著者
大久保 賢一 高橋 尚美 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.383-394, 2011
被引用文献数
1 8

小学2年生の通常学級における給食準備場面、給食片付け場面、掃除場面で行動上の問題を示していた児童に対して個別的支援を行い、その後、学級全体に対する支援を実施した。支援実施後は、すべての場面において対象児童の行動は改善されたが、学級全体に対する支援を実施した期間のほうが、個別的支援を実施した期間よりも高く安定した効果が得られた。また、学級全体に対する支援を実施した期間においては、対象児童の行動だけではなく、学級の他の児童の行動にも改善がみられた。以上のような結果から、通常学級における行動支援を検討する際には、児童に対する個別的支援よりも学級全体に対する支援を優先して検討することの必要性が示唆された。社会的妥当性に関しては、手続きの効果の面では担任教師から高い評価を得られたが、手続きの実施に関して、部分的に高い負担感が示された。
著者
高橋 和哉 中村 勝一 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.351, pp.45-50, 2009-12-11
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究で対象とする人群観測ネットワークは,お祭り会場などで発生する人込みや商店街などでの人の流れをセンサーネットワークによりリアルタイムに把握することを目的とする.リアルタイムの人群のデータは, 人の誘導やデジタルサイネージの効率的な設置などに生かすことが期待される.本研究では,人群の検出には超音波測距センサー,ネットワークの構築にはアプリケーション開発を重視したAtlasというセンサーノードプラットホームを用いる.人群のデータは,Ajaxを活用したWebアプリケーションによって提供する.本稿では,人群観測ネットワークの設計・実装についてまとめ,超音波測距センサーによる人群検出の実験結果と評価について報告する.
著者
高橋 英之 寺田 和憲 上出 寛子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

その実在の議論とは別に,我々がかみさまを知覚する際に,他者やエージェントを知覚するのと同様な神経回路を用いていることが近年示唆されている.我々は,宗教,そして神は古代から人が作り上げてきた最も成功したHAIの一つであるという仮説を提起し,その誕生と機能について,宗教の歴史や形態と既存のHAI研究との比較を行いながら議論を行いたい.
著者
高橋 純一 福井 順治 椿 宜高
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.73-79, 2009
参考文献数
41

絶滅危惧種であるベッコウトンボの羽化殻を用いたRAPD解析によって、ベッコウトンボの集団に直接影響を与えることなく、遺伝的多様性を明らかにした。静岡県磐田市桶ヶ谷沼地域の3つの発生地で採集した60個体に対して80種類のプライマーを使用しRAPD解析を行った。17種のプライマーから20個の遺伝子座で多型が検出され、12種のDNA型が見つかった。そのうち集団特異的なDNA型が合計4つ検出された。遺伝子多様度は平均0.317、遺伝子分化係数は平均0.07となり、集団間の多様性は小さかった。AMOVA分析によっても集団間の分化は検出できなかった。また3集団から見出された変異は98.7%が集団内の個体間変異に、集団間では1.3%となった。クラスター分析からも集団間は非常に類縁関係が高いことが明らかになった。
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012
参考文献数
13

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。
著者
高橋 恵美子
出版者
東京大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻生涯学習基盤経営コース
巻号頁・発行日
2013-03-25

報告番号: ; 学位授与年月日: 2013-03-25 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(教育学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 教育学研究科総合教育科学専攻
著者
福永 伸哉 北條 芳隆 高橋 照彦 都出 比呂志 杉井 健 松木 武彦 清家 章
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、西日本の前方後円墳消滅過程について、九州、中四国、畿内の地域事例を比較検討し、以下のような事実を明らかにした。(1)前方後円墳消滅過程は地域ごとに著しく異なること(2)そのなかで中期前葉(5世紀前葉)、中期後葉(5世紀後葉)、後期中葉〜後葉(6世紀中葉〜後葉)に前方後円墳消滅の大きな波が認められること(3)後期前葉(6世紀前葉)には長らく途絶えていた前方後円墳築造が復活する地域があることこうした前方後円墳消滅過程の背景としては、中央政権と地方勢力との政治関係の変化、薄葬化へ向かう東アジア共通の傾向、横穴式石室導入に伴う葬送儀礼の変化といった複数の要因が存在したと考えられる。とりわけ、6世紀前葉の前方後円墳の「復活」は、支持基盤の拡大をねらった継体政権による地域首長優遇策の反映であり、その後まもなくして各地の前方後円墳が消滅する現象については、安定的な政権を築いた6世紀後葉の欽明政権が大王墓クラスの前方後円墳を巨大化させる一方で地域首長からは前方後円墳を奪うという戦略にでた結果であると推測した。そして、大王墓も含めた6世紀末における前方後円墳の完全な消滅は、もはや前方後円墳を必要としない社会秩序が生まれたことを示し、それは推古天皇の時代の「政治改革」と関連する可能性が高いが、円墳や方墳はなお多数築造されており、葬送儀礼による社会秩序の維持がなお必要であったことを指摘した。また、研究のもう一つの柱であるフィールド調査としては、兵庫県勝福寺古墳の発掘調査を行い、畿内北部地域における最後の前方後円墳の築造背景について多くの知見を得た。
著者
高橋 知音
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.172-188, 2022-03-30 (Released:2022-11-11)
参考文献数
66

発達障害のある大学生(入試の受験者を含む)の能力をテストで適切に評価するために,実施方法の変更・調整(テスト・アコモデーション)が必要になる場合がある。本稿では,発達障害のある大学生へのテスト・アコモデーションにおいて,エビデンスに基づいて適切な判断を行えるようにするための資料を提供することを目的とする。そして,より適切な判断ができるように,今後さらにどのような研究が必要か,近年の研究動向をふまえて提言する。国内外の関連研究をレビューした結果,試験時間延長は発達障害のある学生に効果的であることが示された。記述試験におけるパソコンを使った解答は,タイピングに習熟すれば有効である。文字の拡大等,問題提示方法の変更は,発達障害のある学生対象の研究ではないものの,解答時間が長くなる可能性が示されている。別室受験は,有効性のみられる人がいる一方,LD,ADHDのある学生全体としては効果がみられず,むしろ成績を低下させる場合もある。発達障害のある学生は個人差が大きいことから,個別ケースにおける判断においても,研究においても,診断名ではなく,機能障害の状態の評価結果を重視することが求められる。
著者
狩野 紀昭 瀬楽 信彦 高橋 文夫 辻 新一
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.147-156, 1984-04-15 (Released:2017-12-08)
被引用文献数
6

Through the study on quality theory in the literatures of philosophy, quality control, the study of merchandise and so on, we made clear that there are two aspects of quality such as subjective and objective ones and that it is necessary to investigate the correspondence of these two aspects. Then, for this purpose, we propose that two dimensional recognition should replace one-dimensional one which has been so far prevailing, and that this recognition of the correspondence is utilized for categorizing quality elements of a product into attractive, nust-be, one-dimensional quality ones and so on.Then the practical validity of this theory is examined through the questionnaire survey about the TV set and the table clock to consumers and it is investigated how each quality element of these items is evaluated under the theory. Moreover, an example of new clock planning with applying this theory is discussed in order to show the practical effetiveness of this theory.
著者
高橋 晃一
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.71, pp.96-106, 2020-04-01 (Released:2020-05-12)
参考文献数
11
著者
高橋 眞二 安部 浩 古山 武夫
出版者
日本作物学会中国支部
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録 (ISSN:09134670)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-9, 1995-09-30 (Released:2018-01-30)
被引用文献数
1

鯉の放飼が水田雑草の発生ならびに水稲の生育に及ぼす影響を明らかにしようとした.まず第1の効果としては, 鯉が土中の餌を求めて水田土壌表面をさかんに撹拌し, 土壌ごと摂食した.この行動が1〜2日も続くと雑草は断根し土面から離れ, 後に枯死した.また, 雑草の一部は鯉が直接摂食した.第2の効果としては, 鯉の土壌攪拌によって水が濁り, 地表面の相対照度は鯉無放飼の約50%程度となり, これによって雑草の発生本数, 発生量が抑制される効果を認めた.第3の効果としては, 鯉を水田に飼うため深水管理となり, この副次的効果によって雑草発生が抑制された.鯉の放飼開始時期は早いほど, 鯉の全長は長いほど, 放飼密度は高いほど除草効果は高かった.鯉放飼区は完全除草区(鯉を使用せず除草)に比べて, 平均地温は低くなり初期茎数は少ないが, 有効茎歩合は高まり, 穂数はほぼ同程度であった.一穂穎花数は多くなり面積当たり穎花数も多くなったが登熟歩合は低下し, 収量は10%少なかった.このように鯉の放飼は, 条件をととのえれば水田雑草をきわめて有効に防除できることが認められた.
著者
高橋 邦彦 星野 庸二 徳丸 雅一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.619-622_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5

オレンジを摂取した乳児の顔や首筋が赤くなったという消費者からの苦情があり, 検査したところ苦情品から約0.5%のエタノールが検出された. そこで, 果実中のエタノール含有量の実態調査を行った. 11種の果実の117検体のエタノール含有量を調査したところ, 9種97検体から検出された. 検出量はオレンジを除き, 他の果実はほとんど0.15%以下であった. オレンジは27検体調査したが, 最小0.01%, 最大0.71%, 平均で0.13%であり, なかには高い濃度 (0.21, 0.31, 0.71%) が検出されたものがあった.
著者
黒星 きらら マナロ エマニュエル 高橋 哲也 佐藤 鮎美
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.327-339, 2023-09-01 (Released:2023-09-15)
参考文献数
31

This study examined how cultural self-construal and others’ facial expressions affect shifting in decision-making due to conformity during discussion by using a stimulus video, which presented a discussion scene in online communication. Eye gaze during the stimulus presentation was measured to understand the allocation of attention during the opinion evaluation. The video included one speaker expressing an opinion and five audience members using facial expressions to reflect their opinion toward the speaker. After watching the video, participants responded to a questionnaire asking to what extent they agreed or disagreed with the speaker’ s opinion and an independent-interdependent self-construal scale. The results indicated that others’ facial expressions influence decision-making during discussions and that people with higher interdependent self-construal tend to be influenced by others’ facial expressions. Gaze measurements did not show that people with higher interdependent self-construal pay more attention to surrounding others. However, it suggested that people who tend to pay more attention to surrounding others are more likely to shift in decision-making due to conformity.
著者
高橋 守 三角 仁子 増永 元 田原 義太慶 角坂 照貴 鳥羽 通久 三保 尚志 高橋 久恵 高田 伸弘 藤田 博己 岸本 寿男 菊地 博達
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第62回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

ウミヘビツツガムシV. ipoidesはウミヘビの気管や肺に寄生する内部寄生性のツツガムシで、南西諸島で捕獲したエラブウミヘビ亜科の3種(エラブ、ヒロオ、アオマダラ)に寄生していた。未吸着幼虫は鼻腔内や気管入り口で吸着しないで生存しているのが観察された。気管や肺で観察された幼虫の多くは、体長5-8mmにも達する大型の幼虫であった。エラブウミヘビを水を張った飼育容器内で観察したところ、約2ヶ月後に口から吐き出された生きた満腹幼虫30個体と、肺に吸着している満腹幼虫4個体および未吸着幼虫1個体を得た。なお消化管内での寄生は全く認められなかった。以上のことから未吸着幼虫は、陸上の産卵場所などでウミヘビの鼻腔から侵入し、下顎に開く気管から肺に侵入し、体液を吸って満腹し、気管入り口から外に吐き出されるものと考えられた。満腹幼虫を25℃下で飼育すると、体表にある多数のイボ状突起は約1週間で消え、滑らかになり、やがて腹部に脚原基が形成され、背中の外皮が破れて8本足の成虫が出現した。これは、通常の哺乳類に寄生するツツガムシで見られる第二若虫や第三若虫の形態を経ないで成虫になるという、ウミヘビの生活に適応した生活環とみなされた。成虫になった1-2日後、雄は精包を産出し、雌がこれを取り入れて11日後に産卵した。産卵は16日間続き、1日平均16.5卵(3-31/日)、孵化率52.8%であった。他に発育速度およびstylostomeについても述べる。
著者
諏訪 信行 久保田 春美 高橋 和子 町田 肇
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.44-51, 1986-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
17
被引用文献数
12 20

耐熱性の高い高温性有芽胞細菌Cl, thermoaceticum, B. stearothermophilus, Cl. thermosaccharolyticumの芽胞を接種した代表的なレトルト殺菌タンパク飲料であるミルクコーヒーの変敗に対する食品乳化剤の添加効果を検討した.(1) F0 20~30という通常のミルクコーヒー缶詰の殺菌条件では,ショ糖脂肪酸エステルP-1670, S-1670を500ppm添加することによりミルクコーヒーの変敗を防止できることが判明した.また,500ppm以上添加することにより,加熱殺菌条件を緩和できることが示された.(2) ショ糖脂肪酸エステルの中では,ステアリン酸モノエステルS-1670よりもパルミチン酸モノエステルP-1670は約2倍の変敗防止効果を有することが認められた.(3) ポリナキシエチレンソルビタンモノパルミテート,ポリグリセリンモノパルミテート,グリセリンモノパルミテートのミルクコーヒー変敗防止効果は殆ど認められなかった.