著者
岩谷 良恵 高橋 在也 長嶋 明子 高橋 在也 タカハシ ザイヤ Takahashi Zaiya 長嶋 明子 ナガシマ アキコ Nagashima Akiko 高瀬 佳世 タカセ カヨ Takase Kayo 佐藤 和夫 サトウ カズオ Sato Kazuo
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.283-296, 2009-03

本稿は,主として男性育児休業取得者に対して行なった聞き取り調査を報告するものである。本研究は,科学研究費基盤研究「男女共同参画社会における男性の「社会化」と暴力性に関する研究」の一環として行われているもので,その関心は,男性が家事や育児に従事することが,男性の暴力性の問題と関連があるかどうかを探ることにある。この研究にあたっては,先行する研究の成果がある。ひとつは,地方の農業高校の調査で,その調査からは,子どもたちが生きていくために不可欠な技術や知識を獲得することで,確実にこの世界で生きられるという確信を得ており,必ずしも受験ランクが高いわけではない地方の実業高校における男女生徒間の関係が,じつに非暴力的で,ジェンダー平等的な要素があるのに気が付かされたことが挙げられる。もうひとつは,海外での暴力研究の成果である。今日の暴力研究の中には,構造的暴力の視点と並んで,現代の競争原理社会における無力感の醸成や自尊心の破壊といった問題を結びつけて考察する視点があり,仕事中心の生活構造を抜け出ることなしには,男性の暴力問題の抜本的解決が難しいこと,暴力を生み出す人々の多くの根底に無力感があることが示唆されている。以上の先行研究の成果を踏まえた上で,男性にとっての育児休業の経験を聞き取り,考察したものが,本研究である。これまでの男性の育児休業に関する研究は,主として,少子化対策や企業の生産性,あるいは,性別役割分業への批判として論じられてきたことと考えられる。それに対して,本研究は,男性自身が育児休業を経験することの意味について,男性の暴力性との関連で探This article primarily reports on the results of interviews of men who are taking or have taken paternal leave. This research is a part of the Scientific research (B) by Grant -in- Aid of JSPS entitled "research into the socialization of men and male violence in a gender equal society." The focus of this research is on the relationship between the involvement of men in housework and childcare, and male violence. There exist results from previous studies related to this subject. For example, an investigation of provincial agricultural high schools found that students there gained confidence through the acquisition of life skills and knowledge. And even at a provincial technical school that did not necessarily produce high test results, relationships between male and female high school students were found to be nonviolent, with a high level of gender equality. Another example is a study into violence abroad. Today, in addition to the view of structural violence there is a view influenced by the idea of a loss of self respect and a feeling of powerlessness stemming from a present competetive society. Those who believe this view suggest that without leaving the work-centered life structure itself, it is difficult to find a solution to the problem of male violence, and that it is this feeling of powerlessness that lies at the root of violence for many men. We have conducted our interviews under the influence of the results of the above mentioned research. We have considered the fact that until now, research relating to male paternal leave was primarily concerned with the problem of declining birth rates, with the question of business productivity, or with the criticism of gender roles. We believe that it should be possible to do research into the question of the meaning of paternal leave for men themselves related to the problem of male violence.
著者
水上 奈穂美 新谷 知久 山内 正憲 橘 信子 高橋 三佳 山蔭 道明
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.111-114, 2012-06-25

上腕骨悪性腫瘍に対して肩甲帯離断術を施行した患者における,術後の幻肢痛ならびに幻肢感覚に対してガバペンチンが奏効した3症例を経験したので報告する.症例1は切断後5日目にnumerical rating scale(NRS)で2-3/10の幻肢痛が出現し,オキシコドン(10 mg,分2)で対応したが,14日目より幻肢痛がNRSで8/10と増悪したためガバペンチン300 mg/日を開始したところ,痛みはNRSで0-1/10に改善した.症例2は切断前から腫瘍による神経障害痛が出現しており,ガバペンチン300 mg/日の投与によりNRSで5/10から3/10になり痛みの程度の改善を認めた.切断後9日目より生じた右上腕全体の幻肢感覚に対しても,同量のガバペンチンが奏効し幻肢感覚は消失した.症例3は切断後2日目より重量感を伴う幻肢痛が出現したが,ガバペンチン600 mg/日で痛みはNRSで6/10から2/10に改善した.四肢切断後の幻肢痛や幻肢感覚に対して,ガバペンチンは有効であることが示唆された.
著者
高橋 暢宏 上田 博
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.427-442, 1995-06-15
被引用文献数
3

TOGA-COAREの集中観測期間中には様々なタイプの雲がマヌス島に設置したドップラーレーダーによって観測された。本論文では孤立対流雲と2種類のレインバンドを解析し、それらの特徴をエコー面積、エコー頂高度、最大反射強度の時間変化の観点から明らかにした。ケーススタディから得られた共通する特徴は、1)最大反射強度のピークはライフサイクル中の早いステージで現れ、それは下層の循環によってもたらされた。2)エコー頂のピークは最大反射強度のピークにやや遅れて現れ、これは上層の循環のステージの急激な発達に対応していた。3)アンビルの出現によるエコー面積のピークが最後に現れた。孤立エコーのケースでは、上記の特徴が運動学的に細かく解析された。このケースでは下層の循環のステージから上層の循環のステージへの移行が現れた。これらは、ドップラー速度場の解析から運動学的にも矛盾なく説明された。また、上層の循環のステージで最大エコー頂までに発達した後にアンビル雲が発達しエコー面積が最大になり、層状降水をもたらした。2つのレインバンドのケースは、ノンスコールタイプに分類された。一方は遅く伝播し、継続的な下層の後面から前面に向かう流れが成熟期に現れた。もう一方は、やや速い伝播速度を持っていたが、後面から前面へ向かう流れは継続的でなかった。それぞれは、GATE期間中に観測されたものの特徴と必ずしも一致していなかった。また、convective outflowは、いずれのケースにも観測され、2つめのレインバンドのケースではガストフロントとして観測されたものもあった。このガストフロントは0.5km〜1kmの厚さを持ち伝播速度は8〜10m/sであり、これは、レインバンドの伝播速度よりやや速く、ガストフロントはレインバンドのすぐ前方に位置していた。
著者
高橋 信一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.550-555, 2003-12-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
5
著者
高橋 一喜
巻号頁・発行日
2012

Thesis (Ph. D. in Management)--University of Tsukuba, (A), no. 6050, 2012.3.23
著者
鈴木 睦美 山田 正幸 高橋 朋子
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.5, pp.43-49, 1998-12

畜舎等から発生したハエの周辺住宅への飛翔拡散を防ぐため、容器に清涼飲料水のペットボトルを使用し、低コストの誘引液の検索をおこなった。リンゴジュースは設置後3日目頃からハエの誘引効果が発現するが、短期間であった。誘引効果を長期間持続させるためには、15日から20日経過した時点で追加することで、1ヶ月以上持続させることが可能となり、市販誘引液と同等以上の効果が期待できた。この条件でジュースを使用すると、誘引液にかかる費用について、容器1本に投入する1ヶ月あたり、市販誘引液920円、ジュース101円となり、約9分の1の費用で済むことがわかった。この方法は、容易でしかも安価であるため、誤飲等が起こらないよう注意すれば、畜産農家だけでなく、ハエの飛来で困っている周辺住民の方にも利用してもらえるものと考えられた。
著者
伊藤 康裕 山本 明美 高橋 英俊 橋本 喜夫 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.477-479, 2000-03
被引用文献数
2

出版社版症例は67歳女性で,シェーグレン症候群と慢性関節リウマチの既往歴があり,プレドニゾロン 8.75mg/日の内服中である.3日前に左前腕に中心臍窩を有する水疱の発現に気付き,水疱は左大腿,背部にも多発してきたが疼痛や帯状疱疹を思わせる皮疹の配列はなかった.組織学的には表皮内水疱で,網状変性,球状変性を認めた.水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価はIgG 102.0と高値を示し,IgMは経過を通じて陰性であったため水痘の再感染と診断した.外来で経過をみたが,2週間後にも水疱の新生が続くため入院となり,アシクロビル 500mg/日の点滴投与を7日間行ったところ水疱の新生は止まったが,殆どは黒色痂皮を伴い潰瘍化した.アシクロビル中止3日後には背部に小水疱が再出現し,四肢にも拡大した.水痘の再燃と考えアシクロビル 500mg/日7日間点滴投与後に4000mg/日7日間内服投与により小水疱は色素沈着を残して治癒した
著者
渡邉 尚子 岩田 滉一郎 中尾 國明 松本 正廣 松本 裕子 籏原 照昌 太田 裕彦 平林 寧子 高橋 和明 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.80-84, 2003-02-25
被引用文献数
5 5

従来本邦ではE型肝炎は輸入感染症として軽視されがちであったが, 最近本邦を含む非流行地からの国内発症例の報告が相次いでおり, 我々も1例経験したので報告する. 症例は62歳男性. アルコール歴・ビタミン剤と生薬の服用歴あるも, 海外渡航歴・輸血歴・動物の飼育歴はなく, 特記すべき性交渉歴もなかった. 2000年11月初旬より全身倦怠感・褐色尿・微熱・食思不振を訴え, 職場の健康管理室を受診. 急性肝炎の疑いで同年11月21日に当科外来を紹介され, 同日入院となった. 入院時には全身倦怠感・皮膚及び眼球結膜黄染・軽度肝腫大・肝逸脱酵素上昇を認め, 急性肝炎と診断した. 安静のみで経過観察したが, 劇症化あるいは遷延・慢性化することもなく, 約20日間で軽快退院となった. 入院時より第29病日まで血清HEV-RNAが持続陽性で, 且つ第57病日の回復期血清中にHEV抗体を認めたことより, E型急性肝炎と診断した. 本患者より分離されたHEV株(JRA 1)のゲノム塩基配列の特徴に鑑みて, 本症例は「日本に土着化したHEV株」に感染して発症した急性肝炎であると考えられた.
著者
北村 吉朗 多田納 寛志 竹原 淳彦 高橋 照男
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.425-427, 1989

著者らは先に, バイオマスを原料とするエタノールの代替エネルギーとしての利用法として, 未精製アルコール水溶液を燃料中に直接混入させるエマルション燃料を提案した.また有機廃液の焼却処理に関連して, ケロシンを用いたW/Oエマルションが, 水相中にメタノールやエタノールのような1価アルコールが存在すると著しく不安定になることを報告した.さらにこのような不安定化は界面活性剤の吸着の阻害による合一の促進によることを明らかにした.しかしこれまでの研究ではいずれも燃料油としてケロシンのみを用いてきた.そこで本研究では高沸点留分をより多く含む燃料油として軽油ならびにA重油を用いて, W/Oエマルションの安定性に対して水相中のアルコールがどの様な影響を及ぼすかを検討した.なおこれまでの研究から, W/Oエマルションの安定性を評価するにはその破壊時間と界面活性剤の吸着量が代表的な因子と考えられるので, この2点についての実験的検討を行った.
著者
石川 秀樹 大谷 悦久 梶山 正明 真梶 克彦 高橋 宏和 仲里 友一 濱本 悟志
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.61-81, 2002-03

氷河性海面変動に伴う更新統の海成層である千葉県北部の下総層群木下層(12 ~13 万年前)から寒流系および暖流系の貝化石が多産する。中学3 年の課題研究として、選択者に地層から貝化石を採集させ、化石に関する基本的な作業および考察を行わせた。 …
著者
高橋 伸夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

この研究計画では、生態学的なシミュレーションを使って、さまざまな角度から組織現象の分析を試みている。まず、組織学習を組織内エコロジーとして定式化したJ.G.Marchのシミュレーション・モデルの欠陥と結論の誤りを指摘しつつ、これを再構築している。組織学習とは組織内エコロジーによる組織の適応プロセスであり、組織学習のパフォーマンス向上のためには、組織ルーチンの持続性がある程度必要なのである。同時に、主要研究を、組織学習とはどんな組織プロセスなのか、学習するのが個人ではなくて組織であるとは何を意味しているのかといった観点から整理を試み、組織ルーチンは、個人の手続的記憶を要素としたシステムで、この個人記憶が置き換えられても、要素間の関係パターンについては持続性が生き残り続けるような性質をもっていることを明らかにしている。さらに、複雑系(complexity)の分野を象徴するエージェント・ベースド・シミュレーション(agent-based simulation)を使った分析が試みられる。ここでいうエージェントとは、ユーザの設定したルールに基づいてコンピュータ上で行動する主体を指している。マルチ・エージェント型ではエージェントが複数いて、そのエージェント同士が互いに影響を与え合うことになるので、ルール自体は簡単なものでも、個別エージェントの行動を積み上げた全体では予測できない複雑な動きをすることになる。この研究では、エージェントがより多くの「アイデア」とコミュニケートできるようなポジションを求めて競争する「コミュニケーショイ競争モデル」を開発し、クラスターがどのように形成されるのかをシミュレーションで分析する。イノベーションの分野でよく言及されるT.Allenのゲートキーパーに対応した「大きな」エージェントの機能については特に詳しく調べている。
著者
今井 直子 オニヤンゴ エヴァンス 鶴本 穣治 高橋 圭介 石原 淳 畑山 範
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.48, pp.181-186, 2006-09-15

Oxazolomycin and neooxazolomycin are structurally closely related antibiotics isolated from Streptomyces sp. by Uemura et al. The former is the parent member of a class of polyene bicyclic antibiotics, other members being oxazolomycin B and C, 16-methyloxazolomycin, and curromycin A and B. The oxazolomycins were found to exhibit wide ranging and potent antibiotic activity, including inhibitory activity against Gram-positive bacteria, antiviral activity against vaccina, herpes simplex type I and influenza A, as well as in vivo antitumor activity. The intriguing molecular architectures and the biological activities make these compounds attractive targets for synthesis. However, the total synthesis is limited to Kende's synthesis of neooxazolomycin. We report here a novel approach to neooxazolomycin, which can be also applicable to the synthesis of oxazolomycin. Our synthesis of right hand core 22 started with methyl (S)-hydroxyisobutyrate and proceeded through three major transformations involving regio- and stereoselective iodination via intramolecular Pt-catalyzed hydrosilylation, Pd-catalyzed enolate alkenylation, and stereoselective dihydroxylation accompanied by concomitant lactonization. Nozaki-Hiyama-Kishi coupling of aldehyde 23 obtained from 22 with N-Fmoc-iododienamine 24 gave 7S-isomer 25 and 7R-isomer 26 as a 1: 1 epimeric mixture. It was gratifyingly found that Dess-Martin oxidation of this epimeric mixture followed by L-Selectride reduction of the resulting ketone produced the desired 7R-isomer 26 in excellent stereoselectivity (94% de). Removal of the silyl protecting group allowed us to obtain the Kende's intermediate 27, the synthesis of which constitutes a formal synthesis of neooxazolomycin.
著者
加藤 松明 吉原 圭介 高橋 伸宏 橋本 英一 西田 信一郎 木村 真一 中須賀 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.13-20, 2005-01-01
被引用文献数
6

本論文では,低コスト・高機能・短期開発を実現する50〜100kg級小型衛星バスシリーズの研究の中で,シリーズ初号機として開発したマイクロラブサット1号機(以下μ-LabSat)が果たした役割について述べる.まず,μ-LabSatのシステム概要について述べ,次にμ-LabSatシステムの中で,低コスト・高機能を実現するために新たに採用した設計方針や技術について述べる.また,これらの技術が適用されたμ-LabSat上で実施された宇宙実証実験について述べる.
著者
高橋 幸平
出版者
中央図書出版社
雑誌
国語国文 (ISSN:09107509)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.1-19, 2012-01
著者
高橋 信行 佐々木 隆志 川原 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.213, pp.41-46, 2011-09-15

視覚障がい者がeラーニングを活用して効率的に学習できるようにするためには,ユーザビリティの高いWebページを提供する必要がある.著者らは,Webデザインがユーザビリティに与える影響を明らかにするため,全盲者,ロービジョン者,晴眼者を被験者とし,2種類のWebデザイン(表形式リンクメニュー,縦列形式リンクメニュー)において,ターゲットリンクを探しクリックする課題の遂行時間,フォーカス遷移記録,アンケート調査結果を分析することにより,実証的にユーザビリティの評価を行い,視覚障がい者向けのeラーニングを構築する際の配慮点について考察した.その結果,全盲者では晴眼者のようなデザインによる影響を受けなかった.ロービジョン者では,観測されたデータのばらつきが大きく,一定の傾向を見出すことはできなかった.