著者
中村 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.34, pp.1-8, 2000-05-04
被引用文献数
9

自然なおかしさの笑いと作り笑いの表出の差を解明するため, 目と口, 腹部における笑い表出の開始の時間差を分析する実験を行った.ビデオ記録に加え, 眼輪筋及び大頬骨筋の筋電図, 呼吸曲線を記録した.被験者は男性15名, 女性17名で, YG性格検査の得点で社交群と非社交群に分類した.コメディビデオを見せた時の自然な笑い, 面白くないコメディビデオを見せた時の作り笑い, 教示のみによる単純な作り笑いを比較した.その結果, 3種類の笑い間で, 目と呼吸の時間差に有意差がみられた.また, 女性非社交群と男性社交群で, 眼と口の時間差に有意義がみられた.
著者
上原 哲太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.392, pp.1-6, 2004-10-22

近年,電子政府・電子自治体の構築の名の下に,地方自治体は政府によってその住民サービスの電子化とネットワーク化を奨励され,一部は半ば強制されてきた.現在,多くの地方自治体のシステムが住民基本台帳ネットワークやLG-WAN,インターネットなどの広域ネットワークに接続されている.この結果,個人情報の機密性を守るためにこれらのシステムの情報セキュリティマネジメントは極めて重要になった.しかし多くの市民が,自治体に個人情報保護の能力が十分あるのかどうか疑問を投げかけている.本論文では,自治体が抱えている情報セキュリティ上の課題を分析し,その対策について提案する.
著者
西本 将也 依田 浩和 八名 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.524, pp.17-22, 2007-01-25
被引用文献数
2

本稿では,日本のバックボーンを代表するインターネットエクスチェンジにおけるネットワークトラヒックの長期変動を対象にし,状態空間モデルによるネットワークトラヒックの成分分解について述べる.ネットワークトラヒックの長期変動に対しては周期的な変動あるいは祝日における変動などが見られ,これらに対しいくつかの状態空間モデルを提案し,カルマンフィルタの適用によってそれら各変動成分への分解を行う.また,これらの状態空間モデルは尤度によりモデルのパラメータの推定を行った.また応用例として,最も適合するモデルに対しそのトラヒックの予測についても行った.
著者
駒澤 寛士 松本 敏明 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.432, pp.25-29, 2008-01-17
被引用文献数
2

視知覚能力において重要な視覚と運動の協応の能力を鍛えるために、物体の動きを予測してスイッチを押すというゲーム形式の訓練ツールを開発した.協力者は松江清心養護学校に通う小学2年生の脳性麻痺児2名で,マウスを使う事ができない.そこでインターフェイスにワンボタンスイッチを用いた.訓練を行った結果,目標とするところとは明らかに異なっているタイミングでスイッチを押すことがあった.これは,"失敗"の時のアクションが楽しい,ゲームに飽きが生じて集中力が切れた,訓練に疲れたことによって起こると考えられる.このため,押すべき時だけ押してもらう工夫が必要であることがわかった.
著者
坂井田 瑠衣 加藤 文俊 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.99-104, 2013-02-25

共食の場をデザインするにあたっては,料理形式や参与者同士の関係性を考慮した上で,相応しい座席配置を決めることが望ましいが,その具体的な配置に関する優劣は明らかでない.そこで,協同調理行為を伴う食卓において,座席配置がコミュニケーションに及ぼす影響を検討した.お好み焼きを協同で調理しながら会話するべく食卓を設定し,調理時と非調理時において生じるコミュニケーションの秩序の差異を,発話者遷移分析により明らかにした.身体が調理行為に拘束される食卓においては,親密度の低い参与者同士を隣同士ではなく向かい合わせに着席させることで,調理によって会話が滞ることなく進展することが示唆された.
著者
賀沢 秀人 平尾 努 前田 英作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.317, pp.11-16, 2002-09-12

全順序を備えた未知の集合から取り出された順位つきサンプルを利用し,サンプル間の順序関係を推定する「順位づけ学習問題」について議論する.従来,ある順位を境にサンプルを正例と負例にわけ,SVMの学習を行ったのち,得られた識別関数の値で未知の事例に対する順位づけを行うという手法が提案されている.この手法は,実験的に高い精度を残すことが報告されているが,妥当性について理論的な説明を欠き,また,ある特定の順位の上下という粗い順序関係しか用いていないという点で,問題があった.そこで,本稿では,このSVMによる順序づけ手法の理論的な妥当性を検証するとともに,改善手法の一つとして,複数の順位を境として正例と負例にわけたサンプルから学習を行うRanking SVMの提案を行う.また,テキスト自動要約タスクにおける重要文抽出データと人工データを用いて,Ranking SVMと従来手法を比較した結果についても報告する.
著者
横山 宏 岩崎 重剛 太田 充 石桁 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.60, pp.9-14, 1993-05-22
被引用文献数
2

著者らは、IGF法を用いて学生の勉学のやる気の実態調査を続けてきた。そして、やる気には4状態(やる気、やらされ気、やらん気、やれん気)があることが分かった。今回は、調査で得られたやる気のカーブの記載されたものが上の4つのどの状態であるかを推測する方法について検討した。推測では、やる気を起こしたり無くしたりしたときの理由文に含まれる特定のキーワード、やる気の度合い、やる気グラフの勾配に着目した。そして考案した方法で約100名の学生(大学生、女子短大生)のやる気の4状態を推測し、的中率60%強を得た。
著者
鳥海 不二夫 石田 健 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.208, pp.33-38, 2008-09-09
被引用文献数
3

現在,地域活性化の手段として地域密着型の地域SNSが注目されている.我々は社会ネットワークの視点から地域SNSを分析し,どのような構造が形成され,成長しているかをあきらかにし,mixiなど大規模なSNSとの構造を比較することで,地域SNSの特色が明らかにした.分析結果に基づいてSNSのネットワーク成長モデルの提案を行った.その結果,既存のモデルを用いて構築したネットワークと比較した場合に比べ,ネットワーク指標の観点から実際のSNSと類似したネットワークを構築可能であることが確認された.
著者
古宮 成 土生田 晴比古 北浦 英樹 土居 由佳子 高橋 克幸 中村 敦史 宮川 直康 西内 健一 山田 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.466, pp.11-16, 2007-01-11

我々は、記録材料Te-O-Pdを用いた追記型ブルーレイ・ディスクBD-Rの応用検討を行った。500Mbpsを超える高速データ記録チャネルに必要なレーザパルス条件を示して単層BD8倍速記録で実用的な再生ジッタを達成し、また、記録膜材料の透過率設計の自由度を活かして片面4層で100GBの大容量を実現した。更に、メディアに記録したデータの高温高湿環境の加速試験により推定寿命100年以上の長期安定保存が可能なことを示し、本記録材料が、高速化/多層化/保存信頼性のすべての面で優れたポテンシャルを有することを実証した。
著者
櫻庭 京子 今泉 敏 筧 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.335, pp.25-32, 2000-10-05

就学前後の幼児・児童と成人を対象に、音声による意図的感情表現と語の音勢・言語的制約の発達的変化を検討した。人気アニメ「ピカチュウ」の感情表現を被験者が行った音声から、発話長、音節長、FO構造を解析した。時間構造及びアクセント型に関しては幼児から成人にかけて発達的変化が観測された。成人のFO概形は就学前児のそれにより近いものになった。これらの結果は、感情表現と語の音声的制約の関係が発達的に変化するものであり、「ピカチュウ」という共通の感情表現にも年齢に応じた解釈と表現の変化があることを示す。
著者
黒崎 正行 上井 竜己 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.74, pp.99-104, 2010-06-03

ネットワークを介して画像を伝送するとき,情報量の圧縮のため,画像に対し符号化を行う.現在用いられている符号化では,画像情報を周波数の高低で分離し,情報量を低周波に集めることで,圧縮の効率化を図っている.しかし,この方法をとると,その一部の情報が欠けた場合,受信側で再構成できない.そこで,本研究では,画像のエネルギを等分に分割する2分割フィルタバンクを製作し,パケット誤りなどで一部情報が消失した場合にも,見た目上の再構成を可能にすることを目的とする.また,フィルタ係数に着目し,演算量の低減も同時に行う.
著者
坂本 博和 柴田 裕一郎 小栗 清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.476, pp.83-88, 2004-11-25

再構成可能デバイスの普及に伴い,これを容易に利用するための環境が整いつつある.しかし依然としてハードウエア開発技術者の不足が懸念されており,技術者の育成が待たれている.そこで我々はこの技術者教育用の教材として,任天堂から1983年に発売されたファミリーコンピュータを教材として活用することを考え,FPGAへの実装を行った.実装にはXilinxのSpartan-2E300を搭載した市販の評価ボードを使用した.ハードウエア記述言語にはNTTで開発されたSFLを使用し,実装に1ケ月半を要した.実装したファミコンはインターフェースとしてROMカートリッジコネクタ,VGA,サウンド,パッドを搭載し,初期のROMカートリッジにおいて高い互換性を実現している.
著者
西垣 知佳子 中條 清美 内山 将夫 隅田 英一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.297, pp.35-38, 2009-11-14

iPhoneとiPod touchをインターフェイスとする英語語彙学習用教材の開発を行った。iPhoneとiPod touchは発売以来急速に普及し,大学での英語学習への活用も始まっている。開発した語彙学習教材は,学校英語教科書で取り扱われることが少ないために,日本人英語学習者に不足している生活語彙を補強するための教材である。教材は1)コーパス言語学の手法を使って客観的に選定された生活語彙を学ぶことができる,2)教材に採用された指導法は指導実践を経て,指導効果が高いことが確認されている,3)初級学習者から上級学習者まで,また子どもから成人まで様々なレベルの学習者が活用できるという特徴を持つ。
著者
上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.616, pp.23-30, 2002-01-22
被引用文献数
2

本稿では, 近年, 実践的ベイズ学習法として注目されつつある変分ベイズ法について解説する.まず, 最尤推定値を求める数値解法であるEM法および一般化EM(GEM)法について説明する.次いで, VB法の基本原理がGEMで用いられている変分近似法をベイズ拡張したものと見なせることを示す.すなわち, VB法がEM法からどのように発展して誕生したのかを系統的に解説する.
著者
山本 文治 中村 一彦 尾久土 正己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.530, pp.13-18, 2006-01-12
被引用文献数
3

天文に関する様々な現象をネットワークを通じて紹介する団体「ライブ!ユニバース」は, 2005年10月3日にマドリッドで観測された金環日食の模様をインターネットを通じて生中継した. 本稿では中継の全体概要とともに, マドリッドから日本に向けて実施したIPによる高画質映像伝送システムの構成とその運用について報告する.
著者
大澤 幸生 松村 真宏 中村 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.143, pp.55-60, 2002-06-19
被引用文献数
6

感情的な言葉に誘発されるやりとりは、知的な議論を阻害する要因として否定的に扱われて来た。しかし、本当にフレーミングは議論を阻害するのか?実は、喧嘩が楽しいのは知的快感なのではないのか。ここでは、Webコミュニティ上の会話へのテキストマイニングの結果から、この問いについて新たなアプローチをかける。
著者
安細 勉 松山 博明 小林 邦勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.214, pp.53-58, 2001-07-18
参考文献数
6
被引用文献数
4

NP完全問題の一つである巡回セールスマン問題を公開鍵暗号に応用した巡回セールスマン暗号のアルゴリズムを提案する.初めに, ナップザック暗号や巡回セールスマン暗号で用いる秘密鍵について検討し, 次に, 秘密鍵から公開鍵を生成する変換法について考察する.また, 暗号化の方法について検討し, 最後に, 組合せ理論に基づく暗号の安全性について考察する.
著者
高橋 有里 桐田 隆博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.410, pp.69-74, 2006-11-30

乳児の泣き声が育児中の女性に及ぼす心理生理的影響について,育児ストレスとの関連性から検討した.他人の乳児の泣き声を聴取中の母親の心拍数,皮膚コンダクタンス変化と,泣き声聴取後の拡張期血圧を測定した.その結果,他人の乳児の泣き声は母親にとってネガティブな感情を高める刺激であったが,母親は泣き声に注意を集中し,心拍数が減少した.育児ストレス度では,生理的指標に差は見られなかった.しかし,泣き声を聞いて抑鬱・不安感情が高くなった母親は拡張期血圧が上昇するなどのストレス反応が確認された.また,泣き声に対する不快度が強い母親は,皮膚コンダクタンス反応が大きいことや,心拍数が時間の経過とともに統制条件と差がなくなることから,乳児の泣き声に対する耐性が低いことが示唆された.
著者
山口 雄仁 鈴木 昌和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.65, pp.23-27, 2012-05-18

デジタル教科書の本格導入が近い将来予定されている中で,理数系デジタルコンテンツのアクセシビリティは積み残された大きな問題である。ここでは,近年アクセシブルな電子書籍の形式として世界的に広く普及しつつあるDAISY(Digital Accessible Information System)を取り上げ,テキストDAISY形式による日本語理数系教科書製作の問題点を議論する。テキストDAISYの日本語音声合成による読み上げでは,専門用語の読み間違い,息継ぎや抑揚のおかしな箇所などがしばしば見られる。さらに日本語固有ではない問題として,数式の読み間違いも発生する。しかし現行のDAISYにはそれらを適切に修正・制御する方法がないため,DAISY形式のデジタル教科書を製作する上で問題が大きい。さらに障害者自身がDAISYコンテンツを製作できないという問題もある。我々はDAISY形式の改良を提案するとともに,全盲者用の数学文書エディタを元に新たにテキストDAISY編集・閲覧ソフトウェアを開発した。これを用いれば,晴眼者・障害者両方が,非技術的内容から理数系文書までの,読み間違いのないDAISY書籍を製作できる。
著者
和嶋 雄一郎 鷲田 祐一 植田 一博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.68, pp.277-282, 2014-05-29

文系と理系という区別は,学業上の人工的な区別でしかなく,人間行動にとって特に重要な意味はないと考えられがちである.事実,日本以外の国々,特に欧米諸国では,広く受け入れられている概念とは言いにくい.しかしながら先行研究では,文系と理系の違いが社会行動に影響を及ぼす可能性がアンケート調査によって示唆されている.そこで本研究では学部4年生と大学院生を対象として,文系と理系の違いが「情報技術やサービスに関するアイデア生成」という創造的思考に影響しているのかどうかを実験的に調査した.その結果,理系からのアイデアを受けた文系がより創造的なアイデアを出すなど,文系・理系の違いと創造性との関係が示唆された.