著者
関 礼子
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.70-82, 2020 (Released:2021-05-29)
参考文献数
15

福島原発事故による避難者が「ふるさと」に帰還しはじめた。社会学はこの状況をどのように捉えるのだろうか。本稿は、避難者が帰還しても戻らない「ふるさと剥奪」被害を論じる。「ふるさと」とは、人と自然がかかわり、人と人とがつながり、それらが持続的である場所のことである。だが、帰還後も人々は「ふるさと」を奪われたままで、復興事業はショック・ドクトリンをもたらすばかりである。本稿は、福島県の中山間地の集落を例に、避難を終えても終わらない被害を共同性の解体という点から捉え、「ふるさと剥奪」の不可逆な被害を論じたい。
著者
小暮 哲夫 小川 彰 関 博文 吉本 高志 鈴木 二郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.394-401, 1985-10-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1

内頚動脈閉塞症急性期の臨床像とその予後を明らかにする目的で発症後24時間以内に収容された本症104例に対してCT・脳血管撮影を施行し, 2ヵ月間にわたり意識障害や運動障害の推移を中心に臨床経過の観察を行った.死亡例が5割, 社会復帰不能例が4割を占め, 社会復帰可能例が1割のみと, 本症の予後は不良であり, 過半数を占める塞栓症においてより顕著であった.入院時の意識状態や運動機能は予後とよく相関し, 多少とも意識障害を認めたり, 重力に抗する運動の不可能な例で社会復帰したものはまれであった.CT上のLDAの大きさも予後とよく相関し, 予後良好例は非出現例にほぼ限られ, 複数の脳主幹動脈に及ぶ出現例のほとんどが死亡していた.約半数を占める死亡例は高齢者に多く, その8割が第4病日をピークとする発症後早期の脳梗塞直接死亡例であり, 他の2割は合併症による間接死亡例に相当し, その死亡時期に一定の傾向は認められなかった.
著者
竹内 清 関 泰
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.296-302, 1980-05-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
44

トカマク型核融合炉に焦点を合わせて,放射線遮蔽設計に関して,遮蔽設計と炉核設計との関連,遮蔽の役割,遮蔽設計基準の設定,バルク遮蔽設計の問題点,各種貫通孔中性子漏洩問題,炉建屋漏洩放射線の空気散乱問題,さらに放射線輸送計算法や核データおよび感度解析等の問題について概説する。
著者
染谷 大河 石垣 達也 大関 洋平 永田 亮 高村 大也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2M5GS1005, 2023 (Released:2023-07-10)

サッカーは、制約が少なく複雑性が高いチームスポーツの一つであり、試合の成り行きを予測するのは非常に難しい。近年では、主に機械学習の手法を用いて、サッカーの試合においてどの選手がどこで何のアクションをしたかを示すイベントの系列の予測が試みられており、先行イベント系列を考慮したゴール期待値の計算や特定のアクションの有効性の評価への応用が見込まれている。一方で、次にどのようなイベントが発生するかは、単に先行するイベントの系列だけでなくどの選手がそのイベントを発生させるかに大きく依存すると考えられる。そこで、本研究では選手を分散表現すなわちベクトルで表現しニューラルイベント予測モデルの入力に加えることで、先行研究では考慮されていなかった選手の特性を考慮した予測を行うことを提案する。実験の結果、選手特性を考慮することでモデルの予測精度が向上することに加え、モデルを学習する過程で得られた「選手ベクトル」が選手のポジションに関する情報を含んでいることが示された。
著者
西田 龍一 藁谷 至誠 関口 圭輔 木下 学 三宅 弘朗 植草 常雄
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成19年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1559-1562, 2007-08-24 (Released:2017-08-31)

With the current growth in ICT-related business, the machine rooms installed information and communication equipmentsis installed are rapidly increasing in temperature. Since high temperatures damage information and communication machinery, a stable air-conditioning system is indispensable to a stable information and communication service. Therefore,the reliability of an air-conditioning system must be precisely evaluated when planning a stable information and communication service.The reliability of air conditioning and indicators of reliable air-conditioning system design areexamined in actual situations.
著者
関 義信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.1370-1377, 2020-07-10 (Released:2021-07-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

後天性血友病Aは,出血傾向の既往歴や家族歴がないにもかかわらず,突然の皮下・筋肉内出血等で発症する自己免疫性後天性凝固第VIII因子欠乏症である.活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)の延長,第VIII因子凝固活性(factor VIII coagulant activity:FVIII:C)の低下ならびに第VIII因子インヒビターの存在で診断する.APTTクロスミキシング試験は鑑別に有用である.止血療法と免疫抑制療法で治療を行う.リハビリテーションも必要である.疾患の認識と速やかな専門医への紹介が予後の改善につながる.
著者
横関 邦彦 河原 宏紀 兼清 泰明
出版者
構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム運営委員会
雑誌
構造物の安全性および信頼性:構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム(JCOSSAR)論文集 第10回構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム (ISSN:27590909)
巻号頁・発行日
pp.120-127, 2023 (Released:2023-10-24)

A numerical approach is developed for analysis on random stress field of FRP strengthened CFRP plate under uniaxial tensile load, where the multiple precision arithmetic is applied to reduce instability of numerical scheme. First, a system of differential equations is formulated for describing axial force, shear force and bending moment of CFRP plate, which is directly applied to formulate normal and shear stress of adhesive material between CFRP plate and FRP material. Next, the system of equations is extended to a system of spatially random differential equations by taking into account spatially random variation of thickness of the adhesive material. Finally, numerical simulations are executed for generating sample functions of normal stress as well as shear stress of the adhesive material, where multiple precision arithmetic is applied to numerical simulations. It is clarified that the numerical scheme for calculating stress field of the adhesive material shows significant instability under widely used double precision arithmetic, which indicates that application of the multiple precision arithmetic is undoubtedly needed.
著者
関谷 直也
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.14-23, 2022-07-10 (Released:2023-07-10)
参考文献数
11

近年の自然災害における災害情報の出し方のトレンドはレベル化,メッシュ化や高解像度化に伴う避難のリードタイムの減少,防災気象情報の増加・多様化である.だが,災害のリスク・コミュニケーションに関する情報は,科学的に精度よく,精緻に,詳細になればよいということではない. そもそも気象災害のみならず自然災害の発生自体の正確な予測は難しく,そもそも情報が増加・多様化しても決定打と呼べる情報はなく,「避難」に結びつく情報を判断することは難しい.リスクがリスク通りに伝わることが正しいのではなく,リスクを的確に理解した場合でもそれとは別に念のため避難すること,もしくはリスクを的確に理解しなかった場合でも必要以上にリスクを感じたり,早めに避難したりすることを正解とすべきなのが自然災害の―防災を目的とした―リスク・コミュニケーションなのである. 防災を目的として,人の命を守るための情報を目指すのか,アウトリーチを目的として,地震学・火山学・気象学への理解を深めることやまた専門知の情報提供に徹することを目指すのか,その目的を明確に区別したうえで考えることが重要である.
著者
関口 和美 星崎 和彦 小林 一三
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第115回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.C02, 2004 (Released:2004-03-17)

1.はじめに 渓畔域では、植物は様々な形で河川撹乱に依存した生活史をもっている。日本の山岳河川では、土砂の移動を伴う河川撹乱を抑えるために砂防堰堤が数多く設置されてきたが、近年、堰堤建設に伴う植生への影響が懸念されている。 本研究では、砂防堰堤の下部、上部およびそれより上流部の植生を比較することにより、砂防堰堤が渓畔植生構造に与える影響について調べた。砂防堰堤の建設によって、_丸1_立地環境が変化し、_丸2_群落が単純化したり、_丸3_樹林化すると予測し、調査結果に基づいてこれらの予測を検証した。2.調査地 岩手県奥羽山系焼石岳南麓の胆沢川支流の上ノ倉沢で調査を行った。砂防堰堤を含む流路沿い約200m範囲の氾濫原に調査区を設置した。3.方法(1)立地環境調査 2002年8月に流路に沿って立地を流路沿い、旧河道、残丘、岩場、森林部分の5つに区分した。光環境の調査として、9月の曇天時に流路に沿って全天写真を撮影し、開空度を求めた。(2)植生調査 植物種の分布と種多様性を検討する目的で、植生の切れ目や立地の違いをもとに植生パッチを認識し、8月から9月にかけて植生調査を行った(n = 40)。高さ3m未満の維管束植物を対象に、植生パッチごとにパッチの大きさと出現種を記録した。また、環境要因の分析のために植生パッチごとに開空度、比高、基質の粒径、リターの出現頻度を調べた。(3)樹木調査 樹林の発達の程度を検討するために、樹木調査区を設置し、9月から10月にかけて毎木調査を行った。樹高3m以上の樹木を対象に種名、胸高直径を記録した。樹木調査区は、堰堤下部、堰堤上部、上流の森林部分と岩場の4つに区分した。 また、樹木調査区の堰堤下部、堰堤上部、上流部(森林部分)の各々から8本ずつ(胸高直径の太い順)を選び、年輪コアサンプルを採取して樹齢を調べた。4.結果(1)立地環境の変化 堰堤周辺には旧河道、残丘、岩場は存在せず、上流部より微地形が単純化していると思われた。また堰堤周辺では開空度が30%を超え、上流部よりも明るかった。これには堰堤建設時の伐採が深く関連していると思われた。(2)群落の単純化 堰堤周辺では上流部に比べ植生パッチ面積が大きくなっていた。 調査した植生パッチでは57科112属146種の維管束植物が確認され、植生パッチ面積が大きくなるほど種数も増加する傾向があった。面積に対する種数の割合は堰堤周辺と上流部で大きな差はみられなかった。 種の豊かさや均等度を表す多様度指数としてGleason指数、Shannon's H'、Simpson指数、Pielou's J'を用いて植生パッチ内の種の多様性について検討した。どの指数も堰堤周辺と上流部で大きな差はみられなかったが、出現種の生活形ごとに同様の解析をしたところ、堰堤周辺では上流部よりも若干高木種が高く、藤本種が低い傾向があった。 DCAを用いて各パッチの種組成の違いを表す軸を抽出した結果、上流部のパッチは軸上に幅広く分布していた(パッチ間のβ多様性が高い)。一方堰堤周辺のパッチの傾度幅は狭く、類似した種組成をもつことが示された。これらのパッチは明るく、比高が低く、リターが少ない傾向があった。同様に、上流部のパッチの基質は様々な粒径分布を示したのに対し、堰堤周辺では土と石に二極化していた。(3)樹林化 毎木調査の結果、堰堤上部での立木密度はその他を大きく上回っていた。堰堤上部では胸高断面積合計も森林部分の60%に達し、樹林化の進行が裏付けられた。堰堤周辺の出現種は上流部と異なり、ヤマハンノキやヤナギ類が優占していた。これら堰堤周辺の樹木の多くは樹齢27年未満であり、堰堤完成後に進入してきたことが明らかになった。5.考察 堰堤周辺では、河川の勾配が緩やかになることで微地形が単純化し、明るくなっていた。堰堤周辺における植生パッチ内の基質の単純化やパッチの大型化、樹林化の進行は、土砂が堆積し立地が安定化したためであると考えられた。そして、それらの環境の変化が堰堤周辺の単調な種組成に反映していると思われた。
著者
栁内 景太 関 あゆみ
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-31, 2023-03-24

書字困難児に対して不適切な対応が為されると、書字への抵抗が強まり学習意欲の低下を引き起こすことがある。そこで、本研究では小学生の書字困難児4 名を対象に、書字困難児の認知行動的特徴と経過との関連について検討した。その結果、共通する認知行動面の困難としてワーキングメモリ、巧緻性、目と手の協応、視覚認知の困難と不注意が認められた。また、共通する経過として、学習する漢字がより複雑になり、自己客観視が可能となる小学3 年時頃より、自尊心が低下し、学習意欲が低下することが認められた。加えて、行動面の困難として多動と対人関係にも困難を有すると、不適応の原因を見極めることが難しく、書字への支援が遅れ、学習意欲の改善が著しく困難になることが示唆された。従って、多動と対人関係の困難が目立つ場合でも、書字困難への対応を後回しにしないことが重要と思われる。
著者
小関 右介
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.31, pp.62-67, 2021-01-01 (Released:2021-09-17)
参考文献数
19

文献調査にもとづき,佐渡島の淡水魚類相の変遷を調べた.2012年の前回魚類相報告以降,本島の淡水魚類目録には2種の純淡水魚と1種の周縁性淡水魚が加わり,目録掲載種数は46種となった.魚類相の大きな特徴は,通し回遊魚,とくに両側回遊性ハゼ科魚類の種の多さであり,この特徴は過去60年間で大きく変化していなかった.しかし,人為的移入により,種全体に占める純淡水魚の割合がかつての4分の1から3分の1に上昇しており,これら移入種による生態系への影響が懸念された.種の移入防止のために講ずべき施策および侵入の早期発見のために実現すべき環境DNAベースの魚類群集モニタリングについて簡単に述べた.
著者
西森 栄太 尾形 哲 高杉 一恵 依田 とし江 大井 さおり 関口 憲一 工藤 絹子 依田 淳 南 茂 仲 元司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.297-306, 2018-05-30 (Released:2018-05-30)
参考文献数
37

わが国の糖尿病および非アルコール性脂肪性肝疾患(以下NAFLDと略す)の食事療法はカロリー制限食が中心であるが,近年,糖質制限食の有効性も報告されている.本研究では,2型糖尿病に伴うNAFLD患者に対する糖質制限食の効果を検討した.糖質制限食群は糖質を1日70~130 g,カロリー制限食群は1日総エネルギー摂取量を標準体重×25 kcal/kgとして,全患者28名を無作為に割り付けて3ヶ月間の比較試験をした.結果,介入後3ヶ月では,各群とも,腹部単純CT検査による肝脾CT値比の有意な上昇,内臓脂肪面積,AST,ALT,体重およびHbA1cの有意な低下が認められた(P<0.05).また,2群間では,内臓脂肪面積が糖質制限食群で有意に低下していたが,その他の項目には有意差は認められなかった.2型糖尿病に伴うNAFLDの糖質制限食はカロリー制限食と同等の改善効果があることが示された.
著者
山下 利佳 黒木 唯文 江越 貴文 小関 優作
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Candida albicansに対して抗菌効果を有する植物精油の義歯用歯磨剤への応用について検討した。ティートゥリーオイル(TO)とレモングラス(LE)を使用し,床用レジンに付着したバイオフィルムに対する除去効果について調べた結果,1.0%TO,0.5%LEおよび1.0%LEの義歯清掃への利用は,C.albicans バイオフィルムの除去に有効であることが示唆された。また,これらの精油溶液を用いて磨耗試験を行った結果,水のみでのブラッシングよりも,精油を使用した方が表面粗さは小さかった。以上より,精油は義歯清掃に有効である可能性が示唆された。
著者
関根 雅
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-04-25

本研究では平均場ゲーム理論を用いて、多人数ゲームとしてのファイナンスモデルを考察する。具体的には、金融市場における市場参加者の相互作用を考慮し、その均衡における証券価格や投資家たちの戦略分布を記述する理論モデルを構築した上で、その理論の社会実装方法を提案することを目的とする。また、より長期的には金融市場のみならず経済全般への応用も目指している。本研究が進展すれば、投資家たちの競争・協調行動の効果を織り込みながら金融危機等を分析できるようになり、均衡における人々の状態分布を考慮に入れた効率的なリスク管理方法や投資戦略、そして投資の促進や市場の規制といった政策の方法などを提供できると期待される。
著者
友木 依里子 関東 裕美 辻 行貴
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-8, 2018-03-31 (Released:2019-03-31)
参考文献数
20

The degree of lip dryness is accompanied by the changes in atmospheric temperature and/or humidity. In an attempt to relieve lip dryness, lip is commonly and involuntarily licked. When lip dryness becomes noticeable, people often apply products such as lip balm to protect the lips, but this may be insufficient to hydrate them because toothpaste and facial wash tend to dry them whenever they are used. Also, during the dry winter season, involuntary lip-licking to hydrate the lips becomes habitual, even among adults, occasionally leading to lip-licking dermatitis. Apart from lip-licking, tooth brushing and lip-biking are able to make lips more prone to get dry and sore. The overall evaluation on lip appearance is often reflected by the severity of chapped lips (e.g., cracks and/or peels), but due to the variation in individual’s sensitivities, the subjective dryness assessment does not necessarily agree with the objective evaluation. Therefore, we tried to develop an objective lip dryness scoring system based on the analysis of UV light-exposed lip images that could capture the dryness conditions usually undetectable through medical interviews or gross examination. We also discussed how subjective and objective lip evaluations were associated with daily life-related matters derived from medical interviews and questionnaires.
著者
関口 珠希 松下 和裕 柏原 みゆき 笠原 和恵 堀川 雅昭
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.76-82, 2022-09-15

埋伏智歯が本来の位置から遠く離れ,それが下顎枝最上方の筋突起に位置することは非常にまれである.今回われわれは筋突起に埋伏した含歯性嚢胞を伴う智歯の1 例を経験したので報告する. 患者は72歳,男性.2021年5 月に左側耳下腺咬筋部の腫脹と疼痛を自覚し,近在歯科を受診した.症状が悪化傾向であったため,当院を紹介受診した.初診時の口腔外所見では左側耳下腺咬筋部の腫脹,疼痛と重度の開口障害を認めた.口腔内所見では開口障害により視認は困難であったが,左側頬粘膜に浮腫性の腫脹を認めた.画像検査では筋突起内に逆性埋伏智歯とその周囲に嚢胞様透過像を認め,それら周囲の軟組織の肥厚を認めた.血液検査所見では炎症反応を認めた.埋伏智歯ならびに嚢胞様病変への感染と診断し,抗菌薬による消炎を行った.消炎後,全身麻酔下で埋伏智歯抜歯ならびに嚢胞摘出を施行した.病理組織学的診断は含歯性嚢胞が考えられた.現在,術後6 か月を経過しているが,問題なく経過している.