electron beam and/or X-ray on the RI values is negligible in the conditions of the present study and that comparison of RI values is still useful for the forensic screening of glass fragments even after the instrumental analysis described above.<br>
著者
鈴木 哲也 熊谷 宏 内田 達郎 吉富 信幸 渡邊 竜登美 石鍋 聡 水口 俊介 関田 俊明 平野 滋三 宮下 健吾 小林 賢一 長尾 正憲
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.476-484, 1994-04-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
40
被引用文献数
2 4

The distribution of occlusal support of 366 aged patients of over 70 years was surveyed and analyzed in this study. Their masticatory abilities were also evaluated by the questionnaire on the masticatory aspects of 20 kinds of foods, and their maximum occlusal forces were measured with the pressure sensitive foil. The relations among masticatory ability, maximum occlusal forces and the distribution of occlusal support were analyzed.The results were as follows.1. 52.8% of the upper and lower dentulous patients had less than 5 occlusal tooth contacts.2. Posterior tooth contacts were less than anterior ones, and even in posterior areas, occlusal contacts tended to be less from the second molar to the first premolar.3. 61.2% of the upper and lower dentulous patients had no occlusal support or only unilateral occlusal support. It is evident that occlusal support is extremely ill-conditioned in elderly patients.4. It was found that if the aged have more occlusal tooth contacts and wider occlusal support areas, they would show better masticatory ability and greater maximum occlusal forces.5. In thier initial visits to our clinic they had poor occlusal support with their dentures.6. It is suggested that occlusal tooth contacts and occlusal support areas should be important for maintaining a healthy oral function in elderly people.
著者
鈴木 洋子
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.203-207, 2017-03-31

教員一人ひとりに給食指導に必要な指導力の形成を図ることが、延いては食育の充実と継続に繋がるとの観点から、国立の教員養成系大学を対象に教育実習に関連する科目と実習の手引き(ハンドブック)における給食指導の扱いを調査した。その結果、回答を得られた29大学(56.9%)のうち、教育実習関連科目において学校給食ならびに給食指導を扱っていた大学は4大学(13.8%)で、実習の手引き(ハンドブック)に記載していた大学は5大学(17.2%)であった。手引きに掲載されていたのは「手洗い」や「給食当番の服装」の「安全・衛生」に関する内容や、「食事の仕方・マナー」「後片付け」であった。
著者
鈴木 遼
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1014-1017, 2017-10-15

本稿では,ヒューマンコンピュータインタラクション(Human-Computer Interaction,以下HCI)における,プログラミング研究の過去,現在,そして未来について述べる.プログラミング研究の歴史を紐解きながら,なぜHCIの分野でプログラミングの研究が行われてきたのか,プログラミング研究における人間中心のアプローチとはなんなんのかを説明し,HCIにおいて提案されてきたさまざまなツールやシステムがどのような目的で開発され,どのように実際のツールに反映されてきたかを紹介する.最後に,今後の方向性として,HCIにおける3つの新たなプログラミングパラダイムを,最近の研究を交えながら議論する.
著者
市村 洋 鈴木 雅人 小畑 征二郎 吉田 幸二 酒井 三四郎 水野 忠則
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.2-8, 2000
被引用文献数
11

現在日本では,創造性教育への切り替えを産官学挙げて強く推進している.我々高専では,最も柔軟な思考のできると言われる16~20才の年齢層の学生を教育対象としており,また比較的少人数制(必須科目で一教室40名定員)を採っており,創造性教育に恵まれた環境である.しかし日本の長い受動的教育の経緯を一挙に転換することは難しく,学生・教師双方とも相当の負担である.そこで,新しい時代にはそれに相応しい道具すなわちマルチメディアの活用により,20~30名単位の授業を能動的にする仕組みの授業システムを設計し,その有効性を検証した.<BR>このマルチメディア支援授業は,半期15週2時限授業をPLAN段階,DO段階,CHECK段階の3段階に分け,各段階にマルチメディアを柔軟に適応することを旨として設計した.このマルチメディア活用により試験合格型から予習中心型の学習へ転換でき,従来型の授業より2~3倍の学習時間を費やしていることも検証できた.また発表後の学友の評価,自由意見の激励に感動している報告も多かった.
著者
鈴木 佐代 福永 美紗 豊増 美喜 秋武 由子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 福岡県春日市は12の小学校すべてにログハウス造の放課後児童クラブを設置している。ログハウス舎は利用児童数が増加した1992年から2006年の間に、ほぼ1年1棟のペースで新築された。設計に関して、初期の頃は指導員や保護者が要望を出し、変更が加えられていった。本研究では、ログハウス舎の建築図面および指導員対象のヒアリング調査から空間構成の変化を分析し、放課後児童クラブに求められる空間・設備の要件を明らかにする。<br><b>方法</b> 春日市から収集したログハウス舎12棟の建築図面の分析と、勤務年数の長い指導員2名を対象としたヒアリング調査(2013年11月)を行った。<br><b>結果</b> 1)1992年~1996年建築の初期5棟は、1階建て延べ床面積118.8㎡であったが、1997年の6棟目以降は2階建てとなり、建設時期が後になるほど2階の延床面積は拡大した(46.6~62.6㎡)。2)1階は、1室29.7㎡の 4室からなる田の字型プランである。初期の設計では、室間の丸太の壁が大きく、各室の独立性が高かったため、死角をなくし空間を広く使えるよう壁を小さくしていった。3)トイレ空間は、男女共用から男女別へ、和式便器から洋式便器へ、身障者用トイレの導入など変化が大きい。4)台所空間では、流し台の向きが屋外向き&rarr;児童の活動室が見える向き&rarr;出入口が見える向きへと変化した。また、台所と活動室との間に、おやつを配る際に使用する配膳台が設けられるようになり、後のクラブ舎ほどそのサイズは大きくなった。5)2階からの転落防止網や避難用の2つ目の階段の設置などの安全対策が市によって行われた。<br>本研究は、H25~27年度科研費(基盤研究(C):25350048)の助成を受けた。
著者
鈴木 基子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.598-606, 2005

近年, 日本酒の海外輸出量の伸びが著しく増えており, 国税当局も輸出促進セミナーを開催するなどの支援を表明している。本稿では, アメリカ在住の筆者に, 現在のアメリカにおける日本酒事情を流通の面からご紹介いただいた。日本酒メーカの方だけでなく, 様々な立場の方にも参考になる解説である。

1 0 0 0 OA 絵本春の錦

著者
鈴木, 春信
出版者
山崎金兵衛

鈴木春信画。女性風俗絵本。半紙本2冊。明和8年(1771)正月、江戸山崎金兵衛梓。色摺り。春信が没した翌年の刊行。碧玉堂の序に「案に今めかしき風俗を画しわ鈴木氏筆に有、よつて其毫を需て、世に触し錦絵の彩色をくわへ、錦の文字を相続て、春の錦と題し」云々とあり、山崎金兵衛が刊行した春信絵本の中では最初の彩色摺り絵本。上部を雲形に枠取りして和歌を記し、その和歌の意を表した絵を描くという趣向。和歌の出典は明和元年刊の『新続題林和歌集』で、春信は、往来物などの傾向と軌を一にして、当時の堂上歌人の和歌を集めた類題集によって古歌を引くことが多い。色は主に淡色を用い、背景の塗りつぶしや白抜き模様など、彩色の技術を凝らす。描かれる女性の大半は遊女、芸者で、着物は、無紋が多い。和歌的情緒を醸した上品な絵本に仕上げられている。(鈴木淳)
著者
江口 智美 北元 憲利 鈴木 道隆 小河 拓也 吉村 美紀
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.711-717, 2013-12-15 (Released:2014-01-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

水挽条件のクリアランス20~60μm程度,回転数40~800rpmの範囲で9種の白玉粉を調製し,白玉粉の粒子の特性および分散糊液の特性を比較検討した.その結果,一般成分と損傷澱粉率にほとんど差がなく,MV 4.8~12.1,スパン1.5~3.5で,粒形態の異なる白玉粉が調製され,経験的に選択された現状の製品調製条件が粘弾性の制御に最適な水挽条件であったことが示唆された.現状の調製条件では,粒子径のばらつきが少なく,澱粉単粒が分散した白玉粉が得られ,その分散糊液は,澱粉濃度の低下に伴い粘弾性が減少する傾向にあったことから,澱粉濃度の調整による粘弾性の制御が容易であることが示唆された.
著者
可児 潤也 鈴木 徳一郎 上原 章敬 山本 匠 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.2232-2243, 2013-09-15

近年,既存のCAPTCHAにおける脆弱性が多くの研究者によって指摘されており,人間の「より高度な知識処理」を利用してCAPTCHAを強化する方法が検討されている.また,人間である正規ユーザにとって,CAPTCHAに解答することは本来不要の「煩わしい手間」であるため,CAPTCHAの利便性についても考慮しなければならない.そこで本論文では,人間の「ユーモアを解する能力」に注目し,4コマ漫画を用いたCAPTCHA方式を提案する.ユーモアを解する能力は人間の究極的な認知処理能力の1つであると考えられており,高いマルウェア耐性が期待できるとともに,4コマ漫画のエンタテイメント性が「正規ユーザに心地良さを与えるCAPTCHA」の実現に寄与すると考えられる.評価実験およびアンケート調査を通じ,4コマ漫画CAPTCHAの可用性について論ずる.As many researchers have already reported, conventional CAPTCHA could be overcome by state-of-the-art malware since the capabilities of computers are approaching those of humans. Therefore, CAPTCHA should be based on even more advanced human cognitive processing abilities. In addition, it is also important to keep in mind that answering CAPTCHA is an added annoyance for users, who feel troublesome to prove that they are human at every Web access. So, CAPTCHA should be enjoyable for users. To cope with these issues, we have focused on the human ability to understand humor which is considered as one of the most advanced human cognitive processing abilities, and proposed the concept of a new type of Turing test that uses four-panel cartoons, which would make CAPTCHA test fun and enjoyable. This paper carries out experimental study to confirm the usability of the proposed CAPTCHA.
著者
飛田 宗重 高田 博仁 土肥 守 千田 圭二 小林 顕 関 晴朗 亀谷 剛 宮澤 幸仁 小野寺 淳一 鈴木 博義 今野 秀彦 吉岡 勝 會田 隆志 野村 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.503-507, 2003-08-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)は, いまだ病因不明で治療法未確立の難治性疾患であるが, 疫学調査を行うにも共通の登録基準さえ整備されていない状況にあった. 近年, 「神経疾患の予防・診断・治療に関する臨床研究班」(湯浅班)において, 疫学調査のための登録基準が提唱されたことを契機に, 東北ブロック政策医療神経筋疾患ネットワーク参加施設にてPSPの療養環境整備にむけた共同研究を施行した. 最初に剖検例を対象に登録基準の有用性について検討した. 病理学的に診断確定したPSP7例全例が登録基準を充たしていたが, PSPと鑑別を要する疾患群(MSA4例, PD8例, DLB4例, CBD1例)はいずれも登録基準を充たさず, 登録基準の有用性が示された. 次いで登録基準を用いて患者登録を行い, 療養環境について調査した. 今回の調査では, 入院療養への依存度が高く, 介護保険の利用が少ない実態が認められた. 重症化してから長期入院療養目的で国立医療機関へ紹介される症例が多い傾向を反映しており, 療養上の諸問題について検討した.
著者
鈴木 幹也 川井 充
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.482-485, 2005-09-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

進行性核上性麻痺は, 核上性眼球運動障害, 左右差のないパーキンソニズム, 高次機能障害などを呈する変性疾患である. 特徴的症状や, 頭部MRIで, 第3脳室の拡大, 中脳・橋被蓋の萎縮があれば診断に苦慮しないが, 発症早期では目立たない例があり, 他のパーキンソニズムを来たす疾患との鑑別が問題になる. パーキンソン病は, 一側優位の静止時振戦・筋強剛で発症し, 進行すると無動・易転倒性がみられる. MIBG心筋シンチの後期相での取り込みの低下が診断に有用である. 多系統萎縮症は, パーキンソニズム, 小脳失調, 自律神経症状が特徴的だが, パーキンソニズムが主体の線条体黒質変性症は, 自律神経症状が目立たないと診断が困難なことがある. 頭部MRI T2強調画像での被殻外縁のスリット状高信号領域が特徴である. 大脳皮質基底核変性症は, 失行などの皮質症状をともなう. どの疾患も特徴的な症状・画像変化を示さない例では診断に苦慮することがある.