著者
山室 慎太郎 田島 泰裕 雫田 研輔 荻無里 亜希 高橋 友明 畑 幸彦(MD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.22, 2012 (Released:2012-11-07)

【目的】腱板断裂手術例において肩関節周囲筋群の筋スパズムが原因で術後早期の後療法がスムーズに進まない例をしばしば経験する.しかし筋スパズムの臨床成績に及ぼす影響について言及した報告はほとんど無い.今回,われわれは術後に筋スパズムが出現しやすい大胸筋に注目し,大胸筋のスパズムが臨床成績及ぼす影響について調査したので報告する.【対象と方法】対象は腱板修復術後に大胸筋のスパズムを認めた22 例22肩とした.術前と術後2週で大胸筋の筋活動量と筋硬度および肩関節の運動時痛と可動域を測定した.大胸筋の筋活動量は背臥位で術側手関節を前額部にのせた状態で表面筋電計Noraxon社製Myosystem1400Aを用いて10秒間測定し,積分値(μV×秒)を算出した.大胸筋の筋硬度は前述の測定肢位でTRY ALL社製NEUTONE TDM-NI/NAIを用いて同一点を3回計測し,平均値を求めた.肩関節の運動時痛はVisual Analog Scaleを用いて測定した.肩関節可動域は屈曲,外転,水平屈曲,水平伸展および90°外転位外旋方向の各角度を測定した.なお、大胸筋の筋活動量と筋硬度の術前と術後2週との間の比較はウィルコクソン符号順位和検定を用いて行い,大胸筋の筋硬度と肩関節の運動時痛または可動域の間の相関はスピアマン順位相関係数を用いて行い,危険率0.05未満を有意差ありとした. 【説明と同意】本研究の趣旨を十分に説明して同意を得られた患者を対象とした.【結果】大胸筋の筋活動量と筋硬度はともに術後2週時が術前より有意に高かった(P<0.01,P<0.01).また,術後2週においてのみ,大胸筋の筋硬度と肩関節の運動時痛との間に中等度の正の相関を認め(r=0.43,P<0.05),大胸筋の筋硬度と屈曲角度との間に強い負の相関を認め(r=-0.63,P<0.05),大胸筋の筋硬度と90°外転位外旋角度との間にとの間に中等度の負の相関を認めた(r=-0.48,P<0.05). 【考察】大胸筋の筋活動量と筋硬度は術後早期に高くなっており,筋硬度と運動時痛は正の相関をしており,さらに筋硬度と屈曲角度および筋硬度と90°外転位外旋角度は負の相関をしていた.したがって,術後早期の運動時痛が肩関節周囲筋群のスパズムを引き起こし、結果的に関節可動域制限につながると考えられるので,腱板断裂術後早期の後療法は疼痛を誘発しないように軟部組織の伸張を図ることが重要であると思われた.【まとめ】術後2週の運動時痛が大胸筋の筋スパズムを引き起こし筋活動量や筋硬度を増加させ,結果として関節可動域を制限すると思われた.
著者
高橋 浩 志村 俊昭 加藤 聡美
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.399-411, 2018-06-15 (Released:2018-08-18)
参考文献数
74
被引用文献数
1 5

日高変成帯は島弧ないし大陸地殻の衝上断片と考えられており,非変成堆積岩類からグラニュライト相に達する高変成度変成岩類まで観察できる世界的に見ても稀な地質体であり,島弧ないし大陸地殻の成因を解明するための絶好の対象となっている.1990年代~2000年代はじめまでに,日高変成帯の基本構造や発達史は確立されたかと思われた.しかし,2006年以降,変成岩類および深成岩類中のジルコンのU–Pb年代の報告によって,日高変成帯下部層(高変成度側)の主要変成作用の時期は19Ma頃であることが明らかとなり,従来の日高深成・変成作用の年代論(55Ma頃の主要深成・変成作用)の見直しが必要となった.また,日高変成帯上部層(低変成度側)は,中の川層群と漸移関係にあり,変成岩類の年代が40~30Ma頃を示すことから,変成帯下部層とは別のより古い時代の変成作用を被った地質体の可能性が浮かび上がってきた.つまり,日高変成帯はこれまで,古第三紀に形成された一連の高温型の変成帯と考えられてきたが,最近の研究成果に基づけば,新第三紀のグラニュライトを含む高変成度変成岩類と古第三紀に形成された角閃岩相から緑色片岩相で非変成中の川層群堆積岩類に移化する変成岩類とが接合した地質体である可能性がある.この巡検では,日高山脈南部地域において,日高変成帯上部層および下部層を構成する変成岩類および上部層に貫入する深成岩類を観察し,最新の研究成果を紹介する.
著者
高橋 梓帆美 増田 卓矢 大平 裕子 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P03, 2009 (Released:2009-06-16)

電子ペーパーはハードコピー(印刷物)とソフトコピー(ディスプレイ表示)の長所を両立した媒体として開発されている。書き換え可能でありながら、省エネルギーで扱いが容易である事から、新しい表示媒体として期待されている。また、電子ペーパーに期待される機能は多く、使用状況に合わせた特徴が特化した様々な電子ペーパーの開発が求められている。しかし、電子ペーパーにおける読みやすさ研究は、現在、そのほとんどが電子書籍などの場合に限られている。その為、本研究では、デジタルサイネージとして公共空間で使用されると予想される大型電子ペーパーにおける最適な文字表示について検討を行った。電子ペーパーに表示した文章の行間隔、文字間隔を変化させ、読みやすい文字配列の評価を行った。その結果、行間隔が文字サイズの50%~75%、文字間隔が、文字サイズの25%以下の場合が最適である事が明らかになった。また、この結果は、今までに検討されてきたCRT等の別媒体での読みやすい文字配列の結果が電子ペーパーにも使用できる可能性を示していると考えられる。
著者
高橋 美登梨 蒲池 香津代 赤根 由利子 高岡 朋子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.66, 2011 (Released:2011-09-03)

目的 近年,最近の若い男性を表す言葉として「草食系」がメディアに取り上げられるようになった。当初は主に恋愛に奥手な男性を指す言葉であったが,最近では日常生活全般に対して淡白な様を示すこともあり,多様な使われ方をしている。いずれにしても,以前に比べて,男性の生活全般に対する価値観の変化が一因と考えられる。そして,このような価値観の変化は,被服行動にも影響を与えると推察される。そこで,本報告では,生活意識と被服行動の関連性を検討した。方法 調査は,男子大学生285名を対象として,2010年10月~11月に集合調査法により実施した。調査内容は(1)被服行動(32項目,5段階評価)(2)生活意識(恋愛観,結婚観,貯蓄・消費態度,生活習慣に関する19項目,5段階評価)である。調査データは,因子分析,クラスター分析等の統計処理により解析した。結果 (1)被服行動の項目を因子分析した結果,「流行おしゃれ」,「女性化おしゃれ」,「規範的おしゃれ」,「機能性重視」,「他者重視」の5因子が抽出された。(2)生活意識をクラスター分析した結果,被験者は「堅実型肉食系」,「浪費型肉食系」,「草食系」,「無頓着系」に4分類された。(3)4分類された生活意識と被服行動との関連をみるために,被服行動各因子の尺度得点の高得点者を生活意識4クラスター群で分類し,尺度得点の平均値を一元配置の分散分析・多重比較で解析した。その結果、「草食系」には「女性化おしゃれ」、「堅実型肉食系」には「規範的おしゃれ」の特徴が見られた。草食系の男子学生は女性用の小物やフレグランスをつけるなどの女性的なおしゃれをすることが示唆された。
著者
伊藤 千春 岩崎 靖 高橋 俊彦
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.29-37, 2019 (Released:2020-03-25)
参考文献数
47

This study compared behavioral characteristics and job stressors of operators and managers of small and medium-sized enterprises (SMEs), examining the causal relations with factors contributing to mental illness. An anonymous web questionnaire survey was implemented targeting 600 individuals including presidents, directors, and individuals above the position of section chiefs of SMEs. Of them, 370 individuals were targeted for analysis, including 143 male presidents with less than 50 employees under them, 140 male managers, and 87 female managers. The covariance structure analysis results revealed that “malfunctional coping” in male presidents and managers had a positive influence on “job stressors,” and job stressors have a positive correlation with “mental illness.” However, for female managers, the path coefficient for “job stressors” with “malfunctional coping” was not significant and was not positively correlated with mental illness.Thus, male presidents and managers did not seek support from or appeal to others, or tried to do their best without complaining, which heightened job stressors and strengthened vulnerability to mental illness. However, female managers’ coping without seeking support or appealing to others had no influence on job stressors and did not cause any indirect vulnerability to mental illness.
著者
大西 季実 吉田 裕美 藤井 美代子 鈴木 まさ代 伊東 美緒 高橋 龍太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.101-107, 2010-01-15

はじめに 精神科では、自殺・事故防止の観点から、入院生活に何らかの制限が設けられていることが多い。病棟内に持ち込む日常生活用品を制限することもその1つである。制限される物品としては刃物やガラス製品、ベルト、電化製品のコード、耳かき、爪楊枝、毛抜き、割り箸など多岐にわたる。刃物など明らかに危険な物品については、マニュアルなどに明文化され対応が統一されていることが多いが、危険度が必ずしも高いとはいえない耳かき、毛抜き、爪楊枝、割り箸などの取り扱いについては、病院・病棟により規定が異なる上、看護者の判断によっても対応に違いが存在するのではないだろうか。 縊死に関連した日常生活用品の持ち込み制限に関する田辺らの調査においても、コード、ネクタイ、針金ハンガーなどは持ち込みを許可する病棟と許可しない病棟がそれぞれ半数ずつであり、看護者が異なる視点で判断している可能性を示唆している*1。病棟内においても看護者間の考え方や対応の相違により混乱が生じることは多々あり、特に精神科の臨床では日常的に遭遇する体験であるという*2。病棟内の看護者間において価値観そして実際の対応方法が異なる場合、患者に混乱をもたらし、そこで働く看護者を悩ませる要因にもなりうる。 過度な物品管理、不必要な制限は患者の依存や退行を引き起こし、自立の妨げになる可能性があり、病棟生活を送る患者の生活の質(QOL)に影響を与えることが示唆されている*1。QOLや人権に配慮しすぎると事故の危険が高まる*3ものの、事故防止を優先しすぎると日常生活を送る上で不都合が生じる。看護師が事故防止を優先するのか、QOLを優先するのかによって日常生活用品の持ち込みの判断に影響が生じると予測される。 そこでこの研究では、①病棟内への日常生活用品の持ち込み制限と優先傾向(事故防止・QOLのどちらを優先するのか)との間には関連があるのか、②看護者のバックグラウンドと優先傾向との間に関連があるのかの2点を明らかにすることを試みた。
著者
高橋 秀実
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の結果、Vγ1Vδ1型のT細胞レセプター(TCR)を発現したγδT細胞株(clone 1C116)の樹立に成功し、このT細胞株がTCR特異的な抗原分子に遭遇した場合、IL-2を放出することを見出した。このシステムを利用し、天然生薬中に存在する糖質結合型フラボノイドである陳皮由来のヘスペリジン及び枸杞子由来のリナリンがVγ1Vδ1型T細胞を刺激することを発見し、これらヘスペリジンあるいはリナリンの刺激でVγ1Vδ1型γδ細胞が活性化され、IL-5並びにIL-13、及びMIP-1α、MIP-1β、RANTESが放出され、細胞内でのR5-型HIV-1の増殖が抑制されることを確認した。
著者
松崎 晴美 高橋 燦吉 朱 宏麗 小栗 敬堯
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.91-95, 1983-01-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
5

活性汚泥のSV30, SVIに及ぼす活性汚泥濃度, メスシリンダの諸元の影響を, 合成廃水を供試した活性汚泥処理実験をとおして検討した.その結果, 界面沈降速度dx/dtはdx/dt=k/ (MLSS) 2.4で表されることを示した. ここで, kは界面沈降速度係数, (MLSS) は界面下部の活性汚泥濃度である. また, SV30, SVIに及ぼす活性汚泥濃度, メスシリンダ内の試料液深の影響は大きく, SVI値による汚泥沈降性の比較は活性汚泥濃度の狭い範囲に限って有効であることを示した. さらに, kは活性汚泥濃度, 試料液深などの影響を受けず, SVI値に比べ, 汚泥の沈降性を正確に反映し, kにより, 沈降性の精細な検討が可能であることを示した.
著者
平澤 諒一 高橋 裕樹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 38.16 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.101-102, 2014-03-10 (Released:2017-09-21)

顔の一部が隠れる状態,特にマスクをして口と鼻が隠れている状態を想定し,不完全な顔情報を用いた表情識別を行った.目の周辺の8個の特徴点をActive Appearance Modelsを用いて抽出し,各特徴点同士の距離の二乗や角度といった特徴量を求め,特徴量をもとにSupport Vector Machineによる機械学習を行った結果,37.58%の適合率および37.12%の再現率を得た.
著者
高橋 了造
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.330-339, 1930-03-24 (Released:2011-05-24)
参考文献数
9

Verfasser untersuchte das Verhältnis der Alt-tuberkulinintrakutane Reaktion zur Tuberkulose der Meerschweinchen, welche sich verschieden entwickelt und gewägt hatten, und hieraus ergab sich folgendes:Häufigerer negativer oder geringgradi ger Ausfall der Reaktion findet sich bei den unter 200 g. gewägten jungeren Tieren, obgleich sie deutliche tuberculöse Affektion bei der Obduktion zeigen; dagegen beobachtet man ausnahmslos positives Ausfall bei den vollgereif ten.Somit ist es unzweckmässig, dass jungere, unter 200 g. gewägte Meerschweinchen zur Alt-tuberkulin-intracutane Reaktion, urn damit derren tuberculöse Affektion zu diagnostieren, angewandt werden.
著者
井上 卓弥 平山 高嗣 高橋 友和 川西 康友 出口 大輔 井手 一郎 村瀬 洋 黒住 隆行 柏野 邦夫
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.138, no.11, pp.1399-1409, 2018-11-01 (Released:2018-11-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Recently, the spread of Web cameras has facilitated video-conferencing as a means of communication. Since a Web camera is usually located outside the display while the user looks at his/her partner in the display, there is a problem that they cannot establish eye contact with each other. Various methods have been proposed to solve this problem, but most of them required specific sensors, and robust and accurate feature extraction for various appearances to densely associate facial feature points of the images. In this paper, we propose a method that transforms the eye areas to synthesize eye contact using a single camera that is commonly implemented in laptop computers. Concretely, we implemented a system which transforms the user's eye areas in an image to his/her eye image with a straight gaze to the camera only when the user's gaze falls in a range that the partner would perceive eye contact. We then confirmed the effectiveness of the proposed method in terms of accuracy of the gaze area classification, subjective evaluation score for eye contact, and accuracy of eye contact through experiments.
著者
高橋 誠一
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.442-465, 1990-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
59
被引用文献数
2 2
著者
宮越 浩一 高橋 静子 古田 康之 夏目 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.114-118, 2010-09-01 (Released:2018-10-17)
参考文献数
9

医療機関においては転倒事故に対する十分な対策が求められる。今回われわれは簡便な転倒対策を構築する目的で、入院初期に得られる複数の所見より転倒転落を予測する因子の抽出を試みたので報告する。 2008年11月より3ヶ月間の間に当院に入院した連続症例を対象とした。転倒転落を予測する因子として17項目からなるチェックリストを看護師により入院初期(24時間以内)に評価した。本チェックリストは年齢、3項目の身体機能、5項目の精神機能、3項目の複合要因、5項目のその他の因子より構成されている。このチェックリストは当院の既存のチェックリストに、先行研究で指摘されているいくつかの転倒予測因子を追加することにより作成した当院独自のものである。 対象となったのは2,258例であり、このうち転倒転落に至ったのは55例であった。ロジスティック回帰分析による多変量解析を行った。ここでは転倒転落の既往がある、座位バランス不良、ふらつきがある、貧血、介助が必要にも関わらず一人で動こうとする、の5項目が抽出された。Receiver Operating Characteristic曲線では、曲線下面積が0.776となっていた。予測精度は感度0.709、特異度0.799であり、入院初期に得られる情報のみからある程度のスクリーニングが可能であった。今後さらに簡便かつ精度の高い転倒予測手法の構築を進めたいと考える。
著者
高橋 和則
出版者
中央大学大学院事務室
巻号頁・発行日
2017-03-16

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第2項【論文審査委員主査】星野 智(中央大学法学部教授)【論文審査委員副査】石山 文彦(中央大学法学部教授),廣岡 守穂(中央大学法学部教授),齋藤 俊明(岩手県立大学総合政策学部教授)
著者
百瀬 伸平 小山田 美咲 柏倉 由佳 高橋 千央 田口 彩乃 大川 孝浩 山﨑 敦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0964, 2015 (Released:2015-04-30)

【目的】健常者の反張膝の有無による歩行時の関節角度,関節モーメントに有意差がないことの報告(河原ら,2010)はみられるが,ヒール歩行と反張膝との関連についての報告はみられない。今回,反張膝の有無が裸足歩行およびヒール靴を着用した歩行について運動学的分析を行ったので報告する。【方法】対象は,1年以内に整形外科疾患のない足のサイズ24.5cmの健常女性22名とした。実験に先行してプラスチック角度計にて立位で膝関節伸展角度を計測し,5°以上のものを反張膝群,5°未満のものを非反張膝群とした。関節角度・関節モーメントの計測には,光学式三次元動作分析装置(VICON Nexus,VICON社)および床反力計(Force Platform OR6-7,AMTI社)を用いた。サンプリング周波数100Hzで計測したデータをもとに,股関節屈曲-伸展,膝関節屈曲-伸展および外反-内反,足関節背屈-底屈の関節角度および関節モーメントを算出した。なお関節モーメントは,対象者の体重で除して正規化を行った。裸足歩行およびヒール歩行は自由歩行速度で行った。ヒール靴はヒール高7cmのものを使用した。ヒール靴に慣れさせるため,トレッドミル上で3分間の歩行練習を行った。この際の歩行速度は,事前に算出した10m歩行速度とした。反射マーカの変位から左足趾離地から右踵離地(立脚中期)を決定し,この期間の関節角度・関節モーメント(最大値)を分析対象とした。また,表面筋電図の計測には多チャネルテレメータシステム(WEB-7000,日本光電社)を使用した。内側広筋,外側広筋,半腱様筋,大腿二頭筋,前脛骨筋を対象に,サンプリング周波数1,000Hzで計測し,単位時間当たりの積分筋電図を求めた。これらのデータは,各筋の最大等尺性収縮時の積分筋電図をもとに正規化し,積分筋電図(%IEMG)を算出した。統計学的分析には,SPSS Statistics21を使用した。反張膝群,非反張膝群ともに,裸足歩行およびヒール歩行の比較を対応のあるt検定にて行った(有意水準5%)。【結果】関節角度は,非反張膝群,反張膝群ともにヒール歩行で,股関節屈曲,膝関節屈曲・内反,足関節底屈角度がやや増加していた。股関節伸展モーメントは,非反張膝群,反張膝群に関わらず,裸足に比してヒール歩行で有意に高値を示していた(p<0.01)。膝関節では,非反張膝群の伸展モーメントが裸足歩行に比してヒール歩行で高値を示していた(p<0.01)。また外反モーメントについては,両群ともにヒール歩行で有意に高値を示していた(p<0.001)。一方の足関節底屈モーメントは,非反張膝群,反張膝群ともにヒール歩行で低値を示したが,有意差は認められなかった。%IEMGは,非反張膝群において内側・外側広筋にてヒール歩行で有意に高値を示していた(p<0.001)。また反張膝群では,半腱様筋においてヒール歩行で有意に低値を示していた(p<0.01)。【考察】ヒールを着用した立位姿勢では上半身後方移動,骨盤後方移動を行うことで,姿勢の不安定性を制御している(友國ら,2008)。つまり,ヒールを着用することで足関節が底屈位に固定されて下腿が前傾するため,膝関節屈曲,股関節屈曲位とする代償がみられたことになる。今回の結果では,股関節伸展および膝関節伸展モーメントが,裸足歩行に比してヒール歩行時に高値を示しており,動的状況下においても同様の制御が伺えるものと考えられる。膝関節の屈曲角度は,両群ともにヒール歩行でやや増加していたが,膝関節モーメントは非反張膝群のみで有意に高値を示していた。一方の筋活動をみると,反張膝群では半腱様筋においてヒール歩行で有意に低値を示していた。つまり,反張膝群のヒール歩行では,膝関節の屈曲モーメントをあまり必要としないことが示唆される。また,外反モーメントが両群ともにヒール歩行で有意に高値であったことは,足部の運動の関与が伺える。裸足歩行では荷重量の増大に伴い,足部は内反から外反へと運動の変換がなされるが,支持面の狭いヒール歩行ではこの運動が十分になされない。つまり,膝関節内反角度の増大に伴い,外反モーメントの発揮が求められたことが示唆される。【理学療法学研究としての意義】現代社会においてはヒール靴の使用頻度は非常に高いものの,女性に多い反張膝と関係性を示した研究はみられなかったことから,理学療法士として社会的貢献の一助となりえる。
著者
高橋 正志 福田 芳生
出版者
The Association for the Geological Collaboration in Japan
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.259-274, 1991-07-25 (Released:2017-06-06)

Fossil fish otoliths from the Upper Pleistocene Kioroshi Formation in Sakurai, Kisarazu City, Chiba Prefecture, are described. Following 16 species are first reported from the Kioroshi Formation: Trachinocephalus myops (Schneider), Neoscopelus sp., Rhynchocymba sp., Uroconger sp., Trachurus Japonicus (Temminck et Schlegel), Argyrosomus argentatus (Houttuyn), Sillago japonica Temminck et Schlegel, S. paruisquamis Gill, Evynnis sp., Calliurichthys sp., Callionymus sp. cf. C. richardsoni Bleeker, Chaeturichthys sp., Sagamia genionema (Hilgendorf), Hypodytes rubripinnis (Temminck et Schlegel), Cociella sp., Engyprosopon sp.. Though deep-sea (36%) and shallow-sea (64%) fish otoliths co-occurred from the Kioroshi Formation, the sedimentary environment of this formation is presumed to have been the sandy and muddy bottom of the sea, of which the depth was 5-50m, and the temperature was the same as that of the Recent Bay of Tokyo or somewhat warmer. A predatory, Cociella sp., and a preyed, Callionymus sp. cf. C. richardsoni Bleeker, co-occurred.