著者
我妻 朋美 萩原 祐介 伏屋 洋志 菅野 麻希 高橋 美香 松元 秀次
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.125-130, 2018-06-15 (Released:2018-08-08)
参考文献数
7

Background: We have observed that patients with restricted thumb opposition sometimes develop dysfunction of the intrinsic muscles around the metacarpal joint of the middle finger. Therefore, we developed a middle finger abduction exercise program which focuses on improvement of intrinsic muscle function during post-operative rehabilitation after thumb carpometacarpal arthroplasty. We report on the efficacy of the program herein.Methods: Three patients with Eaton stage III-IV thumb carpometacarpal arthritis were included in the study. The effects of the exercise program were recorded. Ultrasonography and surface electromyography were used to evaluate the effects of the exercise in two healthy volunteers.Results: Five minutes of exercise resulted in a 1- to 2-point improvement in the Kapandji opposition score, and a 1- to 3-cm improvement in thumb opposition to the base of the small finger. Ultrasonography and electromyography revealed that adductor pollicis, abductor pollicis brevis, opponens pollicis, and abductor digiti minimi contractions became more synchronous.Conclusion: Our middle finger abduction exercise program improves thumb opposition significantly. The program may be particularly useful for post-operative rehabilitation after thumb surgeries: thumb opposition can be improved without thumb motion, which can be painful in the early post-operative period.
著者
永瀬 伸子 東井 愛佳 亀山 暖加 木下 聡実 志賀 向日葵 塩谷 奈菜 高橋 京子 世永 愛璃
出版者
お茶の水女子大学生活社会科学研究会
雑誌
生活社会科学研究
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-38, 2017-10-23

本稿は,大学生の年金知識と年金意識に関する調査の分析結果である.永瀬\研究室では2016年10月に首都圏23大学967人に調査を行った.大学生の年金満足\は年金知識や将来の仕事や家庭の見通しで異なるとの仮説をたてた.5 件法の\年金満足度に影響を与える要因をみると,世代間扶養を支持する規範と将来子\どもを持たないことが年金満足に正の影響を与えていた.他方奨学金返済予定\があることは年金満足を有意に低めた.また6 問の年金知識を出題したが,大\学生の年金知識は驚くほど低く,十分な教育が行われていない.しかし多変量\解析から年金知識を獲得している者ほど有意に年金満足が下がることから,現\在の年金制度の大学生の納得を得にくいという重大な課題が示唆される.大学\生の8 割が結婚や出産を期待し,女性の過半数は共働きを志向し,自分の収入\期待も高かった.これからの社会保障について,若者の視点を取り入れ,従来\とは違った形で子育てや奨学金の負担,共働き家族に配慮すべきと考えられる.This paper reports the results of a survey on University Students' Knowledge and Attitude\towards the Pension System, conducted in October 2016 with students at 23 universities in the\Tokyo metropolitan district. Between 30 to 60 students responded at each university, for a total\sample size of 967 students. The survey was designed and conducted by university students\participating in the laboratory of Nobuko Nagase at Ochanomizu University. We hypothesized\that students' satisfaction with the national pension system rises with increased knowledge of\the system, and also that satisfaction varies by one's plan for future, such as wishing to take care\of one's parents, or wishing to become or have a full-time housewife at home, or wishing to have\children. We found that university students' knowledge on the pension tax and basic pension\payment is extremely limited. However, when students have more knowledge, we found in the\ordinary least square analysis that their satisfaction with the national pension system statistically\significantly declines. This is an alarming result. In the econometric analysis, we also found that\when students have student loans, their satisfaction with the pension system statistically\significantly declines. Only when the students agreed with the concept of supporting the elderly,\or when they reported not planning to have children in the future, did their satisfaction with the\pension system increase. We found that 80 percent of students wished to form a family, while\more than half of university female students did not wish to become full-time housewives in the\future, and that they expect a much higher income than present Japanese females do earn. The\National pension system needs to conform with the changing views of youth about their future.
著者
高橋 理喜男 前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.24-37, 1977-02-20
被引用文献数
2 3

自然環境の管理保全の目標に適合したレクリエーション利用の適正密度基準を求めるため,奈良公園若草山の自然草地を研究対象として,レクリエーション利用密度と草地植生の群落的形質との生態的関連性を解析した。もっとも利用者の集中する春秋2季のうち,1973年1月初旬の休日2日間をえらび,地上各出入口において,30分単位で入退山者数を記録するとともに,合計6回にわたって,草地における滞留者の分布状態を空中写真によって捉えた。その結果を25mメッシュに切った1/2500の地形図上に,各撮影時刻毎にメッシュ当り利用密度分布図を作成した。利用密度と植生タイプとの関連性を,空間的広がりの中で考察していくためには,利用密度階級によって分けたメッシュ群が,ある程度安定した恒常性をもっていることが条件となる。その点を「平均相対利用密度」を用いて検証を試みた結果,空からの調査回数が少いため若干のフレを伴っているけれども,恒常性の条件をほぼ満たしていると判断された。一方,春と秋の2回にわたって植物社会学的植生調査を実施し,草地の群落的組成を明らかにするとともに,その空間的配分を示す植生図を作成した。さらに利用密度との比較検討ができるように,1つは相観タイプにより,もう1つは群落タイプによって,それぞれメッシュ単位から成る植生図に編成した。相観タイプについては,ススキ優占草地とシバ優雨草地とがメッシュ内に占める被度の割合に応じて,ススキ型,シバ型それぞれ3種類と裸地化型の計7タイプを設定した。また群落タイプの方は,ススキ群落を除外し,ススキ群落からシバ群落への移行帯を特微づけているチカラシバ型と,シバ草地を形成しているネズミノオ型,典型シバ型,ギョウギシバ型の4タイプに分けた。そこで,年間を通じて,入山者の最も多いクラスに属する11月3日の,しかも最高滞留者数を記録した13時の5,512人を基準にして,前述の「平均相対利用密度」階級を具体的な利用密度階級に換算して植生タイプとの比較を試みた。その結果,ha当り20人以下の利用密度にとどめておく限り,ススキ草原としての景観的存続は保証され,400人ぐらいまでなら,ススキ優占がつづく。しかし,500人を境として,シバ型へ転向し,900人を超えると典型的シバ草原が成立する。さらに,1,300人以上になると,激しい踏圧によって裸地化の前駆相ともいえるギョウギシバ型がとって代ることになる。
著者
一柳 昌義 シェスタコフ ニコライ 奥山 哲 大園 真子 笠原 稔 高橋 浩晃
出版者
北海道大学大学院理学研究院
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.17-26, 2018-03-19

A M5.6 shallow earthquake occurred on 8 July 2014 in middle east Iburi region, southwestern Hokkaido. Maximum seismic intensity of 5- was observed at Shiraoi town. Three temporal seismic stations had been installed in the focal region from 9 July 2014 to 30 April 2015. We determined 384 aftershock hypocenters by the double-difference tomographic hypocenter determination with proper seismic velocity structure. Relocated aftershocks were clearly distributed on a southeastern ward dipping plane with 5~10 km depth. This configuration agreed with a nodal plane of mainshock focal mechanism. Aftershocks occurred in surrounding part of a low seismicity patch. Mainshock was located deepest part of aftershock zone. These facts suggested that mainshock rupture propagated from deep to shallow, and a low seismicity patch was mainshock slip area. No clear correlation between this earthquake sequence and nearest active Tarumae volcano activity were identified.
著者
山門 誠 長塚 敬一郎 高橋 絢也
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1383-1390, 2013 (Released:2018-01-25)
参考文献数
5

「横加加速度を速度で除した値に比例したヨーモーメント」を加える制御則(M+/V)を新たに提案し,2輪モデルを用いて解析を行った結果,制御の主成分は,「横すべり角によるヨーモーメント成分」の位相進み/遅れで表現でき,外乱の影響を小さくするメカニズムが形成され,安定性が改善できることを確認した.
著者
佐藤 誠一 平賀 直樹 高橋 絢也 山門 誠 梅津 大輔
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.1101-1106, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
5

横加加速度に基づくヨーモーメント制御であるMoment Plus(M+)のレーンチェンジ操作に対する効果を実車試験により評価した.ドライ路および圧雪路にて複数のドライバによるレーンチェンジ試験を行った結果,ドライバによってM+有無の効果にばらつきがあるものの,レーンチェンジタスク成功率が向上する傾向が見られた.
著者
高橋 絢也 山門 誠 長塚 敬一郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1337-1342, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
5
被引用文献数
1

横加加速度に基づくヨーモーメント制御であるMoment Plus(M+)のレーンチェンジ操作に対する効果を検討した.操舵速度とヨー加速度の線形性を操作性の指標とし,評価した結果,横加加速度に基づいた加減速制御(G-Vectoring Control)に,更にM+を加えることで,操舵速度に対するヨー加速度の線形性が向上し,操作負荷軽減効果が期待できることを確認した.
著者
森 岳志 中川 正樹 高橋 延匡 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.807-814, 1988-08-15
被引用文献数
1

本論文は 新しい浮動小数点表現法の比較・評価を行う環境を提供することを目的とし OS用言語CコンパイラCATに複数通りの浮動小数点表現法を実現したことについての報告である.本研究では (1)URR (2)IEEE表現法(3)MIL-STD-1750A表現法の3種類の表現法をサポートしている.さらに 表現法の選択を (ア)コンパイル時に行う方法 (イ)実行時に行う方法の両者を用いて実現した.後者の方法は 効率の良い評価環境を与えることを目的として考案された方式で 評価の際のコンパイルとリンクの手間を軽減し 新たに表現法を追加したとしても浮動小数点演算ライブラリの再編成だけを行えばよく プログラムの再コンパイルを必要としないことなどの特徴を有している.定数の扱いに問題が生じたが 現時点では実行時に内部表現に変換することによって解決している.
著者
高橋 伸一郎
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

成長ホルモン(GH)は、インスリン様成長因子の産生を介した成長促進活性を有するが、同時にインスリン抵抗性をはじめとした種々の代謝制御活性を示し、GHの長期連用は糖尿病を誘発する可能性があるなど、臨床上問題となっている。しかし、GHによるインスリン抵抗性の発生機構は、全く明らかとなっていない。本年度、本研究では、3T3-L1脂肪細胞をGHで長時間処理後インスリン処理し、インスリンの細胞内シグナルを詳細に検討した。その結果、GH前処理により、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性や基質のひとつであるIRS-1のチロシンリン酸化は変化しないにも関わらず、もうひとつの受容体キナーゼ基質IRS-2のインスリン依存性チロシンリン酸化が抑制され、更に下流シグナル分子Aktのインスリン依存性活性化も抑制されることを見出した。そこで、恒常的に活性化しているAktを3T3-L1脂肪細胞に強制発現させたところ、GH前処理によるインスリン依存性糖取り込みの抑制が解除され、他の結果も併せると、GH前処理によりIRS-2を介したシグナルが抑制され、GLUT4は細胞膜に移行するのに関わらず、その糖輸送活性が阻害されていると結論された。そこで、GH前処理後のインスリン処理に応答してGLUT4に何らかの分子内修飾が起こっているか、二次元電気泳動を用いて検討したところ、GLUT4の分子内修飾は認められなかった。現在、GLUT4に結合し、GLUT4の糖輸送活性を修飾するような分子の同定を進めている。一方、ヒトGHを高発現するトランスジェニックラットより調製した脂肪細胞では、3T3-L1脂肪細胞と同様に、インスリン依存性糖取り込みの抑制が観察されたが、この糖取り込み抑制は、肝臓でのインスリンシグナルが強められ、インスリン依存性脂肪・グリコーゲン合成が増強されることで補償されることも明らかとなった。
著者
高橋 恒夫 神尾 彰彦 チェン グエンアン
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.134-140, 1975-04-30 (Released:2008-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

The morphological transition from planar to cellular interface in Al-Ti alloys occurs at a constant value of C0•R/G and the cell-dendrite transition occurs at a constant value of C0•R1/2/G, where C0 is the initial solute concentration, R growth rate and G temperature gradient. As the planar interface breaks down to form depressions, a rod-like cored substructure is formed in each cell when the interfacial morphology changes successively from depressions to irregular cells, elongated cells and hexagonal cells. The rod-like substructure is transformed into the dendrite as the cellular interface changes into dendritic. The length of rods and dendrites becomes shorter with an increase in C0•R/G. The cored region is enriched with Ti, and its content is about 2.5-4.0 times of the initial solute concentration. The matrix of cellular and dendritu interface is extremely depleted in the solute, and its concentration is about 1/3-1/5 of C0.The diffusion coefficient for the solute Ti in the liquid Al at the liquidus temperature is calculated to be 0.87×10-5cm2/sec.
著者
高橋 愼一
出版者
慶應医学会
雑誌
慶応医学 (ISSN:03685179)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.119-127, 2005-09

講座はじめに歴史的背景ニューロンは乳酸をエネルギー基質とするかアストロサイトは嫌気的な細胞か行方不明の乳酸アストロサイトによるシナプス・モジュレーションアストロサイトの脳循環調節に及ぼす役割まとめ
著者
酒井 智彦 田崎 修 松本 直也 鵜飼 勲 別宮 豪一 高橋 幸利 杉本 壽
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.258-264, 2009-05-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
16

フェノバルビタール大量療法で難治性痙攣をコントロールし得た 1 例を経験した。患者は50歳の男性。熱発・全身倦怠感で発症し, 4 日後に,脳髄膜炎を疑われ,前医へ入院となった。入院後から痙攣発作を認めるようになり,痙攣の持続時間は数十秒から30分程度であった。原因検索を行うと同時に,各種抗痙攣薬で痙攣のコントロールが試みられたが,痙攣の頻度は変わらず,前医第 9 病日に当センターへ転院となった。ミダゾラム,サイアミラール,プロポフォールなどの静脈麻酔薬を併用しつつ,抗痙攣薬で痙攣のコントロールを試みたが,痙攣は消失しなかった。経過中,血清中の抗グルタミン酸受容体IgM-ε2抗体が陽性であることが判明し,自己免疫介在性脳炎が強く疑われた。ステロイドパルス療法が著効しなかったため,フェノバルビタールの投与量を段階的に1,200mg/dayまで増量したところ,血中濃度が60μg/mlを超えたところで痙攣が消失した。その後,他の抗痙攣薬を順次中止し,フェノバルビタールの単剤投与としても,痙攣が再発することはなく,第76病日の脳波でも棘波は消失した。痙攣のコントロールに難渋する症例に対して,フェノバルビタール大量療法は効果の期待できる治療法であると考えられた。