著者
高橋 徹
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.7-16, 2015-06-25 (Released:2016-02-27)
参考文献数
59
被引用文献数
4 10

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,2011年に中国から報告されたフレボウイルス属のSFTSウイルス(SFTSV)による新興ウイルス感染症で,マダニ媒介性感染症と考えられている.日本国内においては2013年1月に初めての患者が確認されて以来,現在までに100名以上の患者が確認されている.SFTSVは以前から日本に存在し,かつ国内の広い範囲に分布することも分かってきているが,なぜ患者が西日本に偏在するのかは未だ不明である.SFTSの臨床像は,発熱,血小板減少,白血球減少,消化器症状のほかに,筋症状,神経症状,凝固異常など多彩であり,しばしば血球貪食症候群を合併する.病理学的にはウイルス感染細胞の増生を伴う壊死性リンパ節炎が特徴的所見である.急性期の血中ウイルス量や炎症性サイトカインの変動,感染動物モデルによる病態解析の研究も進捗しつつある.本稿では,日本におけるSFTS発見から現在までを概説し,SFTSの臨床および疫学的知見とSFTSV感染についてのウイルス学的知見について総説する.
著者
高橋 友明 畑 幸彦 石垣 範雄 雫田 研輔 田島 泰裕 三村 遼子 前田 翔子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.804-808, 2016 (Released:2017-01-13)
参考文献数
5

我々は,先行研究で腱板機能不全患者は僧帽筋上部線維の過剰な収縮と下部線維の活動低下が肩甲帯筋のアンバランスを生み,それによって腱板の機能不全を引き起こすと述べた。本研究の目的は,我々が行なっている肩甲骨周囲筋のアンバランスを矯正するための『肩甲帯筋トレーニング』の効果を明らかにすることである。対象は肩関節に愁訴のない健常人50例100肩で,下垂位最大外旋位(棘下筋テストの肢位)で男性は5kg負荷,女性は3kg負荷で3秒間保持を3回実施し,同時に僧帽筋の筋活動を計測した。次に肩甲帯筋トレーニングを5秒間2回実施後に前述と同様の方法で筋活動を計測し,トレーニング前後での筋活動量と利き手・非利き手側間での筋活動量を比較した。なお,測定筋は僧帽筋上部・中部および下部線維であり,表面筋電計Noraxon 社製MyoSystem 1400Aを用いて得られた波形を筋活動量として,3秒間の筋活動量積分値を最大随意収縮で正規化した活動量%MVCを算出した.僧帽筋上部線維の筋活動量はトレーニング後が前より有意に抑制されており(p<0.05),僧帽筋中部・下部線維の筋活動量はトレーニング後が前より有意に多かった(p<0.05)。今回の結果から,我々が行なっている肩甲帯筋トレーニングは,肩甲骨周囲筋のアンバランスを改善し,肩甲骨の安定化に寄与している可能性が示唆された。
著者
土井 サチヨ 山名 信子 福井 弥生 高橋 純 畠山 絹江 西村 美智代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.327-331, 1971-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

It is believed that it would be a helpful measure in determining the size of clothes and also an important factor in designing clothes to study the change in the human body proportion according to the physical growth of the body.In this report, a study is made on the body proportions of boys and girls ages from 7 to 15. The summary of the results is as follows : (1) The degree of the growth in the lengths varies with the part of the body. As for the three items of the head length (height, width, and length of a straight line drawn from the front to the back), the growth is very slow in all ages. By comparing the rate of increase in the crotch height with that in the sitting height, it is found that the former is greater than the latter for the boys who are from 7 to 13 years old, and for the girls from 7 to 11 years old.(2) The head-body index (ratio of the stature to the head height) becomes larger and larger as the age advances, and the indexes of girls show higher values than those of boys up to the age of 13.(3) The comparison of proportional lengths of some parts of the body made between boys and girls measured by assuming that their respective statures are 100, shows that girls over 13-14 have larger values of the total head height and sitting height and smaller value of crotch height than boys of the same ages.
著者
永井 晋 永村 眞 山家 浩樹 岡本 綾乃 西田 友弘 高橋 悠介 西岡 芳文 山地 純 井上 和人 永山 由梨絵
出版者
神奈川県立歴史博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「重要文化財 金沢文庫文書」4149通について、その本文の校訂、年代推定、紙背文書を利用した関連文書群の復元を行い、「重要文化財 称名寺聖教」との接続の関係をあわせて考察し、称名寺収蔵資料群の一群としての金沢文庫古文書の資料的価値を定める努力を行った。その成果は、「金沢文庫文書検索システム」としてデータベースを構築し、インターネットでの公開をめざしたが、接続のための環境整備が調わず、金沢文庫図書室でのスタンドアローンとしての公開となった。データベースでは、古文書本文・書誌情報・画像(古文書表裏)を金沢文庫図書室で公開した。
著者
高橋 久昭 河西 信勝 鎌田 信悦
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-57, 1992-10-09 (Released:2010-09-27)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

1977-90年に当料で手術を行った甲状腺乳頭癌症例,新鮮例504例・2次例64例を対象に,リンパ節転移の部位・頻度・原発巣との関係などについて分析し,治療上の問題点および予後との関係について検討した。 気管前・傍郭清は新鮮症例454例に施行し,287例(63%)に転移が認められた。 内深頸リンパ節転移は新鮮症例164例(33%)に認められ,特に甲状腺内転移の多発している症例および低分化癌で転移の頻度が高かった。両側の深頸部に転移した症例では,高率に甲状腺の両葉に癌腫を認めた。 予後との関係をみると,深頸部リンパ節転移を認めた症例に遠隔転移あるいは頸部再発病巣の悪性転化による死亡が確認された。
著者
高橋 春樹 出口 善純 阿部 勝 山田 創 秋月 登 小林 尊志 中川 隆雄
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.226-231, 2009-04-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

症例は75歳の女性。主訴は呼吸困難 飼い犬に左手を噛まれた2日後,呼吸困難で近医を受診した。動脈血ガス分析にて低酸素血症を認め,血液検査にて敗血症,播種性血管内凝固症候群,多臓器不全と診断され,当センターに転送された。集中治療(エンドトキシン吸着,持続血液濾過透析)にて軽快し,第14病日退院した。後日,血液培養よりCapnocytophaga canimorsusが検出された。C. canimorsusはイヌ咬傷後の敗血症の原因菌として米国では死亡例も多数報告されており,高齢者・易感染者に重症例が多い。本邦での報告は稀であるが,早期に適切な抗生剤を選択する上で念頭に置くべき病原体と考える。
著者
平尾 和子 西岡 育 高橋 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.363-371, 1989

タピオカパールは, 調理に際して煮くずれしやすく, 芯が残りやすいなどの問題点があり, その加熱方法はむずかしい.透明感や歯ごたえがあり, 煮くずれが少なく, 芯のないタピオカパールを得るためのより簡便な加熱方法を知る目的で本実験を行った.<BR>加熱方法は, 湯煎による加熱の湯煎法と魔法瓶を用いるポット法について比較し, 顕微鏡観察, 物性測定および官能評価の結果から浸水効果や加熱方法を検討した.結果は次のとおりである.<BR>1) タピオカパールは, 加熱に際しての浸水効果は認められず, 浸水することなく, 直接ふりこんで加熱するほうが煮くずれしにくい結果となった.<BR>2) 加熱方法では, ポット法が湯煎法に比べて煮くずれせず, 弾力があり, 芯のない煮上がりとなるなど, 物性値においても, 官能評価においても最も好まれた. 魔法瓶を用いるポット法は, 加熱途中の攪拌や湯を補うなどの手間もかからず, しかも形状やテクスチャーのよいタピオカパールを得ることができるなど, 簡便かつ効果的な加熱方法と考えられる.<BR>3) 湯煎法のうち, 水にふり込んで加熱する水湯煎法は, 熱湯にふり込む熱湯湯煎法に比べて加熱時間が短縮され, とくに2時間加熱することにより, 透明で歯ごたえのある試料が得られた.
著者
奥田 泰雄 西村 宏昭 植松 康 萩原 一郎 喜々津 仁密 高橋 章弘 池内 淳子
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第20回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.40, 2008 (Released:2008-12-03)

内閣府では「災害に係る住家の被害認定基準」を定めて、住家の被害の程度を合理的に評価することを推奨している。しかしこの被害認定基準が主に地震災害に基づいて構成されているために、強風災害では認定結果と被害状況との乖離があること、強風被害特有の被害事例がないため判定が困難であること、といった課題が指摘されている。この論文は内閣府被害認定基準の問題点の整理し、強風災害への適用を考慮した認定基準の雛型を提案した。

8 0 0 0 同性愛

著者
D.J.ウェスト著 村上仁 高橋孝子訳
出版者
人文書院
巻号頁・発行日
1977
著者
高橋景保 [作]
巻号頁・発行日
1809

対の「日本辺界略図」とともに1軸をなす。両図とも銅版刷、国境部分筆彩、高橋景保の識語と大槻磐水の跋文併載。文化4年(1807)、万国全図作成の特命をうけた景保による試作図で、永田善吉鐫。かねて評判の高い善吉の技術を確認した。「日本辺界略図」は小型の試作図のため簡略にとどまった日本付近の拡大図。総界全図はのちの「新訂万国全図」と同様、平射図法による両半球世界図。世界的に未解明であった日本北辺(サハリン島)の考証成果を示し、この地域に関しては当時の世界最新情報となっている。樺太の考証には間宮林蔵の資料を参照、間宮未踏の地は細い線で描く。世界図はカナリア諸島を0度とし、ユーラシア、アフリカ、オーストラリアを西半球、両米大陸を東半球とする(欧米製の両半球図と逆)。「日本辺界略図」は京都を中度(0度)とし、その東西に経度を刻む。
著者
窪田 悟 小田 泰久 高橋 由佳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.405-408, 2006-03-01 (Released:2008-03-07)
参考文献数
9

We investigated the effects of pixel density, anti-aliasing, and stroke width on the subjective image quality of characters displayed on high-density liquid-crystal displays (LCDs). We used 6×4.5 photographs to simulate high-density LCDs. The simulated LCDs had 70 different display conditions that consisted of seven pixel densities (100 to 400 ppi stepped by 50 ppi), five stroke widths, and two font types (anti-aliased fonts and bi-level fonts). The character size was fixed at about 3 mm. The display luminance was set to 150 cd/m2 and a contrast ratio of 30:1 was used. At a 30-cm viewing distance, 30 subjects assessed the character image quality of the 70 simulated LCDs. The results indicated that subjective evaluation of character image quality became saturated at about 250 ppi for anti-aliased fonts and 350 ppi for bi-level fonts. Therefore, the required pixel density for computer displays is 250 ppi for anti-aliased fonts and 350 ppi for bi-level fonts.
著者
鈴木 孝 柿 賢一 高橋 豊弘 中西 正義
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.746, pp.2403-2410, 2008-10-25
参考文献数
22

Hitachi Aero Plane Co. former Tokyo Gas Electric Industry Co. (Gas-Den), who also predecessor of Hino Motors, Ltd. developed an unique radial 22 cylinder aero-engine "HA51" by order of imperial army at the time of later period of the World War II. Although the engine could not be applied to test flight due to the end of the war, it has some advanced design features. For searching the design and the philosophy of this engine, brief history of the Gas-Den aero-engines was described in first part on this paper. That includes Japanese first own designed unique Shimpu (or Jimpuu) in 1928, Tempu (or Amakaze) and also Military Tank engine and others. The "HA51" engine was compared with "Homare" one of the Japanese high power engine and American P & W R2800. Unfortunately, some hypothesizes have to made on the engine, because it was missing at the war's end.
著者
高橋 明
出版者
印度民俗研究会
雑誌
印度民俗研究 (ISSN:09116982)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.125-162, 2015-03-31
著者
門馬 健次 高橋 多蔵
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.4, pp.324-328, 1954

日華事変ぼつ発3年目頃から大東亜戦争に至る期間に於て上海日本居留民の間にも本国に見習つて隣保制度が組織され, 今にしてみれば実にはかない回想でしかないのであるが, 亢奮したふん囲気のうちに民防空に関する諸施設が町内会単位に着々と強化されてゆき, 防火用水槽設置の如きもその一つの現れであつた.ところがこの防火用水槽の出現は, それに附随して公衆衛生上見逃しがたい諸問題を起した.例えば夜半苦力, 乞食の露天風呂乃至洗濯場として重宝がられる水槽が日晝は児童の水遊び場として喜ばれるが如き, またデング熱, マラリアのような悪疫伝搬に大きな役割を演ずる蚊族の発生基地がこのため著しく増加する虞れのあるが如きその代表的なものである.昭和18年(1943)の春先, 漢口の中心部にデング熱が発生し9月になつて猛威を振い10月中旬までに464名の患者を算しその約8割が邦人であり, 中国人側の罹患は調査不充分のため確実な数字はつかめないが千数百名に達したであろうとのことであつた.けれどもこの年上海では1名のユダヤ人患者発生の公報に接したのみであつた.かかる情勢のもとに著者等は上海の防火用水槽につき, 蚊族幼虫発生状況調査の必要にせまられ, 当地総力報国会厚生部(部長下村泰介氏)の熱心な協力を得て昭和18年6月から約2ケ月に亘り町内会設置のもの1226個, 工場内設置のもの3129個合計4355個の防火用水槽につき, その種類, 構造, 貯水状態を調査し, 実際貯水されている水槽4092個について蚊族幼虫の発生状況を検査した.検出されたCulex属の種類や各種幼虫の水槽内に於ける混棲状態についての詳細な資料の控など今は全部散逸して手許になく, ここにはAnopheles hyrcanus var. sinensisとAedes albopictusの2種についてのみ記述するの己むなきを遺憾とする.また参考に供した文献もその控を失つたためその極く一部しかここに載せることができない.