著者
田中 恵海 高橋 謙輔 鳥海 不二夫 菅原 俊治
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.98-108, 2010-01-26
被引用文献数
2

本研究では,日本の中学校の一学級を対象とし,教師のいじめ対策行動の効果を検討するためのエージェントシミュレーションモデルを,ソシオン理論とハイダーの認知的均衡理論に基づいて作成し,教師のいじめ対策行動の効果を検討した.いじめは昨今の学級形成の重要な問題となっているが,その対策は十分確立できていない.教師による学級内のいじめ対策方法を確立するためにはその効果を確認する必要があるが,そのためには長期にわたる観測を行う必要があるため,難しい.本研究では,教師および生徒をエージェントとし,エージェント間の対人関係形成の変異をコンピュータによるエージェントシミュレーションで再現し,その効果を推定する.本研究では対策行動として「班行動,出席停止,予防活動」の3つをモデル化し,それぞれに対していじめ被害者および加害者の割合,全生徒間の好感度平均,教師に対する全生徒の好感度平均から各いじめ対策行動の効果と影響を検討した.本実験から,学級におけるいじめ対策行動として最も適切である学級運営手法は「予防活動」であるとの示唆を得た.We investigated the effect of a number of anti-bullying methods by teachers using the multi-agent simulation. Although bullying is a serious problem in school nowadays, the effective anti-bullying method is not established well. In addition, it requires the long-term observation to evaluate the effect of antibullying measures, so this is hardly possible. In this paper, we assumed a teacher and a student as agents and their inter-personal relationships are modelled according to the socion theory and Heider's balance theory. Then we observed the effects of a number of anti-bullying methods on the inter-personal relationships using our multi-agent simulation. We implemented three antibullying methods: group activities, suspension from school, prevention activity, and examined their influences on the relationships with each anti-bullying method. Our experiment suggested that prevention activity is the most effective method to avoid bullying at school.
著者
國中 均 高橋 慶治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PE, 電子通信用電源技術
巻号頁・発行日
vol.94, no.149, pp.39-46, 1994-07-18

宇宙科学研究所は、再使用型宇宙実験プラットフォーム「スペース・フライヤー・ユニット(SFU)」を用いた高電圧ソーラーアレイ実験を開発し、1995年2月より宇宙実験に供する。本実験は大電力光発電のための高電圧送電の技術を宇宙環境で検証することを目的としている。4つの太陽電池モジュールの直並列切り替え機能を実証し、さらに最大260Vの高電圧により誘導される電離層プラズマ干渉を計測する。宇宙実験の概要とプラズマ干渉に関するこれまでの基礎研究について紹介する。
著者
福井 次矢 高橋 理 徳田 安春 大出 幸子 野村 恭子 矢野 栄二 青木 誠 木村 琢磨 川南 勝彦 遠藤 弘良 水嶋 春朔 篠崎 英夫
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2681-2694, 2007-12-10
被引用文献数
5 4

平成16年度に開始された新医師臨床研修制度が研修終了時の研修医の臨床能力にどのような影響をもたらしたのかを調査する目的でアンケート調査を行った.旧制度下の研修医(平成15年3月の2年次研修医)に比べて新制度下の研修医(平成18年3月の2年次研修医)は,調査対象となった幅広い臨床能力の修得状況(自己評価)が全般的に著しく向上し,以前認められていたような大学病院の研修医と研修病院の研修医との差がほとんど認められなくなった.また,調査対象となった82の症状·病態·疾患と4種類の医療記録すべてについて,旧制度下の研修医に比べて新制度下の研修医の経験症例数·記載件数が有意に多かった.新医師臨床研修制度による研修医の幅広い臨床能力修得という目的は達成される方向にあることが示唆された.<br>
著者
高橋 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.11-23, 2002-09

本稿では, 漫画家手塚治虫を育てた, 家庭・地域・教育について考察することを通じて, 近代日本の文化と教育の, ある一つの, 重要なルーツについて明かにしたい。漫画家手塚治虫は, 大阪北部近郊地域で生まれ, 育った。この地域は, 阪急沿線地域とも呼ばれ, わが国の戦前期において, 最も早い時期に新中間層が住んだ地域であった。この地域の特徴の多くは, 阪急電鉄の経営者, 小林一三によって産み出されたものである。手塚の家庭は, 戦前期の典型的な新中間層であった。そして, 彼の通った大阪府池田師範附属小学校は, この地域の新中間層の子弟が多く通った学校であった。後年の手塚の作品は, この地域の文化に多くの影響を受けていると考えられる。This paper tries to search for important roots of modern Japanese culture and education, taking account of the area, the home and the education by which the famous Japanese cartoonist, Osamu Tezuka was brought up. Tezuka was born and raised in the northern outskirts of Osaka. This area was called the Hankyu railway strips, where new middle classes began to inhabit earlier than any other places in the period of pre-war Japan. Most features of this living area were intentionally formed by the founder of Hankyu railway company, Ichizo Kobayashi. The Tezukas was one of the typical new middle-class families in the pre-war Japan, and he studied at the elementary school attached to Osaka prefecture normal school at Ikeda, where a lot of middle-class children from the area attended. Tezuka's later works were considered to be much influenced by the culture of this region.
著者
齊藤 文則 高橋 啓介 鳥尾 哲矢 桑沢 安行 野本 智永
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-90, 2006

【目的】骨粗鬆性椎体偽関節に対する経皮的骨セメント椎体形成術の治療報告. 【対象】症例は15例16椎体, 罹患高位は胸腰椎 (T11~L2) 15椎体, 腰椎 (L3) 1椎体. 男性2例, 女性13例, 平均年齢73歳. 経過観察期間は平均29カ月. 遅発性脊髄麻痺を7例に認めた. 【結果】手術時間は平均42分. 術中, 術後の全身合併症はない. 術直後, 全例腰背部痛は改善. 遅発性麻痺例も全例軽快 (MMT 1~2→3~5). 経過中, 隣接椎の圧潰を63%に認めた. 1年以上の経過観察例で, 注入椎は隣接椎体間で架橋形成を認めた. 【考察】本法は手術時間も短く, 疼痛も劇的に改善し有用である. しかし, 多くの症例で隣接椎の圧潰を認め問題である. また, 骨セメントに骨親和性がなくとも注入椎は周囲の架橋形成で安定化した. 遅発性麻痺例では椎体形成術のみで麻痺の改善が得られることから, 麻痺の発生には偽関節部の動的圧迫の要素が強いと考えられた.
著者
毛利 公美 高橋 秀郎 広岡 俊彦 曽根 直人 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.69, pp.13-18, 2004-05-14
被引用文献数
1

ソフトウェアの脆弱性を利用した不正アクセスやDoS攻撃からネットワークシステムを守るためには,現行のシステムで使われているソフトウェア名やそのバージョンを把握した上で,脆弱性に関する最新情報をこまめに収集し,必要ならばソフトウェアのアップデートを行う等の対策が必要となる.先に,著者らはネットワーク管理者の負担を軽減するためにサーバソフトウェアの脆弱性に関する情報収集およびバージョンの確認を自動化し,危険度を報告するシステムを提案した.本稿では,サーバソフトウェアだけでなく,クライアントのOSに関する脆弱性検査にも対応できるように改良を加えた脆弱性自動監査システムを提案する.提案システムでは,検査対象ネットワーク内に存在する全てのWindowsクライアントを検出し,それぞれのクライアントに対してWindows修正プログラムがインストールされているか否かを検査することが可能である.
著者
關岡 直城 高橋 友和 井手 一郎 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.674, pp.277-282, 2006-03-10
被引用文献数
8

大容量HDDの普及による映像の大量蓄積に伴い,ユーザの所望するシーンを自動検出し,提示する技術が求められている.これを受けて本報告では,ニュース映像における演説やインタビューなどのモノローグシーン検出手法の提案,及びそれらを用いたニュース発言集の自動作成を試みる.モノローグシーン検出では,画像・音声・テキスト情報を用いた統合メディア処理により既存の手法を効果的に組み合わせることで,入力映像のみを情報源とした自動検出手法を提案する.発言集の作成には,クローズドキャプション中の人名による,各モノローグシーンの名前の対応付けにより,登場人物の発言集の作成を試みた.実験の結果,モノローグ数の最も多い上位3名の登場人物に対して,平均再現率37%,平均適合率52%の発言集の正答率が得られた.
著者
中川 種昭 磯部 秀一 池上 暁子 林 真理 渋川 義宏 住井 浩剛 高橋 潤一 轟 啓造 山田 真美 大串 勉 佐和 正彦 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.674-680, 1993-12-28
被引用文献数
13 4

2種類の電動歯ブラシと手用歯ブラシを用い,任意刷掃時間と3分におけるプラーク除去効果および手用歯ブラシの刷掃技術レベルの違いによる電動歯ブラシの刷掃効果について18名の被検者を用い検討した。その結果,電動歯ブラシにおける任意刷掃時間は,毛束反復回転式で平均7分3秒,ユニット運動式で7分22秒で,従来規定することの多い3分より長い時間であった。そのプラーク除去効果は3分と比較して10〜15%高く,その差は多くの被検者で舌側,隣接面といったプラークコントロールに重要な部位に認められる差であり,電動歯ブラシにおいてもある程度長い刷掃時間が必要であることが示された。また,手用歯ブラシの刷掃技術レベルの高い群と低い群での電動歯ブラシのプラーク除去効果について調べたところ,その刷掃効果は同程度であり,手用歯ブラシの刷掃技術が低い患者に対して電動歯ブラシの使用がとくに有効であることが示唆された。
著者
高橋 淳二
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2010-2011
著者
阿部 勝征 高橋 正義
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.p149-162, 1987-10

1986年11月21日に伊豆大島のカルデラ床で発生した割れ目噴火について,外輪山北東端と元町郊外で撮影したスチール・フィルムなどをもとに外形上の発達の推移を調べた.三原山の山頂火口から北へ約1km離れたカルデラ床でF1が16時15分に開口し,白煙に続いて灰色の噴煙と赤熱物が噴出した.追いかけるようにF1の南東側にF2が開口した.続いて,16時27分にF3がF2の南東側に,16時40分にF4がF3の南東側にそれぞれ開口した.全体としてみれば,噴火割れ目は北西から南東に,低地から高地に向けて次々に開口した.各割れ目は開口直後に約25m/minの速さで両方向にそれぞれ拡大した.噴火割れ目からの赤熱噴出物は火のカーテンの観を呈した.F1とF2は一列の噴火割れ目になり,それとF3はミ型に雁行した.噴火の勢いは16時50分頃から著しく増大した.火柱の高さはそれまで平均15m/minで増していたが,16時50分過ぎから100m/minの速さに変わった.火柱の高さは17時10分頃に最高の1.6kmに達し,その後しだいに低くなった.火口列の全長はちょうど1.0kmに達した.On the evening of November 21, 1986, new fissure eruptions occurred on the caldera floor of Izu-Oshima Volcano, Japan. The sequence of their formation is studied on the basis of time-printed photographs which were taken in succession by the authors at close range during the eruption. Shortly after 2 p.m., earthquakes began to increase in number. At 4 : 15 p. m. (7 : 15 a. m. in UT), the first eruption began with the opening of a small fissure from which gas started to rise into the air and then red-hot material spurted up. This outburst was about 1 km north of the summit pit of Mt. Miharayama. At about the same time the second outburst broke out 150 m to the southeast. At 4: 27 p.m., en echelon fissure started to open 110 m farther southeast. During the early stage of eruptions, individual fissures extended, with an average speed of 25 m/ min, both to the northwest and to the southeast across the caldera floor. Red-hot scorias with enormous clouds squirted from many points along fissures in the form of a nearly continuous line of eruptive fountains, producing a curtain of fire. The fountains gradually grew in height with an average speed of 15m/min. By 4: 40 p.m., the curtain of fire reached a height of 440 m and a length of 870 m. During the eruption, deep rumblings emanating from fountains were heard, and numerous earthquakes were felt. At 4: 40 p.m., a new eruption occurred 70 m farther southeast at the flank of Mt. Mihara-yama. On the assumption that the eruptive activity migrated to the southeast due to a rise of local dyke, an average rate of the rise is estimated to be about 3 m/ min. Shortly after 4: 50 p.m., the eruptive phase markedly increased in violence and changed form from fire fountains to some red-hot pillars. The pillars grew rapidly higher with an average velocity of 100 m/min. They reached maximum heights of 1.6 km at 5: 10 p.m. By that time, the fissure zone extended as much as 10 km long and consisted of four individual fissures 140-440 m in length. Lava from fissures spread out to form fan-shaped flows to the north-northwest and to the northeast of the caldera floor. The activity started to decline around 6 p.m. and ceased at about 11p.m., having lasted 7 hours. Although no lives were lost, a series of violent eruptions on November 21 forced all 10,000 islanders to evacuate Izu-Oshima island temporarily.
著者
顧 漢忠 高橋 治久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.346, pp.63-70, 1995-10-28

本論文では、概念学習における学習曲線を評価するために仮説検定不等式を直接適用する近似手法を導入し、学習アルゴリズムの学習曲線の解析を行う。このため、最悪ではないが、Gibbs学習アルゴリズムよりも汎化性能において劣り、しかもoverfitting問題に関する評価に適するill-posed学習アルゴリズムを導入し、解析を行う。本文における学習曲線の上界の評価においてはVC次元ではなく、ネットワーク上でのパラメーター数以下の値を持つ係数(Regular Interpolation Dimension)が現れる。このためVC理論よりも良い上界となり、しかも、統計物理的な手法よりも一般的な結果が得られる。
著者
篠原 寿彦 水谷 央 下野 聡 長谷川 拓男 高橋 宣胖 西井 寛 落合 和彦 遠藤 泰彦 酒田 昭彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.277-281, 2001-03-01
被引用文献数
4

症例は50歳の女性.平成11年1月頃より月経周期の度に腹痛と腹満感を感じていた.月経が終了すると腹痛も改善していたため放置していたが, 平成12年2月再び著明な腹痛が出現し来院した.腸閉塞の診断にてイレウス管を挿入して保存的にも軽快するも小腸造影にて回腸末端付近に狭窄を認めたため開腹手術を行った.手術所見では, 回腸末端より10cmの所に全周性の潰瘍瘢痕様の絞扼と子宮底部に20mm大の筋腫と右卵巣にチョコレート嚢胞を認め回腸部分切除術および子宮全摘術, 両側付属器摘出術を行った.病理組織診断にて右卵巣に内膜症を認め, また回腸の絞扼部には粘膜下層から漿膜にわたって同様の内膜症病変が多発していたため, 異所性子宮内膜症による回腸絞扼と診断した.回腸子宮内膜症による腸閉塞の1症例を経験したので本邦報告35例を加え文献的考察を行った.
著者
浜口 和洋 高橋 真太郎 宮部 英也
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.48, no.435, pp.p2207-2216, 1982-11
被引用文献数
3

スターリング機関再生器のマトリックス材としてメッシュ数の大きい金額を多数枚積層したものが使用されているが, その流動損失に関する研究は少ない. 本研究では, 10から300メッシュまでの広い範囲の金網を積層したマトリックスの定常流および非定常流における流動損失を調べた. おのおのの場合において, 金網の幾何学的形状を知ることにより, 任意の金網の摩擦係数をレイノルズ数の関数として与える実験式が得られた.

1 0 0 0 柑橘

著者
高橋郁郎著
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
1931