著者
韓 生廉 関口 隆 高橋 宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.1142-1154, 1247-1248, 1993-10-15
被引用文献数
6

人間の操作特性と主観評価の関係などような, あいまいな量を含む説明変数と目的変数の関係記述としてファジィ理論を用いた表現方法が有効である.本論文では, ファジィ関係式およびその拡張として, ファジィ関係不等式, 区間値ファジィ関係式の3つの関係に着目し, ファジィ関係行列と目的変数行列が与えられたとき, 説明変数行列を求めるファジィ関係逆問題において, 解の存在する条件を上記3つの関係式について, それぞれ検討した.著者らが提案している記号行列の概念を導入することによって, ファジィ関係式, ファジィ関係式のすべての行列において, その要素が区間値で表されている場合においても, 解の存在性を容易に判別できた.本論文にて提案した判別法のアルゴリズムが極めて簡単であるので, 今後のファジィ関係逆問題の解の存在性の検討に有効な判別方法を与えることができた.
著者
中村 義人 田村 亮 関谷 和之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.319-327, 2006-06-01

W杯の地域ブロックの割当出場枠を各国代表チームの強さのランキングに基づき,ランキングへの整合性と競争的(民主的)配分との観点から議論する.各国代表チームのランキングはFIFA公表のランキングを用いるとともに,独自に集計したデータからBradley-Terry modelに基づき最尤法と最小χ二乗法で導出したランキングを用いる.第18回W杯後,オーストラリアがアジア地域に加入することが決定している.オーストラリアのアジア加入で生じる地域ブロック再編にともなう出場枠に関して述べる.
著者
市川 隆一 関戸 衛 竹内 央 小山 泰弘 近藤 哲朗 望月 奈々子 村田 泰宏 吉川 真 市川 勉 加藤 隆二 大西 隆史 藤咲 淳一 高島 和宏 飛翔体VLBIグループ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.254, pp.19-24, 2005-08-19

情報通信研究機構では、宇宙飛翔体の準リアルタイム軌道決定技術の獲得を目指して、相対VLBI実証実験を行っている。火星探査機「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」のVLBI実験において、ISAS/JAXAによるR&RR結果に対する群遅延残差は、最大数10ナノ秒にも及ぶものの双方の結果は調和的であった。また、広帯域のレンジ信号送出の時間帯に限定すれば、双方の残差は10ナノ秒程度のばらつきにおさまる。「のぞみ」位相遅延データによる暫定的な解析では、「のぞみ」の赤道座標系推定位置が約40ミリ秒角以下の誤差で決定できた。その他、測地GPSデータにより相対VLBI法での中性大気による伝搬遅延誤差の軽減効果についても評価した。
著者
増井 重弘 寺野 寿郎 関口 俊宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.1000-1011, 1994-10-15
被引用文献数
22

情報メディアとしての画像処理の研究としては、これまでのようにコンピュータ上の処理による2次元画像の輪郭や形状をはっきりさせる画像の認識のみでなく、画像の持つ情報内容に立ち入った研究を行う必要がある。人間は、対象物である画像を目でとらえ、持ち合わせている経験や知識を柔軟に用いて、認識や判断を瞬時に行い、意味内容をも理解する。この人間の視覚情報の処理過程は非常に複雑で簡単には理解できない。ましてコンピュータ上で画像の意味を理解させ、人間に伝えることは大変困難なことである。本論文はその第一歩として、風景画の構成要素を認識し、この認識結果をふまえた言語表現を行うことで、画像理解と定義づけ実験を試みた。そして、この風景画による画像から人間への情報伝達について人間が持つ認識と言語表現に近い方法による画像理解について提案する。風景画の構成要素は同一要素であっても不定形であるので数式的な扱いは困難である。そこで、構成要素をファジィ理論を用いたフレーム形式の内部知識を用いて入力画像とのファジィマッチングにより認識を行った。また、風景画の言語表現をするにあたって、人間の情報認識形態をアイカメラによる注視実験により調べるとともに、人間による画像の言語表現に基づいてどのような表現が適格であるかを調べた。その結果、画像の言語表現には構成要素の位置、大きさ、形の情報とシーンの全体表現が必要であることが解った。自然言語表現も定性的表現となるのでファジィ論理を用いて言語表現方式を構築した。この言語表現による風景画の再現実験の結果は、ほぼ原画に近い状態で再現された。
著者
神場 知成 古関 義幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.354-359, 1999-04-25
被引用文献数
7

各人の興味などに合わせて情報を加工して提供するパーソナライゼーション技術について, 事例をもとに解説する. この技術は, World Wide Web (WWW)の発展により玉石混合の大量情報にアクセスできるようになった中で, 個人が情報の山に埋もれることなく役立つ情報を簡単に手に入れるための手段として最近注目を集めている. 本稿では, パーソナライゼーションを行うために必要な, ユーザ情報の取得, ユーザ興味の推定, 情報の加工と提示などの要素技術のほか, プライバシー保護のための活動, パーソナライゼーションとマーケティングとの関係についても述べる.
著者
飯島 正 関 洋平 柳原 正秀 木下 知貴 原田 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.65-66, 1995-09-20

範疇文法(Categorial Grammar)[1]と単一化文法(Unification Grammar)[2]は,いずれも計算的な文法記述として極めて興味深い枠組みである.計算的側面から眺めた場合,互いに相補的な役割を果たしていながら,共通して項書き換え(term rewriting)に基づく計算モデルを持っており並列化の可能性も高いといった特徴を有している.そこでそうした関係を踏まえ,両文法記述を融合する試みが従来よりなされている.本報告では,そのためのアプローチとして,CUG[3]で与えられているような複合範疇に対応する素性構造を(高階)関数の定義とみなして,それを直接計算する素朴なモデルを提案する.範疇文法は,構文的な構造規則を範疇と呼ばれる単語単位の要素(ほぼ,いわゆる品詞に対応)に分解し,辞書中の各語彙記述に埋め込むものである.このとき,範疇として,原子的な基本範疇だけでなく,(型付き)関数定義に似た表記をつかって基本範疇から組み合わせてつくる複合範疇の表記法を与えることにより,構造的な表現を部分的に与えることを可能にしている.それにより,範疇文法では,ボトムアップに範疇の列の項書換えを行っていくことで文の構文的な解析ができる.一方,単一化文法形式は,構文規則を論理式として表現する論理文法の枠組みに,単一化操作を定義したレコード表現(「属性名ラベル+属性値」対のリスト)である素性構造を取り入れたものである.その素性構造をつかって各単語のもつ性質を,同じ構文規則に現れる他の語の性質と制約として結び付けることにより,構文解析と同時に制約に基づく意味解析を行うことができる.ここでも,構文解析は,構文規則の項書換えとして行うことができる.この両者を融合する研究アプローチの一つにCUG(Categorial Unification Grammar)[3]がある.CUGにおける両者の融合は,単一化文法の枠組みの中に範疇文法をコーディングして埋め込むことで行われている.例えば,関数子を用いて基本範疇から作られる複合範疇は,その関数に対応する素性構造に変換されて,単一化文法の枠組に取り入れられる.しかし,この対応づけだけでは,単一化操作によって,意味制約を伴った構文構造を作り上げることはできても,範疇文法の特徴的な関数的な項書換えの動作を規定してはいない.本報告では,範疇文法と単一化文法を融合するという共通の目的のもとで,むしろ逆に範疇文法の枠組の中に素性構造とその単一化操作を埋め込むことを試みる.そこで原子的な基本範疇に素性構造を割り当てておき,それに加えて素性構造を対象とした単一化に基づく関数結合演算を与えることで,複合範疇のための素性構造を組み立てていく方法を与える.同演算には複合範疇に固有の素性を追加的に与えることができる.これによって,従来よりもより範疇文法の考え方に適した形で,単一化文法形式(意味情報の制約記述)を取り入れることができる.以下では,2章で範疇文法を概説し,3章で単一化文法の紹介とCUGにおける両文法記述の融合方法について解説した後,4章で本報告のアプローチを簡潔に紹介する.
著者
井関 健太 矢口 勇一 岡 隆一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.101-108, 2008-11-20

本報告は,任意の対画像のピクセル最適対応を与える2次元連続DPを用い,少ない枚数の画像で精度のよい3次元形状が復元できることを示す.従来法が対象物体から連続的に観測した面像列における特徴点の対応系列を利用するのに対して,提案手法は画像集合の1枚の画像と任意の他の画像とのすべてのピクセル対応を利用する.ピクセル対応点が稠密に利用できるため,因子分解法によって3次元形状を復元する際,少数枚の画像から精密な形状復元ができる.ピクセル対応関係からメッシュ構造が得られる事を利用し,ドロネー三角網を定義する事なく密なテクスチャマッピングを施すことができる.これらのことを実験で示すとともに,従来法の典型であるKLT,SIFT+因子分解法を同一画像集合に適用し,比較実験も行った.これらの実験で提案手法が従来法より精密な3次元形状復元を行うことが分かった.
著者
関口 俊一 栄藤 稔 江村 恒一 藤川 渡 益満 健 越後 富夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.302, pp.51-58, 2001-09-06
被引用文献数
1

XML-Schemaに基づくマルチメディア構造表現として2001年10月に標準化が予定されているMPEG-7の運用ポイントをダイジェスト視聴の視点で紹介する.ここでは, 膨大なMPEG-7の記述セットの中から, セグメント構造記述, 属性キーワード記述を選択した.実際の応用として, 映像の自動シーンカットを行い, それに属性キーワードを付随させるオーサリングシステムと, その結果得られるMPEG-7データとユーザ嗜好とのマッチングを端末側で行うことにより要約視聴を可能とするパケットストリーミングシステムを構築した.これにより, 長時間の映像コンテンツをユーザの視聴環境や嗜好に合わせてモバイル網で要約配信することが可能となる.
著者
有賀 豊彦 熊谷 日登美 吉川 雅清 川上 肇 関 泰一郎 櫻井 英敏 長谷川 功 衛藤 威臣 住吉 博道 恒吉 唯充 角 眞一郎 岩井 和夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.362-369, 2002-05-15
被引用文献数
4 16

天然無臭ニンニクといわれているネギ属植物について, 植物学的, 生化学的分析を行い, その種の同定を試みた.この植物は, 草丈, 鱗茎ともに通常のニンニクより大きく, 鱗片は花茎に密着して鱗茎を形成する大型のものと, 鱗茎の辺縁に付着する小型のものがあり, これらの数は20に及ぶ.花器はよく発達するが, ニンニクにみられる花序での珠芽形成はない.染色体は2n=32でリーキと同数であり, にんにくの2倍であった.そのDNAの制限断片長多型(RFLP)は, リーキに似ており, ニンニク, エレファントガーリックなどとは異なっていた.アイソザイム分析においてはリーキと最も似たパターンを示した.鱗茎細胞内でのアリイナーゼ(C-Sリアーゼ)mRNAの発現は, 他種に比べ少なかったが, 大きさは等しく, 1.9 kbであった.この植物のアリイナーゼのN末端25アミノ酸残基の配列はリーキのそれと一致し, ニンニクとは2残基相違した.以上の結果から, この植物は, リーキと極めて近縁の植物であり, Allium ampeloprasum L.の中に分類することができると考えられる.
著者
若山 忠明 関根 由喜夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.243-248, 2003-08-20

The polyphenol oxidase (PPO) activity in the leaves, stalk or flesh, and core or peel of seven vegetables was determined, and the temperature, time and pH value required for the thermal inactivation of the enzyme were investigated. The PPO activity was highest at the bottom of the stalk in spinach, celery and komatsuna and in the core of cabbage, while the PPO activity in radish, carrot, and onion was highest in the peel. The enzyme activity was rapidly decreased by incubating for 10min at a temperature above 50℃ for celery and 60℃ for spinach, cabbage and komatsuna, whereas the carrot PPO activity was gradually decreased above 60℃ and reduced to 19% by heating at 70℃ for 10min. The enzyme obtained from carrot was the most heat resistant, requiring 59.3min at 65℃ for 90% reduction of the activity. The z value of PPO prepared from five vegetables ranged from 6.1℃ to 11.5℃. A change in pH from 5.5 to 4.0 resulted in a substantial reduction in the D value of radish PPO.