著者
鈴木 勝人
出版者
奥羽大学
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.127-140, 2003-06-30

How to contact between the arcus dentalis mandibularis (ADM) and the tongue (T) during pronunciation of vowels (VP) in normal 50 subjects was investigated by using the lower jaw recording boards. The relative differences of the contact lines between ADM and T during VP weren't significantly recognized among individuals, in spite of the length of VP. However, close relation in position of the tongue to the mandibular teeth during VP exists in terms of their contact lines. The conditions for settlement of lingual bar or plate in the mandible, proposed so far, are not contradictory to the results of this study. The availability for the contact lines might be a useful index for clinical judgement of appropriate dentures.
著者
鈴木 睦 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.75, 2010 (Released:2010-08-18)

医薬品の評価で,「腎臓の近位直尿細管上皮の好酸球性腫大は,中及び高用量群では全例で認められたが,生理学的変動の範囲内の 組織像と判断された。本所見の発現頻度が増加した原因は不明であるが,高用量群でも組織所見の増悪は認められず,障害性もないこ とから,これらの所見の毒性学的意義は低いと考えられる」などと言う評価は良く見受けられる一節である。その一方で,「サルで認め られた腎臓の鉱質沈着所見は対照群の動物でも観察されることから,自然発生病変と考えられる」としながらも「このような腎所見がヒ トに生じていても見落とされている可能性があり,同様の所見がヒトで生じている可能性について考察し,長期投与により当該所見が 進行して腎機能に影響を与える可能性の有無を考察するべき」と指摘されるケースもある。このように「対照群で認められているから自 然発症病変」と考え毒性評価から除外することは,臨床試験の安全性を保証するには適切では無いケースもあり,所見の発生頻度とそ の時期を含めて十分に考察し,ヒトの有害事象発現を抑制することにできるだけの努力が払われるべきである。 上記のようなケースは一例に過ぎないが,「XXで変化が認められたが,器質的な変化が認められなかったので毒性学的意義は少ない」 とする常套句は,よく見かけられるものである。しかし,ここ数年の間で毒性の評価対象となる化合物は,分子標的やバイオ医薬品へ と変遷し,その非臨床試験評価系の特徴から器質的変化のみに比重を置いた評価には限界も見え隠れする。また,分子毒性学的な手法 や新規バイオマーカーによる毒性評価も広がりつつあるが,試験責任者にとっては従来の評価方法との関係をどう捉え,統合し解釈す るのか戸惑いがあるかもしれない。“器質学的な変化が認められなければ毒性学的意義は低い”という紋切り型の常套句に,更なる新し い概念を加えて整理する必要性があると考えられる。
著者
吉田 義昭 鈴木 宏和 藤原 耕二 石原 好之
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.134, no.5, pp.399-411, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
29

It is important that PV systems detect islanding caused by power system fault to ensure electrical safety. So, we propose a novel islanding detection method which detects harmonic impedance by injecting the harmonic currents synchronized with exciting current harmonics of the pole transformer. In case that an induction motor load is included in the load system, the basic experiments of islanding detection and simulation analysis are conducted to verify the effectiveness of the proposed method.
著者
石山 育朗 鈴木 政登 佐藤 誠 中村 泰輔
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.55-69, 2006

健康な20~42歳の男性9名を対象に, チューインガム咀嚼は交感神経系と副交感神経系のいずれをより亢進させるのかを明らかにするため, ガム咀嚼時の循環系(心拍数, 血圧, 心拍パワースペクトル), 唾液成分, 脳波(α ・β 波)を指標として検討した.実験には2種類の硬さ(soft, hard)のテアニン含有ガム(RX)と, ガムベースのみの対照ガム(C)を用い, 成分の影響等を比較した.<BR>RX, Cガム咀噛時ともに心拍数, 血圧の増加と唾液分泌量が増加し, 指尖容積脈波波高(WH)は低下した.唾液分泌量, 唾液総蛋白, 唾液α アミラーゼ濃度および電解質濃度は, RXガム咀嚼時に著しく増加した.Cガム咀嚼時には分泌型免疫グロブリンA(slgA)濃度と心拍パワースペクトル低周波/高周波成分比(LF/HF)が低下したが, RXガム咀嚼時には変化が認められなかった.コルチゾール濃度の変化はみられなかった.また, Cガム咀嚼時の脳波α 波の抑制が顕著にみられた.<BR>これらの結果から, ガムの味の有無に関わらずガム咀嚼中は交感神経系活動の亢進が顕著となるが, 口腔内では副交感神経系を同時亢進させ, 味付きガム(RX)の唾液分泌への影響は顕著であった.両ガムとも咀嚼終了によって循環系から推定する副交感神経系反応は顕著になるが, 唾液中sIgAと脳波α波の増減から推定したリラックス効果は, 咀噛刺激よりもリラックス成分の影響によると推察された.
著者
鈴木 光雄
出版者
THE ACADEMY OF CLINICAL DENTISTRY
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.345-350, 2004

咬合を理解するうえで重要なことは, 生命の進化の過程や人類の二足歩行を考えることである.なぜなら, 不正咬合や顎関節症という概念は, おそらく人にのみ存在し, 他の動物には無縁であるからである.この論文の趣旨は, 人類の発生から二足歩行, 脳の発育, ストレスマネージメント, 下顎の偏位からくる全身の歪みなどを解説することにある.さらに後半では, 日本人のルーツを考えることによって不正咬合や骨格パターンを考え, 咬合治療のあり方を再確認することにある.これにより, 機械論的なナソロジーからはじめて, 人類学, そして人の発育と適応を考慮した生理学的なナソロジーに変貌していくと考える.
著者
津志田 藤二郎 鈴木 雅弘
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.642-649, 1996-05-15
参考文献数
22
被引用文献数
6 54

北海道産の黄色タマネギ,赤色タマネギ及び白色タマネギのフラボノール含量を測定したところ,生鮮重当たり黄色タマネギではケルセチン-3, 4'-ジグルコシドが16.8mg/100g,ケルセチン-4'-グルコシドが18.5mg/100g,セルセチン-3-グルコシドが0.8g/100g,イソラムネチン-4'-グルコシドが2.9mg/100g存在していた.赤色タマネギでは黄色タマネギに比べて3倍量のフラボノール配糖体が検出されたが,白色タマネギには検出されなかった.また,フラボノール配糖体は外側の鱗茎に多く存在した.<BR>一方,フラボノール配糖体の代謝に関与する酵素としては,2種のフラボノールグルコシダーゼと2種のUDP-グルコース:フラボノールグルコース転移酵素が検出された.これらはそれぞれ至適pHが異なり,3-β-グルコシダーゼでは4.5, 4'-β-グルコシダーゼでは7.0であり,3-β-グルコース転移酵素では6.0, 4'-β-グルコース転移酵素では8.0であった.使用した全ての品種において,ケルセチン-4'-β-グルコース転移酵素の活性が4'-β-グルコシダーゼの活性に勝っていることから,ケルセチン-4'-β-グルコシドは蓄積される方向にあることが分かった.一方,ケルセチンの3位においては逆にグルコース転移酵素がグルコシダーゼの活性より弱いため,ケルセチン-3-β-グルコシドは蓄積しにくいことが分かった.<BR>また,ケルセチンの3位に糖が結合したフラボノール配糖体には4'-β-グルコース転移酵素が作用できないため,タマネギのケルセチン-3, 4'-ジグルコシドは,ケルセチン-4'-β-グルコシドに糖転移が起こることにより合成されることが推定できた.
著者
島田 一雄 若林 良二 鈴木 弘 武藤 憲司 浅井 紀久夫 結城 皖曠 近藤 喜美夫 田中 健二 渡辺 正子 美濃 導彦
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-69, 1998-09

現在, 国内の大学, 高専等の高等教育機関が教育・研究に利用しているディジタル衛星通信システムは, 自主的に組織されたUnSAT(University's Joint Study Group for Digital Satellite Communications)と文部省が推進しているSCS(Space Collaboration System)の2つに分けられる.本論文では, 平成9年5月と10月に航空高専で開催された「高等技術教育フォーラム'97」と「第5回衛星設計コンテスト最終審査会」をUnSATとSCSの接続により, 終日, 全国の高等教育機関に配信する実験を行った結果をまとめたものである.最初にUnSATとSCSの概要を述べ, 続いてフォーラムの内容, 予備実験と本実験について述べる.さらに, コンテストの内容ならびに配信実験について述べる.次いで, 両実験の参加者へのアンケート調査で得られた主観評価結果を示す.さらに, 1ホップと2ホップの場合の画像劣化の比較を行うために試みたフォーラムの際に得られた画像の客観評価の結果についても言及する.最後に考察を行い, 問題点の分析ならびに解決の指針を示し, 衛星通信の教育利用に対する知見を示す.
著者
鈴木 清之
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.375-381, 1970
被引用文献数
4

進行性筋ジストロフィー症患者 (32才男) の筋生検を行い, リングファイバーとその神経筋接合部を観察した. リングファイバーの筋線維は, 中心部は長軸方向に, また周辺部はそれをとりかこむ様に走り, 一部はみだれた配列をしめしていた. 筋小胞体は, 多少, 少ない様にみえた. トライアドは筋線維の横紋に関係なく不規則に分布していた. ミトコンドリアは, 筋鞘の近くに特に多くみられた.<br>リングファイバーの神経筋接合部は, 骨格筋のそれと似た像を呈するが, 結合ヒダは, もっと複雑な像を観察した.
著者
馬場 文雄 鈴木 紹夫 瀬尾 眞浩
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.588-594, 1996-10-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

Effects of ferrous ions on the shape and activity of sulfate-reducing bacteria (SRB) have been investigated using a phase-difference microscope, hydrogen sulfide gas detector, and measuring the amount of ferrous sulfide in the medium. SRB changed its shape at an interval of several hours as the culturing time increased. At the time of maximum activity of SRB, SRB evolved a significant amount of hydrogen sulfide and changed from rod like shape to comma like shape. After this period, pH of the medium increased above 9.0 and the size of SRB became less with reduced evolution of hydrogen sulfide. Even if some amount of HCl was added to keep pH of the medium at 7.0, the hydrogen sulfide evolution was not recovered. In the medium with high concentration (0.01mol kg-1) of ferrous ions, colloidal substance were present and seemed to provide a comfortable place for SRB to grow, ripen, and split easily. In the medium with low concentration (0.00036mol kg-1) of ferrous ions, the colloidal materials were few and the number of SRB was less than that in the high concentration (0.01mol kg-1) medium. It is concluded that ferrous ions do not only affect directly the metabolism of SRB, but also form the colloidal substance on which SRB can keep alive easily.
著者
早川 祥子 Hernandez Alexander D. 鈴木 真理子 菅谷 和沙 香田 啓貴 長谷川 英男 遠藤 秀紀
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 = Primate research (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.3-10, 2011-06-20
参考文献数
21
被引用文献数
2

屋久島にて見つかったおよそ26歳という,非常に老齢であるニホンザル(メス)の死体の剖検結果を報告する。年齢の推定は死体の歯のエナメル質をヘマトキシリンで染色する方法によって行った。これは餌付けの経験のない野生ニホンザルとしては例外的に高齢であると考えてよい。外傷は見当たらず,病理解剖における主な病変は肺出血であり,対象個体が肺炎に罹患していたことが示唆された。さらに特筆すべきことは,このサルの体内から大量の寄生虫感染が見つかったことである。感染していたのは線虫4種,総数1524個体(<i>Streptopharagus pigmentatus</i> 1270, <i>Gongylonema pulchrum</i> 208, <i>Oesophagostomum aculeatum</i> 36, <i>Trichuris</i> sp. 10)であった。対象個体は老齢のため免疫力が低下しており,寄生虫の感染および蓄積を防ぐことができず,さらには肺炎にも感染して死を迎えたものと考えられる。