著者
関 達也 島津 利行 和智 誠 榊原 肇 大口 敬
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-38, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3

東京都内に整備される約 16,000 箇所の信号機のうち、約 8,000 箇所が交通管制センターに接続されており、約 20,000 箇所に設置された車両感知器の情報を元に信号秒数を調整している。車両感知器は交通状況把握に不可欠であり、約 19 年ごとの施設更新が適当とされるが、交通安全施設の維持費用や管理労力は多大であり、更新に遅れが生じている。近年、プローブ情報の活用に関する研究開発が盛んに行われ、実用化に向けた取組みも多く提案されている。我々は、TomTom 社の協力のもと、プローブ情報と車両感知器それぞれから推定した渋滞長と旅行時間の比較を行った。更に、車両感知器が整備されていない非幹線道路の交通状況をプローブ情報で補完し、実際の信号制御へ活用することの有効性を検証した。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
後藤 沙由里 関根 萌 鈴木 光子 小野寺 誠 伊関 憲
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.743-746, 2023-12-28 (Released:2023-12-28)
参考文献数
11

5%パラコートと7%ジクワット液剤の合剤であるプリグロックスL®は,少量の服用で死亡する。また,パラコートの経皮吸収による死亡例も報告されている。今回,自殺目的に致死量のパラコートを服用し短時間で死亡した1例を経験した。救助者の二次曝露も認めたため,周囲への注意喚起も含めて報告する。症例は58歳,女性。自殺目的に致死量のプリブロックスL®を服用しドクターヘリが要請され,救急車で陸路搬送した。来院から約4時間後に死亡した。機器分析ではパラコートのほか,グリホサートも検出された。一方,患者の夫は両上肢に吐物を曝露したが発赤は認めず,遅発性肺障害も認めなかった。本症例の問題点として,患者搬送方法と救助者の二次曝露があげられた。パラコートの患者の搬送は,患者と医療者の安全を考慮して搬送方法を選択する。また,パラコートに曝露した二次被害者に対しては速やかに除染を行い,入院の目安は皮膚障害が指標になる。
著者
森山 悦子 岩本 英希 新関 敬 永山 綾子 城野 智毅 下瀬 茂男 中野 聖士 野田 悠 鈴木 浩之 酒井 味和 黒松 亮子 古賀 浩徳 野村 政壽 川口 巧
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37-44, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
16

atezolizumab+bevacizumab併用療法(atezo+beva)はIMbrave150試験の結果に基づき,本邦でも肝細胞癌の一次治療薬となった.atezo+bevaは,実臨床においてもその有用性が示されている一方で,免疫関連有害事象(irAE)の報告も増加している.今回,我々は切除不能肝細胞癌に対しatezo+beva後に下垂体性副腎皮質機能低下症を生じた3例を経験したため報告する.3症例ともに,主訴は倦怠感であり,低血圧と著明な低Na血症を認めていた.血清ACTH値の増加は認めなかったが,血清コルチゾール値の低下を認め,下垂体性副腎皮質機能低下症の診断に至った.ヒドロコルチゾンの投与により全例で速やかに症状の改善を認めた.免疫チェックポイント阻害剤投与時には様々なirAEが出現し得るが,副腎皮質機能低下症による低Na血症および低血圧症も念頭に入れ,診療に携わる必要がある.
著者
一関 千聡 武井 良子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.309-316, 2023 (Released:2023-11-30)
参考文献数
10

急性期リハビリテーションにおける言語聴覚療法の対象領域は,摂食嚥下障害,構音障害,失語症を始めとする高次脳機能障害などによって起こるコミュニケーション障害への対応など多岐にわたる.藤が丘病院リハビリテーション室に言語聴覚士が配属されたのは2019年からであり,年々処方数は増加傾向にある.藤が丘病院における言語聴覚療法の現状を明らかにするために 2022年度の言語聴覚療法の実績調査を行った.その結果,言語聴覚士1名が1年間に依頼を受けた患者数は575名であり,対象となる原疾患も多様であることが明らかとなった.初回介入時に対象とした障害は摂食嚥下障害が最も多く,急性期摂食嚥下障害に対するリハビリテーションのニーズが高まっていることが伺えた.発症から言語聴覚士の初回介入時期については,67%の患者に発症後1週間以内に介入しており,早期から言語聴覚療法が必要とされることが明らかとなった.食事やコミュニケーションに支障をきたす急性期患者は多く,言語聴覚療法の需要は高い.しかし,急性期病院における言語聴覚士は少ないのが現状であり,その中で患者へ提供する医療の質を維持・向上させるためには,他職種との連携をより強化することや,少ない介入頻度でも高い効果が得られる方法を模索することが必要であると考える.また,昭和大学附属病院において急性期言語聴覚療法をより活発に実施していくためには,急性期リハビリテーションを担うことができる言語聴覚士の教育に取り組むことが急務である.さらに,急性期言語聴覚療法の必要性を示していくために,急性期言語聴覚療法の有効性を明らかにするためのデータを蓄積していくことが必要である.
著者
小関 和弘
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1-14, 1994-11-10 (Released:2017-08-01)

このエッセイで、私は一九三一年から四五年までの戦時中の新聞広告および国策宣伝の表現を素材として、それらと、いわゆる「文学」の表現とがどのような関わり方を持ったかを考えようとした。具体例に、口内清涼剤の広告表現が戦略として「文学」の表現を取り込んだ事実、国策宣伝の標語を詩人たちが無批判に自分の作品に吸収して行った事実を挙げ、「文学」表現および広告の表現が自立性を失う場面に焦点をあて、「文学」表現の自立の条件を裏側から照らし出そうと試みた。
著者
横関 俊也 森 健二 矢野 伸裕 萩田 賢司 牧下 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_577-I_588, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

本研究では,自転車利用者が通行位置と進行方向の選択を行う際に影響を与える要因を解明するため,自転車交通の観測調査とロジスティック回帰分析を行った.その結果,通行位置の選択には,年齢層や自転車のタイプ等といった自転車利用者の個人属性,自転車の進行方向,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無,歩行者や自動車,自転車の交通量が影響を与える要因となることがわかった.また,進行方向の選択には,自転車利用者の個人属性はあまり影響せずに,自転車専用通行帯や普通自転車通行指定部分の有無や大規模集客施設のあるサイドかどうか,車道と歩道の位置変更のしやすさ等の道路特性,路上駐車の有無や自動車と自転車の交通量が影響を与える要因として推定された.
著者
篠原 彰太 山根 裕介 大関 圭祐 吉田 拓哉 田浦 康明 小坂 太一郎 江口 晋 永安 武
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.986-990, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
10

症例は在宅中心静脈栄養を行っているヒルシュスプルング病類縁疾患の1歳11か月の男児.中心静脈カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection: CRBSI)を繰り返しており,定期外来で予防的エタノールロック療法を行っていた.受診4日前の定期外来時に,中心静脈カテーテル接続部のぬぐい培養を提出した.受診前夜に高熱が出現し,翌朝当科外来を受診した.ぬぐい培養でKlebsiella spp.が検出されていたこと,家庭環境から入院が困難であったことからセフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)による外来抗菌薬静注療法(outpatient parenteral antimicrobial therapy: OPAT)を選択した.外来でCTRX 60 mg/kgの静注及び2時間のエタノールロックを施行し,10日間の治療で治癒し得た.児の全身状態が保たれ,使用する抗菌薬が決定している場合は,OPATはCRBSIの治療選択の一つとなる可能性が示唆された.
著者
横関 彩佳 森田 倫正 小浜 尚也 永見 慎輔 福永 真哉
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.173-179, 2022-12-31 (Released:2023-04-30)
参考文献数
26

【目的】高齢者の嚥下障害の有無は誤嚥性肺炎と密接に関連し,その発症リスクを増加させることが指摘されている.そのため,早期から嚥下機能の評価や対応を行うことが望ましい.当院では,嚥下障害が疑われた症例に対し,主に嚥下内視鏡検査(VE)を用いて評価を行っている.VE 検査は簡便に実施することができ,質の高い評価が可能であるものの,本邦ではVE 検査所見から誤嚥性肺炎発症との関連因子を検討した報告は少なく,十分な研究が行われていない.そこで本研究では,臨床現場でしばしば遭遇する高齢者の誤嚥性肺炎に焦点をあて,VE 検査所見から嚥下動態を解析することで,誤嚥性肺炎の発症に関連する因子を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】当院にて嚥下障害が疑われVE 検査を受けた65 歳以上の高齢者254 例を対象とし,1 カ月以内に誤嚥性肺炎発症の既往がある群(54 例)と非発症群(200 例)で,VE 検査における嚥下動態について統計学的に比較検定を行い,関連性を検討した.加えて,検査時の姿勢,藤島の摂食嚥下能力グレード(FILS),栄養状態について統計学的に比較検討を行った.【結果】誤嚥性肺炎既往群と非既往群の群間比較では,男性,高年齢,神経変性疾患の有無,検査時の姿勢,FILS で有意差を認めた(p<0.05).VE 検査所見では,声門閉鎖の程度,梨状陥凹唾液貯留,早期咽頭流入,水分の梨状陥凹残留で有意差を認めた(p<0.05).誤嚥性肺炎の既往の有無を目的変数,2 群間の比較で有意差を認めたVE 検査項目を説明変数としたロジスティック回帰分析では,早期咽頭流入が抽出された.【結論】本研究の結果,誤嚥性肺炎の既往がある高齢者のVE検査所見から,誤嚥性肺炎の既往に関連する因子として早期咽頭流入に着目する必要があると考えられた.
著者
鎌田 裕 石田 真一 小関 隆久 菊池 満
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.367-377, 1997-05-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

日本原子力研究所の大型トカマク装置JT-60は, 1996年秋,大きな目標であった臨界プラズマ条件を達成した。これは,負磁気シアモードと呼ばれる定常核融合炉に適した運転方式で得たものである。この方式は,原研が提案した動力炉概念を契機に,その後も実験および理論の両面において,原研が世界的に研究をリードしてきた定常核融合炉構想から生まれた。本稿では,これらの炉心プラズマにかかわる実験および理論の最近の進展と核融合炉開発への意義,展望を概観する。
著者
関 勝寿 岩田 幸良 柳井 洋介 亀山 幸司
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.35-44, 2023-11-20 (Released:2023-12-18)
参考文献数
16

土壌の水分特性曲線の近似ではvan Genuchten のVG モデルが広く使われているが,団粒構造が発達した黒ボク土のような土壌では,VG モデルを足し合わせるDurner(1994) のdual-VG モデルがより適している.本研究では,SWRC Fit のdual-VG モデルによる非線形回帰のアルゴリズムを改良した.すなわち,水分特性曲線を高水分領域と低水分領域に分割し,それぞれをVG モデルで近似して得たパラメータをdual-VG モデルの初期値として与えて近似するという手法である.日本全国のアスパラガス圃場を中心とした試験圃場の実測データによりこの手法の精度を検証した.開発された手法により,検証されたすべての土壌において大域解とほぼ等しい適合度の曲線が得られることが示された.また,修正AIC によるVG モデル,dual-VG モデル,dual-VG-CH モデル(dual-VG モデルにおいてα1=α2 と したモデル)の比較をしたところ,黒ボク土,低地土,褐色森林土において,dual-VG モデルが最も適している試料が多いことが示された.
著者
尾関 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、「分子状水素水を用いた間質性肺炎(IP)に対する新たな治療法の開発」である。本研究ではマウスによる肺線維症モデルおよびIPの一因であるARDSモデルを用いて、分子状水素水のIPに対する治療効果とそのメカニズムを系統的に分析する。分子状水素の活性酸素(ROS)に対する防御機能や、Nrf2を介したヘムオキシダーゼ(HO)-1、制御性T細胞(Treg)の誘導機能により、IPやARDSが制御されることが期待される。
著者
市江 雅芳 関 敦仁 関 和則 半田 康延 藤居 徹 山本 澄子 大澤 治章
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、治療的電気刺激が片麻痒患者の歩行能力を改善するメカニズムを、筋音図・筋電図・動作解析を用いて明らかにすることが当初の目的であった。しかし、測定用マイクロフォンの質量が大きく、慣性による雑音が生じることが判明した。これは根元的な問題であるため、片麻痺患者の歩行動作時筋音図測定は断念せざるをえなかった。そこで、臨床研究は治療的電気刺激の効果確認に留め、測定システム更新後の布石として筋音図の基礎的な研究を行うこととした。1.2チャンネル表面電極式電気刺激装置を用いて、慢性期脳卒中患者5名に対し治療的電気刺激を行った。刺激部位は、大腿四頭筋および総腓骨神経で、交互刺激を1回15分間、一日2回行った。治療期間は約3ヶ月であった。その結果、歩行速度に改善が認められ、膝伸展力にも増加が認められた。2.筋音図計測の基礎実験を健常被験者で行った。大腿直筋および外側広筋、内側広筋を対象に、筋電図および筋音図の特性の違いを検討した。その結果、筋電図よりも筋音図において、膝の回旋肢位による違いが鮮明に現れることが判明した。また、筋電図は収縮力の増加に伴い比例的に積分筋電図が増加する現象が確認されたが、筋音図は、最大膝伸展の80%において、積分筋音図が減少する現象が認められた。3.次に等尺性筋収縮時における筋音図と筋電図の周波数特性を比較検討した。膝関節伸展時の大腿直筋の筋活動を、筋質図と筋音図により測定し、これらをFourier変換とWavelet変換を用いて周波数解析を行った。その結果、筋電図は筋の電気的活動そのものをとらえているが、筋音図は筋コンプライアンスの変化に伴う筋の固有振動周波数の変化をとらえていることが判明した。4.今後、質量の少ない筋音図測定装置を開発すれば、脳卒中片麻痺者の歩行が治療的電気刺激によって改善する筋に関する要因を明らかにすることが出来ると考えられる。
著者
外山 恵里 関 ゆかり 高橋 里佳 梅原 郁美 若山 曉美 七部 史 阿部 考助 下村 嘉一
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.213-218, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

【目的】アトロピン硫酸塩点眼薬(以下アトロピン)による屈折検査は弱視や斜視の治療に不可欠な検査であるが、副作用の発現が報告され注意が必要である。今回アトロピンによる副作用の発現率と症状について検討した。【対象及び方法】対象は2008年4月から2011年3月の3年間に屈折検査のためアトロピンを点眼した387例とした。初めて点眼した症例は387例中326例(84.2%)、2回目以上の症例は61例(15.8%)であった。点眼薬の濃度は3歳未満が0.5%、3歳以上は1%を基準とし、1日2回7日間行った。処方時に点眼による作用と副作用、点眼時の涙嚢部圧迫の必要性を説明した。副作用については発現率、発現時期、症状、濃度や年齢、他の疾患の合併の影響について検討した。【結果】初めて点眼した症例の副作用の発現は18例(5.5%)、このうち7例が点眼を中止した。症状は発熱が最も多く、点眼開始4日以内の発現が多かった。発熱や顔面紅潮は7月と8月の発現が他の期間より有意に高かった。副作用が発現した症例に他の疾患の合併はなかった。濃度別の副作用の発現は、0.5%は212例中12例(5.7%)、1%は114例中6例(5.3%)で有意な差はなかった(p>0.05)。年齢、性別による副作用の発現も有意な差はなかった(p>0.05)。2回目以上の症例の副作用の発現は61例中1例(1.6%)であった。【結論】アトロピンによる副作用の発現率は5.5%で、症状は発熱が多く、点眼薬の濃度、年齢、性別による影響はなかった。
著者
立瀬 剛志 石若 夏季 大野 将輝 関根 道和
出版者
地域生活学研究会
雑誌
地域生活学研究 (ISSN:21869022)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-9, 2022 (Released:2022-09-02)
参考文献数
10

2020 年、COVID-19 の感染拡大及びその拡大防止策により日常生活は大きく変化し、人々の直接的な繋がりも制限されるに至った。またコロナ禍は自殺の傾向にも影響を与え、自殺率が 10 年ぶりに増加に転じた。そこで今回、コロナ禍における自殺率及びその変動と社会資源や生活状況といった因子との関連性を確かめるため、社会統計データを用い都道府県単位でのコロナ禍における自殺率の格差を説明する要因を分析した。重回帰分析の結果、NHK 料金支払い率が高く、女性の就労時間等が長い都道府県ほど男性の自殺変化率は増加し、趣味・娯楽時間や学業時間、そして男性の家事時間が長い都道府県ほど女性の自殺変化率が増加していた。また関連要因として抽出された指標は、女性よりも男性で少なく決定係数も小さい結果となった。今回の結果から、コロナ禍における働き方や自分の生活時間などの変化に加え、学習時間や NHK 支払い率といった県民の堅実性といった側面からもコロナ禍の自殺背景を捉えることが重要と考えられる。
著者
関谷 浩孝 上坂 克巳 小林 正憲 南部 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_769-67_I_777, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

貨物車の経路選択行動についての既往研究では,所要時間及び費用に加え,道路構造,出発時刻,予測所要時間情報提供の有無等を説明変数とした研究は見られるものの,輸送品の特性に着目した研究は少ない.そこで,本研究では「要冷蔵の有無」及び「到着時間指定の有無」といった輸送品の特性を表す指標と,貨物車の経路選択行動との間に関係があることを実証データを用いて明らかにした.具体的には,物流センサスデータを用い,上記2つの指標それぞれと「高速道路利用の有無」の関係を分析し,冷蔵が必要な品物及び到着時間を指定された品物は,高速道路を利用して輸送される割合が大きいことを示した.