著者
久保 文明 砂田 一郎 松岡 泰
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

3年間で多くの成果を生み出すことができた。詳細は「研究発表」欄に譲るが、分担者である砂田・松岡による単著、および代表者によるいくつかの編著がその一例である。この間に解明された点は、民主党を素材にして党内穏健派とリベラル派の対立軸の激化、穏健派の支持基盤の特異性(共和党保守派と異なり、利益団体・政治団体レベルでの支持基盤がきわめて弱体であること、その代わり広く有権者にアピールし支持団体から自由に政策課題を提示できる強みをもつこと)、予備選挙における支持団体間競争の実相などの他、松岡が解明したように民主党内における黒人勢力の性格の大きな変質(抗議型から統治型へ)、砂田が論証したように同党内におけるリベラル派思想の変容などである。同時に、今日イラク戦争が民主党内において左派・反戦派を強化している様相も、予備選挙などの考察を通して指摘した(久保『米国外交の諸潮流』)。共和党に関しては、政治のインフラストラクチャー(下部構造、ないし基礎構造)の一部としての政治家養成機関・制度に着目した論文を公刊した。インフラストラクチャーとはシンクタンク、財団、メディア、大学、政治家養成機関などを指す。このような側面において、長年共和党は劣位に立たされてきた。したがって、当該部分を戦略的・選択的に強化することに共和党の方が熱心であったのも当然である。また、共和党における保守派の優位を理解するにあたってとりわけ重要な点は、1990年代の半ばから、反増税団体、銃所持団体、中小企業団体、キリスト教保守派団体、反環境保護政策団体、文化的保守派団体などがいわば大同団結し、共和党を、とりわけその保守派を支援し始めたことに注目することである。公刊されたさまざまな著書・論文において、このような党外部の政治団体の浸透・連合が果たす役割を解明できたことが本研究プロジェクトの大きな成果である。
著者
榎本 和生 古泉 博之 金井 誠 金森 麗
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ショウジョウバエ幼虫感覚ニューロンでは、同種ニューロンの樹状突起間に生じる反発作用を介して受容領域を確立することが示されていた。私達は、ショウジョウバエ成虫感覚ニューロンの解析を行い、樹状突起間に生じる反発作用には依存しない受容領域形成機構の存在を明らかにした(Yasunaga et al. Genes Dev 2015)。さらにその責任因子として、ニューロン周辺の上皮細胞から分泌されるWnt5と、その受容体Drlを同定した。さらに、受容体Drlの下流シグナルの同定も行い、低分子量G蛋白質RhoGTPaseのGEFであるTrioがRhoAの活性化を介して細胞骨格の再編を誘導することを示した。
著者
安細 敏弘 宮﨑 秀夫 吉田 明弘 山下 喜久 邵 仁浩 粟野 秀慈
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

侵襲性歯周炎は若年者に特異的に発症する歯周炎であるが、発症に関して環境要因としての栄養摂取状況、遺伝学的要因などを包括的に解明した研究はない。本研究では疫学調査ならびに遺伝学的調査を行うことによりその環境要因を解明することにした。疫学的調査ではモロッコ王立大学の1年生を対象に、口腔内診査、唾液・歯肉縁下プラークの採取、採血、質問紙調査(年齢、性別、社会経済的背景、現病歴、既往歴、服薬情報、喫煙習慣、保健行動、食事内容(BDHQに準じる)とした。遺伝学的研究では侵襲性歯周炎が疑われる歯肉縁下プラークのA. a JP2株の有無、血球ミトコンドリアDNAの塩基配列を用いた分子人類学的解析を行った。
著者
佐藤 健二 赤川 学 出口 剛司 祐成 保志 東 由美子 米村 千代 中筋 由紀子 野上 元 宮本 直美 佐藤 雅浩 武田 俊輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は日本の社会学の調査史における従来の方法を再検討し、新たな方法論的枠組みを提出することにある。社会学史は伝統的に近代社会に対する理論を寄せ集めたものに過ぎず、フィールドワークや質問紙調査などを通じた経験的な観察がどんな社会認識を生みだしてきたかは無視されてきた。この研究は、ことばだけでなくモノや空間やメディアによって認識される社会を含む、新たな理論的・方法論的枠組みを提出する。さらに、新たなコンピュータ技術や映像メディアをデータの収集・整理のプロセスで使いこなす方法論的な枠組みをも展望する。こうした試みは、社会学の研究および教育に大きな貢献をなすであろう。
著者
松澤 佑次 中村 正 船橋 徹 山下 静也 AUWERX Johan
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

過栄養に基づく肥満即ち脂肪組織の過剰蓄積は、最もcommonな成人病(生活習慣病)の糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症等やさらに大腸癌や炎症性腸疾患の大きな発症基盤となっている。本研究では脂肪組織、特に病態と密接に関連する内臓脂肪の分子生物学的特性を明らかにすることによって、多彩な病態を発症せしむる分子機構を、国際的な研究協力によって解明しようとするものである。私達は脂肪組織発現遺伝子の蓄積部位別大規模シークエンス解析により、内臓脂肪が従来考えられていたような単なる受動的なエネルギー備蓄細胞ではなく、多彩な生理活性物質を合成・放出する分泌細胞であることを示した。フランス、パスツール研究所のDr.Auwerxはdifferential displayによる脂肪蓄積部位別発現遺伝子解析を行い、それぞれの脂肪組織に高発現する遺伝子を示した。私達は大規模シークエンス解析の過程で、脂肪細胞特異的に発現する新規分子、adiponectinを発見し、病態発症との関連について解析した。Adiponectinは血漿中に5-10μg/mlの高濃度で存在する脂肪細胞分泌蛋白であるが、肥満、特に内臓脂肪蓄積時には著しい血中濃度の低下が認められた。本分子は内皮細胞の単球接着抑制や平滑筋増殖抑制作用を有する抗動脈硬化防御因子であり、内臓脂肪蓄積における減少は重要な血管病発症の分子メカニズムの一つと考えられた。一方Dr.Auwerxは脂肪細胞分化のmaster regulatorであるPPARγに着目し、肥満発症における意義を示した。さらに本分子が腸管上皮細胞に発現しており、この細胞の分化増殖を調節していることを明らかにした。また過栄養における大腸癌の発症や、内臓脂肪蓄積とクローン病発症の関連を、PPARγを中心に明らかにした。平成11年度動脈硬化学会にDr.Auwerxを招き、互いの成果を公表した。本研究により脂肪蓄積、特に内臓脂肪蓄積と病態発症との関連を、国際間で情報交換することにより、分子レベルで明らかにされた。
著者
黄瀬 浩一 岩村 雅一 岩田 基 内海 ゆづ子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

実世界指向Web とは,我々の周囲にある物体が情報の出入り口になるWeb である.物体にカメラをかざすと関連情報を瞬時に取り出せる.また,物体の撮影を通してユーザ自らが情報を関連付けることもできる.扱う物体は,文字,文書から3次元物体,顔など様々である.本研究では,このような新しいWeb を実現する上で必須となる物体認識技術の大規模化(文書の場合,1 億ページの識別),高速化(文書の場合,27ms/query),高精度化(文書の場合,認識率99%),およびその理論的基盤の構築,さらには,実世界指向Web のプロトタイプの作成を行った.
著者
中川 晋作 畑澤 順 清野 智史 向 洋平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、腫瘍ターゲティング素子として腫瘍血管特異抗体を単離、精製し、RI でラベルすることで腫瘍イメージングプローブとして機能することを明らかにした。さらに本抗体を用いて immuno-PET/MRI の為のイメージングプローブとして開発すべく、MRI造影剤としての金酸化鉄複合ナノ粒子を PEG 修飾し、さらにその PEG 鎖先端に本抗体を修飾するための方法論を確立した。
著者
中嶋 直敏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、金属性ナノチューブと半導体性ナノチューブを決定する多くのカイラリティをもつ混合物であり、これらの分離はナノチューブ科学の大きな課題である。ここでは、金属イオンとSWNTとのカイラリティ選択的反応を利用しSWNT上に「重し」となる金属ナノ粒子を選択的に生成させ、重さの差を利用してSWNTを分離するという新しいコンセプトによるカイラリティに成功した。また、種々のポリフルオレンコポリマーをデザイン、合成し、コポリマーの組成比の制御による半導体性SWNTカイラリティ認識、分離が可能であることを実証した。
著者
戸田 圭一 石垣 泰輔 宇野 伸宏 米山 望 川池 健司 馬場 康之 小谷 賢太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

実物大の階段・通路模型、車模型を用いて水害時の避難限界指標を作成した。統合型の都市水害モデルを用いて内水氾濫時の地下浸水解析を行い、避難限界指標を援用して地下空間の避難困難度ゾーンマップを作成した。小・中規模地下空間の浸水時の危険性も明らかにした。また内水氾濫解析と交通量解析を結びつけ、内水氾濫時の道路交通障害を評価できる手法を開発した。さらに都市水害対策として、地下空間を有効活用した治水施設の有効性を確認した。
著者
山際 伸一 和田 耕一 中野 浩嗣 柚木 清司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ストリーム指向プログラムはGPUといったメニーコアアクセラレータの普及によって、科学技術計算から産業用製品にまで利用されている。その単体性能は、チップ内における密並列によるプログラム実行により高い性能を示す。しかし、複数のアクセラレータを使った超並列計算を考慮すると、タスクの分割と通信タイミングを配慮したプログラム開発が必要になり、性能をスケーラブルに維持したままの開発が困難となる。本研究では、このようなGPUでのストリーム指向プログラムを対容積・対電力での計算能力の高密度化をねらい、自動的に複数のGPUで並列化し、スケーラブルに性能向上が可能なプログラミング基盤技術を開発する。
著者
水永 秀樹 田中 俊昭
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

石油・天然ガスや地熱流体の動的挙動を可視化するため,流体流動に伴って発生する電磁気現象に着目した流体流動電磁法を考案した。流体流動電磁法は界面動電現象によって生じた電磁場の時間変化を,地表面で多点同時観測して地下の資源流体の動的挙動を把握するモニタリング探査法である。本研究では,電場 2 成分と磁場 3 成分を測定するための計測機器と,得られた観測データから地下の資源流体の流動方向を推定するための解析プログラムを開発した。
著者
胡桃坂 仁志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

相同組換えは、DNA の二重鎖切断修復と遺伝的組換えに働く必須の生命反応である。ヒトにおける相同組換え経路では多数のタンパク質が働いているが、現在解明されているタンパク質群のみでは、その反応機構を部分的にしか説明することができない。本研究では、相同組換えにおいて働く新規のタンパク質として、GEMIN2、EVL、PSF などを同定し、それらの相同組換え素過程における役割を明らかにした。また、既知の組換え修復タンパク質 FANCD2 のユビキチン化に、DNA とFANCI が重要であることを見いだした。
著者
藤重 悟 岩田 覚 牧野 和久 来嶋 秀治 平井 広志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

大規模離散最適化問題の有する劣モジュラ的な離散構造に注目し, 効率的なアルゴリズムの構築のために有効な離散構造を研究した.個別には,ネットワーク・フロー, マッチング,多品種フロー, 施設配置問題, 資源配分問題, グラフ連結度,通信網設計,待ち行列ネットワークに関わる離散構造,双対貪欲アルゴリズムに関わる離散構造(双対貪欲多面体, ゾノトープ) ,ホーン論理関数や安定マッチングの離散凸構造,などであり,個別の劣モジュラ的な離散構造の解明に基づき,それらの知見を横断的に総合する基礎理論の構築と高速アルゴリズムの開発を行った.
著者
松尾 知明 乾 美紀 澤田 稔 柴山 真琴 津村 公博 徳井 厚子 野崎 志帆 馬渕 仁 見世 千賀子 森茂 岳雄
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、外国人児童生徒教育の現状及び最善の実践を把握するとともに、これらの取り組みを諸外国の多文化教育の視点から批判的に比較検討することを通して、日本版の多文化教育モデルの構築をめざすことを目的とする。(1)多文化教育の理念と枠組み(4論文)、(2) 多文化教育と学校(4論文)、(3) 多文化教育と地域(3論文)を提示するとともに、まとめとして、多文化共生の実現に向けたプロセスを日本社会の構築→脱構築→再構築として整理した。
著者
前田 忠直 富永 讓 柳沢 和彦 水上 優 朽木 順綱
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,建築家の遺した図面,草案,言葉,さらに作品成立を基底づける敷地の特性分析を方法として遂行された。これらの分析を通して,20世紀の諸作品の個々の成立契機が明らかになるだけでなく,これらを包括する普遍的な建築的世界の成立様態や,さらにはこうした世界を具現化する建築家自身の実存のありようなど,作品成立において重層的な生成の構造が見出されることが明らかとなった。このことにより,本研究の独自性を裏付ける「生きられた構成のロゴス(人間的実)」への実証的・存在論的な問いの有効性,可能性が改めて確認された。
著者
土門 晃二 中村 清
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、インターネット上での違法ファイル共有の実態について調査を行い、経済学的な視点から制度的および理論的な分析を行った。調査を行った地域は主にアジア地域(中国、韓国、台湾、ベトナム)であり、アンケートとインタビューによって発展途上国と先進国での違いを明確に出来た。特に、ベトナムを中心的に調査を行った。中国以上に違法コピーが多い国で、経済の発展レベルも調査国の中で一番低い。ミュージシャンや作曲家、マネージャー、放送関係者、大学生に数度にわたりインタビューを行い、途上国では違法コピーによる利害関係が先進国と大きく異なり、多くのミュージシャンが違法コピーによるプロモーション効果(ライブ・ステージのための)に依存していることが明らかになった。また、インターネットを利用する取引費用(回線速度やプロバイダー費用)が大きく、違法CDの利便性が上回っていることも判明した。また、理論的な分析として、違法コピーが存在する場合の価格戦略、コピー・コントロールを利用した価格戦略、および放送における権利問題などを行った。コピー・コントロールに関しては、価格差別を行うことによって、生産者、需要者ともに利便性が増すことを証明した。これらの成果は、海外の主要な専門雑誌と書籍、国内外のセミナー、コンファレンスなどで発表を行っており、充実した研究が実施されたものと自負している。また、調査に関連した新聞記事がベトナムで掲載され、学術的な領域を超えて、社会一般の関心を集めることにも成功した。
著者
迫田 義博 青木 博史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

豚コレラウイルスの病原性発揮に関与すると考えられている自然免疫回避機構を分子レベルで解明することを目的とし、ウイルス非構造蛋白N^<pro>の点変異体や欠損体を作製し、1型IFNの産生抑制に必須なアミノ酸領域を決定した。このアミノ酸の変異は、(1)C112R、(2)D136N、(3)H5Y、L8F、P17Sのいずれかであることがわかった。また、この自然免疫の調節に関与するN^<pro>上のアミノ酸の変異は、豚における病原性発揮の要因の1つであることを明らかにした。
著者
倉本 宣 芦澤 和也 岡田 久子 知花 武佳
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

河川生態系において出水によるかく乱とそこからの再生は生態系の動的な維持に重要な役割を持っている。多摩川では2007年に大規模な出水が発生したので,出水による生育地の変化と河川敷に生育している植物の生育のかかわりを検討した。調査の対象とした植物は,上流域で岩場に生育するユキヤナギ,中流域の礫河原に生育するカワラノギク,下流域に生育し,かく乱による裸地に依存して生育するウラギク,中流域の水域に生育し,出水によって流下するカワシオグサであり,それぞれ特徴的であった。
著者
堤 裕昭 門谷 茂 高橋 徹 小森田 智大
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

有明海奥部では、近年、中央部および東側の海域で海底堆積物表層の泥分の増加および赤潮プランクトン由来の有機物の堆積による有機物含量の増加が起きていた。これらの事実は、同海域における潮流の減・および海水の鉛直混合力の減少を示し、梅雨期や秋雨期に河川水の一時的な流入量の増加に対して、形成される塩分成層の強度が強まることを示唆している。海域への栄養塩流入量が増加しなくても、成層強度の強化による赤潮の頻発、海底における汚泥堆積、夏季における貧酸素水発生が起きるメカニズムが解明された。
著者
花岡 一雄 井手 康雄 角田 俊信 田上 惠 北村 亨之 関山 裕詩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.カルシウムチャネル拮抗集ジルチアセムやα2アドレナリン作動薬クロニジンがネコの脊髄後角Rexed第V層型単一細胞に対する作用を研究した。約3kgの成ネコを用いて、両側中脳網様体の除脳を行い、脊髄を露出し、L1-L2で脊髄を横断した。Rexed第V層単一細胞活動を細胞外微少電極誘導法にて記録した。実験は自発発射及ピンチ法による誘発発射の発射数の対照値を測定した後、微少電極刺入付近の脊髄表面にジルチアゼム10mg/ml(D10mg群)20mg/ml(D20mg群)を1ml投与し、自発発射及誘発発射を測定した。クロニジンについても同様の実験を行った。5マイクロg(1ml)(C5群)50マイクロg(1ml)(C50群)を投与した。その結果、いずれの群も単一細胞の自発発射及ぴ携先見射が減少した。ジルチアゼム実験では用量依存的な反応が見られたが、クロニジン実験では見られなかった。この結果、カルシウムイオンチャネルとα2アドレナリン受容体が疼痛制御機構に関与しており、慢性難治性疼痛患者への疼痛治療に応用され得る可飽性を示した。2.クロニジン軟膏を帯状痘疹後神経痛の患者に適応して、痛みの程度への影響を検討した。クロニジン軟膏(60mlcrogrom,150microgram,300microgram/軟膏1gramの3種類)を作成し、疼痛部位に塗布を行い、検索した。その結果、有効率は90%であった。濃度的には、150microgramが最も多く使われた。いずれも副作用は、認められなかった。クロニジンの作用は脊髄レベルのみならず、神経終末レベルにおいても疼痛効果が期待された。これらの一連の研究からも血管作動薬が疼痛制御に大きく関わっていることが明確となった。またこれらの一連の薬物の臨床への応用が期待された。