著者
松尾 賢司 高木 幸一 小池 淳 松本 修一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.13-18, 2002
参考文献数
6
被引用文献数
4

MPEG-4のFGSは,可変ビットスケーラビリティを実現し,ネットワーク上での帯域変動に対して高い適応力を持った動画像伝送を可能とする.しかし,FGSで用いられるビットプレーン符号化方法は,下位プレーンにおいて符号化効率が低下するという問題があった.そこで本稿では,ビットプレーン符号化の効率を改善する方法を提案する.まず,有意係数の分布に基づいてDCT係数の各ビットを有意ビット群と既有意ビット群に分類する.次に,それぞれのビット群に対して最適な効率を実現する符号化方法を適用する.この際,符号化の順序は,復号画像の品質を向上させる度合いの高い情報から順番に行う.本提案方式により符号化効率は改善され,復号画像品質はFGSと比較して0.2dB程度向上する.
著者
高木 昌美 高橋 敏雄 平山 紀夫 Istiyananingsi Mariana Siti Zarkasie Kamaluddin Sumadi 緒方 宗雄 太田 修一
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.637-642, 1991
被引用文献数
5

1987年から1988年にかけて, インドネシア共和国西部ジャワのワクチン未接種の在来鶏(12農場, 196羽)および採卵鶏(8農場, 197羽)を用いて, Haemophilus paragallinarumに対する赤血球凝集抑制抗体の測定を行うと共に, 野外病鶏からの本菌の分離を試み, これらの地域における鶏伝染性コリーザの調査を行った. 本菌に対する抗体は, 地域に関係なく, 在来鶏および産卵鶏から検出された. 供試した農場の70%(14/20), 供試鶏の19%(73/393)に抗体が検出された. A型抗体は, 計11農場(55%)で検出され, 11%(45/393羽)の鶏が陽性を示した. C型抗体は, 計5農場(25%)で検出され, 8%(30/393羽)の鶏が陽性を示した. また, コリーザ様症状を呈する鶏からA型菌2株, C型菌1株の計3株が分離された. これらの成績から, インドネシア国西部ジャワでの, 両血清型による本病の発生が明らかとなった.
著者
高木 昌美 高橋 敏雄 平山 紀夫 Istiyananingsi Mariana Siti Zarkasie Kamaluddin Sumadi 緒方 宗雄 太田 修一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.637-642, 1991-08-15

1987年から1988年にかけて, インドネシア共和国西部ジャワのワクチン未接種の在来鶏(12農場, 196羽)および採卵鶏(8農場, 197羽)を用いて, Haemophilus paragallinarumに対する赤血球凝集抑制抗体の測定を行うと共に, 野外病鶏からの本菌の分離を試み, これらの地域における鶏伝染性コリーザの調査を行った. 本菌に対する抗体は, 地域に関係なく, 在来鶏および産卵鶏から検出された. 供試した農場の70%(14/20), 供試鶏の19%(73/393)に抗体が検出された. A型抗体は, 計11農場(55%)で検出され, 11%(45/393羽)の鶏が陽性を示した. C型抗体は, 計5農場(25%)で検出され, 8%(30/393羽)の鶏が陽性を示した. また, コリーザ様症状を呈する鶏からA型菌2株, C型菌1株の計3株が分離された. これらの成績から, インドネシア国西部ジャワでの, 両血清型による本病の発生が明らかとなった.
著者
Chowdappa Rekha 長谷川 信美 後藤 正和 小薗 正治 藤代 剛 高橋 俊浩 高木 正博 野上 寛五郎 園田 立信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-156, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
2

幼齢ヒノキ造林地(YF区, 2003年6-9月)および野草地(NG区, 2003年10・11月)に放牧された黒毛和種雌牛の行動とルーメン内性状の特性を明らかにするために、24時間行動観察とGPSによる移動距離測定を各月1回, ルーメン液採取を各区2回行った。採食行動時間は平均537.7±109.8分/日で、Miscanthus sinensis採食割合と正(r=0.436, p<0.05)、Pleioblastus simonii採食割合と負(r=-0.676, p<0.001)の有意な相関を示した.M. sinensis採食割合は、P. simoniiおよびその他の植物採食割合と負(p<0.001)、横臥姿勢割合と正(p<0.05)の相関を示した。放牧期間中の移動距離は5001-6879mであった。ルーメン液中総VFA濃度に大きな変動はみられなかったが、個々の脂肪酸割合には牧区と時期によって変動に違いがみられた。NH_<3^->N濃度はYF区がNG区よりも高かった.総プロトゾア数/mlはYFで放牧初期2.0×10^6から放牧後期3.0×10^5に減少し、NGでは変化は示さず1.0×10^6で、両区ともEntodinium割合が最も高くかった。総バクテリア数/mlは1.4×10^7-8.2×10^8で、cocci (+)とcocco (-)の割合が高かった。この研究において、牛は幼齢造林地と野草地放牧に、行動を変化させ多様な植物を選択することで適応する能力があることが示された。
著者
小林 智紀 高木 通俊 高倉 葉子
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.202, 2012 (Released:2012-03-28)

本研究は高揚力装置の一種であるGurney Flapの空力特性を,NACA4412形状翼を用いて実験的に求めたものである.Gurney Flapは高速走行する自動車に装着されることの多い高揚力装置であり,1970年代にDan Gurney氏によって考案された装置である. 実験条件はRe=6.5×105であり,Gurney Flapの大きさは翼弦長に対して0%,1%,2%,3%,4%,5%,6%の高さの装置を装着する.実験よりC<>L</>曲線の変化の傾向を維持した状態での揚力係数は高さが4%のものが最も高く,翼のみの状態に比べ2倍の効果を発揮した.また変化の傾向が異なるが揚力係数がより高くなるFlapもあった.抗力係数は高揚力装置の高さを高くするほど同じ迎角でも上昇する傾向を示した.揚抗比はFlap高さが低い状態ほど高く,4%の高さの装置を装着している状態では装着していない状態と比較して74%まで減少した.これらの結果よりGurney Flapは翼重量の増加を最小限として揚力係数を得たい場合や動力の余力があり抗力係数を考慮する必要性が低い場合に最大限の能力を発揮する.
著者
日影 弥生 中屋 紀子 渡瀬 典子 長澤由喜子 浜島 京子 黒川 衣代 高木 直 砂上 史子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.5, 2003

1.はじめに 第3報では、『家庭生活についてのアンケート』中の母親と父親の職業の視点から全国と東北のデータについて比較分析することを目的とした。2.方法(1)調査対象および調査時期対象者は全国では6959名(小4;1484名、小6;1514名、中21;1870名、高2;2091名)、東北では3070名(小4;621名、小6;792名、中2;686名、高2;971名)とした。なお、この人数はアンケートの全ての項目に回答した者としたため、第1報および3報とは異なる結果となった。(2)調査時期およびアンケート項目、これらは全国調査と同じであるため省略した。(3)分析方法アンケート項目の「あなたのお母さん(またはお父さん)はどのような仕事をしていますか。」の回答と他の項目とをクロス集計し、検定により有意差を調べた。3.結果および考察(1)母親と父親の就労の有無とその形態a)労働をしている母親と父親の割合母親と父親が労働してるかどうかの観点から、その割合をみた。その結果、両親が働いている家庭は全国S8.1%、東北61.7%、母親だけが働いている家庭は全国 3.0%、東北 4.9%、父親だけが働いている家庭は全国20.6%、東北18.6%となり、両親と母親だけが働いている家庭は東北の方が多く、父親だけが働いている家庭は全国の方が多い結果となった。この傾向は、各学年でもほぼ同様となったが、中学2年生の両親が働いている家庭は全国79.0%と東北62.8%となり、他と異なる結果となった。b)母親と父親の就労形態 両親ともフルタイム就労家庭は全国21.4%、東北29.3%、母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労の家庭は全国23.4%、東北17.1%、母親が無聯で父親がフルタイム就労の家庭は全国17.0%、東北14.3%となり、全国に比べて東北では両親ともフルタイム就労の家庭が多く、母親がパートタイム就労や無職の家庭は少ないことがわかった。(2)母親と父親の就労職業からみた子ども達の生活実態両覿の就労形態のうち代表的と思われる「両親がフルタイム就労」、「母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労」、「母親が無職で父親がフルタイム就労」の3つの形態の家庭について子ども達の生活実態を分析した以下は、t検定の結果、有意差がみられたものについて示した。「両親がフルタイム就労」では、東北の方が、朝ごはんを家族みんなと一緒に食べている家庭が多いこと、洗濯機で衣服の洗濯をし、とれたボタンつけをいつもする子どもが多いことがわかった。「母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労」では、朝ごはんの食べ方は全国では大人の誰かと一緒に食べている家庭が多いが、東北では家族みんなと一緒に食べている家庭が多いこと、また、全国の方が食事の用意をする母親が多いことがわかった。これらは、家族の人数や両親の通勤に要する時間などと関連することが推測された。
著者
長田 圭三 三宅 良彦 中沢 潔 松田 央郎 藤田 禎規 西尾 智 龍 祥之助 高木 明彦 岸 良示 原田 智雄
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.17, 2006

症例は47歳,女性.2002年より動悸症状あり,心電図で心房拍動(AF)を認めたため当院紹介受診.頻回に発作繰り返すため,pilsicainide 150mg/3× 処方.投与開始後約1週で歩行中突然の胸部圧迫感を生じ,失神・転倒し頭部打撲.当院救急搬送となった.来院時心電図上洞調律,QT延長なし.経過観察となった.以後動悸・失神は認めなかったが,2005年4月末より動悸あり,5月受診時3:1~2:1の心房粗動(AFL)を認めた.失神,<BR>AFL精査加療のため心臓電気生理学検査施行.AFL持続,頻回刺激で停止しないためpilsicainideを投与. 粗動周期延長をきたし1:1AFLに移行,その後VTに移行し血圧低下したためDCを要した.VTはPESで再現性を持って誘発,burstで停止可能.VPS3連刺激でVF誘発された.<BR>Pilsicainide投与により2種類の致死性不整脈の顕性化を認めた失神症例を経験したので報告する.
著者
角田 博之 宮岡 等 高木 謙 角田 和之 高森 康次 永井 哲夫 中川 種昭 藤野 雅美 片山 義郎
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.85-88, 2003-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

“Adolescent paranoia” includes phobias of emitting foul odor from one's own body, fear of eye-to-eye confrontation and dysmorphophobia.A 21-year old man visited the department of dentistry of our hospital complaining of foul breath, whose concern about his odor was delusional. He also exhibited “egorrhea” symptoms, such as fear of eye-to-eye confrontation and monologue, and was diagnosed as having adolescent paranoia by a psychiatrist. The patient had started avoiding people, shut himself away in his room and talked to himself from the age of 15 or 16, after initially becoming concerned about his pimples. He also became concerned about foul breath and having suspicious eyes from the age of 17, felt that others were avoiding him, and became self-recriminatory. He later presumed that his thoughts were being expressed by his mouth contrary to his will.The self-rating questionnaire for assessing the severity of phobia of emitting foul breath received a high score of 36 out of 40. The questionnaire indicated the delusion of having halitosis, delusion of reference and poor social adaptability. He was, accordingly, diagnosed as suffering from Group III (severe) type of phobia of emitting foul breath. On the day of his first visit, he was also examined by a psychiatrist, and diagnosed as having adolescent paranoia and administered 1 mg of risperidone.This patient's symptoms suggested the possibility of schizophrenia. Thus it was preferable to pay attention to other symptoms of schizophrenia and the patient was therefore observed carefully.Dentists are likely to receive outpatients of this type who require immediate referral to psychiatrists. The case of this patient demonstrates the importance of an accurate differential diagnosis regarding complaints of emitting foul breath.
著者
高木 亮
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.121, no.8, pp.539-542, 2001-08-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
7
著者
新井 絢也 戸田 信夫 黒川 憲 柴田 智華子 黒崎 滋之 船戸 和義 近藤 真由子 高木 馨 小島 健太郎 大木 正隆 関 道治 加藤 順 田川 一海
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.148-149, 2018-06-15 (Released:2018-07-19)
参考文献数
3

A 95-year-old female was transferred to our hospital for the purpose of the treatment of cholangitis due to common bile duct stones. One day after removal of bile duct stones with endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP) , she suddenly suffered cardiopulmonary arrest. Prompt cardiopulmonary resuscitation was performed, and the spontaneous circulation and breathing resumed. Contrast-enhanced computed tomography revealed pulmonary embolisms (PE) in the bilateral pulmonary arteries. PE is known as a common but sometimes fatal complication after surgery, and prophylactic approaches including early ambulation, wearing compression stockings, intermittent pneumatic compression, and anticoagulants have been proposed based on the risk of developing PE. However, only a few reports have focused on the development of PE as a complication after invasive endoscopic procedures. In this article, we discuss the risk factors and the prophylaxis policy against PE after ERCP.
著者
高木 治 坂本 政道 世一 秀雄 小久保 秀之 河野 貴美子 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.38, 2018 (Released:2018-07-26)
参考文献数
4

我々はピラミッド型構造物(pyramidal structure: PS)の未知現象について研究をしている。これまで、PS内部に瞑想者が入り瞑想することによって、PS頂点に置かれた生体センサ(キュウリ切片)に影響があるかどうかという実験がおこなわれた。瞑想に関する条件は以下である。(1) 瞑想はPS内部でおこなわれた。(2) 全ての瞑想は、共同研究者である坂本政道によっておこなわれた。(3) 瞑想は1回30分。午前中3回、午後3回おこなわれた。(4) ヘミシンクによる瞑想がおこなわれた。(5) 瞑想中、瞑想者はPS頂点に置かれた生体センサに意識を向けなかった。瞑想者と生体センサは接触していない。従って、生体センサに対する影響は非接触効果である。非接触効果の測定は、キュウリ切片から放出されたガス濃度の測定によっておこなわれた。研究の結果、次の3つの発見があった。 (1) PS頂点に設置された生体センサへの非接触効果は、PS内に瞑想者が居る時と居ない時とで異なった(p=3.13×10-10) [1]。 (2) 非接触効果は、PS内に瞑想者が居る時には検出されず、居なくなった後に、10日間程度検出された(p=3.51×10-6) [2]。(遅延を伴った非接触効果)。(3)非接触効果は、PS内に瞑想者が居た場合にのみ起こり、それ以外の条件では起こらなかった(p=2.19×10-4) [3]。PSの未知現象は、PS内部の瞑想者によって引き起こされた現象である。このことから、PSは生体センサでは検出が難しい瞑想者エネルギーを、検出可能なエネルギーに変換する、一種の変換装置であると結論された。瞑想者エネルギーや生体センサに非接触効果を及ぼしたエネルギーは、現代科学においては未知なるエネルギーではあるが、我々はその存在を実証した。
著者
石田 静香 高木 領 藤田 直人 荒川 高光 三木 明徳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI2070, 2011

【目的】外力によって損傷を受けた骨格筋は、Caイオンの流入により生じる二次的な損傷部と非壊死領域の間に境界膜を形成する(松本, 2007)。筋は損傷を受けると変性、壊死後、再生する、という過程をたどる(埜中, 2001)ことから、再生の前段階である変性、壊死という二次損傷を最小限に抑えることは、次に続く筋の再生過程にも大きく影響すると考えられる。臨床場面、特にスポーツの現場では筋損傷後に寒冷療法を用いることが多い(加賀谷, 2005)。われわれは筋損傷後に与える温度刺激が筋の再生にどのように影響するのかを調べてきた。高木(2009)は、寒冷刺激によってマクロファージの進入が遅れることから、骨格筋の再生が遅延する可能性を報告した。また、Kojimaら(2007)は温熱刺激が筋損傷後の再生に重要な役割を担うと報告している。そこで、われわれは実験動物に筋損傷を惹起させた後、その二次損傷と再生過程が温度刺激によってどのように変化するのかを、寒冷、温熱双方の刺激を加えることで確かめることとした。<BR>【方法】8週齢のWistar系雄ラット15匹の前脛骨筋を用いた。動物を筋損傷のみの群(C群:n=5)、筋損傷後寒冷刺激を与える群(CI群:n=5)、損傷後温熱刺激を与える群(CH群:n=5)の3群に分けた。前脛骨筋を脛骨粗面から4mm遠位で剃刀を用いて約2/3の深さまで横切断し、筋損傷を惹起した。筋損傷作製から5分後に20分間の寒冷刺激あるいは温熱刺激を加えた。寒冷刺激は高木ら(2009)の方法に倣い、ビニール袋に砕いた氷を入れ、筋を圧迫しないように下腿前面に当てた。温熱刺激は約42度に温めた湯を入れたビニール袋を下腿前面に当てた。湯を入れたビニール袋は2分毎に交換した。これにより、筋温は寒冷刺激で約20度低下し、温熱刺激で約10度上昇した。筋切断から3,6,12,24,48時間後に、動物を灌流固定し前脛骨筋を採取した後、浸漬固定を行い、エポキシ系樹脂に包埋し縦断切片を作製した。厚さ約1&#181;mで薄切し、1%トルイジンブルーで染色して光学顕微鏡で観察した。<BR>【説明と同意】全ての実験は所属施設における動物実験に関する指針に従って実施した。<BR>【結果】損傷3時間後、全群で損傷部とその周辺に染色性の低下が見られた。これは48時間後まで徐々に進行した。CH群での染色性の低下が著明で、CI群では低下が抑制されていた。損傷3時間後から、全群で境界膜形成が進行し、12時間後には大部分の筋線維で境界膜が形成された。非壊死領域で、筋線維の長軸方向と平行に伸びる細長い空胞が3,6時間後に観察された。1視野あたりの空胞数の平均を調べたところ、C群1.0個、CI群2.3個、CH群4.3個であった。CI群、CH群ではC群と比較して大きな空胞が観察された。損傷3時間後、全群で単核の細胞が損傷筋線維内に観察され、本細胞は形態学的にマクロファージであると判断できた。筋線維内に進入したマクロファージ数は48時間後まで増加し続けた。筋衛星細胞は6時間後から全群で観察され、24時間後まで増加した。12時間後において全群で肥大化した筋衛星細胞が観察された。CH群では24時間後に、C群では48時間後に筋芽細胞が明らかに観察できたが、CI群では48時間後でも明らかな筋芽細胞は観察できなかった。<BR>【考察】損傷3時間後から観察された壊死領域の染色性の低下は、Caイオン流入による蛋白分解を示していると考えられる。CH群において染色性の低下が進行していたことから、今回の温熱刺激は蛋白分解を促進した可能性がある。CI群では染色性の低下が抑制されたことから、寒冷刺激は蛋白分解を抑制したと考えられる。損傷3,6時間後、境界膜が不完全な領域で、筋線維内に空胞が観察された。すなわち、この空胞は境界膜が不完全な段階でCaイオンが筋線維内に部分的に流入したために生じたと考えられる。CH群で多くの空胞が観察されたことは、温熱刺激により蛋白分解が促進され、境界膜形成前に二次損傷が進行した現象であろう。CI群における多数の空胞形成は、寒冷刺激により蛋白分解が抑制されたものの、境界膜形成や細胞小器官の集積がそれ以上に遅延したために生じたと考えられる。CH群における24時間後の筋芽細胞の出現は、骨格筋の再生過程の初期には温熱刺激が効果的である可能性を示唆していると考えられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究により、損傷急性期に与える温熱刺激は二次損傷を助長するが、再生過程においては効果的であることが示唆された。今後の臨床応用に興味深い示唆を与えたと思われる。