著者
許 鳳浩 阿部 哲朗 鈴木 信孝 太田 富久 川端 克司
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-8, 2017

シイタケ菌糸体抽出物は癌化学療法との併用時に,患者のQOLを維持・改善することが報告されている.本研究では,様々な治療背景および様々なステージのがん患者のQOLに及ぼすシイタケ菌糸体抽出物の影響を検討した.16施設で73症例を対象にシイタケ菌糸体抽出物を4週間(1,200 mg/day)連日経口摂取させ,摂取前後のQOLをEORTC-QLQ-C30調査票でスコア化した.シイタケ菌糸体抽出物摂取後のQOLスコアは被験者全体では,摂取前スコアに比べ,心理的,疲労スコアで有意に改善した.特にステージ3,4の被験者では,総体的,身体的スコアの改善も観察された.シイタケ菌糸体抽出物の経口摂取の併用は,進行性がん患者のQOLを改善することが示唆された.
著者
阿部 和夫
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.315-321, 2006 (Released:2006-05-23)
参考文献数
40
被引用文献数
1

Freezing of gait is observed in quiet a few neurological diseases but has been raised a main and disabling neurological sign in Parkinson's disease (PD). In this mini-review, studies concerning freezing of gait in PD are reviewed and a hypothesis that the freezing of gait phenomenon in PD originates from interlimb incoordination are introduced. Pathogenesis of the freezing of gait phenomenon remains unknown, but some hypotheses have been raised : (1) Rhythmical contraction of anterior tibial muscles are prohibited, (2) Postural changes to initiate gait are disturbed, (3) Reciprocal inhibition in the spinal cord is disturbed due to abnormal descending commands from the central nervous system. Based on experiments conducted using a special type of ergometer (strength ergo 240W), Abe et al observed interlimb incoordination in PD patients with freezing of gait during pedaling. In addition, Plotnik et al. observed asymmetrical lower limb movements during walking and considered that PD patients with freezing of gait might have interlimb incoordination. These studies may support a hypothesis that freezing of gait in PD originates from interlimb incoordination.
著者
石川 和信 首藤 太一 小松 弘幸 諸井 陽子 阿部 恵子 吉田 素文 藤崎 和彦 羽野 卓三 廣橋 一裕
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.259-271, 2015-06-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5

シミュレーション教育への理解と普及をはかり, 医学生の臨床能力の客観的評価システムを全国の医学部教員が連携して確立することを目的として, 第46回日本医学教育学会大会の開催翌日に, 医学生イベントとして, シムリンピック2014を開催した. 全国公募した12チーム36名の医学部5, 6年生が参加し, シミュレータや模擬患者を活用した6つのステーション課題に挑戦した. 各課題の構成, 難易度, 妥当性を臨床研修医の協力で検証し, 実行委員会でブラッシュアップした. 企画の構想, 実行委員会組織, 開催準備, 当日の概要, 参加者アンケート結果に考察を加えて報告する.
著者
阿部 祐治 奥 忍
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.29-44, 1992-03-01

現在、どの国やどの地域においても最も大きな影響を与えている異文化の音楽は西洋の音楽である。一方、自民族の音楽に文化的象徴としての役割を担わせようとする動きも起きている。本小論では、西洋の音楽が異文化であるアジア諸国の中からシンガポール、マレーシア、日本、タイ王国をとりあげ、その社会的背景となっている文化、教育と子どもたちの音楽文化に対する意識との関係をアンケート調査に基づいて考察する。
著者
阿部 昭 笠谷 和比古 浅井 潤子 大藤 修 森 安彦 廣瀬 睦
出版者
国文学研究資料館史料館
雑誌
史料館報 (ISSN:03859517)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-16, 1987-03-31

県史編さんと県立文書館農民史料の名称付与について史料所在調査報告『大塩平八郎一件書留』の刊行昭和六一年度新収史料紹介全史料協第一二回大会参加記受贈図書彙報
著者
桐山 裕二 金沢 健雅 濱島 吉男 阿部 篤朗 橋本 かおり 藤原 寛樹 秋山 篤子 山井 庸介 清水 豊 本村 一郎 一和多 俊男 平岡 仁志 長尾 光修
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.338-343, 1999

症例は21歳, 男性。20歳時よりうつ病, 心身症で某医にて加療歴あり。深夜に泥酔状態で帰宅し, 酸素スプレーと誤って家庭用殺虫剤を吸入した。翌朝になって発熱, 咳嗽, 血痰, 呼吸困難が出現し近医で胸部異常影を指摘され, 当科紹介入院。入院時の胸部X線では両側S^6主体の肺胞性浸潤影が認められ, 発症経過からリポイド肺炎が考えられたため, パルス療法と抗生剤による治療を施行した。全経過中に胸水貯留像や結節状陰影など多彩なX線像を呈したが, ステロイド療法継続により線維化像をみることなく改善した。本症例では組織診断は得られなかったが, 気管支洗浄液のガスクロマトグラフ質量分析の結果において, 誤って吸入したとされる殺虫剤成分に含まれるケロシンと同一成分が気管支洗浄液中に検出されたことより外因性リポイド肺炎が強く疑われた。
著者
阿部 潔
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.137-143, 2014 (Released:2016-07-10)
被引用文献数
1
著者
菅原 幸治 南石 晃明 阿部 浩 井手 洋一
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.123-137, 2006
被引用文献数
2

都道府県による病害虫雑草防除基準の作成を支援するため, クライアント・サーバ型の農薬登録情報取得・編集システムを提案し, 開発を行った. 6県の病害虫雑草防除基準の内容を調査したところ, 県ごとに書式は異なるが作物ごとの農薬使用基準表などのデータ項目は共通部分が多いことがわかった. このため, 更新頻度の高い農薬登録情報のデータベースをサーバ側で一括管理し, Webを通して農薬使用基準データの提供を行うとともに, 各クライアント側でサーバから任意にデータを取得して編集を行うシステムが妥当であると考えた. 開発したシステムの構成は, 農薬登録情報のデータベース (農薬ナビDB) から農薬使用基準データを抽出して配信するサーバ側アプリケーション「農薬ナビDBサーバ」, ならびに, 対象とする農薬, 作物, 病害虫雑草に応じて農薬使用基準データを取得し並べ替え・集計等の編集を行うクライアント側アプリケーション (以下, クライアントアプリ) からなる. クライアントアプリは利用目的に応じて多数の種類があってよいが, 汎用性の高いクライアントアプリとして, データ検索・取得の操作性を追求した「ACFinder for 農薬ナビ」, ならびにデータの取得後に任意に編集可能な「ACLoader」を開発した. クライアントアプリ上でデータの並べ替え, 集計, 二次検索, 追記などの操作を直接行うことで, データの検索・編集に要する労力を軽減可能となる.
著者
阿部 章彦 加藤 匡志 稲葉 鋭
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.254-259, 1989-12-25 (Released:2009-12-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

鉄と真菌の相互作用について著者らが行ってきた実験結果をもとに深在性真菌症の組織応答の面から検討した.1) 鉄過剰状態による易感染性: 鉄過剰状態後のICRマウスに Candida albicans を接種すると, 早期に腎膿瘍が形成され, 仮性菌糸が認められたが, 対照群ではその時点で膿瘍内に真菌要素はみられなかった. すなわち, 鉄過剰は真菌症の組織学的所見には本質的な差異をもたらさなかったが, 真菌要素の発育促進に大きな影響を与えていた. 白血病マウスを用いた実験でも同様の結果であった.2) 血清鉄低下による感染抵抗性: Lipopolysaccharide あるいは muramyl dipeptide を前処置して血清鉄を低下させた後, アスペルギルスを接種すると, その発育速度の低下がみられ, 真菌病変の形成に時相のずれをきたした.3) UIBC (不飽和鉄結合能) の低下による易感染性: 糖尿病性ケトアシドーシスによるUIBCの低下は, Rhizopus oryzae の発育を促進した.4) トランスフェリン量低下による易感染性: D (+) galactosamine 肝障害は, トランスフェリン量を低下させ, カンジダの発育を促進した.以上の鉄代謝の変化による深在性真菌症の組織応答は, それぞれの対照群と比べ, 本質的な差異はなかったが, 鉄代謝の変化は真菌の発育の速さと病変の広がりに影響を与えていた.
著者
佐野 晴洋 山下 節義 川西 正祐 井口 弘 吉永 侃夫 小城 勝相 塚本 幾代 藤田 博美 岡本 浩子 加藤 伸勝 宮本 宣博 浮田 義一郎 山根 秀夫 森 律 池田 栄三 乾 修然 藤岡 惇 阿部 醇吉
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.566-579, 1982-06-30 (Released:2009-02-17)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

An epidemiological survey and clinical investigations were carried out on 162 retired workers from manganese mines and ore grinders, who were the residents of the Tamba district of Kyoto Prefecture. Most of the workers had been employed in small industrial factories with less than five employees under very poor working conditions. Fifty-five percent of them had worked in the mines and factories for longer than 11 years. Forty-six percent had been retired for 11-20 years, whereas 27% for longer than 21 years. A group of 124 people living in the same region but who had not been exposed to manganese served as the control group.The incidence of subjective symptoms associated with chronic manganese poisoning such as emotional instability, psychomotor irritability and neurologic abnormalities was apparently high in the experimental group and it increased with the period of exposure to manganese dust. Twenty-eight percent of the workers reported the subjective symptoms while they were employed, but 45% of them reported as late as six years after they retired.Of the retired workers, five (3.1%) had parkinsonism, three (1.9%) showed symptoms of hemiparkinsonism, and fifteen (9.3%) showed neurological symptoms including maskedlike, gait unbalance, slurred speech and imparied fine movements. Forty-five percent of these patients recognized these abnormalities for more than five years after they had left the contaminated workings. It is noteworthy that 39% of the retired workers were diagnosed as having pneumoconiosis.Some of the problems encountered in diagnosing manganese poisoning after exposure has been terminated is also discussed here.
著者
園田 潤 昆 太一 佐藤 源之 阿部 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.8, pp.302-309, 2017-08-01

現在,トンネルや道路などインフラの劣化が社会問題化しており,異常箇所を効果的に早期発見することが必要とされている.このような社会インフラの検査センシングには地中レーダが有効である.しかしながら,例えば,鉄筋コンクリート下の空洞検出のような電磁波が多重散乱しレーダ画像が複雑になるような場合では,信号処理をしても空洞の判定が困難で熟練技術者による判読が必要になる問題があり,得られたレーダ画像の検証や検出可能な物体サイズなどの理論的検討が必要であった.そこで本研究では,地中レーダを用いた鉄筋コンクリート下の空洞を客観的・定量的に検証するために,GPUを用いたFDTD法による高速地中レーダシミュレーションにより空洞検出特性を明らかにする.
著者
高田 博行 阿部 美規
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

18世紀から19世紀後半に至るまでのドイツ語正書法の歴史を概観するなかで18世紀の二人の文法家、すなわちJ.Ch.ゴットシェート(1700-1766年)とJ.Ch.アーデルング(1732-1806年)の正書法原理を明らかにすることが本研究課題にとって最重要であることが判明した。ゴットシェートに関してはその著"Kern der deutschen Sprachkunst"(1773年)における正書法規則を調査した。ここで基準とされる「発音」とはあくまでも「宮廷人」が話す発音であり、また同じく基準とされる「慣習」は「最良の文筆家」の書法であった。唯一言語学的な基準は「語幹」主義、すなわち語幹を一定の書法で統一的に綴ることであった。この3つの原理が同時に働くケースにおいてどの原理を優先させるかについては、事例ごとのアドホクな決定に委ねるほかなかった。アーデルングの主要な文典からは、彼が上部ザクセンの上流階級の用いるドイツ語を模範とし、正書法の原理としてはこの模範における「発音」、「形態」(Abstammung)、そして「慣習」を、この順で重視していることが明らかとなった。コーパスに基づく調査の結果、いわゆる分離動詞の綴り方に関する彼の規範が、しばしば同時代の文筆家の実際の綴り方と一致しないことを確認したが、これは分離動詞の正書法に関しては、「発音」および「形態」がその他の場合ほど有効ではなく、「慣習」の影響を大きく被ることによると思われる。また、分離動詞の分かち書き・続け書きには分離動詞を構成する要素の元来の品詞が関与している可能性も指摘できる。