著者
高橋 恭兵 立浪 良介 丹保 好子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.10, pp.1443-1448, 2008 (Released:2008-10-01)
参考文献数
33
被引用文献数
7 11

Diabetic patients exhibit increased blood plasma levels of methylglyoxal (MG), a metabolite of glucose. Since MG generates advanced glycation end-products (AGEs) that disrupt the functions of such biomolecules as proteins, it is responsible for the progression and complications of diabetes. A functional disorder of the vascular endothelium may also contribute to the progression and complications of diabetes. In endothelial cells, MG is the major precursor for the formation of AGEs. In this study, we examined the effects of MG on vascular endothelial cells and found that it induced the apoptosis of bovine aortic endothelial cells (BAECs). MG induced the collapse of mitochondrial membrane potential, an index of apoptosis, and the elevation of caspase-3 activity, an apoptotic execution enzyme, leading to cell death. Flow cytometric analyses with annexin-V and propidium iodide double staining revealed that cells exposed to a lethal dose of MG displayed features characteristic of apoptosis. MG induced an increase in the level of intracellular reactive oxygen species (ROS) prior to induction of apoptosis. Taken together, these findings suggest that BAECs exposed to MG die by apoptosis due to the increase of intracellular ROS level.
著者
杉浦 直人 幸田 泰則 高橋 英樹 河原 孝行
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、絶滅危惧種レブンアツモリソウの生物学的特性を解明し、その研究成果を効果的な保全管理・指針の実施に反映させることである。また、自生地の再生に用いるのに適した株の供給技術の開発もめざす。さらにカラフトアツモリソウとの交雑に関する現況調査も実施する。以下、4年間の調査研究によって得られた成果の概要を記す。1.マルハナバチ媒花としてのレブンアツモリソウの花の特性を明示するとともに、その結果率および稔性種子率に関するデータ解析等から送粉者としてのニセハイイロマルハナバチの能力についても評価した。また、この送粉昆虫にとって、ヒロハクサフジなどのマメ科草本が花資源として重要なことも解明した。2.生育地の立地や植生等に関する知見、たとえば、低標高で北西斜面の、比較的水はけの良い土地を好む、あるいはマイズルソウなどが共存種として頻出するなどのレブンアツモリソウの生育環境に関する共通項を解明した。また、花形態の解析や標本調査等から、その分類学的位置についても考察を加えた。3.レプンアツモリソウ個体群の遺伝的多様度を求め、地域集団問に大きな相違がないことを明らかにした。さらに、カラフトアツモリソウとの間に雑種が生じており、このまま放置すれば雑種化が進行してしまう危険性があることも指摘した。4.自生地の復元に最適な株の供給を可能にする共生発芽法の技術を確立し、この方法を用いて開花株を得ることにも成功した。また、菌との共生系の実態を解明するとともに共生菌の分類学的検討も行い、その由来が樹木の外生菌である可能性を示唆した。これらの諸知見は、現存自生地での保全管理にとどまらず、自生地の再生・復元を行なう際にも有益と考えられた。
著者
松本 勉 大石 和臣 高橋 芳夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.799-809, 2008-07-15
被引用文献数
2

通常はコピーできないビデオをコピーするようにプレイヤを改造することを困難にする,ICカード電子マネーを打出の小槌に変えさせないようにするといった耐タンパー技術は,システム実装に絡むセキュリティ技術であり,その内容が非公表であることが多く実態を掴みづらい.しかし,よりセキュアなシステムの構築を目指す立場からは耐タンパー技術に関して体系的な視点を持つことが重要である.本稿ではパソコン用のセキュリティチップTPMや組込みシステムに対して公表された最近の攻撃事例や研究成果を手掛かりとして,耐タンパー技術の現状と課題を探る.
著者
後藤 和文 高橋 陽子 中西 喜彦 小川 清彦
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 1988

鶏の受精卵を使って,本来は卵殻内で行われる胚の発生•発育を,台所用ラップを利用した培養器内で行い,ふ卵開始後72時間以降の一連の過程を観察した。いずれの個体もふ化までに至らなかったが,培養器素材とした台所用ラップ2種(ポリエチレン製,ポリ塩化ビニリデン製)の胚発生に及ぼす影響を比較し,また,減菌した粉末状卵殻を添加することによる奇型発生への影響についても検討し,以下の結果を得た。<br>1) 本実験条件下での胚の生存率は,ふ卵開始後10日目で60.7%,15日目で41.1%であり,20日目までにほとんどの胚は死亡した。しかし20日以上生存したものが107例中7例見出され,最長生存日数は23日であった。<br>2) 培養胚の成長状態は,体重,くちばし長,脚部の長さ等を指標とした場合,通常ふ卵区のものに比べ,ふ卵12日目以降,徐々に遅延がみられ,16日目以降では約2日の遅延が認められた。しかし,体肢の大きさとは無関係に,ふ化日に近づくにつれ,通常ふ卵区のものと同時期に,卵黄の腹部への吸収が行われた。<br>3) 培養器素材として用いたポリエチレン製ラップは,ポリ塩化ビニリデン製のものに比して生存率が高かった。<br>4) 卵殻の添加により,くちばし•足指における奇型の発現が低減することを見出した。
著者
高橋 隆
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院短期大学紀要 (ISSN:02870878)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-32, 1988
著者
高橋 喜久雄 坂口 輝子 池谷 幸子 中村 春美 湊 真理子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.157-162, 2002-08-01

埋伏した下顎智歯を抜歯した後は,浮腫,疼痛,開口障害が通常みられる。われわれは下顎智歯抜歯患者111名に対して簡易冷罨法の効果を対照群(n=118)と比較して検討した。冷罨法の材料はパックし冷凍したポリジクロロナトリウムで,抜歯直後に顔面皮膚に適応した。主な結果は以下の如くである。1)冷罨法実施群と非実施群では,術後の体温,腫張度,開口度,鎮痛剤の服薬回数に統計的な有意差は見られなかった。2)術後の疼痛と開口障害感は患者の自覚的な評価としてVisual Analog Scaleを用いておこなったが,このような主観的評価では,いずれも冷罨法群が良好な結果を示した。3)冷罨法の適応に対して心地よさを感じた割合は74.8%であった。4)2群において,冷罨法による治癒促進効果や合併症の発現頻度に差は認められなかった。
著者
島田 和佳 半田 政志 近藤 丘 佐藤 伸之 吉田 浩幸 岡田 克典 松村 輔二 高橋 里美 薄田 勝男 羽隅 透 谷田 達男 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-43, 2000-01-15
被引用文献数
4

胸骨切除・再建を要した前縦隔脂肪肉腫の一手術例を経験したので報告する.症例は79歳男性で, 集団検診において, 右肺門部の異常陰影を指摘され精査加療目的で紹介入院した.良性縦隔腫瘍を疑い手術を行ったが, 術中所見にて前胸壁に浸潤を認めたため, 縦隔腫瘍摘除術並びに胸骨・肋骨合併切除を行った.胸壁再建にはMarlex meshでサソドイッチしたレジン板(methyl methacrylate resin)を用いた.術後経過は良好であったが, 術11カ月後に多発転移, 局所再発のため死亡した.脂肪肉腫は, 縦隔に発生することは稀であるため, 文献的考察を加えて報告する.
著者
高橋 沢弥
巻号頁・発行日
(Released:2013-05-15)

書誌のみ
著者
狩野 豊 高橋 英幸 森丘 保典 秋間 広 宮下 憲 久野 譜也 勝田 茂
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.352-359, 1997-01-10
被引用文献数
3

The relationship between the thigh muscle composition and the sprinting performance was investigated in 11 male adult sprinters (age/20.8±0.9 yrs, 100 m sprint time/11.20±0.33 sec). Axial images of the thigh muscle were taken by magnetic resonance imaging (MRI) at upper (70%) and middle (50%) position in femur. From these images, cross-sectional areas (CSA) of the quadriceps femoris, the hamstring and the adductor muscles were measured. The results of the regression analysis showed significant correlations between 100 m sprint time and both CSA of adductor and hamstring muscles at 70% position (r=-0.72 and r=-0.67, respectively). There were no significant correlations between 100 m sprint time and CSA of adductor or hamstring muscles at 50% position, and neither quadriceps femoris mudcles at 70 nor 50% positions. These results suggest that greater muscle volume of hamstring and adductor at upper position affect sprinting performance.
著者
長張 愉美 高橋 秀理 小林 峰子 小林 雅人 正田 聡 豊田 利男 白石 史典 平塚 卓 平塚 秀雄
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 : 日本人間ドック学会誌 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.294-297, 1998-11-30
参考文献数
2

ドックに大腸検診を導入するに当たり,最も障害になるのは,その前処置となるポリエチレングリコール:ニフレック(以下PEG)の内服である。PEGの負担を減らす方法は,(1) 男性に対しては,抹茶味PEGを主軸に当日大量嵐内服(2) 女性に対しては,年齢,嗜好に合わせて,抹茶味PEGを主軸に複数のフレーバーを使用し,前日の食事制限などを含あ,こまやかな配慮が望まれる。
著者
高橋 雄介 山形 伸二 木島 伸彦 繁桝 算男 大野 裕 安藤 寿康
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.276-289, 2007-03-31
被引用文献数
60

本研究は,Grayの強化感受性理論(Reinforcement Sensitivity Theory)に基づいた2つの気質次元,行動抑制系(Behavioral Inhibition System)と行動賦活系(Behavioral Activation System)について,日本語版尺度の信頼性・妥当性の検討(研究1),生物学的基盤との対応関係の検討(研究2)を行った。研究1では,大学生446名を対象に質問紙調査を行い,Carver & White(1994)が作成した尺度の日本語版の信頼性を確認した。また,因子的妥当性,構成概念妥当性の検討を行い,十分な結果を得た。研究2では,慶應義塾双生児プロジェクトによって集められた双生児を対象に質問紙調査を実施し,293組から有効な回答を得た。行動遺伝学的解析の結果,BISとBASは遺伝要因によって部分的に説明され,お互いに独立な遺伝因子から寄与を受けていることが分かった。
著者
吉井 智晴 福島 豊 星 虎男 山内 章子 前原 達也 高橋 奈央
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0635-G0635, 2004

【はじめに】「コミュニケーション能力」は対人サービスを行う理学療法士にとって大変重要である。しかし、その教育方法論は確立されておらず試行錯誤の状態である。そこで基礎能力の向上を目的として授業を実施し、その結果を報告する。<BR>【対象と方法】理学療法学科1年生35名。男性17名。女性18名。平均年齢20.7±4.4歳。4大卒11%、職歴無77%と現役の学生が多かった。授業目標を「話す・書く・聞く能力の基礎を身に付ける」とし、理学療法概論の授業の中で実践した。具体的にはアサーティブネスの理論を用いたロールプレイングや3分間スピーチで、スピーチを聞く側にはコメントシート提出の課題を課した。コメントシートには発表者の良かった点と改善したほうが良い点を書く。それをコピーし、1枚は教員がコメントの内容ではなく書き方について指導し、書いた学生にフィードバックする。もう1枚は発表者にフィードバックするという方法を取った。従って学生1人当たり、35人にコメントし、35人からコメントがもらえる仕組みである。発表する学生はもちろんのこと聞く学生も聞き方を意識し、短時間で自分の意見を的確に書かなければならないという場面設定をした。「話す・書く・聞く」ことについて得意かどうかの自己評価をSemantic differential scale(SD法)にて行い、授業の前後での変化やその内容についてアンケート調査を実施した。統計手法は対応のあるウィルコクソン検定を用いた。<BR>【結果】1)「話す」は授業開始前平均2.8±2.7点→授業終了後5.2±2.4点と改善した。同様に「書く」は4.2±2.0点→5.8±1.8点、「聞く」は5.7±1.7点→6.9±1.4点とどの項目でも学生の自覚的得意度は有意(p<0.01)に向上した。2)変化の内容は、「話す」では「聞く人の事を考えて話すようになった」(65.7%)「書く」では「読み手の事を考えて書くようになった」(77.1%)「聞く」では「相手の話し方に注意して聞くようになった」(71.1%)の項目に回答する学生が多かった。また、それぞれの技術の向上を自覚できたものは「話す」5.7%、「書く」8.6%、「聞く」57.1%であった。<BR>【考察】授業前後での自己評価は改善し、肯定的な変化を自覚したものが多かった。その内容からは常に相手がいる事を強く意識するようになった変化が伺える。実際に体験させ、適宜フィードバックをする授業方法により、コミュニケーションは一方的な情報伝達ではなく、自分の言動によって相手の感情や理解の度合いも変わることに学生自身が気づいた結果だと思う。今回の方法で学生の気づきに対する効果は見られたが、コミュニケーション技術の向上を自覚できたものは「聞く」以外は少数であり、授業内容の検討が必要である。また、学生の能力の変化を見るため主観的、客観的な評価法も考えて行きたい。