著者
竹屋 元裕 坂下 直実 菰原 義弘 藤原 章雄
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

クラスAスカベンジャー受容体(SR-A,CD204)欠損マクロファージ(Mφ)を用いた検討で、SR-AはTLR4のLPSとの結合を競合的に阻害し、M2 Mφの抗炎症性機能の一翼を担うことを明らかにした。急性冠症候群では、血中単球にSR-Aが誘導され診断マーカーとなり得ることがわかった。ヒト腫瘍組織の検討では、CD163陽性M2 Mφの浸潤度と膠細胞腫や卵巣癌の悪性度に相関がみられ、M2 Mφと腫瘍細胞がSTAT3を介して相互作用を示すことを明らかにした。天然化合物のcorosolic acidはMφのM2分化を抑制し、MφのM2機能を抑制することで治療効果を示す可能性が示唆された。
著者
飯尾 俊二 筒井 広明 嶋田 隆一 畠山 昭一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

展開図では平行四辺形の簡易ヘリカルコイルのプラズマ位置安定化作用を、円形断面小型トカマク装置で確かめた。3次元の自由境界平衡計算で、トロイダル磁場コイルとトーラス片側だけのヘリカルコイルの構成であってもMHD平衡が取れ、コイル電流が一定でプラズマ電流が半減しても水平位置はほとんど変化しないことを見出した。縦長断面トカマク装置で簡易ヘリカルコイルによる受動的位置制御を実証するために製作した小型トカマク装置のトロイダル磁場コイルは、導体をエッジ巻きにしてトーラス外側のみの支持構造とした。誘導電動機を用いたフライホイール電源をベクトル制御してトロイダル磁場を1秒以上ほぼ一定に励磁できるようにした。
著者
鎌田 八郎 中村 正斗 村井 勝 上田 靖子 大下 友子
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

畜産の生産現場では、担い手の高齢化が進み、労働負担の軽減化が強く求められている。特に分娩は厳密な予定がたたず、深夜になった場合の分娩介護は重労働となっている。一方、分娩時の胎子排出メカニズムはこれまで精力的に研究されてきたが、胎子娩出後に不要となった胎盤の排出(後産)のメカニズムはほとんど理解されていなかった。そこで本研究では、胎盤剥離シグナルの同定とそれを応用した新規の分娩誘導法の開発を目的とした。これまでの報告から、胎盤の剥離には細胞間の接着を切断する酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の関与が推定されており、その生産母地が繊維芽細胞であることから、胎子胎盤から繊維芽細胞を調製してそのMMPを活性化する物質を探した。胎子娩出のシグナルはアラキドン酸の代謝物が主役であることからアラキドン酸代謝物に焦点をあてて検討したところ、従来知られたプロスタグランジン類ではなく、リポキシゲナーゼ代謝物であるオキソアラキドン酸に強いMMP活性化機能があることが判明した。分娩予定牛にプロスタグランジンを投与して分娩誘導すると、胎子は娩出されるが胎盤は排出されない(胎盤停滞)。これを対象区として、強いMMP活性化機能を示したオキソアラキドン酸を胎子娩出後に投与したところ胎盤の排出に成功した。その際の胎盤中MMPは正常分娩時と同様の挙動を示していた。以上からオキソアラキドン酸はこれまで知られていなかった胎盤剥離誘導シグナルであることが示された。本知見は胎盤停滞を伴わない分娩誘導技術及び胎盤停滞治療法の開発につながり、畜産生産現場の労働負担の軽減に大きく貢献すると期待される。
著者
島ノ江 憲剛 木田 徹也 湯浅 雅賀
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、環境計測用マイクロガスセンサの構築に向けた材料設計を目指し、酸化物半導体の基礎的な解析として、粒子サイズとドナー密度が空乏状態に与える影響、ドナー密度と酸素吸着量の関係、マスキング効果の有効性、増感剤効果とその最適担持法の検討を行った。また、これらの検討結果の一つとして、VOCガスの一つであるトルエンについて好感度検知を試みたところ、ppbレベルの検知が可能であることを見出した
著者
堀江 典生 雲 和広 ベロフ アンドレイ 辻 美代 石川 健 高屋 和子 武田 友加 堀内 賢志 馬 紅梅 大津 定美
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では、APECサミット開催にあわせたロシア極東開発計画を左右する諸条件を、(1)中ロ経済相互依存関係の変容、(2)ロシア政府の極東開発への実行可能性(開発計画及び地方財政)、(3)ロシア極東の人手不足を補う外国人労働者誘致の問題、という3点を検証し,広大で人口・労働力過少な領土をもてあます「極東の呪い」と「中国脅威論」との克服が,今後ともロシア極東地域の発展の阻害要因になることを明らかにした。
著者
大窪 健之 小林 正美 土岐 憲三 益田 兼房 寺田 佳高 石井 隆之 岡崎 風時
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

全国の木造の重伝建地区(国指定の町並み保存地区)は、地震火災による同時多発火災に弱い。しかし災害時に最も重要な役割を果たす住民が参加し、地区防災計画を定めた例は少数であった。このため、防災水利の整備事業の実施前、中、後、の段階別に地区を選定して住民ワークショップを実施し、図上防災訓練による想定と、発災対応型防災訓練による実践を試みた。得られた結果を総合することで、住民ワークショップの手法とその有効性を明らかにした。
著者
遠藤 保子 八村 広三郎 仲間 裕子 山下 高行 崔 雄 古川 耕平 松田 凡 高橋 京子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

舞踊人類学やアフリカの舞踊に関する研究動向を概観し、舞踊の最新の記録法としてモーションキャプチャを利用したデジタル記録を指摘した。アフリカで人類学的なフィールドワークを行いつつ、モーションキャプチャしたデジタルデータからアフリカの舞踊の特徴(多中心的な動作や性差による相違点等)を考察した。アフリカの舞踊の教材化について論じ、小学校高学年を対象にした開発教育のための教材(DVD、指導計画)を制作した。
著者
高浦 勝義 河合 久 有本 昌弘 清水 克彦 松尾 知明 山森 光陽
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、従来の標準テストに代わる新たな評価法としてのポートフォリオ評価(portfolio assessment)に着目し、その理論的検討を行うとともに実践レベルにおける具体化方策を探ることを目的にした。その結果、理論面においては、問題解決評価観なる新たな評価観を提唱し、このもとで(1)指導と評価の一体化、(2)自己学習力の向上及び、(3)保護者等外部への説明責任に向けた評価という3つの評価のねらいを同時に、かつ統一的に実現するための基本モデルを開発した。また、実践レベルにおいては、これら(1)〜(3)の基本モデルの具体化のために、公立小・中学校からの研究協力を得ながら、すべての教科、道徳、特別活動において「生きる力」より導かれた評価の4観点(「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」)を基にルーブリック(rubric)を含む単元指導計画を作成するとともに、授業と評価の実際に取り組んだ。
著者
西口 光一 三牧 陽子 村岡 貴子 難波 康治 西村 謙一 大谷 晋也 義永 美央子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大学における日本語教育カリキュラムのあり方について、CEFR などの外国語能力記述を参照しつつ、大阪大学における日本語教育のスタンダードとして、6 つの習得段階での各コンポーネントの教育内容と達成水準の記述を行った。それを参照枠としながら以下の開発・研究を行った。(1) 自己表現活動中心の新たな基礎日本語のカリキュラムと教材の開発及びそれに関連する研究(2) 大学院生の研究活動及び各活動に関連するディスコースの研究とそれらに基づくアカデミック・ライティングとアカデミック・オーラル・コミュニケーションのカリキュラムと教材の開発及び実施と検証(3) 社会科学系を専門とする日本語教員による社会科学日本語のカリキュラムと教材の開発的研究(4) 日本語教育 IT 支援プラットフォームに関する研究と同プラットフォームの開発
著者
橋爪 力 GYÖRGY Miklos Nagy FERENC Fülöp
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

反芻家畜のサルソリノール(SAL)によるプロラクチン(PRL)分泌機構の一端をヤギで明らかにしようとした。その結果、長日条件下においてメラトニン(MEL)をヤギに投与するとSALにより誘起されるPRL放出反応は低下すること、またCarbidopaとL-dopa処理により視床下部内ドーパミン(DA)量を増加させると、日長に関係なくSALによるPRL放出反応は抑制されること、さらにレセルピンにより視床下部内DA量を減少させるとSALによるPRL放出反応は修飾されることが明らかになった。このように、反芻家畜のSALによるPRL分泌機構には視床下部のMELやDAが関係していることを明らかにした。
著者
WELFIELD John B. 細谷 千博 塩出 浩和 信田 智人 毛利 勝彦 大内 浩 細谷 千博 WELFIELD Joh
出版者
国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、歴史的経緯を踏まえた上で、政治・経済・防衛・パーセプション・経済援助という多岐にわたる側面から現状を分析した。冷戦後において中国の脅威論が日米両国内で議論されているが、軍事的に見て近い将来に中国は東アジアにおいて日米両国の脅威となる可能性は少ない。唯一の懸念は台湾海峡問題であるが、それに対して日米両国は中国に対して封じ込めなど敵対的な対応をするのではなく、積極的に中国が国際システムに参入することを支援していかなければならない。中国が東アジアの国際秩序形成に建設的な働きをするようになれば、台湾問題においても近い将来平和的な解決手段をみつけることができよう。言い換えれば、中国を孤立させない形で、日米両国が東アジアの新国際秩序形成にイニシアチブをとる必要がある。そのためには、防衛面だけでなく、最近の東アジアの金融不安に対する経済援助やマクロ経済調整、知的所有権問題といった面での経済政策での日米の協力や、環境問題や人口問題などのグローバルな問題においての日米両国の協力が重要になってくる。京都における環境問題国際会議に見られたように、これらの問題において日米両国は必ずしも同じ立場であるとは限らない。だが、たとえ立場が違ったとはいえ、日米両国が協力して中国を含めた新国際秩序形成のために最大限の努力をするのだということは忘れてはならない。
著者
岩田 利枝 吉澤 望 望月 悦子 平手 小太郎 宗方 淳 明石 行生
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では東日本大震災後の首都圏節電下のオフィスの光環境の実態の記録を残すとともに、そこからオフィス照明の基本要件を抽出し、省エネルギー照明手法の開発を行った。節電によって、照明のエネルギー削減はランプや器具の効率の向上の他に、必要照度を下げる、照射面積を小さくする、照射時間を短くすることによる効果が大きいことが示された。これらは「光環境の質を落とす」と考えられ触れられてこなかった方法である。照明の基本的要件の見直しから着手し、照射面積・時間、昼光利用を考え、人の視覚特性を利用した「不均一・変動照明」による照明手法の提案を行い、これらに基づいた新しい照明基準作成の準備を行った。
著者
高田 篤 松本 和彦 毛利 透 西 平等 福島 涼史 近藤 圭介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現在ドイツにおける「ケルゼン・ルネッサンス」の進展・成果の把握と、「ケルゼン」を通じたドイツ公法学の布置の把握を行った。前者について、1)方法論、2)民主制論、3)グローバル化・ヨーロッパ化をめぐってケルゼンが「有用」であるとして「再発見」されていることを確認し、その分析を論文、報告、報告書としてまとめた。後者については、ドイツ公法学転換をめぐる「戦線」が「連邦裁判所批判」をめぐって先鋭化しており、その構図、担い手が「ケルゼン・ルネッサンス」のそれらと重なることから、『越境する司法-ドイツ連邦憲法裁判所の光と影』の翻訳を完成させ、上記1)、2)、3)をめぐって、その意義を分析・解明した。
著者
尾藤 誠司 早野 恵子 野村 英樹 大西 弘高 浅井 篤 大生 定義 竹村 洋典
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

<研究の目的>医療を受ける側と提供する側が信頼しあいながら医療サービスが成立するために、現在解決されなければならない問題はいくつもある。我々研究班は、2年間の事業の中で、現在起こっている医療に関する問題点について、医師のプロフェッショナリズムの視点から考察し、実証的な根拠を提示するとともに、プロフェッショナリズム推進への方略や、プロフェッショナリズム涵養のためにあるべき教育について多面的な研究事業を行なうことを目的とした。各事業に先立ち、我々は、まずインターネットによるW.EB掲示板機能を用いた「WEB討論会」を開催した。その内容を基礎資料として、以下の分担事業を行った。<医師の思考と職業意識に関する論考集の出版>分担研究者を中心とした医師の思考を文化人類学的に考察した『医師アタマ』を出版するとともに、事例を基にした論考連載「白衣のポケットの中:医師のプロフェッショナリズムについて考えるフォーラム」をおこなった。<医師が持つべきプロフェッショナリズムに関する質的調査および量的調査>医師が持つべきプロフェッショナリズムの内容に対し、医療専門職や患者、市民等に対して質的インタビューを行い概念の整理を行った。その上、医師の態度と行動に対する調査を、医師、患者、市民に実施し、結果の比較を行った。<医師のプロフェッショナリズム推進および教育事業>映画や事例の振り返りによる、医師の態度教育に関する教育ツールを開発し、有用性の観察を行った。<良質な医療サービスを提供するために必要な就労環境についての調査>医師の就労環境改善を提言するための現状調査を行った。以上の調査等を踏まえ、複数の種類にわたる医療専門職のほか、倫理学、メディエーター、マスコミ関係者、患者を代表する者等による合同ワークショップ「ともに考える医療ワークショップ」を開催し、医療者行動規範宣言書の草案を作成した。
著者
谷島 一嘉 平柳 要 丸 瑠璃子 渡辺 直隆 伊藤 雅夫 宮本 晃
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は簡単に測定し得るさまざまな心身反応から、フリッカー値、血圧(収縮期・拡張期)、10秒間の選択反応数、10秒間のタッピング数を選び、これらを作業前と作業後で測定することによって、作業による疲労度を疲労スコアとして、直ちに算出・表示する小型・簡便・安価な疲労度の定量化システム(疲労計)を試作する。そして、これに組み込んだ重回帰推定式の妥当性の検討や人間工学的な評価、改良を施し、より実用性のある疲労計としてまとめあげる。これまで、このような簡単な疲労計で複数の心身反応を総合した測定・評価システムは他に類が無く、しかもその主要なロジックである疲労度の算出方法には、これまでの研究成果からの独特のものを採用している。したがって、上記の心身反応を測定すれば、直ちに重回帰推定式によって、作業前に対する作業後の疲労度が疲労スコアとして算出・表示されるしくみである。そして、出力結果としての疲労スコアが0〜9であればほとんど疲労していない状態、10〜19ではやや疲労した状態、20〜49ではかなり疲労した状態、50以上では極度に疲労した状態の4段階で評価される。最近、健康管理の面から作業者の疲労度を数的に把握するのに、簡単な操作で比較的信頼できる結果が得られる安価な疲労計を希望している職場が多いためこの疲労計は非常に広い応用・需要が期待される。したがって、本研究で開発された疲労度の簡易定量化システム(疲労計)の実用化の見通しはきわめて高いと思われる。今後、さらに看護婦の疲労の測定などで実地に使いながら、簡易疲労計としての信頼性の向上、使い勝手の良さなどを中心に、さらに検討して行く。
著者
SHRESTHA Manoj L KNELLER Robert 山名 美加
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

米国は生物多様性条約(CBD)そのものを批准していないが、CBD採択と同年の1992年にNIH(国立衛生研究所)、米国科学財団、米国国際開発庁の財政的支援の下で設立されたNIHの国際的生物多様性協力グループ(ICBGs)は、米国型のCBD理念を具体化した究極の国際産官学連携(共同研究)のモデルを提示するものである。日本においても、遺伝資源を活用した産官学連携には、NIHモデルのように日本の大学がコアとなりつつも、政府機関が、研究機関、民間企業とともに、現地研究者を最大限活用できる新たな国際的プラットフォーム作りが急がれる。
著者
田原 淳子 嵯峨 寿 真田 久 建石 真公子 舛本 直文 三浦 裕 師岡 文男 來田 享子 荒牧 亜衣
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

人類にプラスになるレガシー(遺産)をもたらす持続可能なオリンピックについて調査・検討を行った結果、オリンピズムの現代的解釈のもとに、大会を含むオリンピックムーブメント全体の見直しが肝要であり、具体的には、人権保障の遵守、競技種目の実施形態の多様化、All for Sports for All概念に基づくスポーツの普及・推進、自然と人的・社会的環境への配慮、オリンピズムを核とした、国際教養としてのオリンピック教育の普及・推進と文化プログラムの展開、計画的なレガシー創造とその活用等を、グローバルにローカルを加えた「グローカル」な視点で展開することが求められるとの結論が導かれた。
著者
武田 育郎 西野 吉彦 深田 耕太郎 佐藤 裕和 宗村 広昭 森 也寸志
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

自然水域の底質とともに存在する鉄バクテリア集積物は,リン吸着能を持つ鉄化合物を多く含むので,リン資源の循環利用に重要な役割を果たすことができる。しかしながら自然水域の鉄バクテリア集積物は,容易に水流によって流されてしまう事,また,嫌気性の泥を含む底質からの収集が困難である事などから,有効な利用が行われていない。本研究では,鉄バクテリア集積物を収集する担体を水中に浸漬させ,鉄バクテリア集積物をリン酸肥料又はリン吸着材として利用できる形態で効率的に収集する方法の開発を行った。
著者
近藤 喜美夫 大澤 範高 浅井 紀久夫 田中 健二 武藤 憲司
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

語学、科学技術、文化等様々な分野での国際教育交流を行うには、映像音声を中心にした遠隔コミュニケーションを円滑にする仕組みが必要である。本研究では、その仕組みとして、映像音声に含まれる情報(特に言語が異なる場合の文字情報)を抽出し、学習者側に注釈情報(説明や翻訳、画像など)を提示する機能を構築することを目的とした。こうした機能を組み込んだプロトタイプ・システムを構築するため、映像中の物体を認識するための画像認識機能や映像中の文字情報を検出するための文字検出機能などの要素技術を開発した。また、検出した文字情報に関連した付加情報として説明注釈や翻訳、画像や三次元アニメーションなどを提示する機能や検出文字情報と関連付加情報を空間的に関係付ける追従配置手法を開発した。そして、システムの動作確認を行うため、衛星通信などによる遠隔地接続実験を実施した。さらに、被験者による評価試験を行い、構築したシステムの有用性を確認した。システムが有効に利用されるための基盤や教育交流を円滑に行うためのネットワーク構成についても検討した。特に、遠隔コミュニケーションを安定的に提供できる衛星通信の利用を想定した教育交流手法や国際教育交流について現状の分析と考察を行った。また、遠隔コミュニケーションにおいて作業性や臨場感を向上させる上で重要な役割を果たす音響環境について検討を行った。特に、遠隔会議で問題になる音響エコーに関して音響特性の計測と計算機シミュレーションによる音声了解性能の推定を行った。
著者
大槻 憲四郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

3.11巨大地震の大余震、誘発内陸地震、アウターライズ地震などに伴う深層地下水変動を観測するため、岩手県一関市厳美町やびつ温泉の自噴井ではラドンと炭酸ガスの濃度変化を、宮城県登米市南方上沼崎の650m孔井と同県東松島市矢本町大塩の1010m孔井では水温と水位の変化を、茨城県高萩市上手綱の623m自噴井ではラドンと炭酸ガスの濃度および水温変化を、筑波大学構内の孔井では水位のみを継続観測した。余震等の地震の頻度は次第に低下してきており、この間に顕著な地下水変動を伴うような大きな地震は発生しなかった。いわき地震(2011年4月11日、M.7)の余震に関しては、臨時水位観測を実施して興味深い結果を得たことを昨年度に報告した。余震の頻度は低下し続けていたが、2013年9月20日に久しぶりに前兆変動が期待されるような大き目の余震(M5.9)が発生した。すでに臨時観測は終了していたため、この余震に伴う水位変動を取り逃がした。そこで、遅ればせながら2013年10月1日から臨時観測を再開し、2014年2月21日に終了した。しかし、この間に顕著な水位変動を伴う余震は発生しなかった。3.11巨大地震に伴う地下水変動観測結果を解析し、論文として公表する計画であったが、まだ行っていないので近い将来に実行する。不均質すべり面上での震源核形成に関わる実験をガス圧変形試験機で行う計画であった。すべり面を跨いで貼ったひずみゲージですべりを精度良く測定できるように試料を四角柱に近い形に変え、それに伴ってアンビルの形状も改良した。計測器を8チャンネルから10チャンネルに増強し、サンプリングレイトも5MHzにグレードアップした。