著者
高山 佳奈子 山本 雅昭 神例 康博 松原 英世 品田 智史 張 小寧 松宮 孝明 斉藤 豊治 平山 幹子 佐川 友佳子 嘉門 優 永井 善之 大下 英希 中島 洋樹 井上 宜裕 前嶋 匠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本・中国・台湾・韓国などの東アジア諸国では、従来、それぞれソビエト連邦法、ドイツ法、日本法などの影響下に独自の刑事制度を発展させてきた。経済刑法もその一部であり、個別に発生する問題に対処するための立法が多かった。しかし、経済活動の国際化に伴い、各国に共通する問題が見出されるとともに、その対策においても、相互の方法を参照する意義が高まっていることが、本研究によって明らかになった。その意義は、個別具体的な立法のみでなく、刑法総論や制裁制度論全般に及んでおり、今後研究を継続する必要性もまた示された。
著者
ハンリー シャロン 櫻木 範明 伊藤 善也 今野 良 林 由梨 岸 玲子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

子宮頸癌予防HPVワクチンの接種率向上の方策を検討する為、思春期女子を持つ母親を対象とする2つの調査を実施した。ワクチンが無料なら娘に接種させるとした母親が92%だった。接種の障壁は安全性に対する不安と母親の頸がん検診受診歴だった。医師の勧奨は意思決定に前向きな影響を与え、ワクチン効果を納得することもワクチン受容度に関連した。また、頸がん受診率の低い地域では、詳細な情報提供がワクチン受容度を高めることを示した。本研究の結果により、接種率向上の要因が明らかとなった。
著者
神野 透人 香川 聡子 大河原 晋
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生活環境化学物質が原因あるいは増悪因子と考えられる疾患において重要な役割を果たしていると考えられる侵害刺激受容体TRPA1 チャネルについて、その感受性個体差に影響を及ぼす遺伝的要因並びに環境要因を明らかにすることを目的として、既知のSNPs を導入した異型TRPA1 5種並びに野生型TRPA1をHEK293細胞で強制発現させて機能変化を明らかにした。また、ヒト気道及び肺組織について、TRPA1 mRNA発現量の差をReal Time RT-PCR法により定量的に解析し、ヒト気道組織においてはTRPA1 mRNAレベルで100倍以上の個体差が認められることを明らかにした。
著者
森 英樹 原 正之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

コラーゲンゲル上に紫外線を照射することによって、コラーゲン分子間に架橋を施し、ゲルの粘弾性を変化させることができた。コラーゲンゲル表面を短冊状にマスキングした状態で紫外線照射を施すことによって、紫外線照射部の短冊状パターンを作製、その上で脳毛細血管内皮細胞株(bEnd.3)を培養した。bEnd.3細胞はコラーゲンゲル上の紫外線照射部に接着し、増殖した。更に、ニューロスフェアを形成したマウス神経幹細胞/前駆細胞を播種し、分化誘導培地で培養することによりbEnd.3細胞と神経幹細胞/前駆細胞からの分化細胞とのパターンを作製することができた。
著者
清水 邦夫 南 美穂子 宮岡 悦良 高際 睦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

完全データが与えられた場合の多変量正規分布の母数推定論は、多変量解析の多くの書物において取り上げられている題材である。本研究では、主に不完全データもしくはミッシング(結測)のあるデータを含む場合の統計解析法について研究し、つぎの結果を得た。(1)2つの多変量正規分布にしたがう完全データから松下の類似度の最尤推定法および制限付き最尤法を利用する推定法について調べ、3つの偏り修正法の比較を行った(Minami and Shimizu, 1999)。本研究の結果は不完全データに対して発展する余地が残されている。(2)2地点降雨量の積モーメントと共分散のしきい値法による推定について調べた(Hossain and Shimizu, 1999)。降雨量データは、レーダにより降雨量を推定する状況を考えると、あるダイナミックレンジ内のデータから分布のパラメータを推測せざるを得ないという意味で不完全なデータである。しきい値法はそのような不利な状況を軽減する方法の一つと考えられる。(3)2つの2変量正規分布にしたがう不完全データから松下の類似度の最尤推定法および制限付き最尤法を利用する推定法について調べた(Minami. Shimizu, and Mishra, to appear)。(4)つくばで得られた地上ライダー雲底データについて分布の検討した(Takagiwa et al., to appear)。雲の鉛直分布は、もし下層に光学的に厚い雲があると地上ライダーからのデータはミッシングを含む構造になっていると考えられるので、衛生ライダーデータによる今後の検討が必要である。
著者
楠戸 一彦
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の課題は,ドイツ中世後期の剣士団体である「マルクス兄弟団」の成立事情,目的と活動,団員の剣術技法,団員の社会的階層を,解明することであった。先行研究の成果を整理し,史料である剣術書と「マルクス兄弟団」関係文書の内容を分析することによって,次の点を明らかにした。(1)マルクス兄弟団は1487年に皇帝フリードリヒ3世より「特権状」を獲得した。(2)目的と活動の重点は,当初の宗教的相互扶助から,16世紀後半にはツンフト的権利擁護に移行した。(3)団員の剣術技法は,14世紀後半のJ.リーヒテナウエルの技法を遵守していた。(4)団員の社会的階層は,貴族や商人ではなく,大部分が手工業者であった。
著者
釘原 直樹 植村 善太郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大事故や感染症などの災害が発生した場合、マスメディアは非難攻撃の対象を発見し、追及する。ある対象(スケープゴート)を攻撃する記事数は時間とともに変化し、対象自体が次々と変遷する。本研究ではそのような現象を説明するために、非難対象と量の時系列的変遷を説明する波紋モデルを構成した。JR福知山線脱線事故、0157やSARSなどの感染症、口蹄疫などに関する新聞や週刊誌の記事分析をした結果、非難対象が個人→集団→システム→国家→社会へと変遷する傾向があることが確認された。またこの現象には頻度知覚や記憶のバイアスもかかわっていることが実験によって見いだされた。
著者
川端 厚子 登倉 尋實
出版者
大阪信愛女学院短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

夕刻から入床までの間携帯型電話を使用する際、そこから発生する電磁波は人体生理に相当影響することが判明した。すなわち、使用中並びに使用後、脳温度を反映する鼓膜温度を有意に上昇させ、さらにまた、松果体から分泌されるメラトニンホルモンを有意に減少させることが判った。さらに、電気敷き布団から発生する電磁波も唾液中の免疫グロブリンAを有意に減少させることも判った。以上のように、夕刻から入床前にかけて電磁波を発生する携帯電話の使用や電磁波を発生する布団を使用して睡眠をとることは電磁波の発生量が極めて微量であっても鼓膜温度の夕刻から夜間にかけての自然の下降を妨げ、メラトニンの分泌量を抑制し、さらには免疫系に1種である免疫グロブリンAに分泌量を抑制することが明らかになった。さらに物理実験で、電磁波は対象物を加温する性質を持つことを明らかにした。携帯電話の使用時、鼓膜温度が上昇することは、電磁波のこの性質を反映すると思われる。夕刻自然に脳温が下降する際、運動により脳温を上昇させると、夜間のメラトニン分泌量が抑制されるという文献を考慮すると、電磁波により脳温の下降が抑えられその結果としてメラトニンの分泌量が減少した考察されよう。さらに、携帯電話使用により入床前、また、睡眠中、中核温度に深い下降が妨げられたことは、深い睡眠を妨げることになるのみならず、免疫系の免疫グロブリンAの分泌も抑制された事実は健康の維持増進の視点からも問題は大きいと思料されよう。
著者
金 慶珠
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本の報道における歴史認識問題は「戦前の歴史をめぐる解釈の問題」として限定的にとらえている半面、韓国の報道においては「現在の日本社会における歴史の解釈の問題」としての時間軸の拡大を図っているところに大きな差が見られた。また、日韓両国ともに相手国の言動や反応に注目した記事が多く、その歴史認識問題の視点が自国内に向けられていないという共通点が見出される。こうした対立軸が合致しない現象(注視点のずれや視座の鮮明性)こそが日韓メディア情報における「視点の不一致」を生み出しており、そうした報道の視点構造が歴史認識問題に対する日韓の相互理解を妨げる一因であることが推察される結果となった。
著者
山田 雄司
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

米国議会図書館には戦前陸軍が所有していた兵法関係書が多数所蔵されており、その中には忍者・忍術に関する重要な史料も含まれている。これら写本類は他に見られない価値の高いものが多いが、これまで目録が作成されているだけで内容については全く知られていない。本研究ではそれらの調査を行い、書誌的情報、内容の検討を行っていく。さらに一部は翻刻を行うことにより紹介し、忍者・忍術研究だけでなく兵法研究にも資する基礎的史料の提供を行う。
著者
石元 広志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

性行動においてメスは、たとえ同種のオスであっても容易に交尾を受入れない。このメスの交尾意思決定を制御する脳神経機構は未解明である。ショウジョウバエのメスは、多くの動物と同様に、たとえ同種であっても求愛をすぐには受入れない。この交尾前の拒否行動は、交尾の決定権がメスにあることを示し、交尾相手を選択する行動である。このように、メスが継続した求愛を受けて、交尾の拒否から受容へと行動を転換する一連のプロセスを制御する脳神経機構を明らかにする目的で、本研究は、このメスの交尾前拒否行動を制御する責任神経細胞の特定を進めた。その結果、昆虫脳に共通して存在する中心複合体楕円体内の2種類の神経細胞群(各々アセチルコリン作動性神経細胞群とGABA作動性神経細胞群)で構成されるType-I Incoherent feedforward loopを形成する神経回路が、メスの性行動を制御することを突き止めた。また、脳に存在する2対のドーパミン神経細胞が、この回路を駆動すること、特定のドーパミン受容体が回路を構成する神経細胞の活動を制御することを明らかにしている。昨年度は、この回路の動作に一酸化窒素(NO)を介する逆行性シナプス伝達制御が関与すること見出し、当該神経回路の動作調節機構の一端を明らかにした。本年度は、分子解剖学的手法を用いて、当該神経回路と上流の神経群の接続を詳細解析し、フェロモン等のオスの情報を集約する脳の領域との解剖学な接続関係を明らかにした。さらに楕円体は、運動機能にも重要な役割を担う。そこで、これら神経機能を阻害することによる歩行速度の低下と交尾潜時の相関を検討した。以上の成果を集約して、本年度論文として出版することができた。また、各種メディアを通じて研究成果を社会一般に発信した。
著者
永田 雅輝 宮内 信文 田中 俊一郎 比嘉 照夫 萬田 正治 金澤 晋二郎
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,環境,一次産業,二次産業および医療分野でも普及しつつあるEM技術について,農業工学,土壌環境学,畜産学,園芸学および食品化学などの多方面の研究者が縦横に組織を組んで,客観的な調査を行い,今後の学術共同研究の方向性を創出することにある.調査の結果,これまでの事例から以下のように要約される.1)EMを構成する微生物は当初とは異なり,10種類程度でも土壌菌と共生的に効果を出すことが判明した.効果の発現は,環境中のEMの密度が高まって生態的に多勢となった場合に著効が認められ二次産業等における効果はEMが生成する多様な抗酸化物質によるものと判断される。2)水稲に対しては,EMと有機物の施用が適正であれば,数年で有機農業などへ転換可能であって,品質・収量ともに慣行法より向上し,また水田の除草時間も大幅に低減することを認めている.3)EM栽培したミニトマトの呼吸速度は対照区に比べて貯蔵初期で50%も低く,日持ちの良さを示唆している.4)EMの土壌改良材としての効果は顕著であることを認めている.5)畜産分野におけるEMは悪臭防除と病気予防に効果があることを認めている.6)EMの食品化学的有効性は,厳密な意味での確認できる例とデータは存在せず,その解明には多くの困難があり,時間が必要であると判断される.以上,EMの効果は現象的には,一部を除いて良好な事例もあることから,今後は (1)土壌菌と共生的に効果を出すメカニズム, (2)抗酸化物質の特定, (3)土壌改良の機作, (4)生態系改善の仕組み, (5)農産物の品質・貯蔵性向上の機構, (6)微生物群相遷移発達過程の実証, (7)EMの家畜腸内細菌に及ぼす影響, (8)食品化学的に厳密なEM効果の検証, など科学的・技術的な裏付けを行うことによって,環境保全型農業の推進に多大に寄与する研究分野であるといえる.
著者
仲川 勇二 檀 寛成 井垣 伸子 小野 晃典 伊佐田 百合子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

経営科学の分野で世界最高峰の学術雑誌であるManagement Science誌(2014年Vol. 3)に仲川の離散最適化に関する新解法の論文が掲載された。最適化の分野での掲載は日本人として40年ぶりである。また、非凸問題が離散最適化解法で容易に解けることを利用して、金融工学の難問やゲノム科学の「次元の呪い」や「失われた遺伝率」と呼ばれよく知られた難問の解決に向けて、すでに顕著な成果が得られている。ゲノム科学の難問の克服は、高血圧、がん、統合失調症等の複雑な病気の治療を大きく前進させる可能性がある。
著者
石井 啓義 寺尾 岳
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

今回の研究では、日本全国を対象として水道水リチウムと自殺率の関連を、自殺に影響を与える可能性のある種々の要因で補正しながら検討することが目的であった。日本全国の785市と東京都の23区を合わせた808市・区の水道水を全て採取し、それらのリチウム濃度を測定した。自殺の標準化死亡比(SMR)を2010年~2014年の5年分算出しその平均値を自殺率として使用した。自殺率を従属変数とし、各市・区の水道水リチウム濃度、8地方、水道水リチウム濃度と各地方の交互作用を独立変数とし、人口による重み付けをしながら重回帰分析を行った。その結果、日本全国においても水道水リチウムは男性の自殺率の低さと有意に相関した。
著者
山田 悟郎
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

14世紀から18世紀の、23個所の集落跡から検出された作物種子、17個所の畠跡、6遺跡から出土した鉄製農具の検討から、次のことが明らかになった。(1)14世紀から18世紀初頭の遺跡から鋤・鍬といった鉄製農具が出土しており、アイヌ民族は18世紀初頭まで鉄製農具を使用した広幅の畝からなる畠を造成していた。(2)該当期の畠跡は、アイヌ民族によったことが明らかな土地の傾斜に関係なく各方向に畝を造り、同じ台地上で場所を変えながら小規模な畠を継続していたものと、東北地方のアラキ型焼畑との関係を示す、傾斜地に火入れを行い傾斜に沿って縦畝を造成したものや、溝だけの畠を造った二つのグループに区分でき、後者はアイヌ民族によったものではなく、東北地方北部から渡道もしくは季節的に渡道した和人によったものと考えられる。(3)炭化種子が出土した大部分の遺跡からヒエとアワを主とした14種類の作物種子が出土しており、特にヒエが多く出土し、アイヌ民族の伝承にもあるようにヒエとアワが重要な作物であったことが判明した。(4)擦文文化期にはアワとキビが主要作物であったが、14世紀以降主要作物からキビが脱落して、ヒエとアワが主要作物となるが、その背景には気候の悪化があったものと考えられる。(5)18世紀末には川原端で、農具を使用せず木の股や刀子で土を耕して畠を造った姿が描かれているが、その要因として「シャクシャインの戦い」以後の松前藩によった刀狩り、鉄の供給制限、鉄製品の粗製化と、交易形態が「場所請負制度」に変わり、アイヌ民族の労働力の収奪が行われた結果と考えられる。
著者
光藤 雄一
出版者
公益財団法人九州先端科学技術研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本補助事業では長期間にわたり摂食内容や摂食のタイミングを自動取得するための検知手法を提案し、原理確認的な実験の一部を行い、国際学会で発表した。提案した手法は、皿の底に電極を貼付し、もう一方の電極をユーザの人体に貼付するもので、皿側の電極から高周波信号を発しているとユーザが皿の上の食物に接触したとき皿とそれに乗った食物、(導体の)カトラリ、人体を通して人体側に接触している電極へ信号が到達するので、人体側電極での信号検出によって接触タイミングを検知できる。本予算内では、摂食の様子を1)信号の到達、2)食品の物理的状態による信号の変化、3)食品の数による信号の変化を観察することにし、スペクトラムアナライザを用いて信号のスペクトル密度の形状の変化を観察し、接触検知とともに食品の種類を推定する簡易的な回路モデルの構築を試みた。実験等は順調に進んだが開始早々に管理機関による直接経費の内部資金化や目的外使用と見られる資金トラブルが発覚し、研究の停止を余儀なくされた。資金トラブルについての研究代表者の学振への照会に対し管理機関理事の荒牧敬次ら複数名により懲戒の示唆を含めた妨害が行われ、報告書の提出にあたっても学振の審査委員の実名を挙げるなどして管理機関に不利な記述を削除するよう強要するなどし、半年以上報告が遅延した。これに対し学術振興会が管理機関に交付決定取消を警告すると管理機関は取消が研究代表者へのペナルティと偽り記述の削除を要求した。このように管理機関は資金を適正に管理できず学振と研究代表者の仲立ちも十全に果たさず補助事業の実施に支障が生じており、研究代表者は管理機関への資金管理の委任を解除する意思を有する。また管理機関の行為について刑事訴訟法239条2項の告発を本報告書をもって行い、学振に本補助事業の交付決定を取消され、併せて同機関の科研費の取扱資格を剥奪されるよう進言する。
著者
安村 誠司 中山 健夫 佐藤 理 杉田 稔 中山 千尋
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

原発事故以後、福島県民が抱く放射線健康不安には、報道や情報が関連していると考え、県民2000人に対し、健康不安の程度、信用する情報源、利用するメディアについて質問紙調査を行った。健康不安の程度を目的変数、信用する情報源と利用するメディアを説明変数とした重回帰分析の結果、NGO等を信用する群、ネット・サイトを利用する群の不安が有意に高く、政府省庁、自治体を信用する群、地元民放テレビを利用する群は、不安が有意に低かった。情報源やメディアの違いによる、不安の程度の差が明らかになった。また、ヘルスリテラシー得点上位群の不安が有意に低く、放射線不安を減らす上での、ヘルスリテラシーの有効性が示唆された。
著者
新開 大史 喜田 宏
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

インフルエンザウイルスの感染モデルマウスを用いて、抗原原罪が実際に起こることを確認した。免疫グロブリンのレパトア解析を行ったところ、PR8感染群は非感染群に比べてレパトアの多様性が高いことがわかった。これは、感染によってより多様な免疫グロブリンが誘導されたことを示唆している。また、免疫グロブリンのCDRH3領域を解析した結果、インフルエンザウイルスに特異的なCDRH3のアミノ酸配列を発見した。現在、免疫グロブリンレパトア解析により、コントロールマウスと抗原原罪マウスで誘導される抗体のCDRH3配列パターンの違いを解析している。
著者
江口 英利 三森 功士
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究はイベルメクチンがYAP1の阻害により胃癌に対して抗腫瘍効果を有すかを明らかにする。イベルメクチンを胃癌細胞および胃癌マウスモデルに投与すると腫瘍増殖抑制効果を認めた。またその機序として、Hippo経路の転写因子であるYAP1は細胞増殖関連遺伝子であるCTGFを誘導するが、イベルメクチン感受性胃癌細胞においてイベルメクチンの投与によりYAP1 mRNA、核内YAP1蛋白が減少し、CTGFの発現が減弱した。つまり、イベルメクチンはHippo経路のYAP1発現を抑制することにより細胞増殖を抑制しうる。また胃癌症例において、YAP1高発現群は予後不良であった。
著者
坂部 貢 角田 正史 高野 裕久 欅田 尚樹 立道 昌幸 松田 哲也
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「いわゆる化学物質過敏症」患者を対象として、化学物質曝露と身体症状出現の相関性の有無について、自律神経機能の変動を主としてリアルタイム測定した。また、本症の主症状である「嗅覚過敏」の病態解析について、脳科学的な解析を行った。1)総揮発性有機化合物(TVOC)変動と自律神経機能の変動は、統計学的に強く相関した。しかし、TVOCの変動と自覚症状については相関は認めなかった。2)脳科学的解析では、嗅覚刺激による前頭前野の活動が、本症では対照群に比して活発化していることがわかった。本症は、化学物質の毒性学的影響というよりも、「臭い刺激」が契機となる、心身相関を主体とした状態であることがわかった。