著者
近藤 美緒 岩田 康弘 飯田 有輝 古閑 寛 高橋 徹至
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11091, (Released:2016-11-22)
参考文献数
38

【目的】本研究の目的は,軽症から中等症までのPD 患者のバランス障害の関連因子を検討すること。【方法】対象は修正版Hoehn&Yahr 重症度分類1 -3 のPD 患者32 名。評価項目はBerg Balance Scale(以下,BBS),MMSE,UPDRS 合計点,UPDRS part Ⅱ13–15,Ⅲ27–30(振戦,固縮,動作緩慢,軸症状),BMI,握力,等尺性膝伸展筋力,過去1 ヵ月転倒頻度,レボドパ一日換算量とし,重回帰分析にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,BBS の得点と握力,UPDRS part Ⅲ–28(姿勢異常)との関連を認めた(R2 =0.30,p <0.05)。【結論】軽症から中等症までのPD のBBS には全身筋量を表す握力と姿勢異常の関与が示唆された。この結果は早期から予防的に運動介入することでPD のバランス障害を予防できる可能性があることを示しているのかもしれない。
著者
野村 直之 高橋 一裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第41回, no.人工知能及び認知科学, pp.75-76, 1990-09-04

言語学・工学の諸分野では慣用句および類似の術語の指し示す概念は一定していないようにみえる。市販の辞典によれば慣用句とは「二語以上が結合し、または相応じて用いられ、その全体がある固定した意味を表すもの。『油を売る』」とされ、またidiomとは、「全体の意味が各単語の意味を組み合わせて得られるのではなく、独特なもの;例"in the soup" 『困って』」とされる。これらは、いずれも計算言語学の言葉で言えば「構成性(compositionality)が成立しないこと」に注目した定義になっている。しかし、現在工学分野では明らかにこの定義とは異なる扱いもみられる。そこで、本稿では慣用性を互いに独立な3軸によって定義する枠組を提案する。慣用表現の定式化は意味解析システムの解析精度を高め、さらに解析結果の意味構造を適切に定義することに貢献する。特に、ある語彙が慣用句であるか否かの線引きを迫られるという意味で『大規模な』 自然言語処理システムの構築に対して、有益な示唆を与えるものと考えられる。この他、自然言語からの知識獲得や、外国語学習者のためのCAIシステムの効率的な設計や教材内容そのものへの応用が考えられる。
著者
杉山 健太郎 磯貝 和也 坂爪 重明 外山 聡 佐藤 博 齋藤 和英 中川 由紀 田﨑 正行 高橋 公太 平野 俊彦
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-51, 2011-06-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
10

Renal transplant recipients are administered immunosuppressive therapy to prevent acute rejection. In particular, new immunosuppressive agents have helped to improve the allograft survival rate and reduce the rate of rejection in renal transplant recipients. The optimal dose of calcineurin inhibitors is determined by therapeutic drug monitoring. However, the pharmacological efficacy of cyclosporine and tacrolimus should be estimated using both pharmacokinetics and pharmacodynamic parameters. We therefore employed the lymphocyte immunosuppressant sensitivity test(LIST) with the 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5diphenyltetrazolium bromide(MTT)assay procedure to evaluate renal transplant recipients. The LIST with the MTT assay procedure can predict the pharmacological efficacy of immunosuppressive drugs using peripheral blood mononuclear cellsMoreover, renal transplant recipients must be correctly treated with immunosuppressive agents and another medicines. Therefore, the pharmacist must provide instructions for all medications to maintain adherence in renal transplantation. Therefore, transplantation therapy must be based on the pharmaceutical care given by pharmacists.
著者
高橋 秀幸 宮沢 豊
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

MIZ1遺伝子に関して、MIZ1-GFP融合タンパク質を発現するシロイヌナズナ形質転換植物体の作出を行い、miz1変異を相補する系統を得た。これを用いMIZ1-GFP融合タンパク質の発現部位および細胞内局在を解析した結果、根においてMIZ1-GFPは水分屈性に必須の役割を果たすと考えられるコルメラ細胞とその周縁部、ならびに屈曲部位の皮層細胞の細胞質に存在することが明らかになった。さらにMIZ1の機能解明を進めるために、MIZ1過剰発現系統を作出して、その表現型を解析した結果、MIZ1遺伝子発現レベルの改変により水分屈性能の亢進がもたらされることが示された。また、miz2の変異原因遺伝子がARF-GEFをコードするGNOMであることを明らかにし、他のgnom変異体との比較解析から、水分屈性の発現にはGNOMのGEF活性が必要であること、水分屈性は重力屈性と比べGNOM機能の要求性がより高いことを明らかにした。これに加え、ヒメツリガネゴケに見いだされるMIZ1相同遺伝子の解析を行った。その結果、ヒメツリガネゴケゲノム上にはMIZ1相同遺伝子は3つ存在し、それぞれPpMIL1-3と名付け、それらの発現を確認した。また、シロイヌナズナMIZ1では見いだされないイントロンが、ヒメツリガネゴケにおいてはMIZドメインコード領域に近接した5'側に存在すること、miz1で変異の生じていたグリシン残基は、PpMIL1-3のいずれにおいても保存されていることもわかった。また、PpMIL1およびPpMIL2のノックアウト個体の作出に成功した。さらに各PpMILsがシロイヌナズナmiz1変異を相補するかを明らかにするためのコンストラクションを行った。
著者
片田 正人 高橋 一男 藤原 郁夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.91-99, 1991-03-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

The Himekami pluton is a complex of mafic rocks and their differentiated felsic rocks, which belong to shoshonite rock association. The pluton is devided into three bodies: South pluton, North pluton and Shiroishi pluton. The South pluton, consisting mainly of monzonite, monzogabbro, quartz monzonite and quartz monzodiorite, is classified genetically into four groups of mafic and felsic rocks. Each rock group accompanies a few amounts of xenolithic mass of cumulated, ultramafic rocks and melagabbro. The North pluton is a zoned pluton of quartz monzonite, granite and granodiorite. The Shiroishi pluton is a leucocratic tonalite-granodiorite.
著者
渡辺 健 山田 剛良 高橋 史忠
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1010, pp.107-109, 2009-08-10

DVDレンタル大手「TSUTAYA」は2008年末,視聴期間を限定しない「セルスルー配信」対応の動画ダウンロード・サービスを始めた。HD動画をBlu-ray Disc(BD)などに書き出せる世界初のサービスだ。米映画会社との交渉責任者が,舞台裏を語った。(聞き手は本誌副編集長 山田 剛良,高橋 史忠)(写真:加藤 康) ハリウッドと交渉を始めたのは,2006年のことです。
著者
西澤 晃彦 高橋 勇悦
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.40, pp.85-98, 1990-09

本稿では,1990年において墨田区住民を対象として実施されたアンケート調査の結果の分析を通じて,各住宅階層間の地域問題の認識過程の比較検討を行い,地域社会の構造とその変動を明らかにすることを目指す。墨田区社会の構成を概観するならば, 70年以降の新住民の侵入によって二重構造化が進展していると把握することができる。そしてこの二重構造は,住居形態によってセグリケートされ各々のライフスタイルを保持しながら,強化されていると見ることができる。それゆえに,本稿では,住宅階層論を援用して,各住宅階層が,出来事を認知しネガテイブな問題として評価する過程を比較していく。その際,一戸建て住宅や長屋居住者にはいわゆるインナーシティ問題群がより地域の問題として認識され,新住民を中心とするマンションやアパート居住者には,そうした問題は見過ごされる傾向にあることが仮説とされた。分析の結果は,概ね仮説が支持されるものであった。この結果が指し示すのは,インナーシティ問題が,特定の住宅階層の階層的な問題となりつつある傾向である。墨田区におけるインナーシティ問題の重みの低下は,恐らくは新住民の更なる侵入によって,強められていくと考えられる。その一方で,新たな問題群が生成し,行政課題となっていくであろう。しかしながら,このことがインナーシティ問題の消滅を意味している訳では勿論なく,それは地域社会とそこでの問題群の一層の多様化を示すものなのである。
著者
原 稔 高崎 賢治 江夏 薫 海江田 哲 隈上 秀高 小室 哲 高橋 晴雄
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.555-559, 2006-07-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

We report three cases of isolated oculomotor nerve palsy caused by paranasal disease. All patients complained of double vision but showed no sign of brain aneurysm or diabetes mellitus. These patients had unilateral disturbance of ocular movement and ptosis, but there was no visual impairment on opthalmologic examination. In two cases, computed tomography (CT) demonstrated soft tissue density (STD) in the posterior ethmoid and sphenoid sinuses and also inside the ipsilateral anterior clinoid process (ACP) of the sphenoid bone. In the other case, CT and magnetic resonance imaging showed STD in the ethmoid sinus and pneumatization in the ACP. In all cases, a bony defect was identified at the inferior wall in ACP, adjacent to the superior orbital fissure. We performed endoscopic sphenoidectomy in two cases and conservatively treated the other case with steroid and antibiotics. In all three cases, ocular movement became normal approximately one month later. Since the oculomotor nerve coursed just under the pneumatized ACP in these cases, we speculated that compression and/or inflammation through the ACP might have induced oculomotor nerve palsy.
著者
沢木 修二 藤田 馨一 高橋 良
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.206-210, 1955-03-10 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

A case of hysteric aphonia complicated with hysteric bilateral deafness is reported. The patient, aged 18, male, complained of aphonia and left deafness after psychological trauma. It was proved by laryngeal examination that the vocal cords came in contact with each other momentarily at the beginning of phonation, but directly after that instantaneous adduction, the glottal opening became spindle-shaped, as a result of paralysis of the internal muscles. The audiogram showed the hearing loss on both sides varying from 40 to 50 db in either air or bone conduction.By means of the isomital interview, it was found that the patient could whisper, and the power of hearing was improved temporarily on both sides to the hearing loss of 10-30 db in air or bone conduction.The patient was treated with electroshock and suggestion, and was completely cured.
著者
小笠原 貞夫 高橋 茂行 深井 彰 中田 泰雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.2244-2247, 1969-10-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
6

各種金属酸化物を用いてプロピレンを気相接触酸化し,アセトンの直接合成反応を検討した。原料ガスとしてプロピレン,空気および水を用い,反応は常圧流通式固定床反応管を用いて行なった。アルミナに担持させたMo,Cu,V,Cr,Wの各酸化物の順にアセトン合成活性を認めたが, 特に, MoO3-Al2O3-触媒は選択的にアセトン合成活性を示すことがわかった。シリカやアルミニウムスポンジに含浸させた酸化モリブデンはアセトン合成活性を示さないが,アルミナに担持させると活性は著しく向上し,この触媒は酸化モリブデンとアルミナの二元機能触媒であることが帰納された。原料ガス中の水は燃焼反応を抑制し,生成物中に微量のイソプロピルアルコールや水素が存在することから,この反応はイソプロピルアルコールを経由する酸化脱水素反応であると考えられる。担体アルミナに対し,酸化モリブデン含量は約20wt%以上でほぼ一定の活性となる。最適反応温度は約300℃であり,使用触媒は500℃で空気により再生が可能であった。
著者
北條 達也 井口 順太 高橋 仁美 小川 博之 Tatsuya Hojo Junta Iguchi Hitomi Takahashi Hiroyuki Ogawa
出版者
同志社大学スポーツ健康科学会
雑誌
同志社スポーツ健康科学 = Doshisha Journal of Health and Sports Science (ISSN:18834132)
巻号頁・発行日
no.4, pp.51-55, 2012-03-01

肋骨の疲労骨折は,ゴルフなどで生じる中位から下位の肋骨骨折がよく知られているが,第一肋骨の疲労骨折の報告は比較的少ない。われわれは,大学生チアリーダーに発生した第一肋骨の疲労骨折を経験した。左肩甲部痛で発症し,さらに左上肢尺側のしびれと痛みを自覚した。安静および低出力パルス超音波治療によって加療するも骨癒合は得られなかったが,1年後には競技に復帰できた。X線検査では評価が困難な同部位の評価に3DCTは,有用であった。
著者
高橋 英雄 高橋 広志 高橋 容子 鎗田 響子 猪股 智夫 佐野 文子 西村 和子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.152, 2005

2005 年 9 月 1 日より輸入動物の検疫体制が整う予定であるが,すでに輸入された動物が保菌している病原体は世代を超えて感染が広がっている.今回,国内の動物園で繁殖し飼育されている 5 ヶ月齢のカナダヤマアラシに <I>Arthroderma benhamiae</I> による脱毛が発症した.同居している母個体はカナダ,父個体はアメリカ合衆国から輸入されたもので,無症状であったが,同菌種を保菌していた.分離菌株は当該獣より 4 株,母獣より 5 株,父獣より 2 株分離され,いずれも形態,rRNA 遺伝子の ITS 領域の配列,<I>A. benhamiae</I> Americano-European race との交配成立から同種と同定した.11 株のうち 42℃ で生育可能であった株は母由来 1 株,ITS 領域の配列は母由来 2 種,他は 1 種で GenBank 登録配列とは一致せず,RAPD バンドパターンも複数種確認した.この家族内感染は国内未確認の遺伝子型をした <I>A. benhamiae</I> 複数株によるものであった.なお,同動物園ではふれあい動物園を併設していることから,飼育しているげっ歯目および食虫目動物 33 頭について皮毛を培養したが,本菌種は分離されなかった.<I>A. benhamiae</I> によるヒト感染は命に関わる疾患ではないが,この家族内保菌・感染はすでに輸入された個体が我が国に無い病原体を保持し,それを次世代に伝播している一例である.他の真菌,原虫,細菌,ウイルスによる感染症も同様な状況が推測されるため,人と動物の共通感染症の予防にはすでに輸入された動物にも細心の注意が必要である.
著者
加藤 英明 高橋 大志
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス
巻号頁・発行日
vol.15, pp.35-50, 2004
被引用文献数
1

<p>本稿は,日本の株式市場と天候の関係を過去40年間の日次データを基に分析したものである.伝統的ファイナンスの立場にたてば,天候が株価に対し影響を与えると考えることは難しい.しかし,分析の結果は,株価の動きと天候の間には,統計的に有意な関係があることを示している.さらに,その関係は,これまでに報告されている月曜効果,1月効果などのアノマリーを考慮しても,強く残ることが確認された.これらの結果は,伝統的ファイナンスの仮定している合理的な意思決定では投資家行動を説明できないことを示唆している.</p>