著者
呉 宣児 竹尾 和子 片 成男 高橋 登 山本 登志哉 サトウ タツヤ
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.415-427, 2012

本稿では,日本・韓国・中国・ベトナムの子ども達のお金・お小遣いをめぐる生活世界を捉える。経済的な豊かさの異なる状況のなかでの.子ども達の消費生活の広がり,お金使用における善悪の判断・許容度の判断,お金をめぐる友だち関係や親子関係の認識などを明らかにし,子ども達の生活世界の豊かさと貧しさという視点から考察を行うことが本研究の目的である。4か国で,小学校5年生,中学校2年生,高校2年生を対象とする質問紙調査を行い,また家庭訪問による小・中・高校生にインタビュー調査も行った。分析の結果,国の一人当たりのGDPの順である日韓中越の順に子どもの消費の領域が広がっていること,友だち同士のおごり・貸し借りに関しては日本が最も否定的に捉える傾向があり,韓国やベトナムでは肯定的に捉える傾向があること,日本の子どもは自分が手にしたお小遣いは自分のお金であるという認識が強く,反対にベトナムは自分のお金も親のお金という認識が強いことが明らかになった。これらの結果の特徴をもとに,それぞれの社会における「個立型」,「共立型」という視点から生活世界の豊かさについて考察を行った。
著者
目黒 光彦 高橋 知紘 古閑 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.363, pp.19-24, 2004-10-14
被引用文献数
9

本稿では,色盲と呼ばれる色覚異常により色の区別が難しいユーザ向けに,カラー画像中の色を弁別しやすいように色の修正を施すことで,見やすいカラー画像を作成する方法を提案する.人間は,光の波長に対して感度の異なる三種類の錐体による反応値の比により色を知覚している.俗に色盲と呼ばれる色覚異常者の多くは,三種類の錐体のうちいずれか一つの錐体を欠いている二色型色盲である.そのため色盲者にとって,色の弁別が困難な色の組み合わせが存在する.提案手法は,処理対象のカラー画像を色により領域分割を行い,それぞれの領域の代表色同士の色弁別がしやすいか否かを判定し,弁別が難しい領域の色の値を変換させることで,知覚しやすいカラー画像を生成するものである.これにより,色覚におけるバリアフリーを実現する一手法が実現される.
著者
佐々木 康子 菅原 真理 高橋 徹
出版者
秋田県総合食品研究所
雑誌
秋田県総合食品研究所報告 (ISSN:13453491)
巻号頁・発行日
no.6, pp.8-12, 2004

秋田県の伝統食品であるきりたんぽを賞味期限の長い製品にするために、きりたんぽ製造業A社をモデルに、HACCP手法に基づいて、焼成工程と金属探知工程を重要管理点(CCP)に設定し、製造工程管理及び一般衛生管理を行った。その結果、脱酸素剤入のきりたんぽの賞味期限を常温で40日間保証できるようになった。
著者
高橋 康介 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.282, pp.111-116, 2008-10-31
被引用文献数
2

ヒトの運動は、それが完全に自発的なものであっても、少なからず他者の影響を受ける。例えば足踏みやタッピング動作を行うときに、目の前の他者も同様の動作を行っていると、二人の動作のリズムやタイミングは同期する。一方、身体を静止させておくというように意図的な運動を行わない状況であっても、人の身体には無意識的かつ微少な動きが生じ、風景の動きなどの視覚情報はこれらの動きに潜在的に影響を及ぼすことが知られている。自発的な動作の同期と同様に、他者の視覚情報が無意識的な動きに与える潜在的な影響を調べることは、対人コミュニケーションの基礎となるメカニズムを解明する手掛かりになると考えられる。そこで本研究では他者の情報が無意識的な身体の動きに与える影響を検討した。実験では二人の人が対面して座り、相手の指を見ながら、自分の指で相手を指さし静止させるという課題を行い、静止動作中の指の微小な動きを測定した。その結果、水平方向の指の動きに関して他者の影響が認められ、2者間の同期を反映した指標を同定することに成功した。さらに意識的に相手の指の動きに追従するという他者とのインタラクションを経験することで、これらの同期指標が上昇した。以上の結果から、意識的な運動生成に限らず無意識的で微少な身体動作に対しても他者の情報が潜在的に影響を与えること、また他者とのインタラクションの経験により、他者の情報の影響が強まることが示された。
著者
増田 義徳 高橋 秀二 村松 順信 小宮山 信雄 鶴田 亟次
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.451-457, 1959-09

A method for estimating CS_2 in the biological materials was developed by modifying the existing procedure. The present procedure involves aeration of volatile CS_2 from biological materials and absorption of CS_2 in diethylamine-copper reagent. Conditions of aeration, such as temperature, pH of materials, air pressure in the aerator and flow rate through it were studied, and the concentration of CS_2 in different organs and body fluids of rabbits exposed to CS_2 was determined by the method with the following results. 1) On the condition that aeration time was CS_2 in body fluids or organs was highest in the blood, especially in blood corpuscles. Levels of CS_2 in the liver, the kidney, and the brain were nearly equal. In 25 hours after exposure to CS_2, free CS_2 was not over sixty minutes, a satisfactory recovery of CS_2 from materials was obtained, irrespective of temperature, pH of materials or air pressure in the aerator. 2) In the course of aeration for thirty minutes, most of free CS_2 of materials was recovered. Ninety minutes was found satisfactory to recover free CS_2 completely. 3) The recovery ratio for free CS_2 from biological materials was between 95 and 105 per cent. 4) Immediately after exposure to CS_2 at the concentration of 500 ppm, the amount of demonstrated in the body fluids or organs. 5) Concentration of CS_2 in the cerebrospinal fluid was relatively low, but it was almost of the same concentration as that in the serum.
著者
飯野 友里恵 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.49-52, 2011

モーションキャプチャシステムを用いて取得されたデータを利用して,ストリートダンスの動作解析を行った.ダンス経験者と初心者のモーションデータを取得し,その違いが数値的に表れているか,特徴抽出を試みた.解析結果によれば,上級者との違いを初心者へ伝達し,練習効率を高めるための処理とシステム化を検討したので,報告する.
著者
高橋 勝國 斎藤 敏雄 柳島 淑隆 神谷 祥二 老固 潔一 岩田 章 増井 喜健
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.97-110, 1980-05-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
18
被引用文献数
3

This paper presents the results of a study on the pressure drop and the film boiling heat transfer for a two-phase flow of hydrogen in a horizontal tube.Experiments were made on two types of tube; two pieces of vacuum insulated straight tubes of 4m long, inside diameters of which are 18.4 and 23.9mm, respectively; Anuninsulated tube of 8m long with 90 degree bends at two locations, inside diameter of which is 12.3mm.Experimental conditions were as follows; Flow rate (l/min.); 5 to 50 Vapor quality; 0.01 to 0.90 Pressure (bar); 1.4 to 5.8 Conclusions obtained from the experiments are summarized below.1) The frictional pressure drop of two-phase flow of hydrogen for a straight tube is well related to a modified Lockhart-Martinelli (L-M) curve, that is, L-M pressure ratio parameter, φl multiplied by 0.8, for both adiabatic and diabatic conditions. More than 90% of data fell within the scatter band of ±20% from the modified L-M curve.The pressure drop for a bend was also correlated by using parameters analogically introduced from L-M parameters for a straight tube.2) As for the heat transfer by forced-convection film boiling, the following relationship was established based on the method proposed by Ellerbrock.(Nuf/Nufm)⋅Bo-0.4=9.46Xtt-0.131More than 90% of data obtained were in agreement with the the expression shown above with no more than ±20% error.In this study, it was known that the heat transfer for two-phase flow of nitrogen as well as hydrogen follow Ellerbrock's theory.
著者
高橋 文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ebony遺伝子というメラニン生合成系酵素をコードする遺伝子の5'領域の変異がその遺伝子の発現量を変化させることによってショウジョウバエの交配相手選好性に直接関与しているかどうかを明らかにするという内容である。ebony遺伝子は、神経系でも発現しており、自然集団内のebony遺伝子5'領域の変異は、表皮細胞での発現量及び脳での発現量を変化させていることが明らかとなった。脳での発現量の変異は交尾行動に影響することも明らかとなり、ebony 遺伝子5'領域の変異が行動の違いと結びついていることを示唆する成果が得られた。
著者
森岡 卓司 仁平 政人 高橋 秀太郎 野口 哲也 山﨑 義光 高橋 由貴
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1945年1月~1946年8月までの東北六県県紙、及び全国紙二紙における文芸欄及び文化活動に関連する記事の悉皆調査を行い、東北地域における文化活動の特質を見通すための資料的基盤を形成した。帰郷を含む疎開において生じた具体的な接触を通じて派生した文学的活動の動態について地方雑誌を中心として調査分析を行った。その結果として、モダニズム文学と地域性との関わり、疎開文学者の地域的な活動の実態など種々の具体相が明らかになり、背景にあった地域主義とナショナリズムとの関係についても新たな知見を得た。
著者
村上 周三 崔 棟皓 加藤 信介 北澤 智一 高橋 義文 中谷 義宣
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.58, pp.145-151, 1995-06-25
被引用文献数
1

前報では,室内モデルにおいて強制対流・放射併用冷房の基本的な室内環境について検討した.本報では,前報と同一居室モデルを用いて室内にベッド,断熱ブラインドなどの障害物がある場合の影響や天井面の冷却方法などを変えた場合の効果を模型実験により検討する.室内の冷房方式に関し,前報で示した天井冷却パネルと外壁の対向壁上部の空調吹出し口による場合に加え,本報では冷却チャンバによる天井冷却を行わず天井中央もしくは天井入隅部に水平スロット吹出し口を設置し,天井面付着流により天井表面を冷却する受動的天井冷却冷房システムに関してもその室内環境を検討する.本報に示す主な検討結果は,以下のとおりである.(1)天井放射パネルを有効に活用するためには窓部からの熱放射を遮断することが肝要となる.(2)天井面を受動的に冷却する冷房方式で放射冷却効果(MRTの低下)が最も顕著に現れたものは,室内の天井と壁の入隅部に吹出し口を設けた水平スロット吹出し冷房である.(3)吹出し噴流を天井面に付着させることにより,天井表面温度の低下が実現されるとともに,室内居住域のコールドドラフトの発生が抑制される.(4)温熱環境指標PMV,SET^*の解析からは,各冷房方式ごとの放射環境場の違いによる顕著な差異は認められなかった.
著者
高橋 慶紀
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-38, 2000-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
若林 剛 高橋 弘太 岩倉 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.322, pp.29-34, 2002-09-13
被引用文献数
8

近年,独立成分分析を利用したブラインド音源分離が研究され,よい成果を納めている.過去のこれらの研究では,マイクロホン数2〜8個程度の小〜中規模アレイを用いるものがほとんどであり1マイクロホン数が100を超える大規模マイクロホンアレイへの適用は,まだあまり試みられていなかった.そこで本研究では,大規模マイクロホンアレイを前提とし,独立成分分析による信号分離を行った.本報告では2つの問題について取り上げる.第一に,音源数に対してマイクロホンの数が多い場合に,1つの信号が複数の独立成分に分離されるという問題である.マイクロホンアレイの大規模化ではこの問題がさらに顕著に現れる.この問題に対して,小〜中規模アレイと同様の手法が適用できるか検討した.第二の問題は,周波数領域でICAによる分離を行うと,分離信号が周波数間で入れ替わりが起きる,置換問題である.以上2つの問題を橡証するために,大規模化が容易なマイクロホンアレイシステムを作成し実環境の音声による分離宰験を行ったので,その結果についても報告する.
著者
高橋 由紀子 中平 勝子 三上 喜貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.123, pp.65-72, 2007-12-08

現在の日本語学習Webサイトは文法の学習に特化したものが多いが,本研究ではひらがな・カタカナの文字学習を目的とした外国人学習者向けの支援ツールを作成した.本ツールは文字の形・ストローク順・発音などに関するマルチメディアデータベースを有し,外国人学習者が陥りやすい間違いを意識させる工夫を織り込んだ.Though many web-based learning system for Japanese language are focusing on study of grammars, authors have developed the one focused on Hiragana and Katakana learning. The developed system, consisting of multimedia database containing shapes, strokes and pronunciation of each characters, can assist learners through its mechanism of reminding users of common-mistakes characteristic to foreign learners.
著者
高橋 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.135-149, 2004-09

本論文の目的は, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念を批判的に検討することにある。とりわけ,犯罪の「質」の問題に焦点を当てることにより, この通念に対する反論をおこなう。現在, この通念は, 社会一般に広く信じられているものである。しかし, この通念が必ずしも少年犯罪の実態を反映したものでないことは, 多くの研究者が指摘している。例えば, 犯罪統計で見る限り, わが国の少年凶悪犯罪の数は, 1950〜60年代には現在よりもずっと多かったのであり, この時期に比べれば, 現在の数値はおおむね低い水準で推移している。しかし, このような統計データに基づく議論には,一定の限界がある。「少年犯罪が凶葺化している」という主張がなされる場合, 犯罪の量的な増加だけでなく, 犯罪の質的な変化についてもしばしば言及されているからだ。すなわち, 近年の少年凶悪犯罪は, その手口や動機において, かつての少年犯罪にはなかった「凶悪な」特徴が見いだせる,というものである。この主張に対して, 統計データに依拠する従来の犯罪研究は, 十分に反論しえない, と思われる。以上のような状況をふまえ, 本論文では, 1950〜60年代のわが国における代表的な少年犯罪の事例をとりあげ, その内容について検討をおこなう。そして, その検討により, かってはなかったとされる少年犯罪の特徴の多くが, 1950〜60年代においてすでに存在していたことを明らかにする。これにより, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念が, 質的変化の観点からも妥当ではないことを示す。
著者
高橋 晴雄 高野 篤 畑地 憲輔 吉田 晴郎 海江田 哲 安達 朝幸 塚崎 尚紀
出版者
THE JAPAN OTOLOGICAL SOCIETY
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.171-175, 2004

Pharyngeal orifice of the eustachian tube was ligated in 6 patients, 8 ears withintractable patulous eustachian tube. While the eustachian tube orifice was observed by an endoscope inserted through the contralateral nostril, the orifice was ligated transnasally and/or transorally using instruments usually used in the endoscopic nasal surgery. Now 1 to 6 months after the surgery, the outcome was excellent (both symptoms and sonotubometry were normalized) in 3 ears, good (either symptoms or sonotubometry was improved) in 3 ears, and unchanged in the remaining 2 ears. In one of the ears with an outcome of unchanged, the ligation was found to be spontaneously released soon after surgery, but the symptom was improved after the second operation 2.5months after the first operation. Temporary otitis media with effusion was seen in one ear, and mild inflammation around the ligated site also in one ear, but no other serious complication has been observed. Although further improvement in the surgical procedure and further discussion about its longterm outcome should be required, this procedure appeared to be one of the therapeutic options for intractable patulous eustachian tube.