著者
鴨井 久司 曽我 謙臣 高木 正人
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.47-51, 1996-01-30
参考文献数
19
被引用文献数
2
著者
小菅 李音 高木 正則 市川 尚
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.31-38, 2020-12-12

著者らの大学では,数学リメディアル科目を反転授業形式で行っている.この科目では,授業の最初に著者ら が開発したチャットボットを利用し,予習で利用した e ラーニング教材や予習の学習内容について,学生自身が理解 の足りていないと考えている箇所を対話形式で回答させている.これまでの実践において,理解不足箇所の抽出が不 十分であるものの,抽出した理解不足箇所に対してシステムと人による支援を混ぜて学習支援を行うことで学生の理 解度向上に繋がることが示唆されている.本研究では,反転授業における学生の理解度の向上を目的とし,チャット ボットを利用した数学のつまずき箇所の理解を支援する学習支援システムの改善を行った.また,2020 年度前期に本 学で実施された数学リメディアル科目において,オンライン授業下と対面授業下で本システムの利用実験を行った. システム評価の結果,本システムにより学習者の理解不足箇所に応じた学習支援を素早く行うことが可能となり,学 生の理解度を深めることに繋がることが示唆された.
著者
高木 義和
出版者
新潟国際情報大学経営情報学部
雑誌
新潟国際情報大学経営情報学部紀要 = Journal of Niigata University of International and Information Studies Faculty of Business and Informatics (ISSN:24342939)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.51-75, 2019-04-01

1995年より大学2年生を対象に情報検索の授業を担当してきたが、2012年ごろから学生の情報検索行動が大きく変化したように感じていた。そこで授業で使用した2011年以降の情報利活用環境調査データを時系列で整理し、明らかになった問題点とその対応策を示した。➀高校1年でほぼ全員がスマートフォンを所有しインターネットの常時使用環境を入手している。予備知識もなく利用環境を突然入手しているためトラブルを避けるための基礎知識を自己学習できる仕組みが必要である。②学生がピンポイント情報と呼ぶ情報検索は1サイト選択が典型で、知るだけの使い捨て検索が多い。コンテンツ利活用力の向上には、生活を快適にするピンポイント情報検索と、知識取得のための情報検索を両立する力を育む必要がある。③学生は図書情報、学術文献情報を紙情報と呼びWeb情報を情報と認識している。紙情報を含めた複数の情報源から得た情報をまとめ、自己の知識構造に組み込む重要性を理解する必要がある。
著者
島袋 剛二 宮坂 尚幸 市川 麻以子 遠藤 誠一 坂本 雅恵 尾臺 珠美 吉田 卓功 塚田 貴史 塗師 由紀子 西田 慈子 高木 香織 中村 玲子 服部 早苗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.815-818, 2016

子宮脱に対して平易で有効な術式として, 腹腔鏡下円靭帯小腰筋腱固定術を考案したので術式の要点と短期成績について報告する。 術式: 骨盤リンパ節廓清時の要領で後腹膜を切開し大腰筋を展開する。この際に大腰筋前面を走行する細い帯状の小腰筋腱を明らかにしておく。円靭帯にまず針糸を1針かけておき, それで小腰筋腱をすくい縫合固定する。対側も同様の操作を行なう。この操作で子宮の牽引が不十分であれば第1針結紮の頭側にさらに第2針を追加固定する。固定後は後腹膜を縫合閉鎖する。 症例: 39歳 (完全子宮脱), 63歳 (子宮下垂), 43歳 (不全子宮脱) の3症例に本術式を施行した。3症例とも容易に手術を完逐でき, 術後10~24か月のフォローアップ検診で子宮脱の再発を認めていない。術後早期に1例で鼠径部痛, もう1例で大腿内側違和感の訴えがあったが軽快した。 今後, 症例数を蓄積してこの術式の有効性と安全性について検討していきたい。
著者
高橋 彰子 福原 一郎 高木 伸輔 井手 麻衣子 新田 收 根津 敦夫 松田 雅弘 花井 丈夫 山田 里美 入岡 直美 杉山 亮子 長谷川 大和 新井 麻衣子 加藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100455, 2013

【はじめに、目的】重症心身障害児者(以下;重身者)は,異常筋緊張など多様で重層した原因で症候性側弯が発症進行する.側弯の進行予防に対して理学療法が施行されるが,それ以外にも日常生活で使用する側弯装具が処方される場合も多い.今までは,ボストン型装具や硬性コルセットなどが広く使用されているが,大きく,通気性も悪く,服が着にくい,また痛みを訴えるなどのデメリットもあった.近年,3点固定を軸に側弯進行を予防し,装着感がよく,通気性なども改善された動的脊柱装具(DSB 通称プレイリーくん)が開発された.開発者の梶浦らは,多様な利点で,重身者の症候性側弯に有効であると述べている.しかし,親の子に対する装具装着の満足度や,理学療法士による効果判定などの関連性や,装具装着による変化に関しての報告は少ない.そこで,動的脊柱装具を処方された重身者の主たる介護者の親と担当理学療法士にアンケート形式で満足度と装具の効果について検討することを目的とした.【方法】対象は当院の外来患者で動的脊柱装具を作成した側弯のある児童または成人17名と,担当理学療法士6名とした.対象患者の平均年齢15.9歳(3~22歳),GMFCS平均4.7(3~5),Cobb角平均82.46(SD31.62)°の側弯を有していた.装具に対する満足度や効果の実感に関するアンケートを主たる介護者の親と担当理学療法士と分けて,アンケートを2通り作成した.親へのアンケートは,装具装着の見た目,着けやすさ,姿勢保持のしやすさ,皮膚トラブル,装着時間,総合的な満足度などの装具使用に関する項目に関して,20項目の質問を紙面上で答えさせた.理学療法士には姿勢変化,治療的効果などの評価の4項目に関して紙面上で記載させた.その他,装具装着前後でのCobb角を算出した.統計処理はSPSS ver20.0を用いて,質問紙に関しては満足度合を従属変数とし,その他の項目を独立変数として重回帰分析を実施し,関連性についてはpearsonの相関を用いた.理学療法士の効果判定に関係する因子の検討では理学療法士の評価を従属変数として,効果に対する要因,Cobb角を独立変数として多重ロジスティック解析を実施した.各質問紙項目内による検討に関してはカイ二乗検定を用いた.また,Cobb角の変化に関しては対応のあるt検定を用いた.危険率は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】全対象者と全対象者の親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得た.【結果】Cobb角は動的脊柱装具作成装着前後で有意に改善した.動的脊柱装具に関する親の満足度と関連する項目はCobb角の変化ではなく,体に装具があっていると感じている,装具の着けやすさ,装具を装着したときの見た目と関連していた.満足度と装着時間とは正の相関をしており,満足度が高い人ほど装着時間も長かった.理学療法士の評価は満足感と関連していなく,姿勢保持のしやすさ,Cobb角と関連していた.【考察】今回GMFCSレベル4~5のADLで全介助を要し,側弯の進行の危険性が高い方を対象としており,親の関心や理学療法士の治療選択も側弯予防は重要な目標の1つである.重身者の親の満足度は主に子どもの装着に関係する項目と最も関連していた.理学療法士の効果検討としてはCobb角,姿勢保持と関連していた.動的脊柱装具装着の前後で側弯に改善がみられることは,梶浦らの報告とも同様で,この体幹装具が側弯に対して長期的な効果の可能性も示唆された.その装具に関する理学療法士の効果判定はCobb角と関連が強く姿勢の変化を捉えている傾向にあった.親の満足度は最も快適に使用できる項目であり,満足しているほど装着時間が延長することが考えられる.今回のアンケートより,装具に対する親への感想を聴取することで生活状況の確認となり,満足度を高めるように作成することが可能となると示唆された.【理学療法学研究としての意義】重身者にとって側弯は内臓・呼吸器疾患と直接的に結びつきやすく側弯の進行予防は生命予後に関しても重要である.側弯進行予防の理学療法を効果的にするためにも,使いやすい側弯装具は重要な日常生活器機である.新たに開発された動的脊柱装具の満足度と効果についてアンケート調査を行った.親が実際の装具使用を肯定的に感じているほど,装着時間も長く,親の満足度に関連する因子として,装着しての見た目や,子の過ごしやすさも重要な因子であることが今回示唆された.
著者
小菅 李音 高木 正則 佐々木 淳 山田 敬三
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.613-614, 2018-03-13

近年,MOOCの出現により,講義映像を利用した反転授業の実践も行われている.著者らが所属する大学においても教科書や演習問題を含むeラーニング教材に加え,重要部分の補足説明のために独自に制作した講義映像を公開して反転授業を行っている.この映像は前年度までの授業評価アンケートに基づいて制作しているが,これだけでは詳細なニーズを十分に把握しきれていない問題がある.そこで,本研究では,新規映像の制作や既存映像の改善に対する詳細なニーズを抽出するために,チャットボットを利用したニーズ抽出支援システムを提案する.具体的には,学習ログ,映像視聴ログ,チャットログを分析することで,詳細なニーズの抽出を試みる.
著者
吉川 真 吉光 徹雄 高木 靖彦 出村 裕英 野口 高明 宮本 英昭 川口 淳一郎 藤原 顕 安部 正真 岩田 隆浩 川勝 康弘 田中 智 森 治 矢野 創
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.7, 2006

小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの観測で、500m程度の小さなS型小惑星についての理解が深まったが、我々は、さらに次の小天体探査ミッションについての検討を行っている。次のミッションとしては、S型と同様に小惑星帯で主要なタイプとなっているC型小惑星の探査を行いたい。このタイプでは、有機物や水をより多く含んでいると思われており、生命前駆物質の科学としても重要である。ここでは、これまでのミッション検討結果をまとめて報告する。また、是非、多くの研究者に小天体探査に参加してもらうことを呼びかけたい。
著者
藤川 光利 吉野 博 高木 理恵 奥山 博康 林 基哉 菅原 正則
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.652, pp.499-508, 2010-06-30 (Released:2010-08-26)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

The aim of this study is to develop the measurement method of multi-zonal airflow rates via human expiration (CO2). The adopted method measures multi-zonal airflow rates based on system identification theory. Also, it is a simple and cost effective method that is suitable to apply in domestic places. In addition, the method will only have minimal interference in the daily life of the residents concerned. As a step toward the practical use of this measurement method, several experimental studies were carried out in a full-scale test house and an existing house in order to investigate the accuracy.
著者
山本 奈美 諸岡 浩子 長石 啓子 高木 弘子 渡邉 照美 福田 公子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.6, 2006

<br>【目的】<br> 平成11年3月に告示された現行学習指導要領では、職業に関する専門教育としての家庭科は、生活関連産業の各分野で必要とされる資質や能力の育成を重視するという趣旨が明確にされた。これまでに、生活関連産業の高度化、サービス化、消費者ニーズの多様化等を踏まえて内容の改善が図られつつあり、さらに職業に関する専門学科としての家庭科を明確に位置づけるためには、日本版デュアルシステム導入の可能性を提言しておく必要がある。家庭に関する専門学科の中では、調理師養成課程をもつ専門学科は生徒数の減少が小さく、中国地方5県を調査した結果からも明確なキャリアパスに基づいて専門教育と職業を直結させた特色ある取組をしている様子がうかがわれた。そこで、今後の家庭に関する専門学科の発展の方向性を探るために、岡山県内のA高校調理科を事例として、カリキュラムと授業実践にかかわる実態やそこで学ぶ生徒の意識を調査し、日本版デュアルシステム導入の可能性について検討した。<BR>【方法】<br> 調査対象校は、岡山県内の私立A高校の調理科である。平成17年10月から12月にかけて、資料収集及び授業観察、アンケート調査を行った。さらにその詳細を把握するために、調理科担当教員及び外部講師、校外実習受け入れ先の担当者から聞き取り調査を行った。授業観察は、1~3年の調理実習をそれぞれ観察し、指導者の発言に着目して分析を行った。生徒に対するアンケート調査は、調理科1~3年生の150名から回答を得た。質問項目は、調理科への志望理由、調理科での学習内容に対する意識、卒業後の進路希望とした。<BR>【結果】<br> 調理科の教育課程は調理師養成施設の設置基準に基づいているため、調理師として要求される技術や能力が最低限保障されているものと考えられた。それに加えて、A高校の調理科は約20年の実績の中で教育内容の改善を重ねるとともに、マイスター・スクールなど学校独自の特色ある取組によって他校との差別化をはかり、生徒にとって魅力ある教育内容が準備されていた。調理実習の授業では外部講師を積極的に活用し、調理科教員による基本的な指導のうえに、外部講師によってより専門的な指導が行われていた。また、外部講師の活用は単なる技術指導だけでなく、生徒の職業意識の向上にも役立っていた。アンケート調査からは、多くの生徒は高校入学時にすでに職業を見据えた進路選択をしていることが分かった。また、調理科での教育内容に対する生徒の役立ち感は高く、調理技術の向上や調理科で学んだ経験が生徒の自信につながっていた。1年次の春休みから3回に分けて行っている校外実習は、生徒が調理師としての仕事を直接的に体験する機会であるとともに、受け入れ先のホテルとしても労働力の確保、雇用の面からメリットがあると受け取られていた。<BR> 日本版デュアルシステム導入の検討にあたり高等学校における調理師養成制度をみると、学校側は調理技術の習得など基礎的部分の指導を担当し、ホテル側は校外実習の場を提供することにより一定レベルの技能を身に付けた人材を確保しやすくなるなど、「日本版デュアルシステム」的な理念や仕組みに通じるものがすでに成立していると考えられた。これをさらに充実・発展させるために、また第1報も踏まえた他の家庭に関する専門学科での日本版デュアルシステムの導入に向けた今後の課題として、1.学校と企業の間でコーディネート機能を果たす組織の必要性、2.教員の資質能力及び人事管理と研修の在り方、3.企業実習の方法・形態及び評価の在り方、4.学校と企業の役割分担を踏まえた教育課程の編成、5.生活関連産業で求められる資質や職業能力について検討し、その担い手を育成する家庭に関する専門学科の社会的認知や肯定的なイメージ形成をどうはかっていくか、などが挙げられる。
著者
高木 淳 玉井 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.638-639, 2003-07-01

死産児を分娩した妻(O型)が出血多量のために夫(O型)の血液を輸血したところ,妻は輸血後に副作用を起こした.Levineら(1939)は,この妻の血清から104検体のO型赤血球中80検体を凝集する抗体を見出し,ABO血液型以外の血液型の存在を指摘した(図1左).その翌年,Landsteinerらはアカゲザル(Rhesus macaque)の赤血球をモルモットに免疫して得られた抗体が,アカゲザルのみならず白人の赤血球の約85%を凝集することを見出した(図1右).アカゲザルとヒトが同じ血液型抗原を持っていることを意味するので,この抗原を“Rhesus”にちなんでRh血液型と名付け,この免疫抗体で凝集する赤血球をRh(+)型,凝集しない赤血球をRh(-)型と名付けた.そして,Levineらの症例など,ABO血液型適合の輸血において副作用を呈した者に見出された現象はRh抗原によるものであろうと推定した.しかし,その後輸血副作用を起こした患者の血清中に他の種々の抗体が見いだされ,次に述べるように1種類の抗原によるものでないことが明らかになった. Rh 血液型因子 Rh血液型遺伝子はD,d,C,c,E,eが第1染色体の上に存在する.Dとd,Cとc,Eとeの各遺伝子がそれぞれ対立遺伝子として存在し,DCe,dCEなど3個ずつセットで両親からまとめて遺伝され(図2),各遺伝子が作る抗原が赤血球膜上に表現される.Rh式血液型抗原性の強さはD>>c>E>C>eの順であり,D抗原の抗原性はE抗原よりも10倍高く,D抗原が最も強い.したがって,両親からもらった1対の遺伝子セット(例えばDCe)の中に遺伝子Dを持つヒトをRh陽性者,持っていないヒトをRh陰性者と呼ぶ(dは,いまだに抗d抗体が検出されていないので理論上の抗原である).Rh式血液型はABO型と異なり,Rh陰性者でも血清中に抗Rh抗体を持っておらず,Rh陽性の血液をRh陰性者に輸血すると受血者がRh抗原に免疫されて抗体が産生される.また,Rh陰性の母親がRh陽性の夫の胎児を宿し,その児がRh陽性であると妊娠中または分娩時に児血球が母の血流中に入り,約10%の母が免疫されてRh抗体を作る.この抗体による児への影響は初回の妊娠においては一般的に軽いが,妊娠回数が増えるにつれて新生児溶血性疾患など重い症状を来したり,また抗Rh抗体が胎盤を通過して胎児血球と反応して流産を引き起こす場合もある.Rh陰性は日本では人口の0.2%であるが白人では15%と高い.Rh血液型抗原の命名法には上記のFisher-RaceによるCDE表記と,図2に示すWienerによるRh-Hr表記法の2種類がある.
著者
久部 高司 松井 敏幸 宮岡 正喜 二宮 風夫 石原 裕士 長浜 孝 高木 靖寛 平井 郁仁 池田 圭祐 岩下 明徳 東 大二郎 二見 喜太郎
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2269-2277, 2012 (Released:2012-10-22)
参考文献数
29
被引用文献数
1

【背景】潰瘍性大腸炎(UC)は,大腸病変のみならず回腸嚢炎など他臓器に様々な合併症を引き起こすことがある.その中で大腸病変に類似したびまん性の胃十二指腸炎がまれながら報告されている.【目的】UCに関連した上部消化管病変の定義を試み,その頻度と臨床経過を検討する.【方法】上部消化管内視鏡検査が施行されたUC 322例を対象とした.大腸病変に類似したびまん性胃十二指腸炎のうち,他疾患が否定され以下の定義に合致するものをUCに関連したulcerative gastroduodenal lesion(UGDL)と定義した.1)UCの治療により胃十二指腸病変が改善する.and/or 2)病理組織学的所見がUCに類似する.【結果】この定義に合致したUGDLは322例中15例(4.7%)で,15例の大腸病変の病型は全大腸炎型または大腸全摘出術後だった.病型別では全大腸炎型146例中9例(6.2%),大腸全摘術後81例中6例(7.4%)に認められ,大腸全摘出術後のうち4例は回腸嚢炎を合併していた.【結論】今後UCの診断治療に際してはUGDLの存在も考慮しなければならない.またUGDLは回腸嚢炎との関連も示唆された.
著者
高木 絢加 山口 光枝 脇坂 しおり 坂根 直樹 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.193-205, 2012
被引用文献数
1

邦人若年女性の約半数が日常的に四肢などに冷え感を有していることが報告されている.我々はこれまでに,若年女性の冷え感と低いエネルギー摂取量や体温・熱産生に関与する交感神経活動が関連していることを見出している.この結果に基づき本研究では,「若年女性の冷え感は,体熱産生が低いために,深部体温は保持されるものの末梢体温が低下し,その自覚症状として表れている」との仮説を立て,以下の実験による検証を試みた.被験者は,「四季を通じて日常的に四肢などに強い冷え感を自覚している女性(冷え群)」と「四季を通じて日常的に四肢などに冷え感をほとんど自覚したことのない女性(非冷え群)」各10名(18-21歳)とした.前夜から絶食した被験者に半袖半ズボンの検査衣を着用してもらい,異なる2日の午前8時30分に,体組成と安静時エネルギー消費量測定,もしくは体温と温度感覚(冷え感),交感神経活動(心拍変動解析)測定を26℃の実験室で行った.深部体温の指標として鼓膜温,末梢体温の指標として手先と足先の皮膚温度を,高感度サーモセンサーで60分間連続測定した.冷え感はビジュアルアナログスケールを用いて15分間隔で測定した.冷え群では非冷え群と比較して,体温・熱産生に関与する交感神経活動が有意に低く,除脂肪体重あたり安静時エネルギー消費量も低値傾向を示した.鼓膜温は全測定ポイントで2群で差がなかったが,冷え群では60分後の体温較差(鼓膜-手先,鼓膜-足先)が開始時と比べて有意に増加した.足先の冷え感スコアと鼓膜-足先の体温較差には,有意な正の相関を認めた.以上の結果から,日常的こ強い冷え感を有する若年女性は,(1)低い安静時エネルギー消費量,(2)深部体温には差がないが26℃・60分の曝露で深部-末梢体温較差が増加,(3)体温較差が大きいほど冷え感を強く感じるといった特徴を有することが示唆され,本研究の仮説が支持されたと考えられる.
著者
高木 幸子 安田 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.40, 2016 (Released:2016-10-17)

本研究では、楕円の輪郭の傾きを知覚する際に、楕円の内部要素の傾きが及ぼす影響を実験によって検討した。先行研究から、楕円の内部要素が傾いていると楕円の外部輪郭そのものが傾いて知覚され(高木・安田, 2014; 安田・高木, 2015)、内部要素が顔の場合には特異的な効果があること(高木・安田, 2014)が示唆されている。本研究ではさらに、楕円内部の直線成分の存在が及ぼす影響を検討した。実験では、楕円の内部要素を3種類(顔・T字・寄せ鍋)用意し、これら3種類の刺激について内部要素のみを傾きが0°の状態から±15°まで3°ずつ傾けた全11種類の画像を作成し、ターゲット刺激として提示した。結果から、先行研究と同様に楕円の内部要素が傾いていると楕円の外部輪郭そのものが傾いて知覚され、傾き角度によっては内部要素に直線成分がある場合(顔・T字)の方がない場合(寄せ鍋)と比較して錯視量が大きくなる傾向があることが示された。