著者
高橋 恵美子 山下 一也 阿川 啓子 小村 智子 渡部 真紀 森山 雪美 岡本 雄二 Emiko TAKAHASHI Kazuya YAMASHITA Keiko AGAWA Tomoko OMURA Maki WATANABE Yukimi MORIYAMA Yuji OKAMOTO
出版者
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.249-258, 2011

出雲市内のA中学校区小中学校教諭と島根県立大学短期大学部教員の協働により、ADHDの子どものためのサマープログラムとして『いずもサマースクール』を実施し、その概要と課題をまとめた。実施期間は8月第1週目の1週間、参加児童は小学4年生4名、小学5年生2名の男児計6名であった。スタッフは延べ50名であり、小中学校教諭、大学教職員、保健師、大学生、大学院で心理を専攻した者であった。児童の変化は、3日目から4日目のポイントの増加という形で見られた。課題として①実施期間と対象児童の拡大②ボランティアスタッフの増員と充実③保護者会の内容と回数の充実④ペアレントトレーニング導入の検討の4点が明らかになった。
著者
高橋 純 増田 尚美 山田 泰司 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1664-1667, 1999-10-25
参考文献数
2

GumowskiとMiraの写像に関して,その解が状態空間においてロジスティック写像の分岐図のような振舞いを示すパラメータ値を発見した.そのモデルを構成して,この現象の仕組みの解析を行い,併せて,力学系の時間発展を追跡し,この現象が過渡的であることを確認した.
著者
保科 静香 黒澤 景一 高橋 翔太 加藤 浩太 吉村 公佑 奥村 幸弘 松本 尚貴 横山 雅彦 中田 正文 日比谷 孟俊 神原 陽一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.537-549, 2018-11-15 (Released:2018-11-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

福島第一原子力発電所事故由来の134Csの分布を,南東北,北関東,南関東,及び甲信越などの山岳地域において,シンチレーションスペクトロメータを用いて測定した。吾妻山及び八溝山では,高度が低くなると放射線強度が増し,一方,御前山,及び大山では高度が高くなると放射線強度が増すことがわかった。このことは,特定の高度にその中心を有する放射性物質雲(プルーム)が存在し移動したことを示唆している。
著者
山内 健介 金氏 毅 野上 晋ノ介 山下 善弘 高橋 哲 永山 純一郎 酒井 香織 酒井 昭行
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.205-210, 2010-08-15 (Released:2012-03-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

The most frequently used techniques for correcting skeletal Class III deformity are sagittal split ramus osteotomy (SSRO) and intraoral vertical ramus osteotomy (IVRO). The purpose of this study was to compare the clinical outcome including skeletal stability after SSRO with semirigid fixation and IVRO. The subjects of this study were 23 patients who underwent SSRO for mandibular setback with semirigid fixation by titanium miniplate and 20 patients who underwent IVRO for mandibular setback without interosseous fixation. The mean period of maxillo-mandibular fixation was 5.1 days in the SSRO group and 7.3 days in the IVRO group. The evaluation items were skeletal changes, operation time, blood loss, sensory disturbance, temporomandibular joint (TMJ) sound and mandibular range of motion (ROM). Compared with the SSRO group, the B-point and pogonion moved significantly posteriorly in the IVRO at more than 6 months after surgery. Operation time, blood loss and occurrence of sensory disturbance were also less than those in the SSRO group. There were no significant differences in TMJ sound and ROM. The results of this study showed that both methods had minimal relapse and no significant difference in comparison by measurement of B-point and pogonion. In conclusion, both methods are effective for correcting skeletal Class III malocclusion, and the surgical method should be selected in consideration of each clinical distinction.
著者
高橋 恵子
出版者
弘前大学保健管理センター
雑誌
弘前大学保健管理概要 (ISSN:02865890)
巻号頁・発行日
no.30, pp.14-21, 2009

大学生の生活習慣に関する意識調査を行った結果,ほとんどの学生は自らの生活習慣を望ましいものと捉えておらず,生活習慣に対する評価は低かった。自らを健康的でないとする群では無気力が認められた一方で,健康群では他者に相談したりリラックスする等の積極的な健康行動が認められた。適切な食習慣をもつ学生は,抑うつ・不安,無気力等の陰性感情得点が低く,ストレス状況下における感情の抑圧傾向が少なかった。運動習慣はリラックスによる対処行動と関連した。睡眠習慣の阻害要因としては無力感,怒り,イライラなどの陰性感情,および感情の抑圧傾向があり,促進要因としては人に相談したりリラックスするストレス対処があげられた。日頃ストレスが多いと感じる学生は,少ないと感じる学生に比べて抑うつ・不安,怒り・不機嫌,無気力の得点が高かった。ストレスが少ない学生は,そうでない学生に比べてリラックスの対処が適切であった。生活習慣の修正は多くの学生にとって動機付けの難しさがあるが,身近なストレスと生活習慣を関連づけた対人援助的な介入は,健康行動のセルフマネージメントカを育成する有効な手がかりであると考えられる。
著者
早貸 千代子 横尾 智治 小澤 富士男 菱山 玲子 徐 広孝 鈴木 清夫 関口 隆一 高橋 宏和 千野 浩一 土井 宏之 早川 和彦 山本 智也 小塩 靖崇 佐々木 司 小宮 一浩
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 = Bulletin of Junior & Senior High School at Komaba, University of Tsukuba (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.159-169, 2016-03

心も体も大きな変化をもたらす10代は、精神疾患の好発時期といわれている。その要員として、夜更かし・睡眠不足等の生活習慣の乱れや、悩みや心配事を相談せず(できず)一人で抱え込む(援助希求をしない)等が指摘されている。現在の教育課程では、精神疾患とその対処に対する正しい知識を学ぶ機会がないために、本人も周囲も不調になったことに気付きにくく、本格的な病気の進行・長期化といった状態を招いている可能性が高い。そこで、本校の成長過程プロジェクト研究(以下、PI)では中学2年生を対象に、保健の授業の中で、心の不調や病気の予防・早期発見・早期対応の正しい知識と対応法(以下、メンタルヘルスリテラシー)の教育を試みた。授業前後で精神疾患の知識の向上と援助希求行動と援助行動の考えの改善が見られたのでここで報告する。
著者
高橋 恵美子 山下 一也 阿川 啓子 小村 智子 Emiko TAKAHASHI Kazuya YAMASHITA Keiko AGAWA Tomoko OMURA
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.137-143, 2010-09-30

ADHDをもつ子どものための包括的治療としての夏期治療プログラム(Summer Treatment Program : STP)の意義について文献的考察をした。ADHDの原因については、多くの研究にも関わらず十分に解明されていないところが多い。ADHDの治療方法としては、薬物治療による効果が70~80%の子どもに見られるために、薬に頼りがちである。しかし、ADHDをもつ子どもが抱える併存障害の重症化を予防する観点から考えても、治療的エビデンスのある行動療法と中枢神経刺激薬を中心とした薬物療法を組み合わせた包括的治療が重要である。
著者
高橋 京子 侯 暁瓏 高橋 幸一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.270-275, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

東西医薬品の併用投与は有効な治療手段となっているが,歴史的経験知は東西薬物併用療法を想定していなかったため,適正使用に必要な情報が著しく不足している.最適な併用療法の実践には,安易な漢方薬の使用中止ではなく,薬物動態学的相互作用情報の提供が求められる.CYP3A4はヒトチトクロムP450(CYP)に最も多く存在する分子種で,小腸には全体の30%程度が分布することから,経口剤の薬物動態学 的相互作用の主要な因子である.従来の生薬・漢方薬に関する相互作用報告は統一的見解に至らず,結果の相違が生薬の多様性や実験動物の種差などで処理されている.そこで,動物実験の利点と限界を理解し,目的に応じた評価系構築を提案する.その目的は,(1)漢 方方剤(漢方薬)の総合的評価,(2)薬物代謝酵素CYP450とP-glycoproteinに対する影響,(3)漢方薬の服用方法(経口剤・前処置・連続投与)に則した実験法の構築,(4)薬物動態学的パラメーターの算出,(5)相互作用発現機序を検証できることである.まず,著者らは,雄性ラットに柴苓湯(さいれいとう)(蒼朮(そうじゅつ)配合)を反復前処置することで惹起される消化管CYP3A代謝変動を,ニフェジピンの体内動態パラメーターから解析した.その変動を肝臓および小腸ミクロソームのCYP3A活性,関連タンパクの発現状態,相互作用の持続性について検討し相互作用発現機序に至る過程を明らかにした.また,柴苓湯による異なる相互作用報告は,製造企業間で素材生薬(日本薬局方収載の蒼朮または白朮(びゃくじゅつ)配合)や混合比率の相違のため比較が困難で,生薬製剤の品質が重要な課題となることを再確認した.一方,柴苓湯の含有成分パターンから,高濃度を占めるバイカリンなどの配糖体由来成分の動態は,腸内細菌などの生体の反応性に左右される.漢方薬の真価を評価し適正使用を推進するためには,同じ規格毎の方剤で科学的エビデンスが蓄積され,情報発信ができることを切望する.
著者
小川 佳代 中岡 泰子 富田 喜代子 前田 宏治 加藤 孝士 高橋 順子 石原 留美 尾崎 八代 中澤 京子 三木 章代 吉村 尚美 江口 実希
雑誌
四国大学紀要, A(人文・社会科学編) (ISSN:09191798)
巻号頁・発行日
no.40, pp.13-19, 2013-06

大学の位置する地域における子育て環境を把握し、大学教員としてより具体的な子育て支援のシステムを構築するために、育児ストレスの構造の地域の特性を明らかにした。A県内子育て支援センターに通っている子どもの親及び家族630名を対象とした。育児ストレッサー尺度を用いて、ストレスについて測定した。477名から回答が得られた。対象者の98.1%が女性であった。育児ストレッサー31項目の単純集計の結果、高い値を示したのは「一人になれる時間がない」「自分の時間がない」「子どもを育てるために我慢していることがある」などであった。育児ストレッサーの32項目を変数とした因子分析を行い、6因子を抽出した。第1因子は「子どものしつけや対応への困難」、第2因子は「自分の時間がない」、第3因子は「一人きりの子育て」、第4因子は「子どもの食行動の問題」、第5因子は「夫の無理解・非協力的態度」、第6因子は「子どもにまとわりつかれる」と命名した。
著者
高尾 佳史 高橋 俊成 藤田 晃子 松丸 克己 溝口 晴彦
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.48-55, 2015 (Released:2018-04-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

1)官能評価結果から,対照酒に比べて樽酒を摂取した場合,食品の旨味を強く,長く感じさせる効果があることが示された。2)清酒と料理を組み合わせたときの旨味後味を,味認識装置を用いて評価する方法を設定した。そばつゆやシーフードを食品サンプルとした場合には,対照酒に比べて樽酒では,旨味後味値が強くなっていた。3)食品の旨味後味に及ぼす樽酒の効果は,杉樽から抽出される物質に起因しており,比較的極性が高く,揮発しにくい成分と考えられた。杉樽から溶出するポリフェノールや多糖類の可能性が考えられるが,樽酒ではポリフェノール濃度が高いものの,多糖類の濃度には差が見られず,ポリフェノールやその配糖体の可能性が考えられる。
著者
栗原 光規 久米 新一 高橋 繁男 相井 孝允
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.375-382, 1991
被引用文献数
4 1

高温時における乾乳牛のエネルギー代謝に及ぼす給与粗飼料の影響を検討する目的で,ほぼ維持量のイタリアンライグラス乾草(IH区)あるいはトゥモロコシサイレージ(CS区:大豆粕150g追加)を各2頭のホルスタイン種乾乳牛に給与してエネルギー出納試験を行った.環境条件は,相対湿度を60%に保ち,環境温度を18,26および32°とした.その結果,1) 体温および呼吸数は,環境温度の上昇とともに有意に上昇,増加したが,飼料間に有意な差は認められなかった.2) 総エネルギー摂取量に対する熱発生量の割合は,32°で増加する傾向にあり,その増加量はIH区の方が高い傾向にあった.3) エネルギー蓄積量は,CS区と比べてIH区の方が有意に少なく,また,環境温度の上昇とともに減少する傾向を示した.4) 摂取代謝エネルギー量に対する熱増加量の割合は,IH区では環境温度の上昇にっれて,CS区では32°で増加する傾向を示した.5) 維持に要する代謝エネルギー量は,IH区では18°と比べて26および32°でそれぞれ約6および11%,CS区では18および26°と比べて32°で約10%増加した.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 高橋 裕介 斎藤 功 木下 和勇 木元 稔 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100337, 2013

【はじめに、目的】 膝関節筋は中間広筋の深層に位置し、大腿骨遠位前面を起始、膝蓋上包を停止とする筋である。その作用は膝関節伸展時の膝蓋上包の牽引・挙上とされ、機能不全が生じると膝蓋上包が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれるため拘縮の原因になると考えられている。しかしこれらは起始、停止からの推論であり、膝関節筋の機能を直接的に示した報告はない。本研究の目的は膝関節筋が膝蓋上包の動態に及ぼす影響およびその角度特性を超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】 健常大学生16名(男女各8名:平均年齢22歳)32肢を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹、骨盤、下腿遠位部をベルトで固定した。動作課題は膝関節伸展位、屈曲30°位、屈曲60°位での等尺性膝伸展運動とし、実施順は無作為とした。いずれも最大筋力で3回行い、このときの膝関節筋の筋厚および膝蓋上包の前後径、上方移動量を超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製)を用いて測定した。測定には14MHzのリニアプローブを使用しBモードで行った。膝関節筋および膝蓋上包の描写は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で、膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節筋筋厚は筋膜間の最大距離、膝蓋上包前後径は膝関節筋付着部における腔内間距離を計測し、等尺性膝伸展運動時の値から安静時の値を減じた変化量を求めた。膝蓋上包上方移動量は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし、等尺性収縮時の画像上でその点の移動距離を計測した。各膝関節角度間での膝関節筋筋厚、膝蓋上包の前後径、上方移動量の差を検定するため、一元配置分散分析およびTukey多重比較検定を行った。また各膝関節角度において膝蓋上包前後径および上方移動量を従属変数、膝関節筋筋厚、年齢、体重を独立変数とした重回帰分析(stepwise法)を行った。統計解析にはSPSS19.0を使用し、有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には事前に研究目的および測定方法を十分に説明し書面で同意を得た。【結果】 膝関節筋筋厚は伸展位3.21±0.72mm、屈曲30°位2.74±0.71mm、屈曲60°位2.03±0.49mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に厚く(それぞれp=0.014、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に厚かった(p<0.001)。膝蓋上包前後径は伸展位2.62±0.94mm、屈曲30°位2.15±0.98mm、屈曲60°位0.44±0.30mmで伸展位および屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(いずれもp<0.001)。膝蓋上包上方移動量は伸展位13.33±4.88mm、屈曲30°位10.44±2.65mm、屈曲60°位5.63±2.02mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に大きく(それぞれp=0.041、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(p<0.001)。重回帰分析の結果、膝蓋上包前後径のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.659、屈曲30°位で0.368であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は伸展位で0.752(p<0.001)、屈曲30°位で0.623(p<0.001)であり、いずれも正の連関が認められた。屈曲60°位では有意な連関は得られなかった。膝蓋上包上方移動量のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.548であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は0.750(p<0.001)であり、正の連関が認められた。屈曲30°位、60°位では有意な連関は認められなかった。【考察】 筋厚の結果から膝関節筋はより伸展位で収縮する性質があると考える。また屈曲60°位においても2.03mmの変化が得られたことから、屈曲位でも収縮することが示された。膝蓋上包前後径および上方移動量は伸展位、屈曲30°位に比べ屈曲60°位で有意に小さかった。これは膝関節屈曲時に膝蓋骨と共に膝蓋上包が遠位に移動するため、その緊張が高まり後方および上方への変化量が小さかったと考える。しかし膝関節筋の収縮は認められることから、屈曲60°位においても膝蓋上包への張力は作用しているものと推察される。重回帰分析の結果、膝関節伸展位では膝関節筋の収縮は膝蓋上包前後径、上方移動量に影響することが示され、解剖学的知見から予測された作用と一致する結果であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究は膝関節筋が膝蓋上包を牽引、挙上することを超音波画像より直接的に示したものであり、基礎データとして有意義であると考える。今後は膝関節拘縮や変形性膝関節症との関連性や膝関節可動域制限への介入の新たな視点等、臨床への応用が期待される。
著者
高橋 一幸 Temsiririrkkul Sila 池田 心
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.19-25, 2017-11-03

日本では「不思議のダンジョン」シリーズで名高いローグライクゲームは,マップや敵配置がランダムなこと,そのため臨機応変にアイテム等を使い分ける必要があることなどを特徴とする一人用ダンジョン探索ゲームの総称である.囲碁や将棋などよりは複雑で,StarcraftやCivilizationなどよりは単純なこのゲーム群は,短期的戦術と長期的スケジューリングの両方を要するなど,高度なゲームAIを研究するうえでの良い課題をいくつも持つ.本論文では,学術用プラットフォームを共有できるようにするために,ローグライクゲームの最低限の要素を持たせたゲームのルールを提案した.そのうえで,ルールベースのコンピュータプレイヤ,短期的な戦術行動を改善するためのモンテカルロ法プレイヤ,長期的な視点での行動が取れるようにするための教師あり学習を提案した.
著者
高橋 晃 宮﨑 眞 TAKAHASHI Akira MIYAZAKI Makoto
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.503-516, 2015-03-01

近年、日本の乳幼児期における早期診断・早期療育体制については全国的に確立されているが、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders 以下ASDと略す)をもつ子どもへの発達支援に有効とされる指導については、ASDへの根本治療が発見されていないため、いまだ一貫した知見は得られていない(富永・森,2006)。そのような現状においてASDは脳神経の異常により、様々な行動に影響を及ぼす症候群であるという観点から、適切な行動の獲得を支援するために応用行動分析(Applied Behavior Analysis 以下ABAと略す)が有効であり、集中的な指導の中で繰り返し練習することで、ASD児の行動や認知機能の改善が見られることもある(Richman2001,Lovaas2003)。ABAによる就学前のASD児への早期療育プログラムとしては、ASD児へ週40時間の行動介入を実施したLovaas(1987)による離散試行型指導(Discrete trial training 以下DTTと略す)を中心とした研究実践において、ASD幼児の発達を促進させたと報告されている。DTT以外の介入方法では、ASDの中核的症状の一つである交互交代の理解の困難さに治療の焦点をあてた機軸行動発達支援法(Pivotal Response Treatment 以下PRTと略す)が開発された(Koegel,2006,近藤・山本,2013)。他にもASDが獲得困難とする質問行動や会話などの社会的行動の始発の促進を指導するためにスクリプト・スクリプトフェイディング法(以下S・SF手続きと略す)が開発され(Krantz&Mclannahan,2005)、その有効性が報告されている。しかし、稲田・神尾(2011)は北米におけるABAの週数十時間の集中的な介入は日本では非現実的であるため、家族による有効な家庭療育が可能になるような負担の少ない家族支援のあり方を検討するべきであると指摘している。それに対し、奥山・杉山・藤坂(2009)は就学前のASD幼児へ週当たり平均10時間程度のABAに基づいた親中心の家庭療育を実施し、発達を促進させたと報告している。そこで、本研究では以下の点について検討する。稲田・神尾(2011)が指摘した保護者にとって負担の少ない家庭療育について奥山・杉山・藤坂(2009)の先行研究をもとにDTTやPRT、S・SF手続きの研究報告を調べて、実施可能と思われる療育プログラムの有効性を検討する。
著者
野村 佳司 高橋 利郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.372-377, 2005-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

清酒には固有の色があり, 品質の4部であるともに風味のバロメータ4になっている。流通段階で清酒が過度に着色するとクレーム対象となるため, 日光着色については万全の対策が講じられている。一方, 着色は日光ばかりではなく蛍光灯によっても起こることはしばしば経験される。筆者らは蛍光灯による清酒の着色現象を詳細に調べている。本稿は着色の実態とその防止策について貴重な情報を提供している。
著者
真田 信治 二階堂 整 岸江 信介 陣内 正敬 吉岡 泰夫 井上 史雄 高橋 顕志 下野 雅昭
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

日本の地域言語における現今の最大のテーマは、方言と標準語の接触、干渉にかかわる問題である。標準語の干渉のプロセスで、従来の伝統的方言(純粋方言)にはなかった新しいスピーチスタイル(ネオ方言)が各地で生まれ、そして青年層に定着しつつある。このプロジェクトでは、このネオ方言をめぐって、各地の研究者が集い、新しい観点から、西日本の主要な地点におけるその実態と動向とを詳細に調査し、データを社会言語学的な視角から総合的に分析した。1996年度には、報告書『西日本におけるネオ方言の実態に関する調査研究』を公刊し、各地の状況をそれぞれに分析、地域言語の将来を予測した。また、1996年度には、重点地点での、これまでの調査の結果をまとめた『五箇山・白川郷の言語調査報告』(真田信治編)、および『長野県木曽福島町・開田村言語調査報告 資料篇』(井上文子編)を成果報告書として公刊した。なお、この研究の一環として、九州各地域の中核都市において活発に展開している言語変化の動態を明らかにすることを目的としたパーセントグロットグラム調査の結果を、データ集の形で示し、それぞれのトピックを解説、分析した報告書『九州におけるネオ方言の実態』を1997年度に公刊した。
著者
黒田 逸月 高橋 有己
出版者
京都大学学際融合教育研究推進センター高大接続科学教育ユニット
雑誌
ELCAS Journal
巻号頁・発行日
vol.1, pp.54-57, 2016-03

薬学Cell membrane permeability is one of the obstacles that must be overcome during drug development. In the present study, antimicrobial peptides that increase cell membrane permeability were used to overcome this obstacle. In particular, melittin, indolicidin, magainin, and dermcidin were selected. Evaluation of membrane permeability enhancement by calcein-encapsulated liposomes suggested that melittin and indolicidin increase membrane permeability. Therefore, we designed the novel peptides melittinR8, or mellitin fused with R8, and indolicidinRGD, or indolicidin fused with RGD. Evaluation of membrane permeability enhancement by using calcein-encapsulated liposomes and 8 different cell types showed that mellitinR8 exhibits the greatest permeability enhancement among the antimicrobial peptides tested. By using FITC-DNA and FITC-Dextran as model drugs, the enhancement of drug delivery into cells by melittinR8 was evaluated. As a result, high membrane permeability enhancement was observed in the case of delivering FITC-DNA into cancer cells. These results indicate that melittinR8 can be a tool to facilitate the delivery of DNA into cancer cells.細胞膜透過性は医薬品開発における問題点の一つである。今回は、細胞膜透過性亢進作用を有する抗菌ペプチドに着目した。抗菌ペプチドとしてメリチン、インドリシジン、マガイニン、ダームシジンを選択した。カルセイン封入リポソームにより膜透過性亢進作用を評価したところ、メリチンとインドリシジンが高い膜透過性亢進作用を示した。そこで、メリチンR8、インドリシジンRGDを新たに設計し、リポソームおよび8種類の細胞を用いて評価したところメリチンR8が高い膜透過性亢進作用を示した。モデル薬物としてFITC-DNAとFITC-Dextranを用いてメリチンR8による細胞内への送達を評価したところ、ガン細胞とFITC-DNAの組合せにおいて高い膜透過性亢進作用が得られた。以上、メリチンR8はDNAをガン細胞内へ送達するデリバリーツールとなりえると考える。
著者
福岡 博史 上田 恵里子 小山 悠子 福岡 明 野呂 明夫 高橋 一祐
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.417-421, 2002-09

「波動」という新しい概念が提唱され、波動測定器というものが健康度や病気の進行度、物品の品質などを計測できる機器であるとされている。しかし、この種の機器での分析にあたり、計測担当者の操作技術、心理状態が計測結果に影響する要因として考えられており、研究者によっても得られた計測値の評価についての解釈は様々である。本実験では、熟練度の異なるオペレーターが、11種類の歯に装着する各種歯科材料を対象として、磁気波動共鳴分析器「MIRS」を用いて計測を行い、その計測値の差について評価した。またこれらの歯科材料の材料相互間の評価でなく、各被験者との相性を評価することができるかどうかを、同様に「MIRS」を用いて、十分な経験のあるオペレーターにより計測し、評価・検討を行った。
著者
有井 一伸 戸井 恵子 高橋 邦明
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第26回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.140-141, 2012 (Released:2014-07-17)

本研究では、チップ抵抗のSn-3Ag-0.5Cuはんだ接合部の温度変化率による影響について調べるため、温度変化率の異なる熱サイクル試験を実施した。試験条件は125℃ / -40℃とし、高温および低温の保持時間が15分以上となるように設定した。試料は実装した5025サイズのチップ抵抗で評価した。試験中の電気抵抗測定および、試験後のトルクせん断強度試験と断面観察を行った結果から、チップ抵抗はんだ接合部の温度変化率に伴う、故障状態の比較・検討を行う。