著者
高橋 琢理 高原 健爾 足立 孝仁 小田部 貴子 若松 秀俊
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.133-138, 2012 (Released:2013-01-11)
参考文献数
10

本研究の目的は、社会的に大きな課題となっている大学生の基礎的学力低下に対する支援の指針として、基礎数学科目の学習状況から学生の理解の様子を推測し、その結果に基づいて支援を実施しようとするものである。福岡工業大学電気工学科で開講された2つの数学基礎科目で、学習自己点検を実施し、受講生に各自の学習について振り返らせて、その改善点に気づかせ、継続的な学習を促す取り組みを行ってきた。また、知識の定着度を確認するために、講義ごとの内容について小テストを実施した。ここでは、小テストの得点および期末試験の得点との相関と、一週間の学習時間と期末試験の得点の相関について検討した。その結果、小テスト得点と期末試験得点には有意な相関が見られたが、学習時間と期末試験の得点には明確な相関は示されなかった。一方で、多くの学生に、図形的な理解力が不足傾向であることがわかり、学習量が少ないだけでなく学習方法にも問題があることがわかった。
著者
高橋 絵里奈 竹内 典之
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.107-112, 2007-04-01
被引用文献数
1 3

長伐期林における陽樹冠管理のための定量的な基準を提示する目的で,吉野林業地の38〜210年生の林分において,個体の陽樹冠量(陽樹冠直径,陽樹冠長,陽樹冠表面積)と年平均胸高直径成長量(ΔDBH)の関係を解析した。陽樹冠直径および陽樹冠表面積とΔDBHとの間には良好な回帰直線式が得られた。得られた式の信頼性および測定の簡便怪等を検討した結果,特に陽樹冠直径(Dsc)が残存木選木の指標として有用であると結論できた。また,DscとΔDBHとの関係は林齢の増加にともなって変化しており,この結果は,単位陽樹冠量当たりの直径の成長効率が林齢に沿って変化することを示していた。したがって幅広い範囲の林齢や個体サイズを対象とする長伐期施業においては,林齢等の違いによるDscとΔDBHとの関係の変化を考慮することが重要であることが明らかとなった。さらに, DscとΔDBHの回帰直線式からΔDBHが0.25〜0.54cm/午(年輪幅が2mm前後)となるDscの推定範囲を求めることができ74〜88%の精度でDscから年輪幅が2mm前後であるか否かを判定できた。これらの結果から,これまで定性的に行われてきた残存木選木に対して,一定の精度を有する定量的な基準を林齢別に提示したといえる。
著者
井上 一紀 高橋 渡 高橋 篤司 梶谷 洋司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.97, no.577, pp.79-86, 1998-03-06
被引用文献数
8

各レジスタのクロック到達時刻を適切に決定することができれば, クロック周期をレジスタ間の最大遅延時間よりも小さくすることが可能である.本稿では, Elmore遅延モデルを用い, 与えられたクロックスケジュールを実現するクロック木配線アルゴリズムを提案する.本手法は, deferred-merge-embedding(DME)法を採用しており, クロック木のトポロジーの生成と, 中間バッファの挿入及びサイジングを同時に行う.本手法により, ランダムに生成されたクロックスケジュールに対しては, ゼロスキュー配線よりもやや大きな配線長で, なだらかに生成されたクロックスケジュールに対しては, ゼロスキュー配線とほぼ同等の配線長でクロック配線を実現できることを実験により示す.
著者
高橋 滋 本多 正喜 宇部 弘子 椎原 康史
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:03897540)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-97, 1995-03-31

We investigated emotional effects of music in 227 normal female subjects, which were classified into 123 younger-aged group (10-24 yr.) and 104 middle-aged group (30-64 yr.). We presented three different types of classical music: Sonata No.2 (Rachmaninoff), Peer Gynt Suite Nr.1 (Grieg) and Brandenburg concerto No.2 (Bach). The emotional responses aroused by music were assessed by the questionnaire, which were consisted of the 12 emotional responses. The four factors extracted by factor analysis were interpreted as follows: the anti-depressive effect, the anxiety effect, the elated effect and the sedative effect. Compared with the factor scores of younger-aged group, the middle-aged group had higher scores of the anti-depressive effect in Grieg and Bach, higher scores of the anxiety effect in every three music and higher scores of the sedative effect only in Grieg. As to the effect of different types of music, Grieg had the anxiety effect but Bach had the anti-depressive effect. Thus this questionnaire proved to be useful to assess the emotional effect aroused by music.
著者
高橋 康 西来 邦章
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.9, pp.549-567, 2006-09-15
被引用文献数
5 4

本研究では,北八ヶ岳火山の北麓に分布する前期更新世火山岩類の層序を確立し,計60個の岩石試料について全岩化学分析を行った.北八ヶ岳火山は1.2Ma頃に活動を開始し,1.0Ma頃まで玄武岩質溶岩の噴出を繰り返して成層火山体を形成した.1.0Ma以降は安山岩〜デイサイト溶岩が噴出し0.9Ma頃に一旦活動を終了した.中期更新世に入り活動を再開して安山岩〜デイサイト溶岩が噴出し成層火山や溶岩ドームを形成した.北八ヶ岳火山噴出物の全岩組成は,更新世前期と中期以降に噴出したものとでMgO量が明瞭に異なり,近隣の諸火山の全岩組成と比較すると,北八ヶ岳火山の西方に分布する塩嶺火山岩類と主要元素組成が類似する.北八ヶ岳〜塩嶺地域では,前期更新世に約200km^3におよぶマグマが噴出している.このような大量のマグマ噴出は,当地域を通る糸魚川-静岡構造線の横ずれ断層活動に伴って生じた局所的な引張応力場のもとで行われた可能性がある.
著者
市川 良哉 遠藤 隆 堤 博美 東山 弘子 高見 茂 大町 公 山田 隆敏 荒川 茂則 武久 文代 高橋 光雄 藤原 剛 田井 康雄 田中 良 田原 武彦
出版者
奈良大学総合研究所
雑誌
総合研究所所報 (ISSN:09192999)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-59, 1994-02

国民が生涯にわたって学習する機会を求めている現状にてらして、中央教育審議会は平成2年1月30日「生涯学習の基盤整備について」答申し、同年6月29日に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が施行され、新しい「大学設置基準」(平成3.7.1施行)もそれを踏まえている。こうした流れの中に、高等教育機関が地域の人びとの生涯学習推進に寄与することに強い期待を寄せているところに時代の特徴を見る。翻っていえば、これは高等教育機関としての大学は地域社会へ自らをどう開放するのか、どのような貢献が可能であるのかにかかわる問題であり、大学は時代の要求にどう答えるのかを問われているのである。本研究は本学が高度先端科学技術集積都市が形成されつつある「関西学術文化研究都市(以下学研都市)圏に位置するという立地条件の下で、地域レベルでの生涯学習支援システムを構築する際に担う本学の役割と課題を、総合的に検討するための基礎データを得るために調査を多面的に実施することに目的をおいている。
著者
高橋 秀悦
出版者
JAPAN SECTION OF THE REGIONAL SCIENCE ASSOCIATION INTERNATIONAL
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.261-269, 2002

Professor Fujioka analyzed the optimization behavior of consumers in a Deposit-Refund System in his paper which he published in <i>Studies in Regional Science</i>, vol. 29 No.3, 1998. Professor Oishi criticized Professor Fujioka's two stage maximization analysis as the strange case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde in his paper which he published in <i>Studies in Regional Science</i>, vol. 32 No.1, 2002. Alternatively, he proposed a well-refined model of a unified Deposit-Refund Theory.<br>In this paper, first we provide a new model for the Deposit-Refund System Analysis. Second we conclude the new model is a specified one of the Oishi model because the two stage maximization of a representative consumer in the new one is consistent with the one stage maximization of the Oishi model <i>with strict assumptions</i>. Thirdly we conclude the Fujioka's is also a specified kind of the Oishi model because the Fujioka model should be identified as the new one from my point of view. Finally, we note that the two stage maximization <i>without strict assumptions</i> in the new model may be closely related to <i>the half-rationality</i>, a new concept which Professor Sakai, the President of the Japan Section of Regional Science Association International, introduces into regional scientists.
著者
近藤 拓也 高橋 修
出版者
FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)運営委員会
雑誌
情報科学技術フォーラム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.261-262, 2008-08-20

近年,PC・携帯等からのWeb閲覧増加に伴い,SNSを利用した交流が盛んに行われている.現状,同様の趣向を持つSNS会員との主な交流はコミュニティを利用した情報交換となるが,会員間で現実世界の行動を共にするに至るには,相手の信頼度や相性を確認するための詳細な情報交換や現実世界での交流が必要となるため,負担の大きい本手続きの効率化が望まれる.本稿では,コミュニティへのアドオン機能として,過去の現実世界での行動に基づいた相手の信頼度および相性を数値化する方式を提案する.近年増加傾向にあるフラットシェア(共同生活)を例に,過去のシェア経験やシェアメイトからの評判による信頼値の付与,住居環境等の趣向の相性を数値化する方式について述べる.
著者
山本 雅一 森 武生 高橋 孝
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.941-941, 1991-09-25

第22回消化器病センター例会 平成3年1月27日 東京女子医科大学弥生記念講堂
著者
若月 基 米澤 哲夫 高橋 秀明 武富 義和
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.50-55, 2002 (Released:2003-06-17)
参考文献数
1
被引用文献数
1

Exploration for natural methane hydrate was carried out in the Nankai-Trough offshore Japan at a water depth of 945 m over an 88-day period, from November 1999 to February 2000. This was a national project led by the Ministry of International Trade and Industry (MITI) to seek a new energy source. It was organized by Japan National Oil Corporation (JNOC) in collaboration with Japan Petroleum Exploration Co., Ltd. as the drilling operator. The Nankai-Trough wells were drilled with a deepwater semisubmersible rig. The location was selected where BSR (Bottom Simulating Reflector) is the clearest on the seismic section. Six wells were drilled through the BSR horizon and the hydrate rich formation was confirmed between 1135 m to 1213 m BMSL (below mean sea level) by LWD data, core samples and electric logging data.
著者
高橋 友継 榎本 百利子 遠藤 麻衣子 小野山 一郎 冨松 理 池田 正則 李 俊佑 田野井 慶太朗 中西 友子 眞鍋 昇
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.551-554, 2012 (Released:2012-11-29)
参考文献数
2
被引用文献数
1 5

福島第一原子力発電所事故の2か月半後の2011年5月30日から直線距離で約130km南方に位置する東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場で栽培されていた牧草から調製したヘイレージを飼料として同場で飼養中の乳牛に2週間給与した後2週間福島第一原子力発電所事故に起因する放射性核種を含まない輸入飼料を給与し,牛乳中の131I,134Cs及び137Csの放射能濃度の推移を調べた。飼料と牛乳中の131Iは検出下限以下であった。飼料中の放射性核種(134Csと137Cs)は牛乳中に移行したが,ヘイレージ給与を停止すると1週間は3.61Bq/kg/day,1から2週間は0.69Bq/kg/day,平均すると2.05Bq/kg/dayの割合で速やかに減少した。なお試験期間中を通じて牛乳中の134Csと137Csの放射能濃度は国の暫定規制値及び新基準値(放射性セシウム:200及び50Bq/kg)以下であった。
著者
高橋 あつ子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.103-112, 2002-03-31
被引用文献数
2

本研究の目的は,自己肯定感を高めることをねらった実験授業プログラムを小学校の児童に実施し,その効果を自己意識と行動面から探ることであった。加えて,自己を対象化する体験がネガティブに影響しないかどうかを吟味した。5年児童6学級206名のうち実験群4学級に4回の実験授業を行い,前後と1ヶ月後に「Who am I?」による自己記述と各記述に対する感情評定・重要度評定をとり,その推移を統制群2学級と比較した。その結果,実験授業を受けた児童は,受けなかった児童より,肯定的な記述が増え,否定的な記述が減り,肯定的な自己意識を高めたが,行動面への影響は見いだせなかった。なお,成功を内的に帰属しにくく,失敗を内的に帰属しやすい帰属スタイルを持つ児童は,自己意識を刺激する実験授業で,最も慎重な配慮が必要と考えられるが,そのような帰属スタイルである自己卑下群において,他者を拒否的にとらえる記述が有意に減少するなど,意識面ではポジティブな変化が見られたが,授業のみだと他者共生性が低下するなど行動面でネガティブな変化も見られた。
著者
鈴木 友宜 荒井 邦佳 岩崎 善毅 片柳 創 高橋 慶一 山口 達郎 松本 寛 宮本 英典
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.1503-1508, 2004-08-01
被引用文献数
5

症例は45歳の男性で,1986年,発熱,皮疹,リンパ節腫脹にて発症し,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下,SLE)と診断された.2003年1月17日より発熱・嘔吐・腹痛を認め,1月24日の腹部CT検査にて,腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔,汎発性腹膜炎と診断し,同日,緊急開腹手術を施行し,壊死した直腸S状部に穿孔を認めた.組織標本より,壊死型虚血性腸炎と診断した.術後,エンドトキシン吸着療法・持続的血液濾過を導入し,集学的治療にて軽決した.自験例のように,SLEに消化管穿孔を伴った症例は,本邦で過去28年間に23例報告されている.なかでも23例中9例が死亡し,そのうち5例が下部消化管穿孔であった.SLEの経過中みられる消化器症状として穿孔はまれではあるが,発症すると致死率は高く,SLE患者が腹部症状を訴えてきた際には,その存在と危険性を十分に理解する必要があると考える.